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374話 衝動

『【泳法】Lv8を取得しました』


『【暗記】Lv9を取得しました』


『【狩猟】Lv10を取得しました』


『【風魔法】Lv9を取得しました』


『【手加減】Lv9を取得しました』


『【疾風】Lv9を取得しました』


『【両手武器】Lv8を取得しました』



いない。



『【心眼】Lv9を取得しました』


『【盾術】Lv9を取得しました』


『【明晰】Lv9を取得しました』


『【罠探知】Lv8を取得しました』


『【斧術】Lv9を取得しました』


『【奴隷術】Lv7を取得しました』


『【二刀流】Lv8を取得しました』


『【気配察知】Lv10を取得しました』


『【逃走】Lv8を取得しました』


『【呪い耐性】Lv4を取得しました』



ここにも、いない。



『【水魔法】Lv9を取得しました』


『【魔法射程増加】Lv9を取得しました』


『【読唇】Lv4を取得しました』


『【魔力自動回復量増加】Lv9を取得しました』


『【体術】Lv9を取得しました』


『【鼓舞】Lv9を取得しました』


『【呪術魔法】Lv5を取得しました』


『【死霊術】が解放されました』


『【土属性耐性】Lv8を取得しました』


『【挑発】Lv9を取得しました』


『【金剛】Lv10を取得しました』



ここにも。



『【結界魔法】Lv6を取得しました』


『【跳躍】Lv9を取得しました』


『【威嚇】Lv7を取得しました』


『【家事】Lv10を取得しました』


『【光属性耐性】Lv6を取得しました』


『【歌唱】Lv8を取得しました』


『【杖術】Lv9を取得しました』


『【料理】Lv10を取得しました』


『【威圧】Lv9を取得しました』


『【回復魔法】Lv9を取得しました』



 止まらないアナウンスを眺めながら【探査】を使い、範囲内に生き残った者がいないことを確認する。



 ならば、次だ。


 まだまだカンストしていないスキルは山ほどある。


 先ほどまで逃げ惑っていた、残りの兵を――。



 じゃりっ。



 自然と足が東の方へ向き、追おうとしたところで、目の前の巨大な壁が視界を遮っていることに気付いた。



「?」



 いや、あることは分かっていたはずだが……


 それでも今、初めて知ったような。


 何かがプツリと途切れてふと我に返った――、そんな感覚から、堪えるように踏み止まって少しだけ考える。



 記憶は、ある。


 何を成したのか、その理由も。


 そうだ、俺は人の皮を被った悪党共を、魔物と同じく糧に――。



 ゴッ。



 ってぇ……


 遠慮無しに自らの頬を殴ったおかげで、口から血が滴る。



「あぁ、これはかなり、マズい気がする……」



 以前と同じだ。


 ギニエで町を乗っ取っていたバーナルドの一味を潰した時。


 あの時にも妙な胸騒ぎと、このままでは歯止めが利かなくなりそうな感覚に不安と恐怖を覚え、残党の処理をラッド君に任せたんだった。


 だが今回は、そのラインを明らかに越えた。


 それはもう、やり過ぎなくらいに。


 だから今も、まったく衝動が収まらない。


 確実に何万という数の悪党を殺しているのに、足らなくて、足らなくて、足らなくて……


 でもこのまま行動に移せば、さらに何かがおかしくなって壊れてしまいそうな。


 それこそ見てはいけない人達まで糧として見てしまいそうな、そんな気さえしてしまう。



「それだけは絶対に駄目だ……既に一度、失敗してるだろう……」



 歯止めがきかなくなり、強さのために全てを捨てた過去がある。


 質は違えど、仲間や女神様達もいる中で同じ過ちは繰り返せないし、繰り返したいとも思わない。



「ソッチ側になんて堕ちてたまるかよ……」



 とにかく今は、この異様な昂ぶりを冷まさないとマズい。


 そう判断し、止まらないアナウンスを視界に収めつつ壁に背を向け、俺は耐えるように周囲へ散らばる遺品や遺体の回収に意識を向けた。



『【拡声】Lv9を取得しました』


『【指揮】Lv9を取得しました』


『【発動待機】Lv8を取得しました』


『【多重発動】が解放されました』


『【遠話】Lv1を取得しました』


『【遠話】Lv2を取得しました』


『【遠話】Lv3を取得しました』


『【遠話】Lv4を取得しました』


『【省略詠唱】Lv8を取得しました』


『【広域探査】Lv1を取得しました』


『【広域探査】Lv2を取得しました』


『【広域探査】Lv3を取得しました』


『【広域探査】Lv4を取得しました』


『【魔法攻撃耐性】Lv8を取得しました』


『【精霊魔法】Lv1を取得しました』


『【精霊魔法】Lv2を取得しました』


『【精霊魔法】Lv3を取得しました』


『【精霊魔法】Lv4を取得しました』


『【多重発動】Lv1を取得しました』


『【多重発動】Lv2を取得しました』


『【聞き耳】Lv8を取得しました』





 ▽ ▼ ▽ ▼ ▽





 ラグリース王国の東部にて。


 勅命により自国とヴァルツ王国とを繋ぐ『ルーベリアム境界』の破壊に成功した槌覚のラディットは、生き残った1名の部下を引き連れて王都へ戻る途中、おかしな光景を目にする。


 最初に見えたのは、正面に広く立ち上る砂煙だった。


 王都にはかなり近づいているのだ。


 戦場が近いのだろうと、二人はそう感じていたわけだが。



 ポツポツと、こちらに向かってくる人の姿が見え始め。


 それが逃げだしたヴァルツ兵であると確認できた頃には、平原の先が兵で染まるほどのおぞましい数に膨れ上がっていた。



 誰も彼もがフラついているのは、夜通し移動し続けているからだろう。


 身体に火傷を負っている者も多く、軍の体裁を捨てた多くの兵達が、個々の判断で命からがら逃げている。


 二人はそんな印象を持ちつつも。



「ニーヴァル様がやってくれましたか!」


「そうなのだろうが……」



 ラディットは僅かに首を捻り、妙な違和感の正体を探ろうとする。


 蜘蛛の子を散らすように東へ移動している兵の数は膨大だ。


 これだけの数がいればまだ戦としては十分成り立ちそうなものだと、兵を纏める者としてラディットはそのような思考が働く。


 それに。



「戦場に立てば、誰もがこのような表情になるものか……?」



 兵士の顔は、明らかに普通ではなく、恐怖に塗れていた。


 騎乗した敵兵が僅か2人、街道の先で立ちはだかっているのだ。


 普通ならば敵意の一つでも向けてきそうなものだが、誰一人武器を構えることはなく、逃げるように自らの進路を変えてでも東へ進もうとしている。


 戦況が芳しくないからと、それだけが理由でこの数の兵が戦場を放棄してきたわけではないだろう。


 かと言って兵達には戦った痕跡がありありと感じられるのだから、兵糧不足による士気低下で逃亡しているということもないはずだ。



「……急ぐぞ」


「こちらに向かってくる兵はどのように?」


「立ち塞がる者だけを斬り飛ばし、あとは放っておけ。ヴァルツ軍が自らカラン街道だけでなく、周辺の町や村まで略奪して回ったのだ。放っておいても大半は餓死する」


「自国に戻るための橋は既に崩壊していますしね」


「だがそれでも全てが蹂躙されたというわけでもあるまい。急ぎ戻って残兵の処理に当たる必要があるし、戦況がどのようになっているのかも気になるからな」



 まだ勝利が確定しているわけでもないのだ。


 敵兵が逃げているという事実と、何が起きているのか分からないという言い知れぬ不安と。


 綯い交ぜになりながらもラディットは馬を走らせ――。



 約半日後。


 ラディットは無傷の宮殿内で、様々な事実を知ることになる。

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― 新着の感想 ―
[一言] 初のレベル10は狩猟? 狩天の誕生じゃい!!!
[一言] 長く苦しみながら彷徨って餓死するくらいならスキルの糧になってくれ そう、思った
[良い点] やっぱり、どんぐりの言っていた適正的なやつは、ロキの精神性の話をしているのかな?
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