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初めての王都とタコの天ぷら

7話



今日から本格的に活動したいと考えていたら「よければ街を案内しますわ。」ってリーナさんが言ってくれたので渡りに船とばかりにお願いした。


出かけようとしたらサラさんがやってきて服を着替えさせられてしまった。


そうしているうちにリーナさんがやってきた。


リーナさんもいつものお姫様って感じの服じゃなくて街娘っていう感じの格好といつもの銀髪ではなくて茶髪に眼鏡をしていてこれはこれで可愛いって思う。


「どうでしょうか。おかしくないですか?」


「似合ってると思います。とってもかわいいです。」


「あら、いつもの私はかわいくないんですの?」


「そ、そんなことはないですよ。」


「冗談ですわ。さぁ行きましょうか。」と歩き出したので


「あまりからかわないでください。」と言いながらついていく。


城門から街へと出ていくとまず目に入るのが大きな豪邸でそれがいくつもあるがそれぞれの個性が溢れている。


その区域は主に貴族階級にあるものか大きな商いをしているものが多くだいたいの通路に警備員っぽいのを見かけるので一般人はあまり近づかない。


高級住宅区域を抜けて、住宅街にやってくるここから中央通りに向かうと商店街、西に冒険者ギルド、東に商業ギルド、薬品ギルドがあるようだ。


商店街は3つに分かれていて、中央が食料品、薬、西側に武器、防具、鍛冶屋、東側に雑貨、服飾を扱う店が多い。


それぞれの通路では屋台が多く並んでいてそれぞれ賑わっている。


街の各所に警備隊の詰め所も設置されていて治安も良いようだ。


それでも街の端のほうにはスラム街があってその辺は治安もあまり良くない。


一応歓楽街もあるようだが流石にそちらは案内してもらうのはやめておいた。


一通り街中を歩き、各門にも案内してもらって商店街に戻ってきたら何やら人だかりができていた。


どうしたのかと思って近づくとどうやら店主と客がもめているようだ。


「こんな気持ち悪いものを出しやがって、こんなものが食えるわけねえだろ!!」


「そういわれましても、私達の国では普通に扱われているものですし。」


と店主が見せていたのはツボに入ったタコだった。


そのタコがツボから地面に落ちると活きのいいタコが動き回って大騒ぎだ。


こっちにタコが向かってくるとリーナさんも俺の腕を掴んで大騒ぎ。


向かってきたタコを捕まえると、


「ミナトさん大丈夫なんですか?」


と心配するリーナさんに「大丈夫ですよ。」と言いながら店主にタコを返す。


「活きのいいタコですね。」


「お客さんは分かりますか。なかなかこの国の方たちには馴染みがないので騒ぎになってしまって困っているんです。」


「店主はどこから来られたんですか?」


「私はアヅチ帝国とエルウッド王国の間にあるエランデ王国からきたんです。」


「へぇー、海産物が中心なところを見ると漁が盛んなんですね。」


「その通りです。でもなかなか売れなくて。」と店主と話しながら商品を見渡すとそこには見たこともない魚の干物や昆布、ワカメ、醬油なんかもあった。


奥に積んであるのは何かと聞いたら米というアヅチで主食になっているものだと説明を受けた。


米と聞いて欲しいとおもったら『ミナト、お金ないでしょう。』ってティピから突っ込まれた。


確かにこちらに来てから収入を得ていないから文無しである。


リーナさんにお金を持っているか聞いたら金貨10枚くらいならあるというので5枚ほど借りてあるだけの米と残りで買えるだけ昆布、ワカメ、魚の干物、タコ、醬油を買ったので店主さんは喜んでいた。


定期的にこちらに来るというのでまた来たら購入することを約束してそこを去った。


帰り際に『女の子にお金を貸してもらうなんてダメな男ね』ってティピに言われて少し傷ついた。


こうして念願の数々の品を手に入れて心はホクホクだが懐は借金してしまうという事態に。


「すいません。必ず返しますから。」と言うと


「気にしないでいいですよ。ミナトさんは兄さんのせいで連れてこられてしまったので、お金を持ってなくても仕方ないですよ。」


そう言われて何かが胸に刺さった気がした。


心のライフポイントがどんどん減っていく。


そして気づいてしまった。


城で1ヶ月以上世話になりながら無職ということに。


最初のころは弱かったし仕方ないとしても訓練以外にもできることもあったんじゃないかと。


いや、今日気づけただけでも良かった。


力も得たのだ、いい歳した大人が早急に仕事を探さなければダメ人間になってしまう。


決意を新たに城へと帰るのだった。


「今日はありがとうございました。お金も必ず返しますから。」


リーナさんにお礼を言うと、


「私も久しぶりに楽しかったですから構いませんよ。お金はいつでも全然大丈夫ですからむしろ返さなくてもいいくらいですよ。」


「いえいえそこは必ず返しますので。」


「それよりも大量に買われたこのタコはどうされますの?」


「今晩の夕食にしようかと思っています。よければお礼もかねて御馳走しますよ。」


「・・・・・・本当に食べられるのでしょうか。」


今日のお店での騒ぎがあったようにタコは受け入れにくいかもしれない。


「美味しいですから試しにどうですか?」


「そうまでおっしゃられるのでしたら。シズクも一緒でもいいですか。」


「ええぜひ誘ってあげてください。」


そうしてリーナさんと別れて城の厨房へと行く。


少し場所を貸してほしいというと聞いているから大丈夫と一ヶ所貸してもらえた。


さてまずは鍋でご飯を炊く。


リーナさん達も来るから多めにしておいて余ったらおにぎりにしてイベントリーに入れておけばいい。


そしてたこの下ごしらえをする。


まずは内臓をとって塩でぬめりをとっていく。


ぬめりがなくなるまで洗っては塩をつけてを繰り返す。


ぬめりが取れたら下茹でして、冷ましたら包丁できっていく。


次に小麦粉、水、マヨネーズ(卵は昨日のプリンで使い切った)を使って衣をつくり、フライパンに油を1センチくらい入れて熱する。


味付けしたタコに衣をつけて揚げていく。


十分火がとおったら油をきってタコの天ぷらの完成だ。


お皿に盛り付けておまけで胡椒も隅に添えておく。


そうしているうちにご飯もいい感じになってきたので火から外して蒸らしにはいる。


あとはタコのサラダとワカメス-プを作ってリーナさん達を待つだけだと思っていたら何故か注目されていた。


気まずくてどうしようかなって思っていたら


「ミナト殿待たせてしまったかな」と言ってエルフィナさんがやってきた。


なんでもリーナさんがシズクさんを誘いに執務室に来た時にタコと聞いて一緒についてきたらしい。


「ちゃっかりしてますねエルフィナさん。」


「何を言ってるんだ美味しい物が食べられるとあらば機会を失するわけにはいかないさ。それにリーナに聞いたが大量に買ったそうじゃないか。」と言いながら目でお前お金持ってなかったよなって感じのメッセージがとんできているので(断るつもりはなかったが)断ったら言っちゃうぞって顔している。


「もちろん大歓迎ですよ。」


そう言ってリーナさんのいる王族用の食卓へと連れていかれる。


まさかの場所に入っていいのかと思っていたらそこにはミリアリア女王もいて


「エルフィナから聞いたが何やら面白いものをたべさせてくれるそうじゃの。」


と迎えられる。


いいならいいやと思ってそれぞれの席の前にご飯、タコのサラダ、ワカメスープ、タコの天ぷらをを出していく。


「タコの天ぷらはお好みで横の胡椒をつけてどうぞ。」


「「「「「いただきます」」」」」と全員で食べ始める。


「変わった料理じゃの。だがこの触感と味がうまいの。」


「これがあのタコなんて信じられませんわ。」


「「・・・・・・。」」


ミリアリアさんとリーナさんは好評ようだ。


シズクさんは無言で味わっていて、エルフィナさんに至ってはお酒を用意し始めている。


俺はというと久しぶりの米とおかずの組み合わせに感動した。


『私の分もあるんでしょうね。』ってティピの念話があったのでもちろんと答えてご飯に集中したのだった。


初めての米もタコもなかなか好評だったようで全員からまた夕食はお願いしようと言われた。


さて晩御飯も終わったところで明日からの活動について考える。


とりあえず金策をせねばならない。


金がなければ何も買えないのだ。


それでエルフィナさんに念話で相談したら昔騎士団で使用していた鎧一式をくれるというのでそれで顔を隠して活動してはどうかと言われたのでありがたく頂戴することにした。


騎士団員から怪しまれないように普段はエルフィナさんのお手伝いをしているという設定でアリバイつくりをしておくそうだ。



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