リオンは帰ったけど一人では眠れないようです1
41話
あれから3日後、リオンはセバスさんが御者する馬車に乗って一足先に帰っていった。
それをみんなで見送って、今日の夜からは部屋を独り占めできるから何をしようかと考えていたが昼食の準備を思い出して厨房へと向かった。
昼食後、女性陣は何かを話し合っているようだ。
せっかく時間があるので、明日からはリーナたちとこの街でデートでもしようとその準備に時間を使うことにした。
昼以降は厨房で数種類の焼き菓子を作っていく。
この世界にはまだカフェがないから自作するしかない。
そんなお店も開いていきたいものだ。
一通り作り終わって食堂で自作したフルーツオレを飲みながらゆっくりしているとユカとチヨがやってきた。
「兄さん一人で何してんの。」
「色々作り終わって、休憩してただけだよ。」
「兄様は何を作ってたのですか?」
「お菓子だよ。よかったら味見してみる?」
「ええんかいな。ならありがたくもらうで。」
2人にマドレーヌを出してあげて、ついでにハーブティーもつけておいた。
「マドレーヌやん。ほんまに兄さんはいろいろ作るんやね。」
「チヨは、こういうのは初めてみました。」
「どうぞ食べてみて。」
「「いただきます。」」
イベントリーに入れてあったから焼きたてと変わらないマドレーヌだ。
ミルク村で購入したバターとビッグコッコの卵が質が良すぎて想定外の出来になってしまったがそれはいいだろう。
「「美味しいです。」」
2人にも好評のようで一気に食べてしまって、もっと欲しそうにしているが夕食が入らなくなると困るので我慢してもらうことにした。
「チヨの知らないことが世界にはたくさんあるですね。」
「チヨちゃん安心しい。こんなもん誰も知らんで。兄さんがおかしいだけやから。」
この世界基準ではないものを出しているんだから、おかしいのかもしれないが言われると悲しいなあ。
「兄さまはすごいんですね。」
チヨちゃんにそう言われると癒されるなぁ。
「ところで兄さん、さっきいろいろ言うてたやん。てことはほかにもあるんちゃうん。」
「それはまだ企業秘密だよ。教えられないな。」
「そんな殺生なこと言わんと。なあ。」
「ダメダメまた今度のお楽しみに。」
そう言ってその場を立ち去った。
あれでチヨちゃんにまでお願いされたら出しちゃうところだ。
宿を出て街を散策することにした。
そしてふと思い出した、前に気鉱石(白)を大量に買う約束してたことを。
いろんなことがありすぎてすっかり忘れてた。
急いで石売りの場所へと向かった。
そこでは今まさに2人のおっさんに絡まれたお姉さんがいた。
「お取込み中すいません。」
そこに割って入った。
「ああん。誰だお前。」
お姉さんに絡んでたおっさんがこっちを向く。
「何を怒っていらっしゃるのかと思いまして?」
「関係ない人は口出ししないでくれませんかね。」
「ああ、兄さん、やっと来てくれたんですね。」
お姉さんがこっちをみて喜んでいた。
「どうもすいません。色々あって遅くなってしまって。」
「この兄さんからお金受け取ったらすぐに払いますから。ちょっと待っててください。」
そう言われておっさんは後ろに下がっていった。
「助かりました。石を仕入れすぎて場所代が払えなくなって困ってたんです。」
「いやホントに申し訳ないです。」
忘れていたのもあってそこの気鉱石(白)とそれ以外の石も幾つか買うことにした。
「ありがとうございました。」
そう言って見送られ、おっさんらも場所代が回収できたのか帰っていくのが見えた。
危なく自分のせいで一人の人生を狂わせるとこだった。
さて買い物も済んだし宿に帰ることにしよう。
そして夕食も終えて風呂を出て部屋に戻るとそこにはネグリジェ姿のリーナと同じくネグリジェ姿のレインがいた。
「・・・・・・。何をしておられるんでしょうか?」
「兄さんも帰って、ミナト一人だと寂しいかなって思って添い寝をしてあげようと思って。」
な、なんとリーナとレインが添い寝してくれるとは、嬉しいが遠慮したい。
そんな生殺しみたいな状況に耐えられるんだろうか。
ここはなんとかお引き取り願わないと。
「いやまだ結婚もしてないしそれは不味いんじゃないかと思うんだけど。」
「大丈夫ですよ。ミナトを信用してますから。それに母様も承認してますから。」
「私はミナト様の奴隷ですから、何をされても問題ありません。」
そんな信用と信頼を示されても困る。
「それとも私達じゃいやですか?」
そんなことを言われたら断れないじゃないか。
「嫌じゃないです。わかりました。よろしくお願いします。」
こうなったら全力で理性を働かせるしかない。
とりあえず薄着の二人からは目をそらせよう。
どっちも可愛いから見続けてはダメだ、あんまりみると大変なことになってしまう。
とりあえず2人にフルーツオレを渡して椅子に座る。
まだ寝るには早いから休憩だ。
「明日はリーナの予定は?」
「何もありませんよ。リリスとリリイが終業式を終えるまでまだ日もありますからね。」
「じゃあ明日はデートしよう。」
「いいですよ。ではほかの子も。」
「明日だけはリーナだけで頼むよ。ほかの子は別の日に時間をとるからさ。だから明日だけはレインごめんね。」
「いえ私は大丈夫です。リーナ様との関係が進んでくださるのが一番ですから。」
「では明日は2人でデートですね。楽しみにしています。」
「じゃあそろそろ寝ようか。」
そう言って明かりを消してベットに入ったら、右側にリーナ、左にレインが入ってきた。
早く寝ようと思って「2人ともお休み」って言ったら
「おやすみなさい。ミナト。チュッ」
「ミナト様おやすみなさい。チュッ」
両側から頬にキスされた。
その瞬間ドキッてしてしまったがその後2人が腕に抱き着いてきて柔らかいものが当たっている。
この状況は不味い寝れなくなってしまう。
どうしようかと思っていたら
『私が寝かせてあげるわ。』ってティピが思いっきり蹴ってきた。
それで意識がなくなった。
翌朝日の光で目が覚めて腕を動かそうとしたら柔らかい感触とともに
「「あんっ」」て悩ましい声が、それで完全覚醒した。
そういえばリーナとレインが添い寝してたんだった。
朝ごはんの準備をしようと思ったが動けない。
下手に動くといろいろなところを触ってしまう。
そうすると2人が起きてしまうだけでなくて、おれ自身が大変なことになってしまう。
どうしようかと悩んでいたら
「ミナトおはようございます。」ってリーナが目を覚ました。
「リーナおはよう。」
レインはまだ寝ているようだ。
「レインは朝が弱いそうですよ。それよりもおはようのキスをしてください。してくれないと起きてあげません。」
そう言われて頬にキスをすると
ベットからでてレインを起こしてくれた。
寝ぼけているレインをベットに残し、身支度して、厨房へと向かう。
厨房に向かいながら、昨晩を思い出して、誰かが傍にいてくれることの幸福をかみしめた。
朝食を終えて準備を整えてリーナと一緒に宿を出る。
みんなが見送ってくれた。
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「姉さんらはいかんでよかったんか?」
「いいんですよ。」
「リーナ様とミナト様の関係が進んでくれることが私達の幸せにつながるんですから。」
「なんか約束でもしてんの。」
「「「「それは秘密です。」」」」
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出発したはいいがこの街は大きすぎてまだ全部を把握できていないので聞いてみることにした。
「どこか行きたいところかお勧めの場所はある?」
「私はミナトがいればどこでもいいけど。」
「誘っといてごめん。まだこの街を把握しきれてないからよくわからなくて。」
「そうよね。ごめんね。ミナトはこの街に来るのも初めてだったもんね。じゃあ今日は私がミナトをエスコートしてあげるわ。」
そう言って俺の腕に腕を絡めて引っ張っていく。
そのまま、未だ行ったことのない方向へとむかっていく。
この街もいろいろなところで屋台や露店があるから見ていて飽きない。
「ミナト。あの屋台を見てみようよ。」
「いいよ。行ってみよう。」
屋台に近づいていくと「いらっしゃい。この街の名物学園の模型が買えるのはここだけだよ。」っておっちゃんが声をかけてくる。
どうやらお土産屋さんのようだ。
なぜ、クマの木彫りがあるんだろう。
あとはもらってうれしいのか疑問に思うものがたくさん置いてある。
「・・・・・・。」
「ミナト。どうしたのなんか複雑な表情しちゃって。」
「いやこんなの誰が買うんだろうって思って。」
「お土産としては定番だと思うけど。」
「そうなの。あの学園の模型とかさ、もらっても邪魔にならないの?」
「いざという時に燃やしやすいって人気よ。」
お土産なのによく燃える薪代わりになるとか、まあ使い道がないよりかはいいのか。
じゃあ薪代わりに買ってみるか。
「すいません。学園の模型を3つください。」
「はいどうもありがとう。小銀貨3枚になります。」
小銀貨3枚渡して模型を受け取る。
「3つも買ったんだね。誰にあげるの?」
「全部薪代わりに使おうと思って。」
そう答えるとリーナが笑い出した。
「お土産を最初から燃やす目的で買う人はあんまりいないですよ。」
「よく燃えるっていうからつい。」
そのまま、腕を組んで歩いていく。
そこからは果物を売っている屋台で時間をかけたり、怪しい露店主に絡まれたりしながら楽しく進んでいった。
そして到着したのは学園都市で一番大きな公園、憩いの公園らしい。
ベンチがあったのでそこに座ってお昼にすることにした。
といっても屋外でも食べやすいサンドイッチにしておいた。
目新しい具はコッコのカツサンドかな。
オークに比べてさっぱりしているのがいい、そこに特製のソースをかけてマヨを塗ったパンにはさんでいるから相性も最高だ。
リーナも気に入ったみたいだ。
「これすごく美味しいですね。」
その笑顔が見れただけで満足できた。
お腹も満たされたから食後のお茶を取り出す。
一息ついてから
「リーナは本当は今回の件についてどう思ってるの?」と聞いてみた。
「アンジェリカさんのことですか。わたしはいいと思っていますよ。」
「本当ですか?彼女の境遇に同情したからって、自分の気持ちを押し込めてしまっていませんか。」
「心配してくれるのは嬉しいですけど、本当に大丈夫ですよ。」
リーナの目をじっとみていると、表情を崩しながら
「わたしはこれまで心を許せる相手は家族を除いてはシズクしかいなかったんです。近寄ってくる方は下心があるか打算がある方ばかりでした。私の姉さんのせいもあるんだけど。」
そう言って一口お茶を飲んで続きを話してくれる。
「でもミナトと友達になってからは状況が変わっていく。初めはダニスさんが、次にカティア、プリシア、グスタフ、レイン、ユカ、チヨちゃん、そしてミレイヌとミナトつながりで気軽に話せる友達が増えたわ。だからミナトはカティアの時も、プリシアの時も今回の件も私のことを心配してくれるけど大丈夫よ。ミナトがほかの子のことにしか気がなくて私のことを邪魔だって言うなら悲しいけど・・・・・・。」
リーナが続きを言う前に両肩に手を置いて
「そんなことはない。俺にとってはリーナが一番大切だし、一番好きだ。だからリーナが嫌ならみんなには悪いけど全てをなしにするくらいは覚悟している。」
そう言ったらリーナの顔が赤くなっていく。
「うん。ミナトが私のことを大事にしてくれることがわかるから大丈夫なの。それにみんな、ミナトに惹かれて傍にいたいって思っているから私も信じられる。」
そう言われるとこっちも恥ずかしくなってくる。
「ありがとう。リーナが本心で嫌がっていないならいいんだ。リーナは王族としての責任とか果たそうと嫌でも繕おうとするから今回の件も心配で。」
「ミナトも私を信じて。嫌ならもう受け入れたりしないから。わたしがそうするとミナトが無茶をしようとするから、ミナトには本心しか言わないわ。だからミナトの周りに新しい子が増えても心配しなくてもいいわ。でもすぐに教えてね。」
「それはもちろん約束するよ。いつでもリーナが一番だってことは変わらないから。」
そういって見つめあっていると自然と顔が近づいていく。
唇が重なり合ってしばらくして離れる。
真昼間の公園で何をしているんだろうとハッとなる。
幸い近くに人はいなかったので助かった。
そこからはマドレーヌを出して談笑して過ごした。
リーナの本心も聞けたし、自分の気持ちも確かめられた。
だからアンジェリカさんのことも受け入れて、みんなが笑顔でいられるように頑張って行こうって思った。
読んでくださってありがとうございます。
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