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魂は叫ぶ 9

 ギルフォードは都市高速から一旦飛び降りることに成功し、都市高速の下にある通常の道路まで着地したのだが、その間ダルサロッサは生きた心地はまるでしなかった。

 再び、しかも唐突に訪れた展開に悲鳴を上げる暇すら無く、しかしここで不満を口にしようとした瞬間、ギルフォードの後ろに例の兵器が何の遠慮も無く降り立ったのだ。

 ギルフォードは無論そんな事分かりきっていたためか、降りてきた瞬間にエンジンを吹かしてそのまま走って行くと、その走って行くギルフォード目掛けてランチャーで攻撃を仕掛けた。

 ギルフォードは左に大きく曲がって攻撃を回避、人通りを比較的避けなくてはいけないと考え、同時に逃げ切るために車でも入るのが難しい細い路地へと入っていき、そのまま曲がりくねって姿を消す。

 細い路地を移動して行けば最悪逃げられると考えたギルフォードだが、安心しそうになったその瞬間ギルフォードの後ろから何かが吹っ飛ぶ音が聞えてきた。

 もう振り返ることは一切しないまま、再び曲がり角を曲がって違う道へとは行っていく。

 建物をぶっ壊して追撃してくるとは流石に思わなかったギルフォード、このまま路地に入って敵の攻撃を躱し続けているといずれ人に被害が出る可能性があった。

 この辺りは避難が終わっているのか誰も居ないが、それだってこの先ずっと続くとは思えない。


「ダルサロッサ。黒い炎で攻撃して倒せ」

「無理難題を押しつける! あの巨体だぞ…燃え尽きる前に炎が余所に移るぞ…下手をすればそのまま大惨事だ」

「どのみちもう大惨事だ。このまま逃げていると被害が増すだけ。一旦大きな通りに出るからその時に攻撃しろ」


 ダルサロッサはイマイチ納得は出来なかったが、しかしギルフォードの言うとおりでこのままなら更なる惨事になることは間違いが無い。

 大きく飛び出して大きな通りに出てしまうと、後ろを追いかけていたウルズナイトも通りへと飛び出して行く。

 予想通りの展開になりダルサロッサは黒い炎を容赦無くウルズナイトへと叩き付けた。

 炎が一瞬はじける音と共に黒い炎が右胸辺りに燃え上がり、ギルフォードはその攻撃が着弾したのを確認してからUターンさせる。

 そしてウルズナイトと対峙するような感じで一旦バイクを止め、ウルズナイトの攻撃がやって来た瞬間にアクセルを拭かせて攻撃をギリギリで回避。

 ギルフォードは右手に剣を握りしめ、黒い炎を纏ったその強力な一撃を右側に叩き込んだ状態ですれ違う。

 更に真後ろを取った状態でバイクを止めて足場にして大きく跳躍してから頭部目掛けて三連撃を叩き込んだ。

 そして倒れる前にバイクに跨がると、黒い炎がウルズナイトを完全に灰に変えてしまうところをしっかり目撃した。


「ダルサロッサ。人は乗っていたと思うか?」

「なら最後に燃えるときに悲鳴が聞えていたと思う。コックピットと思われる場所はまだダメージは無かったはずだ」

「なら自動で攻撃していたと言うことか…こんな物が至る所にいるのかと思うとな。いや今は急ごう」


 ギルフォードは中心地へと向ってバイクを動かして行った。


 海は港に集まっていたチュパカブラをとりあえず一掃してから一旦息を吐き出した。

 港広場は酷い有様になっており、屋台も周囲にある建物も至る所にチュパカブラの死体と吸い出した血などで滅茶苦茶になっている。

 海は竜の焔で作り出した日本刀を一旦消してからアカシと共に逃げていく人達を見送る。

 これ以上ここで戦う理由は無いが、どうやら中心地はまだまだ戦っている真っ最中なようで、戦う音がきっちりと聞えてきた。


「急ごう…アカシまだ戦える?」

「まだまだいけるもん! 僕は戦えるもん!」


 海はアカシと共に走って中心地へと向って進んで行くと、今度は大きなビルとビルの間に蜘蛛の巣のようなものが張られており、その蜘蛛の巣には沢山の人達が宙づりになっていた。

 そして、そんな蜘蛛の巣の主と思われる存在がそこに居た。

 上半身は妖艶な美女なのだが、腰から下が蜘蛛になっている化け物。


「アカシ怖かったら目を瞑っていて良いよ」

「怖いけど……僕頑張る! ブライトだって頑張っているもん! 僕だって竜の端くれだし…頑張れる!」

「分かった…しっかり捕まって死角からの攻撃は明石に任せるよ! 牙撃! 風の牙! 狼!」


 海は風で造った狼と共に駆け出していき、化け物は口から無数の糸を海とその周りに吐き出すが、アカシは海の足裏に糸対策の薄いシールドを展開して付着させないようにしてから海は糸を駆けていく。

 化け物は素早く跳躍してから後ろから紫色の糸を吐き出したが、海も大きく跳躍して糸を避けて紫色の糸の効果をジッと見つめる。

 紫色は弾の形になっておりそれが建物に着弾すると壁が溶けて行くのがハッキリと見えた。


「酸で出来た糸だよ。避けて。竜の焔でも流石に何らかの効果があるかも…戻せば直るけど…一回一回戻しているときりが無いよ!」

「分かった。他の糸も全部避ける」


 風で出来た狼は普通の糸を排除していきながら数を減らしていくが、化け物はそんな狼や海からとにかく距離を取ろうとする。

 退路を断つために海は更に多くの狼を作り出して化け物の背後に回り込んだ。

 化け物は至近距離まで近付いた海目掛けて網状の酸で出来た糸を吐き出して攻撃するが、その糸をアカシがシールドを作って防ぎきり、その糸を右側に排除してから海は風で造った狼を左右から攻撃を仕掛け身動きを封じたところで化け物を十字に切り裂いて見せた。

 断末魔を上げながら死んでいく化け物。

 海とアカシは急いで人々を救出してから逃げていくところまでを確認してからそれに襲い掛ろうとしているチュパカブラの軍勢を見つけ出した。

 伸びていく舌を切り裂いて立ち塞がり軍勢に向って突っ込んでいく海。

 終わりそうも無い戦いに挑んでいく。


 ジャック・アールグレイは建物の出入り口を地下に発見し、施設の温室へと入り込むことに成功した。

 人が居ないことをしっかりと把握してから周囲に警戒をしつつ物陰に隠れる。


「今のところこの部屋に生物はいないようだが、違法な実験をして居そうな場所だしな…食虫植物じゃ無いが食人植物は造っていそうだな」

「動く植物も無し…だ」


ダークアルスターも周囲を索敵し動いている植物が居ない事を確認してからジャック・アールグレイは左右に伸びている道の先をジッと見極める。

 どうやらどっちに進んでも別の部屋へと辿り着くことは出来るらしいが、施設が予想以上に大きいので慎重に行かないと厄介なことになりそうだと考えた。


「こういう時人は左に行くという」

「なるほど。聞いたことがあるなでは…」

「ああ。私は右に行こうと思う」

「なるほど。天邪鬼と言う事か」

「良く分かっているじゃ無いか」


 多くの人が左を行くのなら自らは右を行く男、それがジャック・アールグレイである。

 と言うわけで右側を選んで進んで行き片手で開けることが出来るドアノブ(非常用のドア)と自動ドアが設置されているが、自動ドアの方は電子でロックがされていた。


「上に赤外線のセンサーと警報ランプだ。此所を通ると厄介だな」

「ならこっちの非常用のドアから進むとしよう」


 非常用のドアに何もトラップがない事を確認してからジャック・アールグレイはそっとドアを開けて別の部屋へと入って行く。

 薄暗く何かコンテナのような物が部屋の左右に広がっており、部屋には窓一つ無くジャック・アールグレイはコンテナの一つを動かして部屋の中へと入って行く。

 邪魔になっているコンテナの中身が非常に気になってそっと触れると、中から「カサカサ」という何かが動く音が聞えてきた。

 その瞬間見るのを止めた。


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