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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
シーサイド・ファイヤー《下》
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前夜祭 2

 第七島飛行場という名前の空港の一角、大きく開いたスペースに前兆全長だけでもジャンボジェット機の1.5倍、翼はジャンボジェット機のように大きく突き出していない。

 これには理由があり、飛行機のような移動方法を取らない飛空艇は、浮くこと自体は浮遊機関と呼ばれる機関で可能、なのでこの場合左右に伸びる翼は単純に機動力に使われる。

 通常の飛空艇は其処まで大きな翼を持たないが、戦艦などでは素早い移動が求められるので大きな翼に大きなスラスターなどを装備されている。

 今回は速度と機動力に重点が置かれており、火力や搭載機の数は度外視されている為、基本は細長く作られているが、この機体最大の目玉は魔導協会と技術大国、ガイノス帝国、日本とアメリカまでが協力する形で急ピッチで完成した『高速機動飛行戦艦』である。

 その側面にはウルベクト家のマークが描かれている。


 その大きさに俺自身が首を痛めるのではなんて思いをしながら真下から見上げ、エメラルドグリーン色に染め上げられた機体色、左右に大きく伸びる翼のデザインは日本とアメリカの共同制作。

 新型エンジンも班永久機関を繋げた最新鋭で、単機でゲートを作り突破できる造りになっている。


 一件オーバースペックかと思われるだろうが、この機体には肝心の火力は主砲とミサイルだけになっており、格納できる機体もウルズナイトは三機、戦車は六機だけとなっていっる。

 そんな飛空艇が本日『仮』ではあるが完成したので持ってきたらしいが、俺の読みでは聖竜から予言を聞いた機竜がシャドウバイヤの呼びかけに応じて寄越してきたと予想している。


 飛空艇には合計で三か所ほど出入り口が用意されており、一つ目は左右に備え付けられた通常出入り口、二つ目は前方下部に備え付けられている甲板デッキ、三つ目は荷物や機体などの格納するための出入り口で三つ。


 右側出入り口からジュリが顔を覗かせ、「ソラ君!」と呼ぶので俺はジュリと一緒に艦内の会議室へと足を踏み込んだ。


 父さん、ジュリ、レクター、イリーナ、奈美が左側に。

 エルモードさん、ケビンさんの順に並んでいる。


 取り敢えず部屋に入ってすぐに気になったのは長机の一番端が空席になっている事、会議室の端で竜達が奇妙なやり取りを繰り広げている事。

 取り敢えず何故一番端の偉そうな席が空席になっている理由を尋ねてみた。


「何で一番端の席が空席なの?」

「?お前が竜達の旅団の団長なのだろう?ならお前が一番端の席に座るのが妥当だろうという結論なのだが?」

「父さんが座ればいいんじゃない?この中で一番歳食ってるわけだし……」


 父さんからすごい目で見られたので黙って座る事にした。

 この際偉そうに座ろうという嫌な見栄を張り、座った後に少し離れた場所で行われている奇妙なやり取りを見つめてみる。


 シャドウバイヤが焼き鏝の先を四人の竜に向け、ヒーリングベルとシャインフレアとヴァルーチャはエアロードを前面に押し出そうとする。

 ちなみにシャドウバイヤの背中には見慣れない竜と船のマークが描かれている。


「あれ何?」


 俺が五人の竜達の奇妙なやり取りを指さし、それをジュリが苦笑いしながら答える。


「えっと。魔導の鏝でマークを付けるつもりらしいんだけど………エアロード達は痛そうだからって誰かをテストにさせようとしてああなったの」


 成程………焼き鏝と言えば熱く痛いというイメージが強いからなぁ、見たことの無い物ならなおさらだろうし、何よりそれを持っているシャドウバイヤの顔は実に悪そうな顔をしている。


「何故私がテストしなくてはいけないんだ!? お前達がすればいいだろう?何よりシャドウバイヤ!何故お前はそんなに楽しそうなんだ?」

「痛くないといっているだろうに」

「お前確か痛みをシャットダウンできただろう!?」

「お前……そんな千年以上前の話よくも覚えていたな」


 千年以上前のしかも何代か前の話をよくもまあ覚えていたものだし……というか、そこまでして信頼が無いのだろうか?

 まあいいや。

 あの調子なら当分はあのままでいるだろうし。


「さて………敵はこの海洋同盟の地下に存在している巨大なエネルギーを第一島に集中させようとしている。そのエネルギーは現在第一島の結界に使われている。という事だけ分かっているんだ。問題はその結界を解く方法」

「ソラ。お前それが分かるのか?」

「ああ、このカードに書かれているんだ」


 俺が一枚のカードをポケットの中から取り出し、それをテーブルのど真ん中目掛けて投げる。

 そのカードを本流のリーダーであるエルモードさんは覗き込み、父さんがそれを拾うのだが、父さんの目つきがひときわ厳しくなる。


「この情報は信頼できるのか?」

「分派のリーダーであるフォードは俺達を争わせたいとシャドウバイヤと一緒に睨んだ。その目的がイマイチ読み切れなかったけど、たぶん魔王に関する狙いじゃないかと呼んでいるんだ」

「魔王とはこの海洋同盟に伝わる伝説ですか?」

「ええ………ここからは完全に俺とシャドウバイヤの予想という事になりけど、たぶん魔王はもう復活していると思うんだ」


 この場にいる多くの人間の表情が引き締まる。


「魔王デルスロードは既に復活しており、恐らくフォードと手を組んでいるんじゃないかと予想しているんだ」

「その根拠は?」

「一年前。ドラファルト島の悲劇が起きた際漣の槍が紛失している。これが魔王の復活になったんじゃないかと」


 俺の言葉にエルモードさんが立ち上がった。


「フォードが魔王という線はありませんか?彼が魔王に乗っ取られているとか?」

「ありえません。フォードが行方が判明した段階で既にドラファルト島の事件が同時進行で起きていたはずです。でも、実際はギルフォードと分派が争っているタイミングでフォードが割って入っている」


 そういう話だったし、その同時進行で恐らくはドラファルト島事件が起きていたはずだ。それでなくてもほとんど僅差のような時間ですり替わりが出来たとは思えない。


「でも、何故それでフォードと魔王が繋がっていると推測できた?」

「フォードは数日行方不明だった。それが俺がおかしいと思う切っ掛けだったんだ。分派が数日後に本格的な作戦を実行するという前に行方をくらませるなんておかしいと思った。それにドラファルト島の一件をフォードが知っていたんなら、もっと違う作戦があるんじゃないかって」

「フム………しかし証明としては弱いな」

「別の理由があるんだけど………それは少し言いずらいというか、伝えずらいんだ」


 何せ俺の感覚の話だから。

 フォードは人間じゃない。

 それはシャドウバイヤも納得してくれたことだし、その上で考えられるもう一つの最悪の結末。


「フォードと魔王が繋がっているとして………何が目的なんだ?お前の言い方だと第一島にエネルギーを集めるのが理由じゃないよな?」

「うん。魔王の目的はそのエネルギーを手に入れたい。その理由までは分からなかったけど……多分千年の眠りは本人に意外と力の衰えを与えたんだと思うんだ。それの為には鏡が邪魔になる。だからフォードは俺達に鏡を破壊させつつ、魔王が力を手に入れるまで時間を稼ぎたい」

「で?ソラ君はどうするつもりなの?」

「鏡を破壊しないと第一島に乗り込めない。その為にも第二島~第十六島の寺院を誰かが破壊する位しかない。そして、このカードには第二島から第六島まで幹部が集まっているらしいから」


 俺達の前に立ちふさがる五人の幹部。

 レクターとケビンさんとイリーナと奈美が偉い目つきを変えていた。


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