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ベルリンの戦い 9

 結論として敵が拠点にしている場所は二カ所という事がわかり、特に主要拠点はレクターとエアロードが探っている場所であり、もう一方は追加で作った備蓄を蓄えておく場所であると推測できた。

 その規模を考えるとそれこそ戦車のような兵器こそ存在しないが、アサルトライフルや手榴弾などの一人でも扱える大概の兵器は用意されており、この規模を考えると一種のクーデターでも起こしかねない勢いがあるが、ここで問題なのはこれだけの武力を集めて何がしたいのかという事である。

 何処を調べてもそれらしい理由も見えてこなかったが、逆を言えばいつ動くのかもまるで分からなかった。

 襲いそうな場所なんて議会が在る場所ぐらいしか考えつかなかったが、クーデターで無かった場合何処で動くのかも全く見えてこなかった。

 エルメスさん達が集まってくるのを待って、俺達は店長さんにお願いし奥の隠しスペースを借りることが出来る事に。

 同時に師匠には一旦黙って貰うことにし、俺達は改めて席を囲んで話し合うことになったが、エルメスさんでも何処で何時動くのかが分からない以上動きようが無いというのが結論だった。


「本人が何処に隠れているのか分かればこっちから出ることも出来るが、二カ所の拠点中を探し回っても分からなかったのだろ?」

「ええ。少なくともエアロードが隠れて探し回ったそうですが、見つかりませんでした。エルメスさんのところも?」

「ああ。他の人達も連絡は全て電話で、メールもしてこないらしいよ。海も手伝って貰ったから間違いない」

「僕はパソコンのデータを調べてみたんですけど、メールもSNSも使わないらしく、電話も会社に使われている古いタイプの固定電話のみだそうです」


 徹底してんな…と思う一方でこの対応の仕方でどれだけ他人を信用していないのかが良く分かる。

 よく考えるとゾンビにして操ると言う事はいざとなったときに信用できないからで、どうでも良い場合のみしか生身として放置しない。

 通信や連絡役などでは生身の人間がいるので放置しているのだろうが、恐らくいざとなったらゾンビにして操る事が出来るのだろう。

 そして、あの列車で使った目を使って多くの人間を同時に管理しているに違いない。


「無論広範囲を同時に視認したらバレるので、その人の身の回りにある携帯などに目を仕込んでいると見ても良い。これらの状況から見ても敵は相当警戒心の高い人間のようだ」

「ですね。データもあくまでもぱっと見は関係の無い書類として片付けているし、何よりもコンテナを格納している場所も特に怪しい所は無かったですもんね」

「どこに居るのか分かれば良いんですが。会社の人達の会話を聞いている限りですと、どうやら携帯電話も持って居ないらしいです」

「うわぁ…面倒臭そうなタイプだな」


 レクターがマフィンを食べながら心から言葉を吐き出し、それにエアロードが同意するように何度も頷く。

 言いたいことも分かるので困った物である。


「はぁ…動くのを待つしか無いのかな? それって滅茶苦茶時間が掛かる上下手をすれば数日ぐらいかかるよな? 最悪イギリスとフランス方面の戦いが先に終わるぞ…」

「その場合はそっちの彼らに此所を任せて君達は彼らの拠点を探した方が良いだろうね」

「それはそれでな……放置したくないという気持ちがな……仕方ないから今日はホテルを探そう。異世界連盟の人達にこの情報をリークして…と」

「駅前にしますか?」

「で良いんじゃ無いか? 何で移動するのか分からない以上目印になる分かりやすい場所が良いと思うし…」


 エアロードがマフィンをひたすら食べているのをサンダーグロスがやって来て白い目で見ていたが、どうやら視界に入れないようにしたらしく追加注文したであろう新しいポテトを俺達の席に置く。

 多分注文下のは後ろでひたすら食べているエアロードとレクターだと思うが、サンダーグロスはあの二人に関わりたくないのだろう。


「真面目を信念にして居るサンダーグロスさんからすれば不真面目で適当に生きているエアロードさんが嫌いなんだよ」

「ブライト君は笑顔で凄い事を言うね。私は君は無邪気で普通の子なんだと思って居たけれど、君は無邪気なだけで喋る言葉は悪意が詰まっているね」

「エルメスさん。ブライトは無邪気と言うだけあって基本悪意とか善意が無いんですよ。思った事をそのまま喋っているだけですし」


 ブライトに悪意とか善意等という言葉存在しないのだ、あくまでも思った事をそのまま喋っているだけでそれ以上もそれ以下もない。

 それが時に人を傷つける発言でも躊躇すること無くハッキリと告げるので時折発言にハラハラさせられる。

 案の定エアロードはブライトの言葉に反応し噛みつく。


「不真面目で適当とは不本意な。私は自由に生きているんだ…」


 エアロードの言葉にサンダーグロスは鼻で笑うという行為で返し、物凄く見下した目でエアロードを見るサンダーグロスだが、そんなサンダーグロスへと睨みで返すエアロード。

 何というか…相性が悪いな。


「真面目なサンダーグロスと不真面目なエアロードか…もとより雷と風は対立しがちだけど…あれは典型的なパターンのようだな」

「あれが真面目すぎるのだ! あんなガッチガチな真面目な生き方をしていたら早死にするんだぞ!」

「自由に生きているという馬鹿な生き方をしている方が早死にすると思うぞ…ほんと馬鹿なんだから…」

「貴様!! 私を怒らせたらどうなるか教えてやろう」

「叫ぶと言うことは図星という事で良いのかな? お前は困ったことになったら叫んで誤魔化す傾向があるし」


 顔を真っ赤にしてサンダーグロスへと向って殴りかかろうとするのを俺が妨害し首を掴んで拘束する。

 サンダーグロスは最後に鼻で笑いながら去って行く。


「さてさて…私達もホテルを探そう。何か起きるまでは休んでいるべきだ。もうそろそろ夜も更けていくだろうしね」



 俺達は駅前の豪華なホテルを事前に予約してくれていたガイノス帝国名義で入り込み、俺達はVIPが使用するようなレベルの豪華な部屋を与えられ、正直引いた。

 エルメスさんも無表情になってしまうぐらいの衝撃だったようで、小さく「流石帝国だね」と呟くが、一帝国国民を代表して言わせて貰うがこれが帝国流だと思われたら物凄く不本意だ。

 基本は個室になっているが、俺はジュリとブライトと師匠と一緒に寝ることにし、部屋には行っていく。

 廊下を通り過ぎて広いリビングのような部屋と左右に分けてある部屋には豪華なベットが備え付けられていた。

 豪華な飲み物や食べ物が入っている冷蔵庫、シャワールームやトイレなど内装が滅茶苦茶豪華でこんな馬鹿げた部屋を予約注文する金銭感覚が食らっている馬鹿な人を俺は一人しか知らない。


「父さんめ…あの金銭感覚が狂った大人が…」

「アベルめ…あの金銭感覚が狂った馬鹿野郎が…」

「二人とも落ち着いてください。殺気を隠して…ね? アベルさんもよかれと思って…きっと皆が喜ぶと思ったから……だと良いですけど」

「凄いね! フカフカだよ! わぁい!」


 ブライトはベットに飛び乗ってからクルクルと回転していると、俺の方を見て疑問を口にした。


「サンダーグロスさんは誘わないの?」

「各々の生活が在る者を無理に誘ったりしない。俺は竜達にも新しい生き方を模索して欲しいと思っている。だからこそ俺はエアロードの今の生き方を強引に変えたりもしない。サンダーグロスがあそこで真面目に働きたいと思うなら俺はそれでいいと思っているんだ」

「竜と向き合い続けてきたソラ君だからこそ出来た結論かもね。私達じゃどうしてもそこまでは考えられないから」


 俺は「そうかもな」と呟いてからソファに座り込んだ。


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