天を目指して 5
大きな森の中で遭遇した熊を気絶させてから俺達はさっさと前に進もうということになり、俺は再びブライトを俺の服の中へと入れて俺達は階段を坂を昇っていきながら上階へと移動していく。
空中庭園のような風景な場所、坂を昇っていくと上の階から感じるのは見知らぬ殺気を体全身で感じて身震いを感じてしまう。
この場所にもアクトファイブが存在しており、俺達に居場所を隠そうとしないと言う事は戦うつもりなのだろう。
まあ、多分だが出入り口へと向って移動していけば恐らくは必ずぶち当たることになるのは間違いが無い。
アクトファイブは一体何を目的をしているのか、あの工場で見つかったはずのオーク擬きや見知らぬ兵器などはここにも存在しないのだろうか?
モスクワへと移動させたのであれば此所を制圧すればそれも分かってくるのだろうか?
このフロアを任されている人間、殺気の種類を感じることなんて出来る事は出来ないので会ってみない事には分からない。
と言ってもこのフロアの最も高い場所で待ちかねている人物、人数はザッと五人ほど居るのは分かっているのだが、それ以外にも見慣れない機械で出来た兵士が無数にわたって配置されているのだ。
これがオーク擬きなのだろうかと悩んでみるが、エコーロケーションで外見を確認してみてもイマイチハッキリしない。
「しかし、この規模の部屋の出来を見る限り多分元々ボウガンがこの部屋を造っているんだろうが…もう防衛上のセキュリティじゃない気がするが」
「こんな場所で本でも読んでいたんじゃ無いのか? ここは本を見るには丁度良い空間な気がするけど?」
「確かに…こんな場所で本を読めば少しは木が落ち着くような気がしますね」
「無理だろ。ケビンは恐らく本を読まないだろ?」
「まあ…見ませんけどね」
「でも草木はあっても花はあまりなさそうな気がしますけど…上に登ればあるんですかね?」
「かもしれないな。レクター辺りはその花ですら特訓のための道具にしてしまうかもしれないけどな」
「失敬な事をいわないで欲しい。俺でも流石にあんな綺麗な風景を前にして俺がそんな事をすると思われているとは思わないで欲しい! こんな場所で特訓するなら熊とかを呼んで常に戦う」
「熊って結構臆病な性格だからお前が襲ってしまうと今度から逃げるんじゃ無いのか?」
レクターは不満げな顔をしているような気がするが、俺は心の中で「気のせいだな」と無視しておくことにし、坂を昇り終えてから次の坂を探すためにと森の中へと入って行く。
深い森の出来が良さそうな気がするが、こういう場所もボウガンが注文でもしたのだろうか?
アンヌはふと木々の間から漏れる光へと辿り着くと複数の小鳥達がアンヌの周りにやって来た。
小鳥達はアンヌと戯れており、何というかどこぞの世界のプリンセスの様な感じだ。
少しだけケビンが「良いなぁ」という感じて人差し指を加えながらアンヌを見て居て、その隣でギルフォードは「無理だぞ」といらんことをハッキリと告げる。
「いらないことを言わないで下さい! 何も言っていないでしょ? 少しだけ綺麗だなって思っただけです」
「アンヌはああいう姿が似合うよね…どこかの国でプリンセスみたいな感じの雰囲気を纏っているよね。ソラでも出来そう」
「無理だな。小鳥は苦手だ。爪がチクチクするし、耳元で叫ぶと五月蠅いし」
昔奈美がインコを飼いたいなどと言っていた気がするが、俺が「五月蠅いから嫌」と拒否して奈美が滅茶苦茶騒いでいたのを今でも覚えている。
「ギルフォードは鳥とか飼わないのか? レインちゃんとか似合うと思うけど」
「掃除や食事代金とか無駄だしな…何よりもダルサロッサが食べそうだ」
「食べんわ。あんなガリガリな鳥を食べても美味しくなさそうだし」
「鳥を見ていたら焼き鳥が食べたくなった。ソラ…無いの?」
「無い。エアロードは諦めろ。というか良くもあんな小さい小鳥を見てから良くもまあ焼き鳥を食べたいと思えるモノだな。お前は大したものだな」
無限の食欲を抱いて俺の服の裾を引っ張り主張を抱くエアロードを無視、俺はアンヌに「行こう」と告げるとアンヌは小鳥達に別れを告げる。
付いていくとボロボロの大理石の階段を昇ろうとすると、上から見慣れない大きめな影が近付いていく。
俺は目を細めてそれを確かめようとしているとその影がハッキリとした『プテラノドン』みたいな形に見えた。
「プテラノドンに人面がくっ付いているんじゃ無いのかって疑問に思ったが、やはりあれはあの部屋だけだったみたいだな」
「この部屋でも人面だったら私は引き返して倉庫で皆さんと一緒に待っています。もう付いていきません」
「戦力しっかりしろ。ジャック・アールグレイと一緒に待ちたいと?」
「止めてください! あんな男と一緒に待って居るぐらいなら立ち向かいます」
「どっちなんだ?」
「ジャック・アールグレイと一緒になりたいのです。あの詐欺師みたいな奴と同列に比べられると心底嫌なのです! 分かります!?」
まあ、分かるとは思うけど、俺の場合はジャック・アールグレイは天敵だから。
お互いに天敵で俺達はお大概に嫌がっている。
「元々お二人は対峙して出会ったのでしたね。良く今みたいに共闘していますね」
「この戦いが終わったらまた対峙する関係だけどな。俺の目の前で犯罪行為をしていたら即刻倒すけど。今は協力する必要があるから耐えるけどさ…」
「そうですね。ソラ。その時は私も読んで下さい。アメリカ合衆国という国を総動員して手伝います!」
「お前達は仲が良いな…まあ俺も自分の周りで何か悪さをしていたら協力するけどな…プテラノドンは俺達に敵意を持って居ないようだな」
「殺気でも感じたんじゃない? 俺達皆強いしさ…」
あのプテラノドンは殺気を感じることも出来るのか、なら殺気のティラノサウルス擬きみたいな奴にも持って居て欲しかったけどな。
というかこのフロアの生き物たちは先ほどの生き物たちのような異様な再生能力を持っていないと言うのが分かる。
なら先ほどのフロアを徘徊していたのはアクトファイブが配置していた生き物と言うことになる。
「人面生き物なら技術都市なら買い取ろうとするんじゃないのか?」
「止めてください! 本当に買い取ったら私はそれを全滅させる為にそこに向います」
「でも…そこにも人面生き物達に遭遇するんだよ」
「なら帰ります。さようならって叫んで帰ります」
「どっちなんだ…ツンデレとは言えないぞ。それは頭がおかしい奴だ」
「その時はソラに依頼します」
「嫌だよ。俺の身や一般人に危険が無いのなら俺は討伐しないぞ…ギルフォードに頼めよ」
「俺も嫌だな。面倒だし。レクターに頼め」
「ええ…面白そうな生き物だから嫌だ」
「レクターにも頼みたくありません。なんかこう…気持ち悪いですし」
レクターがショックを受けて項垂れているのだが、それをアンヌが気にかけているが俺は内心「無視すれば良いのに」と思ってしまう。
どうせあっさり復活すると分かっているんだ。
「まだまだ掛かりそうですね。いっそのこと襲ってきてくれれば助かるんですよね。どうして私達が敵の渦中へと向っていかなくてはいけないのですか?」
「それは敵が動かないからだな」
「ソラはそういうことに不満は無いのですか?」
「無い。事態を早急に解決する必要があるのならこっちから向う必要があるしな。単純な戦いならそれもありだけどな」
戦うという事はそういうことだし、何よりも俺が成ろうという兵士はそういう人種だと思うし。




