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一章-2 不穏な報告

 

「失礼致します」

「おう、入れ」


 中からの応答があって、彼女は重い扉をゆっくりと押し開けた。

 部屋の正面の執務机には、左頬に古傷の残る大柄な男が、その風貌に似合わぬ柔らかな眼差しで彼女を歓迎していた。

 銀髪を撫でつけたダンディな彼は、傭兵団「炎狼」を率いる『闘神』ことゼラツ・ニフィムその人だ。ゼラツは、お気に入りの黒のカーディガンの左胸に施された兵団のエンブレムを指で撫でながら、羽ペンを筆立てに戻すと、


「それで、どうだったよ? サレン」


 呼ばれた彼女──サレンは軽く溜息をついて、机の正面のソファに腰かけて話し出す。


「大方、情報通りだったわね。レイオールはすでにデマルダの司祭と接触してる。デマルダの本拠地の寺院はもぬけの殻だったみたいだし、恐らくすでに例の神殿に籠城してるとみて間違いないでしょ」


 ゼラツは目を細め、両手を組んで思案する。途端に彼の眼に、鋭い眼光が宿った。周りの空気が一瞬で張り詰めるのを、サレンも全身で感じた。


「やはりか。───古の大魔道士が、己の得た叡智の究極を保管したという伝説の巨大神殿」

「復活の秘術が遺されているという、ね。神話の中のことだと思ってたのに、実際にあるなんて……どうやって見つけたってのよ」

「この際レイオールの野郎が神殿に至った経緯はどうでもいい。ローゾゥ様には俺から報告しておくから待機しててくれ」

「難儀なもんね。団長あの方のこと嫌いでしょ」

()()()()()()、な」

「どっちでもいいけど」


 必要事項の確認を最短で済ませると、ゼラツは先程までの剣気を引っ込め、元通りの柔和な眼差しを覗かせる。憎めない団長だ。


「仮にも俺らの雇い主だ。露骨に嫌な顔など出来るかよ。ん?」

「とかいって、あの方の長女様がいなかったら途端に行きたがらないんだから。女好きもいい加減にしてよね」

「エメア様か。違ぇねぇや」


 ククッと喉で笑い、彼は執務机に向き直って羽ペンを手にとる。


「そら、戻った戻った。俺ぁ忙しい」

「承知しました。それでは失礼致します、団長殿」

「最初と最後だけ敬語使うのどうにかしてくんねぇかなぁー。痒くなんぜ」


 笑みを含んだ優しい声にフッと笑い返し、サレンは団長の───自分の育ての親の仕事部屋を後にしたのだった。











「サディ、今日の飯当番お前だぞ」

「マジかよ…」


 夕飯時になると、兵団宿舎の広間兼食堂はにわかに活気づく。日々の生活の中の数少ない憩いの一時だ。何せ人数も多いので、雇い主であるバローナン家の所有する兵団直属の料理人が3人がかりで戦士たちの腹を満たす。

 料理長メース・カイ曰く、


「食べ過ぎくらいがちょうどいいんだよぉ」


 とのこと。一般人には到底食べ切れないような『1人前』が提供される。従って、サレンをはじめ女性兵士の食べ切れなかった残りは、野郎共が当番制で受け持つのだ。これが飯当番、血も涙もない極悪非道のルールである。


「いけるぞ〜、サレン〜、お前はまだ食える〜……」

「───無理」

「ほらやっぱりーー!!」


 目の前の試練に絶望する約1名を除いて、それぞれの食卓では和気藹々と、ゆっくりとした時間が流れていく。







 6人がけのテーブルをサレンと共に囲んでいるのは、多種多様な種族の戦士たちだ。


 1番厨房側の席に座るサレンの向かい、白い髪を七三に分けた白い顔を青くして2人前(メース基準)の白米と格闘しているのは、サディことサドルス・エントル。北国出身の若く優秀な狙撃手だ。


「くっそ、何で俺が……おいレスタ!手前ぇタンクだろ、デカくなりたきゃ食え!」

「やだね、俺がこれ以上デカくなってどうすんだい」


 くぐもった声でそう返すのはレスタ・ドイド、体重はゆうにサレンの2倍はあろうかという巨漢である。年に似合わぬ貫禄だが、親友のサドルスより1つ年下。大きな顎は、ヘットケン族の強者の証である。


「アンタはむしろ肉を落としなさいよ、素早さってモノがないんだから、素早さが」

「分かってるって……」


 横槍を入れたのは、さっきまで黙ってさらっと完食に成功したイーラ・アルカノ。姉御肌の毒舌ヒーラーだ。実際4人の中では1番年上で、


「イーラ、手前ぇも少しは肉落としたらどうだ?ほら、胸のあた──」

「あぁ?」

「ひゃい、すいません!」

「調子乗るからだい」


「サレンはもっと食べねぇとなぁ、ほら、胸のあた──」

「あぁ?」

「ふぁい、すんません!」

「学習しないからだい」




 皆ワケあって兵団に流れ着いた者たちは、今はこうして宿舎に集い、今日も今日とてこんな具合に仲良く夜を過ごしていく。笑い声の飛び交う食堂には、束の間の暖かい空気が流れていた。

 いつの間にか、外で冷たい雨が降り出したのには気づかずに。







初・後書き!


作者、最近テスト続きでちっとも執筆が進みません。嘘です。文才がないからです。もっとたくさん更新できるよう善処しますが……。

でもテスト続きなのは本当!休まる時が無え!

多分大学入試終わったら少しは執筆に集中できると思います!あと1年と数ヶ月!長ぇ!


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