召喚者の一人は奴隷になっていた
24話
チュートリアルの世界から帰ってきてから10日が過ぎた。
この間にエルフィナさんに呼び出されてミノタウロスを焼かされ続けた。
何でもリーナさんを連れ出した分の間の書類の処理を全部させられたからということだ。
それなら俺にも責任があるんで喜んで焼きましょう。
そしてダニスとシズクさんが王都に馬車で戻って来た。
エルウンでずっと仕事をしていたのでしばらく休みがもらえるそうだ。
いいなぁと思ったがよく考えたら俺はずっと休みみたいなものだ。
さて今日は久しぶりに街に行ってみたが大変にぎわっていた。
何でも他国からの行商人が来ているようだ。
前みたいに面白いものがないか散策してみる。
今回は西のランドルフから来たと言っていた。
売ってる食べ物は珍しいものはなく、しかも高いときている。
宝石類が特産みたいでいろいろなものがあった。
この世界産にしては加工技術の高さが見受けられたが、異世界から召喚された者が関与しているそうだ。
元気にやっている子もいることに安堵する。
俺は運がいいと思っている。
最初にエルウッド王国に連れてこられたので、森に送られることもなく好きにさせてもらえている。
他の国ではどうなっているのか知るすべもないので、生きていてくれて良かったと思う。
宝石は出来が良かったので幾つか買っておいた。
さてもう少し見て回ろうか。
そう思って歩いているとひとだかりを見かけたので近寄ってみる。
「さあさあ、お集まりに皆さん。ご注目ください。本日の目玉商品はこちら。」
そう言って布が取られると檻に入った少女たちがいた。
みんなきわどい?着せられている布がぼろくてきわどくなっているだけだった。
この世界には奴隷がいるのは知っていたが売られてるのを見たのは初めてだった。
「この少女たちアヅチ帝国の訳あり少女たちなんです。お客様たちがこの娘たちを救ってくださらなければ大変な目にあってしまうかもしれません。是非ご購入くださいませ。」
そう思うならお前が救ってやれよって思うけど、商売でやってるんだから仕方ない。
奴隷を買う予定はないので行こうかと思ったが、出てきた少女を見て足を止める。
見覚えのあった女の子だったからだ。
お前に知り合いなんていないだろって言われるかもだが、召喚されてきたときに案内された部屋で俺の前にいた少女なんだ。
なんで召喚された子が奴隷にと思ったがとにかく同郷の子を見捨てていくのは忍びない。
「最初は・・・・・・。」
と言って販売が始まった。
それらを買っていく裕福そうな格好のおっさん。
「次はこの子たち、買うとこちらの稀少なダークエルフの女もついてくるというお得なセットです。こちらは金貨100枚からとなります。」
「100枚。」 「101枚」「105枚だ」とどんどん値がいわれている。
手持ちはさっき宝石を買ったので心もとないが勝負できるだけいくしかない。
「205枚」そう言った声に「ほかにおられませんか。」
「210枚」「220枚」「240だ」まだ上がっていく。
勝負をかけるか「300枚」というと「300枚入りました。他にはないですか。なければ・・・・・・。」
「310枚」競ってくるおっさんがいる。
「320枚」「330枚」「335枚」「360枚」・・・・・・。
手持ちが足りないかも不味いな。
向こうのおっさんはニヤッといやらしい笑みを浮かべている。
「400枚」「410枚」くそもうこれ以上は・・・・・・。
もう無理かと思った時「おや、そこにいるのはミナト君ではありませんか。」
と言われて振り返るとレオナルドさんがそこにいた。
「ちょうどよかった。ちょっとお金を貸してもらえませんか?」
「突然ですね。そうですね今度からレオちゃんって呼んでくれるならいいですよ。」
・・・・・・。まじで。あの時のあれは本気だったんだ。
「わかりました。レオちゃん。」
「はい。ではいくらでも貸しますよ。」
そう言われてすぐにもどる。
「500だ」「ほかにおられませんか」
「600」と言う「600きました。他にはありませんか?」
あのおっさんは悔しそうな顔をしながら「650枚だ」
「700枚」「700枚はいりました。他にはありませんか?」バイヤーが見渡す。
「無いようですので700枚で落札です。」
フウっと息を吐きだす。何とか購入できた。
「奴隷ですか・・・・・・。あまりいい趣味とは言えませんよ。」
「趣味じゃないんですが、ちょっと同郷の子がいたので。」
「ほう。それは興味深いですね。とりあえず大金貨70枚です。」
「ありがとうございます。手持ちが足りなくて困ってたんで。助かりました。」
「いいですよ。」
代金を持っていって少女達を受け取る。
「これが契約書だ。この首輪は奴隷の証だから外さないように。じゃあ兄ちゃんその首輪に触れてくれそうしたら所有者として登録されるから。因みに外したらこの子たちがどうなっても知らんぞ。」
とりあえず格好があんまりにもボロボロでチラチラ見えてしまうのでマントをそれぞれにかけていく。
3人ともうつむいてこちらを見ようともしないが今はこの場を離れるために連れていく。
レオナルドさんが馬車に乗せてくれ、ゼスト商会まで連れて行ってくれる。
馬車の中で首輪を外そうとしたらレオちゃんに止められた。
「それはやめておいたほうがいいです。奴隷を購入したら責任を持たないといけません。」
「どういうことですか。解放してあげるほうがいいと思うのですが。」
「同情で買ってしまう誰しもがそう思って、はずそうとすることがあるんですが。外してどうするんですか?」
「すいません。奴隷についてあまり知らなくて、どういうことなんですか?」
「奴隷になった(された)者が異国の地で放り出されたら、住むところも、食べるものも、着るものもなく、頼る者もいないのに生きていけますか?そんな人は運のいい僅かです。大抵は野垂死ぬか、襲われてひどい目に合うか、ほかの人の奴隷にされてしまうでしょう。」
そこで一息ついて話を続ける。
「首輪を外しても面倒みますよ。」
「首輪はある意味で保証なんです、例えば、あちらの彼女は非常に珍しいダークエルフです。彼女に首輪がなかったら彼女を欲しがる方はたくさんいるでしょう。しかし所有者のいる奴隷に手を出せば所有者が賠償請求をできます。仮に何かあってもお礼金目当てで助けるものも多い。だから首輪付きの奴隷は大事に扱われることが多いんです。所有者が腐っていて好き放題する場合は何とも言えませんが。」
話を聞いたら納得した。
「あと所有者は奴隷に対して衣食住を最低保証しなければなりません、ですから彼女たちにとっても首輪は大事なものです。生活が懸かってきますから。だからしっかり面倒見てあげてくださいね。」
「それはもちろんですよ。」
とか話してたら商会についた。
レオちゃんは女性スタッフを呼んで3人を身綺麗にするよう言って連れて行かせた。
そして俺とレオちゃんは客間に入る。
お茶が出てきたので飲みながら喋る。
「あの時レオちゃんが通ってくれて助かりました。」
「そんな堅苦しくなくていいよ。君にはもうけさせてもらってるからね。ギルドの口座には700以上入ってると思うけどね。」
「すいません。しばらく王都にいなくて確認してなかったんで。」
「それで全然見なかったんだね。すでにラーメン店は3店舗目も開いて連日大盛況さ。私の子飼いの冒険者たちにもっとボアを狩ってくるように指示してるぐらいさ。」
「そんなに売れていてよかったです。」
「まあそろそろ新商品も用意したいところだがね。」
そう言って何かだせよてきな目で見てくる。
「じゃあちょうどよかったです。ちょっとだけ試食してもらえますか?」
「何かあるとはさすがはミナト君。商会の調理場を提供しよう。」
案内されてそこで餃子を焼いていく。
食欲を刺激する匂いが充満して、扉の所には職員がたくさん。
レオちゃんに睨まれて散っていったがこんな匂いをさせてたら気になるよね。
出来上がりの熱々を食べてもらう。
ニンニクありとなしを用意してみた。
「これは旨いね。もちっとした皮と具の相性が最高だ。」
「これは餃子って言うんですけど、白いご飯とも合いますし、ラーメンともバッチリだと思います。酒好きにはたまらないんですよ。」
「確かに合いそうだ。ほかの職員にも味見させても?」
「どうぞ。」
そう言ってレオちゃんは皿を持って出ていった。
今のうちに餃子をもう少し焼いておく。
レオちゃんが戻ってきて、
「職員にも好評だね。これのレシピもくれるでいいのかな?」
「はい。商品にできるならしてほしいです。」
「ではちょっと職員たちに伝えてくるので、その間よければ着替え終わった奴隷と客間で話していてくれて構わない。」
そう言って出て行ってしまったので、客間に戻ると見違えた3人がいた。
しかし表情は暗いままだった。
鑑定してみると
ダークエルフがレイン、その横がチヨ、で牧村優花と出ている。
レベルは38、5、2と低いね。
特に優花さんは薬師で2なのでステータス的に最初の俺ほどではないが厳しいだろう。
とりあえず3人の前に餃子を出してやる。
「食べていいよ。」
そういったら優花が一口食べて
「これ餃子やん。」
って顔上げて俺を見た。
「あんさん、うちらと一緒にいたおじさんやん。」
久しぶりにおじさんと言われて少し傷つく。
というか彼女は関西の出身のようだ。
久しぶりに聞いた関西弁に懐かしさを覚える。
「やっとこっちを見てくれてよかったよ。ずっとうつむいてるから心配してたんだ。それとせめて兄さんにしてくれ。」
「すんまへん。もう家にも帰れへんし、飯は不味いし、売られてまうし、しかも奴隷を弄ぶ奴もようさんみてきたから人生詰んだ思うて。」
「アヅチ帝国はそんなに奴隷が多いの?」
「せやね。生活苦しくて身売りする奴は多いで。とりあえずこれ食べてもうてええ。」
「どうぞ。」
2人は優花の変わりようにぽかんとしている。
「2人も食べたほうがええで。めっちゃ美味いから。」
優花に言われて食べ始める。
「なんですかこれは。」
「美味しいです。」
みていて気持ちいい食べっぷりだ。
お茶をそっと出すと一気に飲み干した。
落ち着いたみたいなので
「改めましてミナトといいます。」
「ごちそうさまでした。私はユカいいます。でこっちがチヨ、ダークエルフがレインや。」
「よろしく。これから3人はどうする?」
「どうするも何もうちらミナトさんの奴隷やろ。兄さんやったら別に触ってもええで。その代わりしっかり面倒見てもらうけど。」
そんなことをユカが言うもんだから
「ご奉仕頑張ります。」
「えっともとめられるのであれば・・・・・・。」
チヨ、レインがそんなことを言い出した。
レインはもごもご何かいってるが聞き取れない。
「レインはええ身体してんのにもったいないわ。」
「別に何も要求しないから。気楽に考えていいよ。てかユカさんが変なこと言うから変な空気になったじゃないか。」
「別に変やあらへんやん。この世界の偉そうなおっさんはすぐに手を出そうとしよるからな。うちらかってここに連れてこられるまでいろいろされたし。あっでもみんな生娘やで。」
「だからそういうこと言わないで。」
詳しくは帰ってから決めよう。
さらにおかしな空気になりだしたところでドアがノックされてレオちゃんが入ってきた。
「話は終わったかな。ミナト君すぐに売り出すことに決まったから早速レクチャーしてくれ。」
「わかりました。そういうことでちょっとまってて。」
そう言ってレオちゃんについて行く。
「助かりました。」
「タイミングよくてよかったよ。」
そのまま調理場に行って待っていた料理人に皮づくりから教え込んだ。
タレはまだ素材が手に入らないので酢胡椒かラーメンのスープに付ける感じになる。
さて結局教えていたら夜になってしまい、3人を連れて帰ったらカティアとプリシアに問い詰められたのだった。
読んでくださってありがとうございます。




