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天を目指して 4

 騎士の攻撃パターンは一つだけ、接近した物体に問答無用の剣による斬りつけ攻撃とそこから繰り出される拡散斬撃攻撃だけ。

 しかしこの攻撃速度は正直所見殺しみたいな速度になっており、正直に言えばその攻撃速度自体は俺とケビンなら避けられることも無いが、少し遅めに襲ってくる拡散する斬撃攻撃が面倒なんだ。

 まずは手始めにと俺とケビンが猛ダッシュで接近していくと、騎士は剣を振り抜いてきたその瞬間俺とケビンはしゃがんだりジャンプしたりと回避したりすると、皮膚に襲ってくる撫でるような錯覚がやって来て俺とケビンは体全身を捻ったりして攻撃を回避するのだが、その場に留まろうとすると次の一撃を繰り出してくる。

 おいおいやっぱりこいつ自動で攻撃するように設定されているのか。

 逃げ決めを阻止するためにも襲い来る斬撃に対して俺は風で纏わせた一撃で斬撃にかぶせて勢いを相殺させる。

 ケビンは襲い来る斬撃の拡散攻撃を無視するように光線を騎士に向って放ち、俺は拡散攻撃を相殺させる為に何度も何度も剣を振り回して相殺していく。


「竜撃! 風の型! 風見鶏【拡散】」

「レーザービーム! 打ち抜きなさい!!」


 俺達の攻撃を騎士は体全身で受け止めており、それでも騎士は全身からオーラみたいな見えない何かを発しており、片足を後ろに下げてから右手で剣を握りしめながら力一杯振り抜こうとしている。

 ケビンがレーザービームで攻撃を加えようとしているのだが、それを騎士の一撃が相殺し合うのが見えた時俺は両手で剣を握りしめて大きく跳躍してから光を纏った一撃をケビンのレーザービームに重ねるように攻撃する。

 騎士の剣が次第に溶解していくのだが、まるでそれを上回るようにオーラみたいなモノが剣を纏っていく。

 自動で敵を駆逐するだけの存在にどうして此所までの強い意志を纏わせているのか俺にはまるで分からなかった。

 俺とケビンの全身の筋肉から悲鳴が出そうなほどの痛み、同時に押しきられて溜まるかという意志で押し返そうとするのだが、同時に後ろではギルフォード達が手伝うかどうかで少しだけ悩んでいた。

 すると俺の背中に違和感を覚えつつ俺は全身の力で押し返そうとする。


「ソラ。今は目の前の剣を破壊する事だけに集中するんだ」


 師匠の声が聞こえてきて俺は不思議と力が内側から溢れて出てくるのだが、それでも押し返すには不十分だった。

 しかし、それで良かったのだ。

 騎士の後ろに回り込んだ父さんが力一杯大剣を振り回して騎士を破壊してしまった。


「父さん? どうして此所に?」

「? お前達が教えてくれたんじゃ無いのか? この騎士はミイラを活用したのか…」


 父さんの言うとおり騎士の中から男性のミイラが姿を現しており、俺はそれを複雑に見守ることしか出来なかった。

 このミイラに宿った強い信念が未だに騎士の鎧を動かしていたのだろう事は想像に難くない。


「て言うかどうやって此所に辿り着いたわけ?」

「? そこの壁からこう…破壊して?」


 俺達の目は直ぐそこにある大きな壁の穴の方に目を向けてしまう。

 雨がそのまま入り込んで居るその大穴に俺は見覚えている気がして俺達はケビンの方をジッと見つめるとケビンは「なんですか?」と声を漏らす。

 この人達はどうして正面からやってくるという当たり前が出来ないのだろうと頭を悩ませていると、父さんは周りをキョロキョロさせながら何かを探していた。

 一体何を探しているのか分からず俺はふと訪ねた。


「何を探しているわけ?」

「階段はどこだ?」

「? 無いよ」

「??? ではどうやって上の階に昇っていくんだ? 壁を登っていくのか!? お前達はそんな事をしているのか?」


 この人は俺達の姿とこの部屋の惨状を見て外から昇って一々中に入り込んでいると思っているのか?

 まあ外から昇っている方が早そうな気がするのだが、俺としては濡れたりするのが嫌だった。

 俺はドアを指さして「入ってみれば」と言って見ると父さんは興奮しながらドアを潜って入って行きそこから一分が経過して父さんが戻ってきた。

 大興奮で。


「凄いぞ! ドアを潜った所で上の階に移動した! どういう仕組みだ!? これは各国で検討する余地があるな」

「部屋そのものに仕組みがしてあるんだぞ。て言うかそれってエレベーターで良いんじゃ無い? 上の階に昇る度にそのドアを探さないと行けない手間を考えればエレベーターの方が楽じゃ無いか?」


 不貞腐れている父さんを無視して俺は次のフロアへと進んで行き、ドアを潜った所で俺は足を止めて唖然とした。

 周りはまるで天空城と言うべき風景の場所、その端っこにドアが備え付けられており、空中庭園と呼ぶべき場所では水の音と木々の間から漏れている光だけがそこにある。

 入ってくる皆も同じ意見だったようで皆立ち止まって一旦フロア中を見回す。

 師匠は背中におり俺に向って「ソラエコーロケーションを使え」と訴えてくる。

 俺は言われたとおりエコーロケーションを使ってこの部屋中を探っているのだが、どうやらこの部屋は五階まで吹き抜けになっているようだ。

 多分ドアを使ってでも上の階に進む事が出来るようだが、階段を使った方が良さそうな気がする。


「この部屋は五階まで吹き抜けになっているようだ。階段を使って上の階に昇ってみよう」

「ええ! 飛べば良いじゃん!」

「どこに壁があるのかお前にはハッキリと分かると? エコーロケーションを使って居る俺はともかくとして、言っておくがこれ結構複雑な作りになっているんだぞ」

「ソラ! 僕飛んでみたい! 良い?」

「良いよ。ただし俺から離れすぎないようにな」


 ブライトは「やったー!」と喜びながら大はしゃぎで飛んでいき、綺麗な水面を覗き込むように飛んでいる。

 水路の隣を歩いておりアンヌはふとしゃがみ込んで水路に放たれている魚たちに愛情を持って接していた。

 て言うかこの魚は普通に生きているようだが、どうしてこの部屋は生き物を普通に放っているのだろうか。

 よく見ると少し遠目に見える森のような場所には鹿のような生き物が徘徊している様にも見える。


「ここは生き物が徘徊して居るためにフロアとして広めに造られているような気がするな。鹿が見えるし…魚だって生きているような気がする」

「そうだな。ここならキャンプぐらい出来そうな気がする」

「するのか!? やっちゃう!?」

「俺は嫌だよ。父さんとキャンプ。キャンプ場でやりたい放題してから興奮してはしゃぎ回って恥ずかしかった」


 通信機越しに奈美の「私も嫌」という声で不貞腐れる父さん。

 師匠は「お前はそんな事を…」と呆れていた。


『て言うか私達もそこに行きたい!』

「我慢しろ。全部が終わったらここに来れば良いだろ?」

「ソラ! これも魚!?」


 俺はブライトに呼ばれてしまったのでそっちの方を見てから愕然とした。

 と言うか俺の目の前には二メートルを超えた魚が普通に深そうな水辺を動き回っているのだが、これはこの世界の生き物なのだろうかと不思議な気がする。


「魚…多分な。あまり近付くなよ。食べられるかもしれないから」

「はぁい。…? ねえソラ。あれは熊?」

「熊まで徘徊しているのか。結構でかいな…あの熊」


 俺達は対岸にいる二メートルを超える熊は水面に近付いている熊はその二メートルを超える魚を片手で打ち上げてそのまま加えて森の中には言っていく。

 食物連鎖は恐ろしいと俺達に身をもって教えてくれた風景でもある。


「ソラ…ああいうのを食物連鎖って言うの?」

「そうだな…食べて、食べられてこの自然界は成り立っているんだ。だからエアロードの後ろから涎を垂らした熊が現れても驚かない」


 俺達は皆溜息を吐き出した。


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