チュートリアルは終わらない 1
3話
『おお、ミナトよ死んでしまうとは情けない。』
またどこかで聞いたようなセリフで目が覚める。
そして覗き込むティピと村長の顔が視界に入ってくる。
「ミナトお疲れ。今回は前回よりは善戦したわね。」
「・・・・・・また死んだのか。」
「これが現実じゃなくてほんとによかったわね。」
本当にその通りだと心から思うがこの世界をこんな初心者殺しにした張本人に言われるとすんごい複雑な気分になってくる。
しかもこのチュートリアルの終わりはどこにあるのかもわからないのだ。
前回同様、村長さんのところで夕食を頂いて家に帰り身体を拭きながらそろそろ風呂に入りたいなぁなんて考えているとサラさんにお風呂に入れられたこともいい思い出のように浮かんできてだんだんと水浴びでもいいからしたいという気分になってきた。
「なぁティピ、この辺で水浴びできる場所はないのか?」
「あるわよ。近くに湖が。でもそこまで行くにもゴブリンは出るわよ。」
「・・・・・・」
ここでもゴブリンが立ちはだかってくることに怒りを覚える。
「ゴブリンに遭遇せずに行く方法はないのか」
「ミナトがスキルを取得すればいけるんじゃないかしら。」
「そうかスキルがあったな。よしそれならこの後スキルをとろう。」
急いで身体を拭きあげて、ベットの上に座ってステータスを開く。
するといつの間にか毒耐性、精神耐性、苦痛耐性、を覚えていた。
これらのスキルのおかげでゴブリンにあんな風に殺されても立ち向かえるのだろう。
スキルポイントは104000ポイントになっていた。
「どのスキルをとればいいんだ?」
とティピに聞いてみるとティピが画面をのぞき込んできた。
「あら、ミナトって結構ポイント持ってるのね。」
「ティピにはこの画面が見えるのか?」
「ええ、見えるわよ。なんせ今はミナトの幻獣扱いだから補助するためにステータスも見れるのよ。」
「そうなんだ。で、どのスキルを取ればいいのか教えて。」
結構な重要情報をスルーして聞いてみる。
「そこは自分で考えた方がいいんじゃない。」
と教えてくれないティピ。
仕方ないから自分で一覧を見て考えてみるが、昔遊んでいたゲームのスキルなんてほぼ覚えてないのとゲームの時にはなかったスキルなんかも並んでいるからわからない。
ついでに言うとゲームみたいにスキルの説明は出てこないので「んー」と悩んでいると教えてやりたそうな顔のティピが視界にチラチラ入ってくるが教えてくれないのでこちらから頼むしかないようだ。
「ティピさん教えてくれないかな。」
「え~でも自分で選んだほうが楽しいんじゃないかな。」
「・・・・・・」
言いたそうな顔してるのにそれっぽいことを言って焦らしてくる。
「そりゃあ自分で選ぶほうが楽しいかもしれないけど俺もそんなに若いわけじゃないし時間は大事なんですよ。それに教えてくれたほうがティピさんのサポートとしての価値も上がると思うんだけどなぁ。」
「そ、そんなに言うなら仕方ないわね。優秀なサポートとして教えてあげるわ。」
ちょっとだけ嬉しそうな顔しているのを見るとこちらも楽しくなってくる。
「まずはマップね、そして探索、探知、索敵、隠密、危機察知この辺があるといいんじゃないかな。あと今後を考えてスキルポイント取得アップも取っておきましょう。」
「ほうほう。このマップと探索は必要なのか?」
「探索は薬草なんかのアイテム類と素材とかを見つけるスキルだからどうせ行くなら採取もすればお得じゃない。それでマップがあると採取地点も登録されるから便利よ。」
「わかった。じゃあ全部取得する。他にも何か取ろうかな。」
スキルポイント取得はレベルも上げれるみたいだから最大値まで上げておく。
それでもまだポイントが80000ほどあるからもっとスキルをとるか悩んでいると
「ダメダメ、ほかのスキルは取らずにポイントは残しておきなさい。」
「スキルたくさんあったほうが便利そうだけど、残しといたほうがいい理由があるのか?」
「それは今は言えないけどとにかく残しときなさいな。」
ティピがそこまで言うのだからきっと後で必要になるのだろうと思いポイントは残しておくことにする。
スキル取得も終わったので、明日に備えてねることにした。
次の日、朝早くに村を出て湖へと向かって歩いていく。
昨日とったスキルマップに探索、探知、索敵を加え最小化モードで運用する。
こうしておけばゴブリンなんかが範囲にかかればすぐにわかるようになっているようだ。
といってもまだ低レベルなので自分を中心に半径15mくらいしかわからないが使っているうちにレベルが上がってもっと広範囲もいけるようになると思うので積極的に使用することにする。
特にゴブリンに遭遇することもなく前とは違う森の入り口にやってきた。
「ここからは慎重に行くのよ。」
「わかってる。」
スキル隠密も使って慎重に森を進んでいるとスキルが反応して薬草や毒消し草を教えてくれる。
それらを少し採取してアイテムボックスに入れてから進んでいく。
そして何事もなく湖につくことができた。
「すんなりたどり着けたな。」
「よかったわね。でも油断しちゃだめよ。静かにこっそり入るのよ。」
「わかってるさ。」
と言いつつさっさと服を脱いで湖に入る。
「気持ちいい。」思わず声が出てしまったがそれも仕方ないだろう。
ずっとタオルで拭くだけなんて毎日風呂を欠かさない身としては我慢できないってもんだ。
「・・・・・・おっさんのサービスシーンなんて需要ないわよ。」
「需要ってなんのだよ。ここにはティピしかいないから気にしなくていいだろ。」
そうやって水浴びを楽しんでいるとマップスキルに反応があった。
赤い点が三つ範囲ギリギリのところにあらわれた。
急いで湖から出て服を着て茂みで息をひそめる。
しばらくすると赤い点は範囲外へと出ていった。
せっかく気持ち良くなったのにゴブリンなんかで汚れたくはないので湖を後にする。
帰りは食べられる野草を見つけたので採取した以外は特に何もなく村に帰り着いた。
そろそろうまいものが食べたいと思うが調味料が塩しかないのでいつものスープとパンで腹を膨らませて眠りについた。
次の日、朝から村の外周を走りながら気を維持する練習をしていると見たことのない青年が座り込んでため息をついているのを見かけたので立ち止まる。
「こんな所でため息なんてついてどうしたんですか?」
「ん、ああ、あんたは確か最近村に来た人だったな。」
「ええ、ミナトと申します。」
「オラはジルバってんだ。鍛冶師をやってるんだが親方から警備隊の新しい武器を作ってみろって言われたんだがなかなかいいのが出来ないんで悩んでるんだ。」
「それは大変だねぇ。よかったら試作したものを見せてもらってもいいかい。」
「それは別にいいけど。」
そういってジルバについていくと、鍛冶屋についた。
「これが作ってみたもんだ。」
そういって重そうな箱を持ってきた。
蓋を開けてみるとこれは武器なのかってもんがたくさん入っている。
そのうちの一つを手にとってみてみるとどう見てもフライパンだった。
打撃武器としても使えそうだが・・・・・・個人的にはいいと思うが。
「長柄武器は作らないのか?」
「槍があるからいらないかと思ってんだ。」
「そうなのか。作ってみたらいいじゃないか。槍以外の武器もあってもいいと思うけど。」
「例えばどんな感じのだ。」
ていうから地面にバルディッシュぽいものを書いてみる。
「こういう感じの振り回して斬る感じの武器なんかどうだ。」
「おおー、なんかいい感じの気がするだ。早速打ってみるだ。」
そういってすぐに取り掛かるので後ろで工程を見ていたら鍛冶レベル0がスキルに追加されていた。
出来上がったやつを試しに素振りしてみたら斧の部分だけが抜けて飛んで行った。
「・・・・・・もっときつくつけないと危ないな。」
「んだ。でもいい感じだ。これから改良してみるだ。」
と言って早速どうするか考えだしたので、お暇することにする。
帰ろうとしたらさっきの箱の中身は全部くれるというのでありがたくもらってアイテムボックスに入れておく。
外に出るとすっかり日が暮れていたので家に帰る。
家に帰ってからもらったものを広げてみるが大半は武器としてもよくわからないものだった。
その中で得られたものはフライパンと刃渡り30センチ位の牛刀っぽいものは得した気分になった。
「そろそろ分厚い肉が食べたいなぁ。こっちに来てからスープにちょっと入ってるくらいしか見てないんだよねぇ」
「まぁモンスターを狩るのも大変だからねぇ。」
「肉ってモンスターのしかないのか。」
「そうなるわね。定番は角うさぎとボアじゃないかしら。」
「その肉って買えないのか。」
「売ってもいるけど、大体は狩った人が大半を取って残りが出回るくらいだから高いわよ。食べたかったら自分で狩るのが一番ね。」
「そうか。こちらにもいるのか?」
「ここにはオークくらいしかいないわね。ちなみにゴブリンよりも強いわよ。」
「・・・・・・オークがいてゴブリンより強いってどんだけ育ってるんだよ!」
てへっとか言いながら可愛らしくしても許せねぇよ。
怒りに任せてティピのほっぺを引っ張ろうとしたが
「ゴブリンよりも弱いオークもいるかもしれないわ。いえきっといるわ、探しましょう。」
っていうもんだから『確かに弱いのもいるか』と思い直して許すことにした。
明日はオークを探すことにしてさっさと寝ることにした。
次の日は朝からオークを探して森の中へ入る。
途中単独行動しているゴブリンを3匹倒して進むと、ついにオークを見つけた。
見た感じ二足歩行の猪だけど、デカい。
目測で2mくらいありそうに感じるが、鑑定スキルで能力がみえるのでこちらより弱いと思って、ゆっくり近づき棍棒で全力で突きを放つ。
オークの腹に棍棒が吸い込まれていく。
オークは驚いたみたいだが大したダメージもないのか反撃してきた。
こちらは逆に体勢が崩れ反撃を思いっきり食らってしまった。
顔面に顔面を殴られ頭がくらくらする。
「危ない」というティピの声でなんとか後ろに下がって次の一撃を躱したが状況は不味い。
次の振り下ろす攻撃を棍棒で受けるが棍棒が折れてしまう。
すぐさま後ろに下がって、棍棒を手放しアイテムボックスに手を突っ込むと引き抜いたのはフライパンだった。
躊躇している暇はないので次のオークの攻撃を横っ飛びで躱してそのまま後ろに回り込んで後頭部をフライパンで全力で殴った。
オークはそのまま前のめりに倒れたが起き上がろうとしたので追加で殴り続けた。5,6回したらオークが動かなくなったので手を止めるとこちらも限界がきて座り込んでしまう。
それと同時にレベルが上がったというポップがあらわれる。
ステータスをみるとレベルが20になっていた。
「おめでとうミナト。レベルが20になったから固有スキルが解放されるわ。」
「固有スキルってなんなんだ。」
「固有スキルっていうのは職業ごとに持ってるスキルのことよ。ミナトの職業は勇者とかより能力値が低いけど特殊スキルとオーラ値が多いのよ。」
「それはこれからが楽しみだ。」
「早く帰ってスキルを取りましょう。」
「もうちょっと待ってくれよ。まだダメージが回復してないんだから。」
「そんなの薬草を食べなさいよ。」
「いや薬草は苦いし不味いしあんまり食べたくないんだよ。」
といった瞬間に口に薬草が突っ込まれる。
仕方ないから食べるがマジで不味い。
とりあえず薬草で回復したので立ち上がってオークをアイテムボックスに入れて帰ることにした。
村に着いたらアッサムさんを捕まえる。
「アッサムさん。解体できる人をしらないか」
「知ってるがどうしたんだ?」
「オークを倒したんで、解体してほしいんだ。」
「オークを倒すなんてやるじゃないか。よしすぐ行こう。」
そうして着いたのは村はずれの一軒家だった。
そこでオークの解体を教えてもらいながらやってもらった。
かなり大量に手に入ったので半分は村に寄付してその日はオーク肉で宴会になった。
宴会も終わって家に帰ると、
「さあ、スキルの時間よ。」とティピが迫ってきた。
「そんなに迫ってこなくても・・・・・・」
「何を言ってるのよ、ミナトがチュートリアルをクリアするために重大なことなのよ。」
そもそもチュートリアルって基本を学んでいくものだからクリアするのが大変なものじゃないと思うんだけどティピは一体どこまでやらかしているのかと疑問に思った。
「なぁ、このチュートリアルの終わりってどこなの?」
「・・・・・・知らないほうがいいこともあるのよ。」
「まぁいいけど。とりあえず新しいスキルをとるか。」
あまり問い詰めても何なのでスキルを取得することにした。
ステータス画面を開いてスキル画面に行くと専用スキルというページが増えていた。
そこを開くと気工錬金というスキルがあった。
それを取得すると「すぐにポイント注ぎ込んでレベルをマックスまであげるのよ」ってティピが言うのでポイントを注ぎ込むと錬成、精錬、鍛錬というスキルが派生したのでそれも取得してレベルを上げる。
「これでいいのか?」
「そうよこれで色々とできるようになるわ。早速試してみましょう。まずはアイテムボックスから薬草を2つ出してそれをスキルでポーションにしてみましょう。」
薬草を2つ取り出しそれに対してスキルを使用するとオーラ値が少し減少して目の前には小ポーション(良)が出来上がった。
「これがあなたの職業の専用スキルよ。まぁポーションとかは薬師とかのほうが高品質のが作れるけどミナトのレベルがあがれば品質も上がっていくわよ。」
「これ品質(良)になってるんだけど。」
「あらそうなの?初めて使ってそれなら最高品質もできるんじゃない。よかったわねミナト。」
「ちょっとチュートリアルっぽくなったな。他にもやってみるか。」
そうして毒消しとかも組み合わせていろいろやってみた結果、小ポーション5、小解毒ポーション5、小不味いポーション10、肉ポーション5ができた。
鑑定してみるが品質は全部(良)だったが不味いポーションに関しては説明に苦味が五割り増しとあって、試しにティピと味見してみたが飲めたもんじゃないので封印することになった。
最後に折れた棍棒とこの前得たよく分からない鉄の武器?を組み合わせると真ん中と両端が鉄で補強された棍棒(鉄)ができたのだが気を使いすぎたのか疲れがどっと押し寄せてきて眠ってしまうのだった。
「ごめんねミナト・・・・・・。」と呟いてティピも眠りについた。
スキルを取得してから3ヶ月が経過した。
その間、単独行動しているゴブリンやオークを倒しつつ、オーラ(気)スキルを上げての生活が続いた。
そして今一匹のオークを倒してレベルが30になった。
「やったわね。もうオークも一匹なら楽勝ね。」
「そうだな、でも一匹はいけても複数となると厳しいんだよな。」
「2匹以上になるとリーダースキルの恩恵があるから強さも2割くらい上がるからしょうがないわよ。でも今ならゴブリンなら複数でも戦えるんじゃないかしら。」
「そうかな。なら挑戦してみるか。どっちにしろ一匹ずつだともうレベルも上がりにくくなってきたから仕方ないな。」
そう言ってオークをアイテムボックスに突っ込むとふと気になることがあったのでアイテムボックスを開いて一覧を表示する。
するとそこには手を付けていなかったゴブリンの死体の状況が変わっていた。
新鮮なゴブリンの死体、傷みだしたゴブリンの死体、傷んだゴブリンの死体、腐ったゴブリンの死体、ゴブリンの骨という風に分かれていた。
「アイテムボックスって時間経過するんだ。」
「そうよ。あれ、知らなかったの?」
「ああ、てっきり時間が止まっていると思っていたんだ。」
「時間停止しているスキルはインベントリーのほうね。そちらは空間属性を手に入れないと取得できないわよ。」
「そうなんだ。空間属性の幻獣は覚えてないなぁ。まあいいけど、しかし腐ったゴブリンの死体なんか出したくないわぁ。」
「めっちゃくっちゃ臭いわよ。もし出すなら先に言ってよね、わたし離れるから。」
と言いつつ鼻をつまんで逃げるふりをする。
それを目で追いながらこれからのことを思案する。
ここに来て3ヶ月と少しが経過したが未だ終了の条件もわからず日々基本作業の繰り返し、唯一の改善できた点はオークの肉で食事が少し良くなったことかな。
今ならゴブリンリーダーとも戦えると思うがゴブリンアーチャーの狙撃にどう対応するかが問題だ。
ふと下をみると手ごろな大きさの石があったので試しにオーラ(気)を付与して投げてみる。
するとかなりの速度で木の枝にあたり枝が折れたのでゴブリンアーチャー対策として石を集めてアイテムボックスにほりこんでおく。
「ゴブリンアーチャーには投石でいくのね。うんうん、いいんじゃないかしら。」
ティピも賛成っぽいので、さらに石を集めてから村へと帰り、その日は終わったのだった。
次の日、朝からパンに焼いたオーク肉を挟んで容器に入れお弁当を作りアイテムボックスに入れて森へと出かけた。
森を奥のほうへと入っていきゴブリンを探すとマップに反応があった。
赤い点が4つあらわれたのでそちらへと慎重に進むと目視できるところに4匹のゴブリンが見えた。
もう少し近づいてみるとゴブリン2匹とゴブリンリーダー、ゴブリンアーチャーが1匹ずつだと認識できた。
先制攻撃を見舞うべく全身にオーラ(気)をまといゴブリンアーチャーに投石を行う。
すると石はゴブリンアーチャーの頭を粉砕した。
この結果にゴブリンと自分と両方が驚いて動きを止めてしまった。
「ミナトすぐに攻撃よ。」
とティピが言ってくれたのでハッとなって即座に攻撃に移る。
その奇襲によりあっけなくゴブリンとリーダーを倒すことができ拍子抜けした。
「最初はあんなに苦労したのに簡単だったな。」
「そうね、まあオークも倒せるようになってるからできるとは思っていたわ。」
「それならもっと早く言ってくれてもいいんじゃないか。」
「何回もミナトを死なせてるから少し慎重に行こうと思ってね。まあこの調子でどんどんいきましょう。」
それからゴブリン小隊を倒し続けたが時にはゴブリンアーチャーの狙撃を受けたりと苦戦することもあったがなんとか死ぬことなく1ヶ月が過ぎたころついにレベルが40にあがった。
「ついにレベルが40になったわね。これでやっと次の段階に進めるわ。」
「次の段階って何?」
「それは家に帰ってからのお楽しみよ。」
上機嫌なティピに続いて森から村へと移動する。
家に入って身体を拭いているとティピが空間から本みたいな物を取り出して持ってくる。
「さあミナトこれを使うのよ。」
「急に使えって言うけどこれはなんなんだ?」
「これは覚醒の書よ。」
「これが覚醒の書なんだ。ゲームの時には巻物っぽいイラストだったけど実際とはちょっと違うんだな。でもどうやって使えばいいんだ。」
「額に当てて使うって念じればいいのよ。」
言われるとおりにしてみると覚醒の書が光って消えた。
「これでミナトの職業がランクアップしたはずよ。確認してみて。」
ステータス画面を開くと職業が気工師見習いから気工師(初)になっていた。
ついでにステータスも上がったようだ。
「ほんとだ職業がランクアップして能力値も上がってる。」
「それだけでは終わらないわ。次はスキルを開くのよ」
スキルを開くと固有スキルの???のところが一つ光っている。
「???が一つ光ってるな。」
「それをスキルポイントを使って取得するのよ。」
スキルポイントを確認すると150000ポイント残っている。
???スキルを押すとスキルポイントを30000ポイント使用して取得しますかと出てきたのでOKを押して確定する。
するとスキルが解放されて気工師ガチャという名前になった。
「気工師ガチャってのになったんだが?」
「もしスキルポイントがまだあるならそのスキルのレベルを上げておいてね。」
「このままじゃ使えないのか?」
「レベルを上げたほうがいいのが出るのよ。低いとハズレで石ころとか出るのよ。いらないでしょ石ころ。」
「まあいらないな。」
スキル画面から気工師ガチャのレベルを上げるを押すとポイントが消費されレベルを6まで上げることができた。
残りポイントは15000になったが問題はないだろう。
「それでこのガチャはどうしたらできるんだ」
「そのスキルを使用するとミナトにしか見えないガチャポン機が現れるからそのハンドルの横の手形に手を重ねてオーラ(気)を注入するのよ。でも・・・・・・」
ガチャを早く回してみたくなって話の途中で「わかった」と言ってさっそくやってみると一気に全オーラ(気)を注入してしまい気を失ってしまった。
「・・・・・・調整してやらないと全部持っていかれるわよって言おうとしたのに。」
あきれながらティピはミナトに布団をかける。
「まあミナトが嬉しそうでよかったわ。これでようやく本来とは違う形だけどチュートリアルの終わりにむかえるわ。」