表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様は失踪しました  作者: 橘 どうも
1/2

第0話 プロローグ 魔王軍は敗北しました

「魔王様がやられたぞー!!!」

 轟音が鳴り響いた後に、魔王軍の配下が声を荒らげる。

「王女様!この城はもう持ちません!ここは我々が食い止めますのでどうかお逃げください!!」

 それを聞いた者が王女である私を逃がそうとする。

 自分を盾にしてまで私を守るとは……なんと勇敢で優秀な配下達だ。

「ありがとう私の配下達よ。しかし、私も魔王軍の一員であり魔王の娘だ。父上の仇の為にも、ここで引き下がるわけにはいかない!主人公補正チートだかなんだか知らないが、そんなもんただのまぐれチートに決まっている!それにあいつは今父上を倒したばかりで力を使い果たしている!だから日和るな!」

「王女様……!」

 そう、最期まで魔王の娘としての威厳を守りながら……。

 私は詠唱を唱えながら、父上と戦っていた長い通路の先の場所へと狙いを定め、渾身の貫通闇属性魔法を撃ち込んだ。

 私の素晴らしい一撃を見た配下達は興奮したように。

「遠距離からの不意打ち!しかも圧倒的速度に気付く間もなく即死!流石です王女様!」

「ふふっ、たかが仲間一人やられたからって、バカみたいに突撃して来やがって!敵は父上だけだと思ったか!」

 皆で勝利を確信し、次期魔王としての威厳を保ち、尊敬の眼差しを浴びているその時だった。

 撃ち込んだ先から、私が放った魔法より上回る速度で光を放つ”何か”がこちらへと飛んできた――!

「グフッ……」

「な、なんだと……?」

 私がそれを捉えた時にはもうすでに、配下の腹に神々しい(つるぎ)が突き刺さっていた。

「王女様……ッこれはまずいです……。はやく……にげ……て……」

 膝から崩れ落ちながら激しく吐血し、突き刺さった配下はそのまま息絶えた。

「う、嘘だ……こんなことあっていいはずが……」

 目の前で起こる惨劇に呆然と立ち尽くしていると、その神々しい剣は自律して動き出し、飛んできた方へと戻っていく……。

 戻っていく方向を見ると、その剣の持ち主であろう勇者、いや主人公補正の掛かった勇者がこちらへと堂々とした態度で歩み寄ってくる。

「ちょ、調子に乗りやがって!!」

 仲間を殺された怒りからか、配下達が魔法を放つもいとも簡単に剣がそれらすべてを捌ききっていく……。

 覚醒したように、次々と配下、さらには幹部たちまでも我々魔王軍を圧倒していく。

「何故だ……どうして……。我ら魔王軍の方が数も力も優勢だったはず!しかも我々も恐れる絶大な力を持った父上まで……。それにあんな剣、攻めてきたときはなかったぞ……。というか主人公補正チートってなんなんだよ……。」

 なんでもありチートを目の前にし、負けを確信していると……。

「王女様!不躾な判断、お許しください!どうかご無事で!テレポート!」

 死を悟った配下の一人が私をどこかへと転移させた――。




 7月末の日光が降り注ぐある夏の日。

「湊!湊!いつまで寝てるの!早く起きないと高校遅刻するよ!!今日テストあるんでしょ!?」

「んー」

 毎度聞きなれた母の声によって起こされ、機嫌悪く眠い目をこすりながら時間を見ると……。

「やべっ!」

 徹夜していたはずがいつの間にか寝落ちしていることに気付き、布団から飛び上がって仕度を始める。

「早くしなさーい!」

「わかってるって!!」

 いそいそと着替えながら声をかけてくる母に少し反抗期交じりの声をあげる。

 準備も終わり、ドタバタと朝っぱらから足音を響かせ、階段を駆け下りると。

「あんた今日テストなんじゃないの!?どうせ遅くまで起きてたんでしょ!?いい加減早く寝てくれないかしらね~」

 そう呆れながら言う母だが、これももう聞き慣れた。

「いやぁ今回は早めに寝たつもりなんだけどなぁ……」

 なんてその場しのぎの嘘をつきながら、用意された朝食を3分足らずで放り込んだ。

「あと5分くらいで電車出るんじゃないの?」

「わかってるって!んじゃいってきます!」

 そう急かしてくる母を尻目に家を飛び出し、最寄りの駅まで全力で走った。

 そんな変わり映えのない、いつも通りのルーティーンを今日も過ごしているわけだが、駅構内につくとなにやら変わった空気が流れていた。

「はぁはぁ、流石に一夜漬けからの全力疾走はまずかったかな。目眩が酷いし、しかもこの暑さ……もう帰りてぇ」

 次からは1週間前から勉強しようと、3歩もあるけば忘れる決意を抱き、改札を抜け、ホームへと続く階段を駆け上る。

「……え?」

 ホームへ着くといつもは通勤ラッシュで大勢の人が蔓延っているはずのホームだが、そこには誰一人もいなかった。

「ど、どうなってるんだ?」

 呆然と立ち尽くし電光掲示板を見ると、怪しげに光りながら文字化けを起こしていた。

 呼吸を整え再度見渡すと、いつもと違う雰囲気も目眩などではなく、明らかにおかしいことがわかった。

 さらには外を見ても白いモヤがかかっており、線路の先も何も見えず、次第に包まれていることに気付いた。

「なっなんなんだ!?」

 わけのわからない突然の世界観にキョロキョロしていると、突如俺の足元にゲームやアニメで見覚えのある魔方陣が広がった。

「は!?何々どういうこと!?」

 広がった魔方陣は俺を包むように光を放っていったかと思うと、視界が暗転し俺はそのまま気を失った――。

初めまして!ど素人ライターの橘どうもです!今回は【魔王様は失踪しました】 第0話プロローグを読んでいただきありがとうございます!まだまだ慣れませんが、勉強しながらこの作品を進めていこうと思っています!

また学業があり投稿頻度は遅くなってしまいますが、空いた時間で書いていきますのでどうか応援よろしくお願いします! またTwitterもやっていますので是非!!!それではまた次回で!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ