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603話 成長、そして焦り

「ん? なんだ、おま――……」


「て、敵襲……ッ!?」


「……」



 騒ぎ始めた見張りの喉を握り潰し、すぐに転がる死体を『収納』していく。


 ようやく探し出した、目的の人物がいる場所だ。


 ひっそりと存在していた洞窟内部に足を踏み入れると、外の異常を察して慌てたように武器を握り始めた者達が迎えてくれる。



「てめぇ、俺達が"黒鉄の刃"だって分かってんのか?」


「もちろんです」



 ほんと、毎度毎度似たようなセリフを吐く連中だな……


 どこかに逃げ道がないか、【探査】や【気配察知】で人の動きを探りながら見回すと、刀を持つ者が10人程度はいる中で一人、それらしい人物を発見する。



「ん~あなたが最も強いと噂されている刀の使い手、紅衣のヌーグさんですか」


「……不気味なガキだ。見覚えのねぇ面だが、まさか腕試しにでも来たつもりか?」


「まあ、強い方が嬉しいとは思っていましたけど……でもやっぱりそんなもんですよね」


「あ?」



 男の【刀術】スキルはレベル7。


 確かに今までの中では一番高いが、だからと言ってこの程度では特別何かを思うこともない。


 刀の峰を肩に乗せ、集団の後ろで余裕ぶるその男のさらに背後へ転移し、後頭部から剣を突き刺す。



『【刀術】Lv6を取得しました』



 お仲間達からしたら、頼りにしている男の口が豪快に割れ、その中から剣がいきなり飛び出ているだのだ。


 理解が追いついていないのだろうが、そのまま固まっていてくれれば好都合。


 片っ端から20人近くはいる男達の首を刎ねていると、一人が慌てて部屋の入り口へ逃げていく。



 ――【闇魔法】――『黒鎖』



「ほがっ!?」



 そんな男を縛り上げ、粗方始末したあとに近づくと、これまた何度も聞いてきたお決まりの命乞いが始まる。



「ま、待て! 金を隠している場所はここだけじゃない! 俺を生かせばその場所を教えてやるから殺すな!」


「へ~何か所ですか?」


「え?」


「隠しているあなた達の拠点は他に何か所あるんですかと聞いているんです」


「こ、ここ以外に6か所だ! あんた傭兵なんだろう? 俺を見逃してくれたら全部教えてやる! 絶対にあんたが受け取る報酬以上の金にはなるはずだ」


「じゃあ、あなたはもう用済みですね。その6か所に保管されていた金や強奪品の類いは全て回収していますし、攫われた人達も既に解放していますから」


「え? まさかそこにいた連中も全員――……」



 徒党を組んで近隣の小さな町や村を襲って回る連中なんて、生かしておく理由を探す方が難しい。


 いちいち答える気にもなれず、黙って顔に剣を突き刺したあとは他に隠れ潜む者がいないか。


 死体や洞窟に置かれていたモノを全て回収しながら見て回り、他に誰もいないと確信してから大きく息を吐く。



「さて、これでどこまで上げられるか……」



『【急速再生】Lv7を取得しました』


『【月喰】Lv6を取得しました』


『【嗅覚上昇】Lv6を取得しました』


『【神託】Lv3を取得しました』


『【神託】Lv4を取得しました』


『【膨張】Lv2を取得しました』


『【膨張】Lv3を取得しました』



 そして次にどのスキルを上げるべきか。


 思案しながらステータス画面を流し見る。





 名前:ロキ(間宮 悠人) <営業マン>


 レベル:74  スキルポイント残:127


 魔力量:25316/32674 (964+25422) 暗霧(+6288)


 筋力:   9655 (515+8346)   ゲイルドレイク(+794)

 知力:   6718 (516+5413)   グリムリーパー(+789)

 防御力:  7755 (509+6483)   グリムリーパー(+763)

 魔法防御力:7000 (509+5686)   ガルグイユ(+805)

 敏捷:   6476 (509+4315)   ズケイラ(+882) グリムリーパー(+770)

 技術:   10819 (508+10311)

 幸運:   8029 (509+7520)  



 加護:無し


 称号:《王蟻を討てし者》《暗霧を討てし者》


 【転換】余剰経験値:『221』



 取得スキル


 ◆戦闘・戦術系統スキル

【剣術】Lv10 【短剣術】Lv9 【棒術】Lv8 【体術】Lv10 【杖術】Lv9     

【盾術】Lv9 【弓術】Lv9 【斧術】Lv9 【槍術】Lv9 【槌術】Lv8 【刀術】Lv6

【鎌術】Lv8 【暗器術】Lv7 【暗殺術】Lv8 【二刀流】Lv8 【投擲術】Lv9

【狂乱】Lv8 【威圧】Lv10 【捨て身】Lv9 【挑発】Lv9 【両手武器】Lv9

【射程増加】Lv9 【指揮】Lv9 【騎乗戦闘】Lv9 【身体強化】Lv10

【鼓舞】Lv9 【手加減】Lv10 【闘気術】Lv7 【狂気乱舞】Lv7



 ◆魔法系統スキル

【火魔法】Lv9 【雷魔法】Lv9 【水魔法】Lv9 【土魔法】Lv9 【風魔法】Lv9 

【氷魔法】Lv9 【光魔法】Lv8 【闇魔法】Lv8 【無属性魔法】Lv8 

【回復魔法】Lv9 【結界魔法】Lv7 【空間魔法】Lv7 【時魔法】Lv7 

【神聖魔法】Lv7 【呪術魔法】Lv7 【精霊魔法】Lv7 【魔力操作】Lv9 

【魔力感知】Lv10 【発動待機】Lv8 【多重発動】Lv6 【省略詠唱】Lv9 

【魔法射程増加】Lv9 【魔力纏術】Lv7 【土操術】Lv7



 ◆ジョブ系統スキル

【建築】Lv9 【採掘】Lv10 【伐採】Lv10 【狩猟】Lv10 【解体】Lv10

【料理】Lv10 【農耕】Lv10 【釣り】Lv9 【裁縫】Lv8 【鍛冶】Lv7

【芸術】Lv7 【描画】Lv7 【細工】Lv7 【加工】Lv8 【畜産】Lv10 

【採取】Lv9 【話術】Lv8 【家事】Lv10 【交渉】Lv8 【演奏】Lv7 

【薬学】Lv7 【作法】Lv8 【舞踊】Lv7 【歌唱】Lv8 【彫刻】Lv6 

【錬金】Lv6 【酒造】Lv8 【庭師】Lv8 【漁猟】Lv6 【造船】Lv2

【医学】Lv7 【装飾作成】Lv5 【魔法学】Lv5 【魔道具作成】Lv4



 ◆生活系統スキル

【跳躍】Lv9 【空脚】Lv7 【飛行】Lv9 

【異言語理解】Lv10 【獣語理解】Lv8 【調教】Lv8

【算術】Lv9 【暗記】Lv9 【魔力譲渡】Lv7

【聞き耳】Lv9 【読唇】Lv4 【拡声】Lv9 【遠話】Lv5

【隠蔽】Lv10 【気配察知】Lv10 【鑑定】Lv9 【心眼】Lv9

【探査】Lv9 【広域探査】Lv7 【騎乗】Lv9 【泳法】Lv9

【逃走】Lv9 【忍び足】Lv9 【俊足】Lv9 【縮地】Lv6

【罠生成】Lv8 【罠解除】Lv7 【罠探知】Lv8 【魅了】Lv5

【視野拡大】Lv10 【遠視】Lv10 【夜目】Lv10 【視界共有】Lv5

【付与】Lv6 【写本】Lv7 【自動書記】Lv7



 ◆純パッシブ系統スキル

【魔力自動回復量増加】Lv9 【魔力最大量増加】Lv9

【物理攻撃耐性】Lv10 【魔法攻撃耐性】Lv8 【鋼の心】Lv10

【剛力】Lv10 【明晰】Lv9 【金剛】Lv10 【封魔】Lv9 【疾風】Lv9

【絶技】Lv9 【豪運】Lv8

【毒耐性】Lv9 【麻痺耐性】Lv7 【睡眠耐性】Lv7 【魅了耐性】Lv7

【石化耐性】Lv7 【呪い耐性】Lv7

【火属性耐性】Lv9 【土属性耐性】Lv8 【風属性耐性】Lv8 【水属性耐性】Lv9

【闇属性耐性】Lv7 【雷属性耐性】Lv7 【氷属性耐性】Lv8 【光属性耐性】Lv6



 ◆その他/特殊(使用可)

【神通】Lv6 【地図作成】Lv7 【魂装】Lv7 【神託】Lv4 【奴隷術】Lv8

【魔物使役】Lv8 【威嚇】Lv7 【転換】Lv10 【死霊術】Lv6 【水中呼吸】Lv7 



 ◆その他/特殊(使用不可)

【獣血】Lv4 



 ◆その他/魔物(使用可)

【噛みつき】Lv9 【穴掘り】Lv8 【光合成】Lv7 【突進】Lv8 【旋風】Lv7 

【睡眼】Lv6 【爪術】Lv9 【洞察】Lv7 【踏みつけ】Lv9 【招集】Lv8 

【硬質化】Lv7 【酸耐性】Lv8 【状態異常耐性増加】Lv8 【咆哮】Lv8 

【強制覚醒】Lv9 【嗅覚上昇】Lv6 【火炎息】Lv7 【発火】Lv7 【白火】Lv7 【炎獄柱】Lv7 【灼熱息】Lv7 【丸かじり】Lv8 【分解】Lv7 【吸収】Lv7 【氷結息】Lv7 【石眼】Lv7 【物理攻撃力上昇】Lv7 【物理防御力上昇】Lv7 【魔法防御力上昇】Lv7

【不動】Lv7 【衝撃波】Lv6 【地形耐性】Lv7 【廻水】Lv7 【鏡水】Lv7 【透過】Lv7 【恐怖】Lv7 【封印】Lv6 【熱感知】Lv7 【陽炎】Lv6 

【流砂】Lv7 【砂嵐】Lv7 【砂硬鱗】Lv7 【昼寝】Lv9 【帯電】Lv6 【凍結息】Lv7 【底力】Lv7 【烈震】Lv7 【紫水】Lv7 【穢れた霧】Lv6 【急速再生】Lv7 【水蹴】Lv5 【月喰】Lv6 【水流】Lv7 【座陣刃】Lv7 【烈風】Lv6



 ◆その他/魔物(使用不可)

【胞子】Lv7 【泥化】Lv5 【呼応】Lv7 【粘糸】Lv4 【脱皮】Lv6  

【酸液】Lv8 【擬態】Lv7 【気化】Lv8 【毒霧】Lv7 【結合】Lv8 

【分離】Lv8 【火光尾】Lv5 【絶鳴】Lv8 【幻影】Lv8 【影渡り】Lv7 

【地縛り】Lv6 【属性変化】Lv7 【無面水槍】Lv6 【睡夢鱗粉】Lv4 

【膨張】Lv3 【甦生】Lv9 【共食い】Lv6 【粘液】Lv7 【分裂】Lv6

【砂泳】Lv7 【麻痺針】Lv6 【産卵】Lv6 【昇華】Lv9 【毒牙】Lv4

【放天乱羽】Lv4 【寄生】Lv1




 侯爵と出会ってから約2カ月ほど。


 アルバートの北西部を起点に順々と地図を埋めながら南下し、周囲から死を望まれる札付きの悪党共を殺し回ってきた。


 結果、行く先々で強いと噂になっていた刀使いもようやく始末できたが、それでも俺の心が満たされるようなことはない。


 職業加護を得られないことによる一番の弊害。


 一月ほど前までは次々と有用スキルのレベルを上げられる喜びに浸れていたのに、煮詰まってくるほど今後必要とされる経験値量の膨大さを強く感じてしまい、狙っていた獲物を刈り取った嬉しさよりも、物足りなさに対する不満や焦りが先立ってしまう。



「ちょっとマズいかな……」



 殺った悪党の数はそれなりに多いものの、それでも2カ月という期間の中で数を重ねてきたのだから、たぶん反動とは違うはず。


 それよりはあの時、侯爵からオールランカーの多くが敵に回ると聞いたせい。


 ズケイラ戦で肩透かしを食らったくらいならまだすぐに気を取り直せたけど、今は大量の経験値が手に入る大きな獲物の命を狩りたくてしょうがない。


 しかし、魚人種の頭が襲撃してきた以降は怖いくらいに無風だ。


 セルリック侯爵曰く、マリー側も表立って事を荒立てたくないからわざわざ俺に対して不要な接触の禁止を命じ、さすがにそうですかと頷きはしなかったが地図の作成も容認しているようなことを言っていたので、たぶんこのまま動いたところでよほど隙でも晒さない限りは目立った動きをしてこないだろう。


 となると、やはりこちらから動いてマリーの居場所を探し出すしかない。


 一応居所が分からずとも出会える場所は1か所押さえているが、あそこは他国の町中。


 初撃で仕留め損ない戦闘となった際は周囲の被害が大き過ぎるし、黒騎士とやらが複数人同行しているようなら尚更だ。



「たぶん旧アルバート領までもう少し……まずは王都『ロミナス』の位置を把握して、そこからどうするかだな……」



 そう思うと居ても立ってもいられず、既に日が沈み始めた山間部のマッピングを再開させた。

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― 新着の感想 ―
これで営業マンということに困惑を禁じ得ませんねw
ゲーマー的には雑魚狩りに飽きが出てきた感じなのかしら。 次のステップに進めたいけど安全マージンが測れないのはソロ専の苦しい現状かな? そう言えば帝国の異世界人も、いい加減近辺まで来てるんだろうけど…
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