領地の開発1
121話
年が明けて寒さも和らいできたのでアイアンウッドへと戻ってきた。
リーナたちはまだ王都での仕事もあるから、王都とアイアンウッドを行ったり来たりするみたいだけど半分くらいはアイアンウッドにいてくれるようだ。
おかげでこれまで俺がいない間にたまった書類は屋敷にいるときに処理していたけど、留守中の分はリーナが処理してくれることになったのは本当に助かる。
帰ってきたら出迎えてくれたシェリルさんに王都でのことを報告した。
そうしたらすぐにでもアイアンウッドにカフェを作ろうという話になったので、屋敷のメイド数人をカティアが教育してくれることになった。
カティア、プリシアには王都で色々と仕込んだのでしっかりと教育をしてくれるだろう。
俺は、レイン、ミレイヌ、アイリス、アリア、警備隊を連れて開墾を行っていく。
領地の拡大は急務なので全員の気合が半端ない。
「ほらそこ手が止まっているぞ。」とアリアの怒声が響くが文句は出ない。
厳しい代わりに給金も相場よりも高い設定にしているし、昼飯も豪華にしてある。
その為普段の訓練以上に頑張っている気がする。
空輸隊はアイリス隊を除いて王都からの依頼分のオーク肉を各地に運んでいる。
そんなこんなで2カ月が経過してアイアンウッドの領地が広がり、嬉しいことに人口も1万人を突破したみたいだ。
更に王都で勧誘した職人たちも到着したので、職人ギルドを作って職人を育ててほしいとお願いしたら快く引き受けてくれた。
まあ彼らは技術はあるんだけど、若いということで王都では仕事がなくて燻っていたからやる気に満ちている。
開墾の方は新しく来た領民を雇用して行うことにして、その指揮はアリアが担当してくれる。
開墾作業はきついけど給金が高めに設定してあるので沢山の領民が応じてくれた。
おかげで手の空いた俺はプリシア、レイン、ミレイヌ、アイリスとのんびりとお茶を飲んでいたりする。
「やっと屋敷でのんびりできる。」
「ミナト様は働きすぎではないでしょうか。」とレインが言ってくる。
「そんなことはないと思うけど。」
「ミナトさんが休みを取ってくれませんとみんなが休みにくくなりますわよ。」とプリシアに注意されてしまった。
「はい。気を付けて休みをしっかりととります。」
「そうだよ。もっとしっかり休んで私たちと過ごそうよ。」とミレイヌに誘われる。
それは大事な時間だからしっかりと確保しないと。
「今日はもう休みなのですよね。じゃあ今から5人で出かけませんか。」とアイリスが提案してくる。
「それもいいね。領を見て回ることもできるし。」
「仕事じゃないんですよミナトさん。」
「わかってるよ。でもずっと領地の開発してるからどうなってるかも知りたいんだよ。」
「わかってるならいいんですけど。」
お茶を飲み終わったので、軽い昼食を用意して5人で出かけようとしたら、来客があった。
タイミングの悪いのはだれかと思ったら、ローラの父であるライアーノ侯爵だった。
後ろには2人、見たことのない顔がある。
「ミナト殿急に訪ねて悪かったな。鉱山を開発する前に紹介しておこうと思って連れてきた。ライアー伯爵とミリアーノ子爵だ。」
ライアーノ侯爵が紹介すると普通のエルフっぽい2人が
「よろしくお願いします。アイアンウッド大公殿。」とあいさつしてきた。
「よろしく。」と握手をしておく。
そうしたらプリシアがお茶を持って来てくれた。
「失礼します。こちらアイアンウッド名物のプリンとお茶になります。」といってプリンを配ってくれる。
「おおかたじけない。プリンは噂には聞いていたのだが食したことがなかった。」
そう言って3人は喜んでプリンを食べ始めた。
本当に紹介するためだけに来たんだろうかと思っていたら、プリンを食べ終わったライアーノ侯爵が「いやあ大変美味でした。」と笑顔で言ってきた。
ライアー伯爵とミリアーノ子爵はまだプリンを味わっているようだ。
「それで本日の用件は顔合わせだけですか。」と尋ねると
「そうでした。鉱山の開発の件で打ち合わせをお願いしようと思いましてな。」
「それでしたら担当の者を呼びますね。」と言ってシェリルさんを呼んでもらう。
少ししてシェリルさんが入ってきたので「こちらはシェリルと言って私の補佐をしてくれています。鉱山の件も彼女が担当してくれますから。私は少し用事がありますので」と言ってシェリルさんに任せて逃げることにした。
せっかく奥さんたちと出かける予定の日に鉱山の話なんかしたくない。
シェリルさんも目でお任せをって言ってくれたから助かった。
ということでプリシアたちを呼んで屋敷を出る。
「ミナトさん。よかったんですか。」
「大丈夫だろう。シェリルさんがうまくやってくれるさ。それに今日は休みだからね。」
「じゃあミナト様腕を組んでいいでしょうか。」と言ってレインが腕を絡めてくる。
「レインそれはずるいわ。」と言ってミレイヌ反対の腕をとる。
俺は誰と組んでも幸せなんだけど腕は2本しかないからローテーションしながら歩くことに。
領内を歩いていくと領民たちが注目してくる。
「領主様だ。」「仲がいいわね。」「羨ましい。」「爆発してしまえ。」
最後は不穏な声があった気がするけど気にしたら負けだ。
4人も連れてイチャイチャしながら歩いていたら目立って仕方ないね。
領内は活気にあふれていて、前に比べると商店も増えている。
ラーメン店も開店していて列ができているし、もうすぐ開店するプリンを食べられるミルキー2号店も注目されていた。
お昼を広場でとってのんびりと散策することができた。
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