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レオルドが命がけの鬼ごっこをしている時、モニカ、マリン、ミナミ、カレンの四人は懸命にセツナの探索を続けていた。
幸いな事にレオルドが派手に逃げ回っているおかげで四人は見つかることなく動けている。しかし、未だにセツナは見つけられずにいた。
レオルドが注意を引いてくれているがいつまで持つか分からない。レオルドの体力も魔力も有限である。いずれ尽きて捕まってしまうのも時間の問題だ。そう考えると、早急にセツナを見つけなければならない。
四人はバラバラに行動していたが思いは一致していた。レオルドの為にも早くセツナを見つけなければと。
しかし、そうは思っても中々上手くはいかない。どこを探してもセツナは見つからないのだ。先代皇帝らしき人物は城の中にある塔の一角に幽閉されている事は分かったのだがセツナだけが分からない。
その事に四人は焦る一方だ。こちらの勝利条件は皇帝の身柄を押さえる事だが、炎帝という帝国最強が最大の障害となっている。それをどうにかするには囚われているというセツナを解放することなのだが、そのセツナが見当たらない。
一度書庫に戻って情報を整理しようかと考える四人だったが、まだ見ていない場所がある。そこは皇帝がいるであろう玉座の間だ。流石に今は誰もいないであろうと予想しているが、もしかするとローゼリンデの予想が正しいのかもしれない。
念のためと四人の思考は一致して玉座の間へと集まる事になった。
『え?』
まさか全員が一斉に玉座の間に集まるとは思いもしなかったので四人は驚きの声を上げてしまう。
「まさか、みんなここに来るなんてね」
「ええ、思いもしませんでした」
「まあ、ここしか残ってないしね」
「はい。レオルド様のおかげで兵士達はほとんどが持ち場を離れてくれていましたから」
モニカ、マリン、ミナミ、カレンの順で思い思いを口にする。全員、共通の認識としてレオルドのおかげというカレンの言葉でクスリと笑ってしまう。
窮地に陥っているレオルドのことを思えば笑ってはいけないのだが、どうしても我慢が出来なかったのだ。側にいても側にいなくても頼りになる御方だと四人は思っているのだ。
ただし、当人であるレオルドは彼女達の為に頑張っているわけではない。ただ、必死に生きようと足掻いているだけである。まあ、そのおかげで彼女達の役に立っているのだから良しとするべきであろう。
「ゴホン。では、行きますよ」
咳払いをしてモニカが空気を変える。モニカの言葉を聞いた他の三人も気持ちを切り替える。四人は隠れながら進み、セツナを探す。
四人の目に映ったのはアークライトを足蹴にしている皇帝の姿であった。地に這いつくばっているアークライトを皇帝は蹴ったり踏んだりして笑っている。
「ははははは! やはり、お前は俺の予想通りの動きをしてくれる!」
「う、く……。僕が裏切ると最初から予想していたのですか?」
「ああ。どこかのタイミングで裏切るだろうとは予想していたさ。そうでもなければ誰が貴様なんぞ部下にするものか」
「く……!」
「しかし、まあ、侵入者を手助けするとはな。そんなに婚約者が大切か?」
「当たり前です。彼女は僕にとって掛け替えのない女だ! 彼女の為なら僕はなんだってする!」
「ふはははははは! 威勢がいいのは構わんが、何もできておらんぞ? 頼みの侵入者も今頃グレンに焼かれている頃だろうよ。それに侵入者が頼りにしようとしていたセツナは私の下にいる。まあ、言う事を聞かないから拘束はしているがな」
「この卑怯者め……!」
「そう褒めてくれるな! はははははははは!」
皇帝はアークライトが裏切る事を予想していたらしく、セツナを地下牢からアークライトに知らせることなくひっそりと移動させていた。
まんまと騙されてしまったアークライトは皇帝に裏切り者扱いされている。
「今なら皇帝を暗殺できるのでは?」
「可能に思えますね」
「でも、見るからに性格悪そうだから対策してるんじゃないかしら?」
「でしたら、先にセツナを救出しませんか?」
カレンの一言により皇帝の暗殺よりもセツナの救出を最優先する事になった。出来ればアークライトにはもう少し皇帝を引き付けて欲しいと願いながら四人はセツナを探し回る。
玉座の間は皇帝を守る為に多くの兵士が控えている。彼らに見つからないように四人は行動してセツナを探す。すると、玉座の後ろ側に鎖で縛られている女性がいるのを見つける。
四人は恐らく鎖で拘束されている彼女こそがセツナだろうと確信した。
ただ、どうやって彼女を解放するかが問題だ。セツナがいる場所は玉座の裏側ではあるが、人目を避けては通れない場所だ。そんな場所にどうやって誰にも見つかることなく彼女を解放するか。
目の前にして無理難題を突きつけられてしまった四人はどうやってセツナを救出しようかと頭を悩ませる。
「一度戻って二人と合流しましょうか」
セツナを見つけることは出来たが助け出す事は叶わないと諦めた四人は一度書庫に戻る事にした。
少なくともジークフリートが加われば戦力が上がるのは間違いない。
ただ一つ。二人にセツナのことを教えればどのような事になるか。それを想像すると四人は不安で仕方がなかったが、他に手はないと諦めるしかなった。





