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アイリスが婚約者になった

56話



次の日の朝、ベイカーさんが目を覚ましたので予定を変更することにした。


「今日は、レイン、ミレイヌ、アイリス、ベイカーさんで小隊を組んで狩りをしてもらおうと思います。」


「なぜでしょうか?」


「この3日間でみんなレベルが20以上、上がったんじゃないかと思います。だからまず今の自分の能力に慣れてください。そうしないといざという時に誤差が生じますから。」


「わかりました。」


「無理はせずにオークとかの弱いところから行きましょう。ベイカーさんは特に気を付けてください。」


「わかったぜ。」


そう告げて拠点を出発する。


早速モンスターがあらわれたがうまく連携できずにいる。


弓の名手であるレインも感覚のずれから外しまくっている。


ボーっと見ているのも退屈だなっと思っていたら


『マスター、このライカに任せるです。』


『何か退屈しのぎさせてくれるのか。』


『マスター、今です右斜め上。』


そう言われてそちらを見るとドリルホークに対して跳びあがったミレイヌのスカートの中が見えた。


白だったってまたこのパターンですか。


確かに退屈だって言ったけどさすがライカ。


『マスター、ここで少しかがんで正面。』


言われたとおりにしたらアイリスのスカートが僅かにめくれてピンクでした。


『マスター、次は左に3歩。』


言われた通りに動いたら跳びあがって弓を打って着地するときに揺れるレインの胸が。


『いやいやライカさん、嬉しくないわけではないんですが、無駄に的確な指示は何ですか。』


『前のマスターはパンチラは至高であると言っていたです。』


あの人は何をしていたんだろうか。


そんなことを考えているうちにどんどん敵が減っている。


小隊としては前衛にベイカーさん、ミレイヌ、中衛にアイリス、後衛がレインという感じになっている。


殴りスタイルのミレイヌに槌で攻撃するベイカーさん、2人の隙を埋めるようにアイリスの槍が敵を貫く。


そしてほかの敵が近づきすぎないようにレインが矢を放っている。


大分動きが良くなってきているが、まだまだ時間がいりそうだ。


日が暮れてきたので拠点に帰る。


「みんなどうだった?」


「ミナト様の言う通り動きに誤差がでました。なにより自分の槍の速度が速くなりすぎて驚きました。」


「今日は、弓の照準がいまいちでした。」


「思った以上に動けてびっくりした。ちょっと跳ぶ予定が大きく飛んじゃった。」


「俺がモンスターを倒す日が来るなんてびっくりだ。こりゃあ早く帰って鍛冶も試してみたいぜ。」


「違和感があってよかった。レベルが大きく上がってる証拠だ。」


次の日も引き続き小隊行動をしてもらって昼ごろにはみんな動きの修正ができたみたいだ。


昼からはレインとベイカーさんを拠点に残し、ミレイヌとアイリスだけを連れて地竜を目指す。


歩きながら2人に目的を告げる。


「今から地竜と戦ってもらうんだけど、2人がスキルを使えば勝てると思う。そのためにわざわざベイカーさんは置いてきた。」


「わかりました。やってみます。」


「・・・・・・。」


「アイリス失敗してもいいから挑戦はしてほしい。」


「わ、わかりました。」


ミレイヌだけとはいえ、アイリスはスキルを使うことに戸惑いがあるみたいだ。


地竜が登場してミレイヌがスキルを発動して殴りかかる。


地竜はダメージを受けているみたいで鬱陶しそうにしている。


しかしアイリスは戦闘中にスキルが使えずにいた。


だから地竜は先にアイリスを標的にしたようだ。


ミレイヌが殴っても無視してアイリスに前足で攻撃をしてくる。


アイリスも必死に応戦しているが、だんだん地竜の攻撃を躱すだけの時間が増えてきている。


途中でミレイヌが全力で地竜を殴り飛ばして、アイリスを抱えて下がってくる。


「ミナトさん、今日はもう無理かも。」


「わかった。」


代わりに地竜を討伐して帰ることにした。


アイリスはかなり落ち込んでいるようだ。


「アイリス、そんなに気にするな。次は使えるようになるさ。」


「・・・・・・。」


ミレイヌもアイリスのことを心配している。


拠点に帰って夕食を取ってからもアイリスは元気がないままだった。


次の日はまたレベルアップに費やした。


一日の終わりになってもアイリスは元気がない。


レインとミレイヌがアイリスと話をしているが、調子は戻らずだった。


次の日もレベルアップに勤しんだが、アイリスは何かを悩んでいるようだ。


拠点に戻って夕食を終えて片づけをしていると


「ミナトさん、少しいいですか。」とミレイヌが話しかけてきた。


「いいけど、片付けが終わってからでいいか?」


「片付けながらでいいよ。」


そういうので手を止めずに用件を促す。


「アイリスのことなんだけど、後で2人で話す時間を作ってあげてくれないかな。」


「それくらい全然かまわないけど。」


「ミナトさんのことだから心配はしてないけど、アイリスには支えがいると思うの。だからアイリスを拒否しないであげてほしいな。」


「そんなことしないけど。ミレイヌの言葉は覚えておくよ。」


「ありがとう。じゃあ明日にはきっと元気なアイリスになるね。」


「そうなってくれてるといいな。」


先にお風呂もらうねって言ってミレイヌは小屋に入る。


片づけを終えて俺も小屋に入ろうと思ったら


「ミナト様、少しいいですか。」とアイリスが出てきた。


小屋の近くだと話しにくいかなっと思って少し歩くことにした。


「それで用件は何かな。」


「・・・・・・。一昨日はすいませんでした。私がスキルを使えなくてミナト様の手を煩わせてしまって。」


「別にそんなこと気にしなくていいさ。」


「最初にミナト様にあったとき、スキルを見せろって言われて見せましたが、もう使えないかもしれません。」


「それはどうして?」


「その時にミナト様は、自分がピンチになっても使ってくれないのかなって言っておられました。それにミレイヌやプリシアの話を聞かせてもらって使おうとしたんです。でもあれからは一度も発動できなかったんです。使おうとするとみんなからの視線や言葉を思い出してしまって。」


「そうか。そんなにつらい思いをしていたのにスキルを使わそうとさせてごめん。」


アイリスは構わないと言って昔話をさせてほしいといった。


「私はハーフエルフだから、人間にもエルフにも疎まれます。でも認められたくて必死に努力して実力を示してきました。でもだれも認めてくれなかった。騎士になってからも同じでした。でもレイチェル様という目標があったから頑張れました。レイチェル様の隊に入ってからは、認めてくれる騎士たちもいてもっと努力をして副団長と戦えるところまで上りました。」


アイリスのこれまでの努力が、忍耐がすごいと感じた。


だれだって一人で何かを成すのは難しい、だけどこれまでアイリスはずっと頑張ってきたんだ。


「でもその副団長との戦いでどうしても負けたくなかったからスキルを使いました。そうしたらレイチェル様たちは褒めてくれましたが他の騎士たちからのあたりはきつくなりました。スキルを使うのが怖くなりました。だから自分の実力をあげるためにもっと鍛錬して強くなって有無を言わせないようにしました。それからは問題なくいってたんですけど。」


だんだんアイリスの口調が暗くなってくる。


「思い出したくないなら無理に話さなくてもいいんだよ。」


そう言って近くの岩に腰かけてアイリスを座らせるが寒さが厳しくなってきたのでシルバータイガーの皮で作ったマントを取り出してかぶり懐にアイリスを入れてあげる。


これでだいぶ暖かくなる。


しばらくしてアイリスは話し出した。


「ある年に騎士団の遠征がありました。その時はリリス様が参加されていました。数年ごとにあるモンスター駆除の遠征だったので例年なら簡単に終わるはずだったんですけど、予想外が起きました。ブラックタイガーが4体あらわれて副団長が1人負傷しました。そのときリリス様と騎士たちを守るためにスキルを使ってブラックタイガーを倒したんです。リリス様を守ることはできたんですけど騎士たちは嫉妬からか私を認めなくなりました。もうこの時からスキルを使うのが怖くてたまらなくなった。そして先日ダニス殿に負けて、レイチェル様はもう一度チャンスをくれましたがスキルを使うことができずに負けてしまって、第三騎士団から出ることになりました。」


そこまで言ったアイリスは震えて泣いていた。


そっと抱きしめてあげると


「お風呂ではミナトさんがこっちを見てくれて嬉しかったです。でもこんな誰にも認められないハーフエルフの、しかもスキルさえ使えなくなった私なんかミナト様もいらなくなったんじゃないですか。一昨日だって期待に応えることができませんでした。」


一昨日のことで失望されたと思ったのかな。


でも俺はスキルは使えた方がいいと思ってはいるけど、使えないからって捨てたりはしないけど。


なんて言葉にしようと思ってたら


『ミナト、そこはもう顔を持ち上げてキスよ。態度で示した方が早いわ。』


『いやいやいきなりキスなんかしたら嫌われるよ。』


『なに言ってるのよ。この娘をおとすなら今しかないわ。もうあなたのものにしてしまうのよ。』


『そんな強引な。』


『でもこの機会を逃したらアイリスは二度と特殊スキルを使えなくなるわよ。まあミナトがアイリスをハーレムに入れたくないんならこれ以上は言わないけど。』


否定したいがまあ確かに婚約者が増え続けているからハーレムか。


『わかった。ありがとうティピ。』


アイリスが離れる前に顔を上に向けさせて、強引にキスをした。


アイリスは何が起こったのか混乱している。


「アイリスがハーフエルフだとか、スキルが使えないとかどうでもいいさ。俺はアイリスをいらなくなったりしない。これからは俺を頼れ。誰もがアイリスを認めなくても俺が認めてやる。辛かったら支えになろう。だから自信を持って歩め。」


アイリスの顔が赤く染まっていく。


「それは本当ですか。本当にいいんですか。」


「いいよ。」


「じゃあ証拠が欲しいです。」


そう言って目をつむるアイリスにもう一度キスをした。


「もうミナト様から離れませんから。」


「そうかなら、アイリスも俺の婚約者になってもらおうか。」


「よろしくお願いします。」


アイリスにも首飾りをかけてあげる。


「この首飾りは婚約者にあげてるんだけど、オーラを込めると身を守る結界を張ってくれる効果と、俺と連絡をとる通信機の役割がある。これから隊を任せていくと一緒にいられない時が多くなるが連絡はとれる。」


「そんな高価なものをありがとうございます。」


「俺が作ったからいうほど高価でもないんだけど。」


「大切にします。」


落ち着いたアイリスと一緒に拠点に帰ると笑顔のミレイヌとレインに出迎えられたのだった。

読んでくださってありがとうございます。


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