また婚約者が増えるようです
40話
次の日朝食を終えてお茶を飲みながらボーっとして時間をつぶしていたらメリッサさんがやってきた。
「今日は学園での仕事は休みなんですか?」
「今日は学園長代理に任せてあるわ。」
「そんなに学園長が仕事を任せてうろうろしていいんですか?」
「いいのよ。だってもうすぐ学園は冬季休暇だからそんなに仕事もないしね。」
「この世界でも冬は来るんですね。ずっと気候がいいから気にもしてなかったです。」
「そうよ。まあエルウッドは地域的に気候が安定していて、夏もそんなに暑くはないから気付かなかったんじゃないかしら。でも冬は多少は寒くなるわよ。」
「帰ったら冬支度しないといけないのか。」
「それがいいんじゃないかしら。」
「じゃあ学生はみんな休みの間はどうするんですか。」
「冬季休暇は1ヶ月しかないから、帰省する子もいれば、残る子もいるわ。休みって言っても学園の施設は使っていいから残る子は研究しても、訓練してもいいわ。時間の使い方は自由よ。」
「それでメリッサさんはどう時間を使うんですか。」
「私は今回エルウッド王国にお邪魔することにしたわ。ということでゼスト商会とのつなぎをお願いね。」
「わかりました。」
どれだけラーメンの支店をここに持ってきたいんだろうか。
まあ気持ちは十分わかるけど。
それだけ言ってメリッサさんは去っていった。
さてお昼用の軽食を作ってしまおう。
今回は手軽にホットドッグを作ることにした。
パンを焼くだけで後は全部イベントリー(インベントリ)にあるものでできるから大変お手軽です。
準備をしていると料理長がやってきて、俺もほしいと駄々をこね始めた。
まあ大量に作るからいいんだけどグスタフもそうだが料理長がそれでいいんだろうか。
料理長にうちのメンバーたちの分も食べる前に温めて出してくれるようにお願いして余分に渡しておいた。
昼前にリーナが迎えに来たので、リオンの待つ場所へと向かうことに。
「はぁ。一体何が待ち受けているんだろうか。」
「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。」
そういわれても何があるのかは気になるところだ。
「リーナは内容を知ってるんだろう。」
「知ってますよ。でも兄さんから言うなよって言われてますから教えられません。」
ネタ晴らししないなんて、きっとリオンは楽しむつもりにちがいない。
そんな話をしながら学園の会議室に到着した。
ノックして許可を得て中に入ると、リオン、アンジェリカさん、メリッサさんが座って待っていた。
「ミナトはここに座ってくれ。」
そう言ってリオンが横の席を指さす。
リオンの隣に座るとその横にリーナが座った。
「さて昼食の前にミナトには先に用件を伝えておこう。アンジェリカさん。」
リオンに言われて顔を赤くしたアンジェリカさんが立ち上がる。
「ミナトこちらのアンジェリカさんは、学園卒業後ノーランド王国から、ミナトの婚約者としてエルウッド王国に来られることになったからよろしく頼むぞ。」
「えっ。」
聞き間違いかな、聞き間違いだろう、うんきっとそうに違いない。
「大丈夫だ。聞き間違いなんかじゃないから。ミナトの側室の一人になる予定だ。」
「ええええええええ。な、なんでそんなことに。」
「少しは責任をとるようにいっただろ。」
「いやいや、彼女は王子の婚約者だろう。それがなぜ。」
意味が分からない、何がどうなって、こうなったのと混乱していると
「すいません。やっぱりこんな女はいりませんよね。」
ってアンジェリカさんが沈んだ顔になる。
「そんなことないから大丈夫だから。とりあえず説明プリーズ。」
そんな俺をメリッサさんが笑っていた。
「説明か。簡単にいうとミナトが王子を殴って勝った。その戦利品だ。」
「余計に意味がわからないよ。なぜ彼女が戦利品に。」
「詳しくいうと・・・・・・。」
俺が王子を殴ってアンジェリカさんを助けてから、王子が国際問題として訴える旨を大臣に言ったので、ノーランド王国の大臣からどういうことかと説明を求められた。
そこに可愛い妹からアンジェリカさんを助けてほしいとお願いされていたリオンが出ていって説明をしたのち、妹の婚約者に手を出したノーランド王国に責任をどうとるのかと問い詰めた。
ノーランド王国の大臣は都合のいい部分しか聞かされていなかったので顔を青くしていたそうだ。
そこでリオンが王子の婚約者であるアンジェリカさんを、エルウッド王国に差し出すことによって王子に責任を負わせるなら、今回の件でノーランド王国に責任追及しないと言ったら喜んで差し出してきたらしい。
そしてこの件は仲介役としてアルカディア学園長が入って保証人となったようだ。
「・・・・・・。それでどうして婚約者になるんだ?」
「彼女は小国とはいえ貴族のそれも侯爵家の娘だ。いくら差し出させたといっても奴隷扱いは外聞が悪いだろう。しかしまだ結婚する気のない私は形だけでも傍に置きたくはない。そこでミナトだ。ミナトは貴族ではないが妹の婚約者だ。そこに側室候補が増えても何の問題もない。それ以外の小難しい政治の話は気にせずにミナトはただ受け入れておけばいいのさ。」
そういうならそれでいいや。
「分かった。それが責任を負うことなら、受け入れるよ。」
そう言ったらアンジェリカさんも安心したようだ。
「じゃあ昼飯にしよう。もう腹が減って堪らないんだ。」とリオンが言うのでホットドッグとお茶を出していく。
「ホットドッグじゃない。もうミナト君はいろいろ持ってきてくれて嬉しいわ。」
メリッサさんがここにいるのはもしや昼飯のためだけなのだろうか。
説明にはいらないんじゃないかと思ったら
「私がいることで両国が、アンジェリカが安心できるんだから。」
って言われてしまった。
なぜ考えがばれたのか不思議だ。
女の感は鋭いのよって言いながらホットドッグのお代わりを要求してきた。
それにしてもアンジェリカさんはこれでよかったのだろうか?
今ここで聞くのもなんだし今度時間をとって聞いてみよう。
その後は学園長が満足するまでホットドッグを提供し続けて時間が過ぎていった。
解散になってリーナと宿に帰るといきなり料理長が頭を下げてきた。
何のことかわからず理由を聞くと、預けていったホットドッグを部下が賄いと間違って食べてしまったらしい。
しかも美味しかったからお代わりまでしてしまったと。
そうしたら宿のみんなの分がなくなってしまったというわけだ。
料理長は顔を青くしてみんなに謝ったそうだ。
みんなは許してくれたらしい。
みんなが許したんだったら別にいいよっていっておいた。
俺からもみんなに謝って、なにか要望があれば聞くというと夕飯に何かデザートをつけてくれたらいいというので。
クリームたっぷりのシュークリームをつけておいた。
みんな喜んで食べていたけど、学園長とムサシさんが一番喜んでいた。
食後に風呂にいくとリオンも入ってきた。
「なかなか慌てているミナトは面白かったよ。」
「いきなり婚約者だなんて紹介されて驚かない人はいないだろう。」
「だからギリギリまで教えなかったんだよ。」
「意地が悪いなぁ。」
「悪かったよ。でも教えて考える時間を与えたらリーナに遠慮して断るかもしれないだろ。」
「それはそうだけど。」
「リーナのことを考えてやってくれるのは嬉しいんだが、あいつも王族として覚悟はしているし大丈夫だ。それに今回の件はリーナとリリスとリリイが言い出したことだからな。」
「そうなんだ。」
「前に風呂で何かに気づいたんだろう。ミナトなら大丈夫といっていたからな。」
何が大丈夫なんだろうか・・・・・・。
「そんなに深刻に考えなくても、ミナトはただ自分の周りに集まってきた娘を大事にしていれば問題ないさ。リーナがあとは上手くやるだろう。」
「それじゃあリーナが負担を負うことになるんじゃ」
「リーナは昔と違って今が楽しいそうだよ。昔はシズクしか気の許せる相手がいなかったけど、今はミナトを通じて信用できる友達がたくさんできたと言っていた。」
たしかに最近はシズクさんがいない日はカティアやプリシアが世話に行ったりしているようだし、ユカ、チヨ、レイン、ミレイヌともよく時間を過ごしているのをみかける。
だからといってリーナの気持ちも考えないといけないし、近いうちに話し合おう。
「そうだ。私はあと3日くらいで一足先にセバスとエルウッドに帰るが、ミナトは冬季休暇に入るリリスたちと一緒に帰ってきてくれ。そうしたら余計な護衛もいらないだろう。」
「わかった。」
「あとこの宿はずっと利用してくれて構わない。オーナーと話はついている。」
あの宿を使い続けられるのはありがたい話だ。
厨房もそれなりに自由に使えているから助かっている。
「さてそろそろ上がるとするか。ミナトはどうする。」
「俺も上がるよ。」
風呂から出て一緒にミルクを飲んだ。やっぱり風呂上がりの一杯は最高だった。
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