屋台が流行りすぎました
19話
屋台を始めて2日目を迎えた。
今日はリーナさんが変装して手伝いに来てくれた。
お願いしてみてほんとによかったって思ったのは開店前から既に待っている人がいたからだ。
日本にも開店前から並ぶ猛者を見たことがあるがそれは異世界でも同じだった。
中にはテーブルと椅子を持ち込んでいる人も見受けられる。
テーブルとか持ち込んでいいのかはわからないがそこは商業ギルドで対応してもらおう。
「凄いですね。まだ開店してないのにこんなに人が。」
「ホントに助かりますよミーナさん。待ってる人がいるからって焦らなくていいですからね。」
心なしかウキウキしているように見えるリーナさんに注意しておく。
なんせ一気に注文を受けても麵をゆでる場所は限られているのだ。
一通り準備をしている間に3人には作業の確認をしてもらう。
他の屋台がちらほら集まりだしたので開店することにする。
看板を開店にすると早速注文が入ってくる。
「チャーシュー麵大盛りが2つ入ります。」
「了解。」
うちのチャーシューは厚さを1センチにしていて、ラーメンに3枚入っている。
それがオプションでチャーシュー麺にすると7枚になるお得商品だ。
さあどんどん出していかないと。
「チャーシュー麵大盛り2つ上がり。」
「ありがとう。お待たせしました。チャーシュー麵大盛2つです。熱いので気をつけてくださいね。」
初っ端はリーナさんだったみたいだ。
問題なさそうで安心する。
そこからはどんどん注文が入ってくる。
昨日よりも忙しい。
特にチャーシュー麵にする方が続出する。
交代したリーナさんが休憩に入る。
賄いは冷蔵庫の中にサンドイッチと果汁入りポーションを入れている。
「ミーナさん、まかない食べてね。」
「ありがとうございます。」
そう言って冷蔵庫を開けてセットを持っていく。
注文は続くのでどんどん捌く。
昨日は2人で休憩できなかったが3人だと休憩も入れられていいね。
俺、俺はレベルのせいか全然大丈夫。
最悪、疲れがたまってきたら、チュートリアルの世界へで一週間くらいゆっくりしたらいいしね。
2日目も何だかんだで日が暮れるまで続いた。
「今日もお疲れ様でした。3人ともありがとう。」
「「「お疲れ様でした。今日もすごい売り上げでしたよ。」」」
ラーメン332 セット288 チャーシュー266 大盛り122
売り上げが日本円にして 841600円
2日で100を超えるのは予想外だが噂はどんどん広がっていくだろう。
3日目で売り上げが100になってそれから1週間どんどん忙しくなってきてもうリーナさん抜きでは絶対無理になりつつあった。
明日は休日にしたので俺は転移でチュートリアルの世界へいって、スープ、チャーシューを追加で作っていた。
補充も終わり帰ってくるとお風呂に連れていかれた。
そんなに臭うのだろうか?鼻がマヒしているのかも。
休みなので朝から城を出て商店街に向かうがプリシアがついてきた。
休みなのだから自由にしていいと言ったのだが。
当然メイド服ではなく普通のブラウスとスカートだ。
今日は下着とか服を買い足そうと思っていた。
お店に入って適当に見繕っていく。
「そういえばプリシアは服とかは足りてるのか?」
「だ、大丈夫ですわ。」
「それならいいんだけど。」
お会計を済ませて次は食材を見に行く。
何か新しいものはないかなって見ていくが特にはない。
そして鍛冶店を回っていくと綺麗に磨かれた包丁が置いてあるのが目に入った。
「すいません。」
店に入って声をかけるが返事はない。
こんな時間から留守なのかな?
そう思って店を出ようとしたら奥から
「なんか用かいにいちゃん。」
と声が聞こえ、ドワーフにしてはでかい仏頂面したひげのおっさんが出てきた。
「表の棚に飾ってあった包丁が素晴らしかったので商品を見せてもらおうと思いまして。」
「おっ、にいちゃんはあれの良さがわかるのかい。」
おっさんの顔がにこやかになる。
「ええ、この辺で見た中で一番ですね。刃もむらなく研ぎ上がっていて一本は欲しい品ですね。」
「わかってくれるやつがいて嬉しいね。俺はこの通りハーフだからな、なかなか評価されないんだ。まあ品物を見てもわからねえようなやつにゃ売る気もないがな。にいちゃんなら売ってやってもいい。」
でかいと思ったがやっぱりハーフだったんだ。
「いやいや、この刃を見てわからないようなら扱わないほうがいい。宝の持ち腐れですよ。ところで注文したらいろいろ作ってもらうことはできますか?」
「ああ構わねえよ。よっぽど無茶を言われなきゃ作れるぜ。まあ前に来た阿保は鉄でミスリル並みの切れ味の物を作れとかわけわかんねえこと言ってやがったが。」
「それは無理でしょう。といってもまだミスリル製の物を見たことないんですけど。」
「ミスリル自体出回ってないからな。良かったら見せてやろうか。うちにも1本だけあるぜ。」
「そうなんですか。それはぜひ見てみたいですねえ。」
そう言ったら奥から立派な装飾の剣を持って出てきた。
「こいつは俺の師匠が昔の勇者様に頼まれて打った剣なんだ。」
「すごいですねえ。ちょっと抜かせてもらってもいいですか。」
「いいぜ。試し切りなら奥だ。」
軽く振ってみるが鉄より段違いに軽い。
試し切りさせてもらったけど、力を入れてないのに木が大根でも斬るくらいにスパッときれた。
これはいい、いつかミスリルを手に入れたい。
「ミスリルってこの辺では手に入らないんですかね?」
「うーん難しいんじゃねえか。エルウッド王国にミスリル鉱山がないからなぁ。」
「それは残念です。ありがとうございました。」
そう言って剣を返す。
「それで本題の包丁なんですけど」といって、万能包丁とペティナイフ、そしてパン切をお願いした。
「急ぎでねえなら1週間くらいでいいか?」
注文して店を後にする。
「プリシアどこか行きたいところはないのか。」
「特にありませんわ。だってどこも初めてですし。今日で商店街は把握できましたけど。」
そうかこっちに来てまだ案内してなかったな。
ラーメンを売ることしか考えてなかった。
「ごめんな。気が付かなくて。」
「気にしなくていいですわ。私も今は気持ちにあまり余裕はないので。」
この時のプリシアの言葉をもっと気にかけておくべきだったと後で思うことになった。
それから屋台は毎週1日は休んで、営業を続けた。
休みの日は必ずプリシアがついてきた。
リーナさんは毎日は無理なので、代わりにサラさんが手伝いに来てくれた。
ちなみに日当は1人、大銀貨2枚渡している。
そうして1ヶ月経った頃、それは起こった。
営業中にガチャンと音がして女性の悲鳴が上がった。
こっちは調理中だったので見てなかったけど、カティアが
「ミナトさん、プリシアが倒れました。」
そう言われてすぐにそっちへ行く。
すぐにプリシアを屋台のほうに運び込む。
そして状況を確認するが、幸いラーメンの汁がかかった人はいなかった。
待っていたお客様にはお詫びしてすぐに作り直す旨を伝える。
プリシアの世話をリーナさんにお願いしてカティアが頑張ってくれる。
このハプニングで遅くなってしまったお客様にはチャーシューを1枚サービスして対応した。
営業がなんとか無事に終わって、先にプリシアを背負って帰り俺の部屋のベットに寝かし頭に濡れタオルを置いてから屋台を取りに戻る。
カティア、リーナさんが待っていてくれた。
「「片付けと清算終わりました。」」
「ありがとう。それと今日はごめん。俺の管理が悪かったからみんなに迷惑をかけてしまって。」
「いえいえ、ミナトさんは悪くありませんわ。」
「そうです。ミナト様はよくやっていると思います。」
「いやプリシアの体調にもっと気を配るべきだったんだ。だからミーナもカティアも調子が悪かったらすぐに言ってほしい。」
そう言って反省しながら帰ったが、2人はずっと慰めてくれた。
明日は営業を休むことにした。
帰ってカティアにプリシアを着替えさせてもらって看病する。
夜中に目を覚ましたプリシアはすぐに起き上がってこちらに向いて
「ごめんなさい。ごめんなさい。倒れてごめんなさい。お願いだから捨てないでください。もっと頑張りますから。今度はしっぱいしませんから。だから・・・・・・。」
ってまくし立ててきた。
「とりあえず落ち着いて。別に捨てたりしないから。」
そう言ったら少し落ち着いたのかわからないが
「どうしたらいいですか。」
「どうしたらって?」
何が言いたいのかよくわからない。
「どうしたら償えますか。脱いだらいいんでしょうか。」
そう言って服に手をかけようとする。
「いやいやそんなことしなくていいから。」
慌てて手を押さえる。
「じゃあどうしたら・・・・・・。」
そういって泣き出した。
「いや別にプリシアは悪くないだろ。むしろ謝らないといけないのは俺のほうだ。ごめんな。」
「なんでみなどざんがあやまるんでずが。悪いのは・・・・・・。なのに。」
「雇用主としてプリシアの体調管理ができてなかった。だからごめん。でもどうしてそんなに無理してたんだ。」
そう言ったらまた泣き出した。
「ごめんなさい。ごめんなさい。・・・・・・。」
「いやいや本当に怒ってないから泣かないで。ただ理由を知りたいんだ。」
しばらく泣き続けてから話してくれた。
「私はアーカード王国のエルウッド王国に与えた損害の責任を取るためにきました。」
うなづくそれはまあエルフィナさんから聞いてることだ。でも焦らせてはいけない。
「・・・・・・。それは奴隷身分にされても文句は言えません。それでアーカード王国の民が苦しまずに済むのなら王族として耐えて見せます。アーカード王国は小さい国ですので、エルウッド王国に攻め込まれたら一瞬で滅びてしまうでしょう。だから貴族の妾にでもなれたら運がいいと考えてました。」
相槌を打ちながら、リーナさんといいプリシアといい立派な王族だと思った。
どっかの私利私欲にまみれた貴族とは違うし、そんな奴の妾なんて最悪だろ。
そして改めてエルウッド王国のすごさを知った。
「でもこの国にきて奴隷ではなく、リーナ様の婚約者であるミナト様の側室に、成れるかもしれない機会を頂けました。だからこの機会をものにしないとっと。別に愛されなくても傍にさえおいてもらえればアーカード王国は無事に済むと・・・・・・。」
エルフィナさんめ、ホントに重たいよ。
リーナさんのこともはっきりできてなくて、そのために地盤固めに頑張ってるのに、増えたよ。
「こんなことを言ってしまったらもう無理かもしれませんが、私に、関心を、好意を、ミナト様に持ってほしかったんです。私は間違っていたんでしょうか?」
そう言ってうつむいてしまった。
自分の馬鹿さに腹が立つ。
ここまで言わせてしまったらもう全て何とかする覚悟を決めよう。
ここで放り出すのは簡単だけど、リーナさんにも悲しい思いをさせるかもだけど、すぐには無理だけどやってやるさ。
そっとプリシアを抱き寄せる
「ごめんな。俺さ、リーナさんとの婚約が言われたばっかりだったから、そのことを先にはっきりさせようと精一杯でプリシアの状況まで考えてる余裕がなかったんだ。カティアのこともあるし。だけど何とかするから。プリシアのことも何とかして見せるから捨てたりしないから。だから時間が欲しい。」
そう言ったら泣いてしまった。
しばらく撫でて落ち着いたころ、
「ありがとうございます。わたしミナト様を待ちますから、信じますから、だから約束破ったら嫌ですよ。」
「信じてくれていいよ。だからさ明日からはもっと気楽に過ごしなよ。お風呂とかもカティアに付き合ってこなくていいから。」
「はい。でもお風呂の世話はやめませんよ。最初は付き合いでしたが、嫌な人のお風呂の世話なんてしませよ。」
「そっか。明日は休みにしたからゆっくり休んで。」
そう言ってベットに寝かせるとすぐに寝息が聞こえてきた。
『ミナトも段々責任が増えるわね。』
『マスターは優しいです。』
「本当にどうしたらいいんだか。」
『いいじゃない。頼りにされてるんだから。このティピちゃんもフォローしてあげるんだから。』
『ライカもです。』
「ありがとう。頑張るよ。」
さてどうなることやら・・・・・・。
本日は少し短いのをもう一話投稿します




