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 ショッピングを終えた俺達はケビン達が決めた場所へと向う為まずはバスを目指すことになり、バス停と思われる場所で会話をしながら待っていると俺はふと気になる事をそのまま聞いた。

 要するに香港は現在交通機関は機能しているのかどうかと言う事だが、何故か後ろから付いてくる父さんが「大丈夫だったと思うが…」と勝手に教えてくれたのでそれで良しとした。

 しかし、これまで戦いに関係なく普通で居られるというのも少々おかしい気がするが、気にしすぎる良しマシなのかと考えるようにし、俺達は時刻から少し遅れてやって来たバスに乗り込む。

 発進していくバスの窓から見える綺麗すぎると言っても良い真新しいビルディングが建ち並ぶ街並み、近代都市という名前が相応しいこの場所は正しく再開発計画で新しく出来た街というイメージだ。

 ビルディングの形もそれぞれの都市にでも会わせて作られているのだろうかと思うが、正直俺としてはこういう近代的な都市より歴史を感じさせるような建物、風景に合わせた街並みの方が好きだったりする。

 実際俺は帝都の旧市街地が結構好きだ。


「帝都の旧市街地ですか…前に行った時はあまりよく観光できなかったのですよね。でも私は海都も好きでしたけどね。住みにくそうですけど」

「ああ。あの船で行き来する事が前提の住みにくそうな街か。車は中心街では付けないんだったな。よく生き残ったもんだ」

「ギルフォードは失礼だな。私は言ってみたい気がする。レインも行ってみただろう?」


 ダルサロッサはレインを丸め込もうとしており、レインは笑顔で「うん」と答える辺り本当にこの子は良い子だ。

 アクアも俺やジュリの服の裾を引っ張りながら「アクアも行きたい」と言い始める。

 俺やジュリはアクアの頭を優しく撫でながら「何時かな」とそれとなく誤魔化す。

 流石に今すぐは無理だし、当分は行くつもりは無い。

 せめて来年まで我慢して欲しい。


「来年になったらまた別荘に行こう。流石にその時は問題が起きないだろう…多分」

「自信の無い多分ですね。私は知りませんでしたけど…その時にケビンさんやギルフォードさんに出会ったのでしたか?」

「ああ。ギルフォードの方は出会いが最悪でケビンの方はロマンチックに近い感じだったけどな。まあ…ケビンの正確に合わなかったけど」

「失礼ですね。私だって雰囲気という部分は大切にするのですよ。一度行ってみたかった場所ですし。あそこでしか見られないと言われたら行きたくなるでしょう?」


 海都か…住みにくいから別荘として遊びに行くぐらいなら良いけど、住むとなると頑固拒否。


「俺あそこ住んでみたい! 工業都市バルシア!」


 レクターの提案に俺とジュリ以外が表情で「何処だ?」と聞いてくる。


「工業都市バルシア。帝都から電車で約半日ほど掛かる帝国でも端っこに位置する場所にある大都市の一つです。大都市間は高速列車で繋がっているので行きやすい場所ですよ」

「ですがどうしてこの工業という言葉がまるで似合わない男が行きたがるのでしょうか?」

「工業都市バルシアは最先端技術が積み重なって出来上がっている都市で、都市そのものが最先端技術を常にフル動員されているんだ。だから街並みが常に変化することでも有名でな。忙しい街という感じなんだが、同時に飽きない街というイメージがあって…」

「? それでどうしてこの戦闘馬鹿が反応するんだ?」


 ギルフォードがますます理解出来ないという顔をしたし、他のメンバーも同じような顔をしているが、俺からすればここからがレクターが行きたがる理由でもあるんだ。

 その工業都市が開発から量産、販売まで工業と名の付くような部分では負け知らずなのが問題なんだ。


「そこは最先端技術の開発が常に行なわれているためか、基本兵器産業でも帝国ではそこが最先端で、そこの街の防衛を任されている部署は常に最先端武器が譲渡されると有名なんですよ。中にはそこを好んで配備されたがる人も居るとか…」

「ああ。そういう事か…」

「常に街並みが変わる。新しい武器を常に試させてくれる街…最高!」

「レクターらしい意見だね。僕は一度で良いから『ナルバス』に行ってみたいなぁ~」


 ブライトはナルバスか…俺もあそこは一度行ってみたいんだよな…何せあそこは火祭りで有名だし。

 ギルフォードは知っていたようだし、アンヌも知っているような顔をしていた。

 因みに竜の中でもシャドウバイヤ、ダルサロッサ、シャインフレアは知っていたようだが、復活したてのレクトアイムや馬鹿なエアロードは知らないらしい。

 もっと言えばオールバーは興味が無いから大して知らないと言っていた。


「ナルバスって何です?」

「ケビンさんは知らないですよね? 帝国の西の端っこの方にある国境沿いに存在している真っ赤なレンガ造りの街ですよ」

「アンヌは随分物知りですね。行った事が?」

「いいえ。でもナルバスは芸術方面で有名な都市で、別名ガラス細工の街と呼ばれて居るぐらいガラス細工という点では本当に芸術品ばかりなんですよ。街の至る所にステンドグラスが綺麗なんです」

「へぇ~一度行ってみたいですね。そんなに綺麗なんですか?」


 ケビンが目を輝かせているが、これが実際に物凄く綺麗なのだ。


「でも、多分だけどブライトが行きたがっている理由は『火祭り』の方じゃ無いか?」

「火祭り? 何ですその危なそうな祭りは」

「火祭り。ナルバスでは毎年四月末に行なわれる祭りがあって、その年は各所で火を炊き上げて祭りを開くんだ。綺麗なステンドグラスと火が綺麗で有名なんだよ。まあ去年は帝都クーデター事件でそれどころじゃ無かったしな…開催できなかったと聞いたな」

「僕今年は行ってみたいな~」

「まあ、休みが取れたらな。皆で行ってみるか」


 行くなら確実に一泊することになるだろうからスケジュール管理が大変そうだけど。


「ええ。ナルバスの火祭りって結構野蛮な祭りじゃ無い? 火を焚き付けて街中を練り歩くんだよ? 滅茶苦茶野蛮じゃん!」

「それ最終日の奴だろう? それに、あれは火と常に共にあるという意味で彼等は火を大切にしているんだよ。火は自分達の生活を豊かにしてくれる存在だと」

「ええ。危ないだけじゃん」

「それはお前が火を武器として扱っているからだろう?」


 こいつと会話をしていると疲れるので俺はこいつを無視することにした。

 人それぞれという意味では良い話題な気がするな。


「因みにソラは無いのですか?」


 シャインフレアがそんな事を俺に尋ねてきた。


「俺? そうだな…強いて言うなら貿易都市デルバーかな。行くだけで面白いって有名だし…」


 デルバー。

 歴史の教科書で見たことがあるだけだが、帝国の歴史において割と重要なターニングポイントに成った場所。

 実は帝都から非常に近く電車で二時間の場所にあり、街並みは木と石造りの街並みになっていて、貿易都市の名の通り貿易で成り立っている街。

 それ故か常に戦争という言葉とあり続けた街であり、戦争が起きれば同時に問題が起きることでも有名だ。

 それ以上に逞しく常に前向きに来ているこの街の人達は全然へこたれない上、何というか人情に溢れているんだ。

 結構好きな街で一度だけジュリやレクターと共に行った事がある。


「ああ。俺もあそこ好き。何というか…人情が溢れていて」

「貿易都市という名前が相応しい街だからね。海路から空路まで様々なルートを確保しているんだよね? 列車のルートもいくつも用意されているし、最近では空路まで出来てかなり賑やかだって聞くし。でも、常に戦争では被害が受ける街なんだよね。共和国との戦争でも何度も被害を受けてきた街だし。帝国軍の拠点も微妙に遠くで防衛に向いていないんだよね…」


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