薬品管理センター攻防戦 11
シャドウバイヤと共に火災で酷い状態の管理センター内に入り込む、燃え続けて施設内に足を踏み込んだ瞬間に酷い匂いが鼻孔にダメージを与える。
咄嗟に口元を抑えて匂いを避けようと試みてみる。
「この火災を烈火の英雄が起こしたと思うか?」
「いや、どうだろうなぁ。火災自体は別段起こせないわけじゃないしな。爆発だって薬品に引火すれば簡単に引き起こせるしな」
「確かにな。で?問題は敵の目的が何なのかという事だ。烈火の英雄が居ないなら別に火災でなくてもいいと思わないか?」
「まあな。そうは思うが……実際問題それに対する証明が出来ないとは思わんか?烈火の英雄が引き起こしたという証明も無いしな」
まあ、烈火の英雄が起こしたという証拠もない事だし、ここで意味の無い議論をするつもりも無い。
まずは火災の原因を探ろうか。
この作戦に反政府組織が関わっているなら間違いなく指揮をしている人間がいるはずだ。
火を避けるように施設の中を手当たり次第に探っていると、管理センター内の地図を発見した。
複雑に構築されている建物、薬品用の植物を管理している植物園、薬品開発を担当している区画、ウイルスや病原菌の調査を行っている区画まで存在している。
「さて……俺が反政府組織の立場なら何を目的にしているかを考えればいいんだろうが……」
「テロリストの考えを理解できるのか?それ自体が……何というのだったか?確か……サイコパス的な考え方ではないのか?」
「勝手な事を言うんじゃない。俺はそんなことを言った覚えはないぞ」
しかし、そう考えた方が簡単なような気がするんだよなぁ。
「植物園。いや……違うだろうなぁ。なら火災を引き起こした時点で殆ど成功したも同然だろう。俺達がここにやって来たからと言って鎮火が出来るわけじゃない。そう考えるのは流石に無理があると思う」
「そうだな。私達が鎮火できると考えているのはおかしいとは私はそう思うよ」
本来鎮火するという事は相当の労力を世する作業だし、いくら魔導機を活用したとしても簡単にいくことじゃない。
それをただの学生に任せるというのは酷な話なはずだ。
「火災そのものには目的が無いか……」
「いや、どうだろうなぁ。火災が実際起きている事が偶然だと思えないぞ。それこそこんな施設を攻撃するのに火災を選んだのは何か理由があるはずだ。それこそ火災で何かをしたかったとかな」
となるとこの火災自体に理由がある。
そうなってくると一番可能性が高い所でセキュリティを落とす事が一番高い可能性かもしれないな。
この中で一番セキュリティが高い所を探した方がよさそうだ。
三階の北側にセキュリティでガッチガチに固めてある部屋がある。
「ここに行ってみるか。三階から行けるこの政府が管理しているデータベースに入る事じゃないか?よく見るとここと植物園は火災対策がされているし、セキュリティそのものを解除するだけなら火災だけで十分だろうな」
急いで三階までの非常階段を上っていき、火災が酷い廊下を強引に突っ切っていくと目の前に強固な鉄の両開きのドアが沈黙していた。
「強引に開けた痕跡は無し。烈火の英雄なら多分これを強引に破壊しただろうな」
「なら、奴はやはりここには来ていないという事になるな」
俺はドアを触れてみると、鍵自体は開いているようで力一杯籠めれば何とか開けられないことも無い。
しかし、ドア自体がとてつもなく重く俺一人が力だけで開けるのは少々無理だ。
「強引に破壊するしかないな。ブレスで破壊できないか?」
「エアロードなら小型でも可能だろうが、私がこのドアを破壊しようとすれば本来の姿に戻る必要があるな」
ここは竜達が本来の姿に戻るにはここは狭すぎる。
なら俺がここを強引に破壊するしかないだろう。
「シャドウバイヤ俺の体を支えていてくれないか。さすがに相手が鉄のドアでは破壊する前に俺の体が吹っ飛んでいきかねない」
シャドウバイヤは俺の体を背中から押し出す。
俺は緑星剣を召喚し剣先を真直ぐ鉄のドアの境目へとまっすぐ向け、緑星剣に力を籠め始める。
緑星剣が淡いエメラルドグリーンの光を放ち始めたタイミング、俺は剣を目に突き出す。
「刺殺の束!」
緑星剣から夥しい数の剣が増えていき、ドアに衝突する。
流石に鉄製のドアを破壊するにも強固な鉄のドアに衝突すれば、俺の体の方が先に吹っ飛んでいきかねない。
後ろからシャドウバイヤが支えているお陰で俺の体が吹っ飛んでいく事だけは塞いでいるが、正直鉄のドアが固すぎて中々破壊できない。
ドアから軋む音が聞こえてくるのだが、破壊するにはもう少しだけ力を込めた方がよさそうだ。
力を込める度に緑星剣の光が強く変わっていき、緑星剣から伸びる剣の束が一つに変わっていくとそれは今度は白銀の光へと変貌していく。
「ソラ?何をしているんだ?」
「分からない。力を込めているだけなんだが………竜の顎か?」
「いいや、違う。これは『太陽の鏡』の方だろう。ようやく体に馴染み始めたようだ。力を抜け!」
俺は緑星剣を握る両手の力を抜き、同時に刺殺の束が白銀の光の粒に変貌した。
「あれは?あれも太陽の鏡の力なのか?」
「フム。太陽の鏡の唯一の力。鏡を粒子状に変貌させてそれで攻撃する。あらゆる熱を反射することができ。本来の使い方は熱エネルギーを反射の要領で集めて溶解させることだ」
「虫眼鏡と同じ原理か………」
俺の周囲を飛び回る鏡。
周囲の火災の熱で溶けてしまいそうだと心配している。
「これ溶けないのか?」
「溶けるぞ。溶けたらお前の体に戻っていき回復に専念する。その前に壊した方がよさそうだ。最大周囲には炎が集まっていることだしな」
鏡を操作するというのは非常に難しく、頭の中に想像すればいいだけなんだろうが。バラバラに動く鏡の粒子。
「なあ、コツを教えてくれよ!」
「知るわけないだろう。私の力でもないしな。聞くなら今からでも電話して光竜に尋ねればよかろう」
「お前テレパシーが使えただろう!」
聞かないふりをしているようにしているようで、一切喋ろうとしない。
俺は鏡の粒子が反射する光を一点に集めよう操作し、鏡が反射する光を一点に集めていき、集まっている鉄のドアにまるでレーザー光線のような溶解していく。
「ほう……あっという間に慣れていくな。大したものだ」
「黙っていろ!結構難しいんだ」
粒子状の鏡一つ一つを操作するのが結構難しく、いっそのこと一か所に集めて質量でぶつけてしまったほうが楽だ。
一つ一つをバラバラに動かすことが物凄く難しい。
ドアの施錠部分から溶解部分を上へと上昇させ、最後に大きな地響きと共にドアが前の方へと倒れていく。
鏡が限界を迎えたのか俺の右腕に帰っていく。
「はぁ……はぁ……物凄い神経を使った気がする」
奥は窓一つない廊下が伸びており、その奥に複数の柱のある広い空間が見えた。
大広間のように見える場所めざして俺達は前に足を踏み出そうとするのだが、その瞬間に俺達を大量のスコールのような大量の水が遅いかかる。
「防衛システムだな。ドアが破壊されたか、開かれた段階で温度計の温度が一定値までいくと周辺だけでも鎮火させるようになっているんだろう」
「ほう。人間というのは変わったシステムを考え付くものだ」
俺は緑星剣を握りしめながら前へと足を踏み出し、水たまりの廊下を歩いていると大広間に青髪の男性が直立不動で立ち尽くしていた。
「防衛システムを起動させたのは君だな?」
「あんたは美術館で見かけたよなぁ?」
大広間のような部屋。
俺の目の前にやばそうな男性が立ち尽くしていた。




