王都で過ごす冬5
111話
孤児院での試食も終わって次のイベントの準備をしていると、リリスとリリイ、アンジェが手伝いを申しでてくれたから感謝して、手伝ってもらうことにした。
メリッサさんに関してはソースのレシピを一つ渡すということで、手伝いに参加することが決定している。
イベントまでリリスとリリイ、アンジェの特訓も行いながら日々は過ぎていく。
一応せっかくの冬休みなのにこんなことしていていいのか聞いてみたら、休みは結構長いからいいらしい。
イベントまでにある程度形になったからいざというときは、リリイとアンジェにはソースも手伝ってもらえそう。
残念ながらリリスはソースは壊滅的な出来だったから、配膳で頑張ってもらうことになった。
屋敷のセシリアとプリムも助っ人に来てくれることになったから、休憩も取らせてあげられるだろう。
そして、イベントの日を迎えたのだが、ムサシさんとメリッサさんの活躍はすごかった。
何せ茹でる自分が追い付かないほどの勢いで麵がやってくるのだから。
これにはイリアさんも目が点になっていたほどだった。
会場は今回も多くの来場者で溢れている。
人員を増やしたのと、やり方を変えたおかげで大きな混乱もなく、多くの人がパスタに舌鼓をうっているようだ。
中にはイリアさんのところへと交渉に来ている商人も見受けられる。
しかし順調すぎるのも問題があるようだ。
「ミナト様。ソースの材料がなくなってしまいました。」
とカティアがやってきたと思ったら、プリシアもなくなってしまったようだ。
仕方ないから本日は2種類のソースのみで対応することに。
一日目が終わってから、レオちゃん、イリヤさんに材料を増やすことは可能か聞いてみたけど、予定している分でぎりぎりのようだ。
こうなったらカップに入れるソースの量を減らして対応するしかない。
ということでソースを掬っているレードルを少し小さいものに交換しておいた。
2日目はソースも何とか最後まで耐えることができたようだ。
減らしたとしても大きな問題はなかったようでよかった。
強いて言うならうちのメイドにちょっかいをかけるやつがいたことかな。
首輪を見て諦めたみたいだけど、こうなるとリリスとリリイ、アンジェも心配になってくる。
どうしようかと考えていたら、ダニスとレイチェルさんが近くにいたので協力をお願いしたら引き受けてくれた。
どうやら第三騎士団は休暇で王都に戻ってきたようだ。
レイチェルさんからアイリスとルカの様子を聞かれたけど、元気にやっていることを伝えたら感謝された。
3日目は滞りなく終わることができた。
騎士団が数人いるだけで威勢のいい奴らも、おとなしくなるとは。
まあそれだけ騎士団の強さがよく知られているというわけだ。
さあついに迎えた最終日。
会場の入り口には3日間で並んでいたより多くの方が並んでいた。
よく見たら一般人に混じって変装した貴族が並んでいるのが分かった。
貴族も食に飢えているのだろう。
問題が起きないようにイリアさんとレイチェルさんに伝えておくとしよう。
時間になって入り口が開いたら一斉に来場者が入ってくる。
こちらもパスタを茹でては渡してと作業が忙しくなってきた。
ソースづくりの方もペースが上がってきているから、早めの休憩を与えないと倒れてしまうかもしれない。
アンジェとリリイを呼んでソースづくりの方を手伝ってもらう。
パスタを配る方は少しペースを落とす必要があるけど、こうなっては仕方ないだろう。
そうしたらレンちゃんとアンさんが手伝いに来てくれたから配る方に回ってもらった。
おかげで大きな混乱も起こることなく進んでいく。
日が暮れる前にソースとパスタがなくなったのでイベントは終了となった。
手伝ってくれたみんなには4日分の給金として金貨を一枚ずつ渡しておいた。
アンさんにはレンちゃんと2人分で小金貨を一枚渡したら、一日だけで多すぎると恐縮していたのだけど受け取ってもらった。
ダニスは臨時収入に喜んでいた。
片づけをして撤収するんだけど、イリアさんの所には多くの人がおしかけていた。
後で聞いたら貴族と商人たちからお金を出すからをするから、やってない2か所でもやってほしいと言われていたそうです。
帰ってみんなで打ち上げをしていったんイベントは終わりを迎えることができたのだった。
翌日はリーナ、カティアとプリシア、アンジェ、ローラさんと王都でデートをする予定で、出てきたのだけど何故かリリイが一緒についてきた。
別に問題はないのだけどリリイはいいのだろうか。
順番に腕を組みながらいろいろなところを歩いていく。
今日は北西の方に行ってみたけど、屋台がたくさん出ているところをみつけた。
売っているのは串焼きとかが多かったけど、種類が増えている。
以前は王都でも角うさぎかボアぐらいしか見かけなかったけど、今はオーク肉やドリルホーク、ビッグラビット、コッコというように色々ある。
これも空輸隊のおかげだろう。
購入して食べてみたけど独自の味付けで美味しいのもあった。
リーナ達もこの変化にはとても喜んでくれている。
デートの最後はリリイが腕を組んできて、リーナがそれを見て微笑んでいた。
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