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ロシアを目指せ 9

 竜結晶は大きなケーブルで柱を中心に広がっており、電力は恐らくこの天幕に備え付けられている砲台や防衛設備の為に使われているのだろうが、当面の問題は俺達の後ろに立っている機械で出来たゴーレムという名の化け物の相手をしないと行けないだろう。

 ケーブルや鉄で出来ているような姿の二メートル半を超える化け物が俺達を見下ろしており、どう考えても俺達に対して敵対的な反応をして居るように見える。

 右腕を振り上げて俺達の頭上から振り下ろそうとするので、俺達はダッシュでその場から離脱すると、このゴーレムの右拳は深く突き刺さっているが、ゴーレムは突き刺さった右拳を振り抜き様に俺に向って鉄の破片を飛ばしてきた。

 俺の方に飛んでくる鉄の破片を俺は緑星剣を召喚して切り裂き、同時にギルフォードは双剣に黒い炎を灯らせてからゴーレムへと接近していく。

 ゴーレムは左拳でそれを阻止しようとするのだが、それをケビンのシールドが突き刺さって妨害した。

 レクターがゴーレムの背中から強打攻撃をお見舞いし、海が右足の関節を狙って水平に斬りつけると、ゴーレムは前のめりに倒れていき、トドメとばかりにギルフォードの一撃がゴーレムを真っ二つにした。


「ハァ…さてと…次の柱はどこだ? 幾つか道が広がっているけど」

「ソラ。あそこです。ほら、少し遠くですが薄らと柱が見えています。そして、下には…検問と思われる場所がありますし。間違いが無いでしょう」

「そのようだな。途中でコウモリやネズミが変異したと思われる存在が徘徊して居るし…」


 ギルフォードの指摘通り天幕の下に網目のように広がる通路にはコウモリやネズミがヘにした存在が徘徊して居る。

 俺は一瞬この竜結晶の装置を止めるべきかとも思ったのだが、よく考えて止めておくことにした。

 すると海が装置を見て居る手を一旦止めて俺達の方を見る。


「これを止めると通路などに備え付けられているエレベーターなんかも止まるみたいだ。やめておいた方が良いですね」

「この辺り一帯の地図を見る限りですと。どうやらこの通路は基本三階構造になっていて、エレベーターでの上下移動が基本のようです」

「え? あの上に伸びているケーブルを這って登っていけないの?」

「レクター…お前はお猿さんみたいな事をしたいのか? 言っておくけど、この高さだぞ、一瞬でも選択を間違えたら即死だからな」

「ええ…皆嫌?」


 エアロード以外は皆「嫌」という顔でレクターを見るのでレクターはすんなり諦め、俺達は手元のスマフォに海が先ほど手に入れたマップを反映させてから出発することにした。

 通路はしっかりとしており、下を覗き込まなければ大丈夫な気がする。

 そして、下を見たら大丈夫じゃ無い気がするので誰もみようとしない、レクター以外は。

 レクターは下を体事覗き込んでははしゃぎ回っているのだが、それを見て居たケビンが物凄い嫌そうな顔をして若干引く。

 ギルフォードとダルサロッサはもはや視界に入れないようにしているのだが、俺は速やかに止めて欲しかったので「レクター。危ないから止めろ」と忠告を発する。

 するとレクターは「はぁーい」と言いながらとりあえず引いた。


「でもさ。こんな高さの場所を歩く事なんて中々無いよ! これて帝国製の要塞城以来でしょ! 俺一回行ってみたかったんだよね」

「別に私達はその帝国の要塞城に移動しているわけじゃありませんよ? 一緒にしてはいけないでしょう」

「良いじゃん! それに聞いた話だと帝国の要塞城も規模が違うだけでこんな感じみたいだし…城や街を要塞としての機能で覆っているって」

「ああ。あの化け物要塞のことか…」

「ギルフォードさんは知っていたんですか?」

「ギルフォードで良い。海だったか? 君は少しばかり丁寧過ぎる気がするな。ああ。聞いたことがある。帝国がずっと前から開発している要塞として見るなら間違いなく皇光歴側では最大規模の要塞だと」

「下に街があるっていう話だったな。こんな感じの規模なのだとしたら観光は無理なんじゃ無いか?」

「そんな事無いもん! 出来るって聞いたことあるもん。師匠に「行きたい」って昔頼んだから「嫌」って答えられたもん」


 この場合のレクターの師匠はサクトさんで、そのサクトさんが「難しい」や「後でね」ではなく「嫌」と端的に断っているアタリ、その場にいたら何をしでかすか分からないからだろう。

 それはここに居る全員が何となく分かってしまう事で、レクターならこの場所に辿り着いてはしゃぎ回りそうだ。

 実際レクターははしゃぎ回っているし…。

 海が下の方をそっと見ると、俺達が辿り着いた村が見えていた。


「もしかして高い建物を造らずに村のような規模にしているのは、この天幕に届く建物を造って欲しくないからじゃ?」

「あり得るな。いくら天幕を高く建ててもそれに届くようなビルを造られたら困るだろうし、何よりも山岳地帯などでは山を登って辿り着けるからな。下手な建物で登られたら困るだろうし」

「村にして検問を強いて隔離しつつ下手な行動を阻止しているのでしょうね。先ほどの村にはボートもまともにありませんでしたし、よく考えるとあの出入り口もメンテナンスをするための人をここに送り込むための出入り口なのでしょう」

「フン。柱を造る場所も選んでいそうだな。竜結晶の装置一帯はゴーレムで防衛出来るが、それ以外の所は自然発生するコウモリやネズミが魔物徘徊して居るからな」


 皆で話しながら歩いていると、俺は周囲の手すりや床をチェックしながら歩いていた。

 すると俺の足並みだけが若干遅いことに気がついたケビンが近付いてきて「どうしました?」と訪ねてきた。

 俺は一旦足を止めて周りをチェックしながらケビンに話しかける。


「戦闘痕が無いなって思ったんだ。ケビンは知らないかもしれないけど。魔界と呼ばれている場所は基本魔物が増殖する為定期的に掃討するんだけど。この辺りにはそんな痕跡は無いだろ?」

「そう言えばそうだな。俺も直接は見たことが無いが、魔界は定期的に行うという話しだし、それをしないと魔物が周辺の村々を襲い始めるからな。ここにいるネズミ型はともかくコウモリ型は下の村に降りるぞ」

「生物型だし、何よりも自然発生した魔物までコントロール出来るとは思えないから、放置しているんだとすれば…これは定期的に下の村を襲っているって話じゃ?」


 それともコウモリ型は下の村へと降りているのか、村の人達はそんな中で生活をしているのか?

 少し広がった場所にはネズミ型やコウモリ型がウロウロしており、特にネズミ型はザッと見ただけで二十はいるだろう。

 まずはと俺と海が地面を強めに蹴って近付いていき、ネズミ型を海が俺はコウモリ型を風の型で切り刻んでいく。

 ネズミ型は俺達を囲むように配置していき、コウモリ型は急いで空を飛んでから俺達から距離を取り始めるのだが、コウモリ型にケビンの銃攻撃の憂き目に遭ってしまう。

 レクターは海の背中に襲い掛ってくるネズミ型を力一杯殴りつけ、俺の後ろから襲い掛ってきた奴はギルフォードが燃やしてしまう。


「エアロードとダルサロッサはケビンの援護だ。確実に始末するぞ! 特にコウモリ型だ。こいつは下手をすると下の村に被害が行く可能性がある!」

「ええ。下に降りそうな奴は私が先に仕留めますから、もしそっちに近付いていったら対処お願いします!」


 ケビンは銃弾による攻撃をコウモリ型に浴びせていき、コウモリ型が外に出て行かないように攻撃に気を使い始める。

 俺達の目的地まではまだまだ遠そうだった。


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