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挨拶から始る戦い 9

 ジュリ達が用意してくれた昼食であるお弁当を広げてくれ、レクターが我先にとジュリが握ってくれたおにぎりに急いで手を付けて口に放り込む。

 ケビンが小さく「本当に品性を感じない食べ方を…」としかめっ面をしながら自分で要し居たお弁当を開く。

 ちゃんと用意しているメンバーと用意していないメンバーで真っ二つに分かれるなと思って黙って見ているのだが、俺からすればそんな用意している余裕のある人間なんてジュリぐらいだと思って居た。

 驚いたのはギルフォードが妹とダルサロッサの分のお弁当を用意しているところで、ダルサロッサはゆっくりとお弁当を開いて中に入っている豚肉を敷き詰めている豚丼に舌鼓を打つのだが。

 そんなダルサロッサのお弁当を密かに狙っているのは涎を流しているエアロードであり、ゲームをしながらずっとダルサロッサのお弁当を睨み付けていた。

 まるで獲物を前に狙いを済ましている鷹のような目をしてずっと見つめるのをダルサロッサは物凄い居心地の悪さを感じていた。

 レインちゃんは開いたお弁当を同じように用意して貰ったお弁当を開けて近付いてきたアクアと一緒に食べ始め。

 おかずの交換をしながら楽しそうに食べているのだが、ある意味対照的なほど微笑ましい。

 俺は仕方が無いと思ってそっと貰っていたお弁当を開いて匂いをエアロードへと向ける。

 するとエアロードは急いで顔を俺の方へと向けて大きな口を開けて行動で俺に意思疎通を図るというテクニックを身につけたエアロード。

 俺はその口にお弁当の中にある唐揚げを一つ口に放り込む。


「上手い! ゲームをしながらの食事は良いな」

「頼むから普通に食べてくれないか? なんで俺がお前の食事を手伝わないと行けないんだ?」

「良いでは無いか…どうせ他にやること無いだろう? 私はゲームをしているんだ…」

「お前の一連の行動の何処にお前への評価を上げる要素が何処にも無いんだが? そろそろいい加減にしないと路頭に迷うことになるぞ」


 ゲームを一旦止めて俺のお弁当を食べ始める辺り流石に路頭には迷いたくないとは思って居るようだし、俺は敢えてツッコまないでいることにした。

 するとレインちゃんとアクアが近付いてきてエアロードにお弁当を分けようとしていた。

 エアロードは感動のあまり貰った卵焼きと豚の煮込みを食べながら幸せそうな顔をしている。

 そんな事で幸せになれるこいつはある意味幸せな奴なのかもしれないな。

 唐揚げを食べながら俺はのんびりしているとお弁当を食べ終えたレクターがお弁当を片付けたあと鞄を探り始め、その後鞄の中から新しいお弁当を取りだした。

 こいつまだ喰うのか?


「え? まだ食べるのですか? 食べ過ぎたら動いたときに吐き出しそうになりません? て言うかそこに竜ならともかく貴方までそんな無尽蔵に食べるのですか?」

「? 腹が減っては戦はできぬって言うじゃん? それだって…」

「意味を分からず使って居るとますます馬鹿だとバレるから使わない方が良いと思うけどな。それにそれとこれとは別の話だろ。一人分のお弁当を食べたのにまだ食うのかって言われているんだよ」

「わかってたもん! 理解して居たもん!」

「ブライト達みたいに可愛らしく喋ろうとすると貴方の場合馬鹿っぽく見えますね。なるほど人によるというわけですか…」

「酷いこと言われる! 誰かフォローして!! 応援を頼む!」

「「「………」」」

「誰もフォローしてくれない! 分かっていたけど!」


 なら応援なんてしないで欲しい。

 無駄な行動力は疲れるだけだから止めて欲しいが、残念な事にそんな事を言ってもこの男に通用するわけがないので諦めるしか無い。

 俺は卵焼きを口に放り込んで味を楽しんでいると隣でアカシと楽しく食べているブライトが俺の食べているお弁当を覗き込む。

 ジュリ達がそれぞれの好みに合わせてお弁当を作っているのでじつはお弁当事に違ったりする。

 お箸を持つ事が出来ないダルサロッサはそのまま食べられるように豚丼にされているし、レクターのようにがっつく奴には肉多めにされているし、俺や海のようにバランス良く作られている奴まで様々。

 中には自分で作るからと自分好みにしている人まで居るが、俺とブライトとアカシはそれぞれお弁当の中身が全く違う。


「今回のお弁当滅茶苦茶美味しいね。ソラ…おかず交換して」

「あ、僕も! ソラ。交換して。その椎茸欲しい!」


 アカシが椎茸を欲しがっているので俺はアカシの口に椎茸を入れてあげ、ブライトは里芋を欲していたので同じように入れる。

 すると二人はそれぞれ自分達のお弁当の中にあるおかずからほうれん草をベーコンで巻いているおかずをアカシはくれたし、ブライトはピーマンの肉詰めをくれた。

 お弁当が豪勢には成ったので良しとして再びお弁当を食べ始めると、列車の中にジャック・アールグレイが現れた。


「おや? 私のお弁当は?」

「あるわけ無いでしょう。誰よりもこの中の人達から一番信頼されていない人間がお弁当を作って貰えるとかおこがましい」

「そこまで言われることをしたかな?」

「していないと? まさかそんな事を思って居るわけじゃ無いでしょう?」

「まあまあ。ケビンさん。でも、最初作ろうって話になったとき貴方は私達に「いらない」と言っていたような気がしますけど?」


 都合の良い記憶力だ事で。

 ジャック・アールグレイは「そうだったかな? まあいらないけどな」と言って廊下を通り過ぎてまた何処かへと消えていく。

 て言うかあいつ普段から何をしているのだろうか?

 少し気になるところではあるが、でもかと言って追い返るとジャック・アールグレイをストーキングしているような感じが出るので拒否した。

 まあ、俺はその話し事態を知らないのだが。

 言わないけどさ。


「ギルフォード。私はデザートが食べたい」

「はいはい…レインはどうする? 食べるか? プリン」

「食べる! アクアちゃんも食べよう!」


 二人が仲良く手を繋いでギルフォードの所に向い、二人で沢山有るプリンを選んでいる姿を見てレクターがスマフォのカメラ機能を使おうとしていた。

 俺はそんなレクターに「自重しろ」と告げてみるのだが、それよりも父さんがカメラ機能に物凄い関心をしめしていた。

 知らなかったと言う事がショックなのでは無く、単純に好奇心で見て居るように見える。

 アクアはイチゴのプリンを、レインちゃんはキャラメルのプリンを持って二人で椅子に座りながら嬉しそうにプリンを食べ始める。

 エアロードはお弁当を食べて終えたあとフラフラとそのプリンを選びにギルフォードの元へと行こうとしたとき、ジュリが別にとってあるプリンを見せた。

 方針が急転換するエアロードは急いでジュリの所へと移動しプリンを選んでから自分の席に戻り美味しそうに食べて行く。

 俺はあまり甘い物は好きでは無いが、念の為にとジャック・アールグレイとダークアルスター以外のメンバー分のプリンは作っているようで、俺は適当に一つもらいそれをアカシとブライトに渡す。

 二人は三つ分のプリンを二人で分けながらゆっくりと食べていく。

 それを羨ましそうな顔をしているが俺は「駄目だぞ」と告げて拒絶しておいた。

 エアロードは実に残念な顔をしてモソモソとプリンを食べていくが、そこで何故かアンヌがエアロードにプリンを渡してしまった。


「私はもうお腹一杯で…」

「あまり甘やかさないでくれよ…調子に乗るからさ」

「ソラと違って優しいな」

「お前今度からご飯抜きにするぞ」

「御免なさい!! 許してください!」


 平謝りするので俺は黙って許して上げることにした優しい俺だって。


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