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エピローグ:号砲の先へ

 かくしてパリを落ち着かせた一行は事後処理とアクトファイブの残党の始末と追撃をやって来た異世界連盟からの増援に任せ、飛空挺でイギリス方面へと辿り着き、ケビン一行に一通りの説明をし終えたところだった。

 そんな時ケビンは「湊という女性は?」と訪ねてくるのでギルフォードは「後始末と頼み事」と言うのでケビンは渋顔になる。

 ギルフォードが何か嫌な事を頼んだのではと邪推するケビンにギルフォードは「変な想像するなよ」と忠告するが、言えば言うほど邪推が広がっていくケビン。


「さっき言ったろ。レインとシャインフレアがやけに『マンモルトルの丘』を気にするからそっちの調査を頼んだだけだ。まあ直ぐに連絡が来るわけじゃないし、明日にはメールが来るだろ…忘れてなければ」

「貴方はそんなにして彼女を馬鹿にするのですか? あれでも日本政府からの信頼を得た人間でしょう? 日本政府から使者の相手をしつつ貴方からの頼み事を熟す彼女の身になりなさい」

「そもそもはお前とレインがやけに気にするからだろ? 念の為に調べて居るだけだ…俺はついでで良いと言ってあるし」


 シャインフレアの言葉に直ぐに反応するギルフォード、空港内で遊んでいるレインを見ながら少しだけ安堵の息を漏らすが、未だに予断を許さない状況になっているのは間違いが無い。

 湊のお陰で容態が良くなっていることも間違いが無く、そういう意味ではギルフォードとしても感謝はしているが、どうにも彼女の前では素直になれそうにない。

 ジャック・アールグレイは「フン」と鼻で笑うのをギルフォードはギロリと睨み付け、ジャック・アールグレイはさっさと興味がなさそうにジュリに訪ね弾める。


「で? ソラ・ウルベクトから連絡は来ないのか?」

「はい。終わったらちゃんと連絡すると言っていたのですが、もしかしたら通信が届かない場所に居るのかも…」

「やられている可能性もあるぞ」

「空気読みなさいよ。貴方本当に金以外はどうでも良いんですね」

「君のようにアメリカのエージェントでありながら色々と気を回す正確には成れないさ」

「ジュリや周りの人の事を考えなさいよって言っているの。無神経にもほどがあるでしょう?」


 ケビンとジャック・アールグレイが軽く睨み合う状況が続き、アンヌはレインと遊びながら後ろで行われる殺気立つ会話をなんとなくで察知する。

 寒気を覚えるアンヌは驚きながら後ろを見るが、何なのか全く理解出来ず首を傾げてレインやアクアと遊び始める。

 そんな時アカシやシャドウバイヤがしかめっ面をするのが気になったアベルは二人に尋ねた。


「どうした? 何があったんだ?」

「それがね。ブライトやエアロードさんに連絡を飛ばしているんだけど…無反応なんだ。なんとなくで気配を感じるから生きては居るんだけど…」

「何か奇妙な事に巻き込まれていなければ良いが…いや戦場に居るから反応できないだけか?」

「そう言えばソラ達に送った定期連絡も完全に途絶えているな。何があったんだ?」


 ドイツ方面からまるで状況がやってこない状況に不安を抱きつつある一行、しかし何処に向ったのかがまるで把握できない以上ここから移動しようも無い。

 いっそ何か状況が分かる連絡や情報が分かるものが有れば良いが、それすら存在しない。

 ジュリはスマフォを握りしめながら心配そうな顔をする。

 そんなジュリを見てケビンが非難するような目でジャック・アールグレイを睨み付けた。

 ジャック・アールグレイはタバコに火を付けて誤魔化していく中、窓の外にレインが近付いていくのが見ていて分かったギルフォードは近付いていった。


「どうした?」

「ドイツの方から…物凄い量のエネルギーが集まっていくの……凄い…何でこんなに?」


 窓に両手を付けて顔をピッタリとくっ付けていると、ドイツの方向から光の柱が昇っていくがわかり全員が驚きの声を上げながら集まっていく。


「あそこに?」

「可能性はありますけど…駄目です。連絡が来ません。よっぽど切羽詰まっているみたいで…」

「行ってみるしかないな。全員飛空挺に乗り込め!!」


 飛空挺に全員が乗り込んだ所で少しずつ浮かんでいく飛空挺、するとブリッジで大人しくしていたギルフォードのスマフォが鳴り響き、画面にはデカデカと『湊』と書かれていた。


「? メールじゃなく通信? もしもし?」

『今どこに居ますか!?』


 切羽詰まっている声が最悪の状況なのだと理解させるには十分すぎた。



 湊はギルフォードからの頼み事を片付けるために一人マンモルトルの丘へと辿り着いたが、正直彼女は内心「どうしてウチが…」と思うだけだった。

 直ぐにイギリスに移動するという口実を言い訳にされた気がしたが、レインやシャインフレアが気になるという言葉自体彼女も気にはしていた。

 だからこそ先に片付けようとやって来たわけだが、夜中という事もあり人通りが全く無い丘の上は寂しさを感じさせ、同時に不気味さを醸し出しているのだが、別段怪談などが怖いわけではない湊はさっさと済ませようと丘の上を更に昇っていく。

 丘の上を一通り探ってみたが特に何もないと思っていると、そう言えば丘の上の時寺院を気にしていたとアベルから聞いていたことを思い出す。


「仕方ありません。あそこを最後に探ってみますか…」


 そう言いながら寺院に近付いていくと湊は地面に淡く光る紫色の文字のようなモノを発見し、疑いの目を向けながら近付いていくとそれがララバイが使用していた錬金術だと気がついた。

 こんな場所にララバイが錬金術を仕込んでいたという事に驚き、シールドを作り出して文字を削って消していくが、流石に部分的に消した程度では何も反応はない。

 湊は地道に寺院を囲むように造られている光る文字を削っていくのだが、半分ほど削った所で寺院の景色が歪み始めて寺院が姿を消すと姿を現したのは超大型の銃口を持って居る巨大な砲台である。


 あまりにも突然現れたので流石に素早く行動する事が出来ず、口を開けたまま唖然としているが十秒後には動き出して砲台へと向って近付いていき近くにあった操作盤を弄り始めるが、設定自体は自動で組まれており外から幾ら入力してもウンともスンとも言わない。

 破壊しようにもこの大きさをどうにかする事なんて湊に出来るわけがなく、せめて照準が何処なのかと探っているとドイツの外れに位置する小さな村を照準にされていた。

 そうだと思って急いでスマフォを取り出して連絡を出したのが先ほどの話。


『何なんだ? どうした!?』

「砲台……寺院が突然巨大な砲台になったんです! ララバイが錬金術を使って砲台を錬成して隠していたようで…!」

『落ち着け! 照準は!』

「ドイツの小さな村です! 恐らく先ほど光の柱が昇った場所かと!」

『打ち始めるのは!?』


 そう言われた湊は直ぐに調べ始めると電話越しに動揺が彼らの方でも広がっているがわかり、それが更に彼女を焦らせて中々進まないが、でもなんとか見つけ出したとき時間を見て唖然としながら漏らすように告げた。


「後……五秒…」


 湊は砲台を見つめながらつい叫んでしまった。


「駄目―!!」


 しかし、彼女の叫びとは裏腹に轟音と共に砲台がから放たれた一撃はドイツの外れにある小さな村へと向って進んで行く砲台が爆音と大きすぎる爆炎を上げながらパリ中どころか周辺国一帯で動揺を誘う結果になった。

 衝撃は未だ傷の癒えないベルリンにまで辿り着き、夜空を浮かんでいたウルベクト家の飛空挺を衝撃波が襲い掛かる。

 大きく揺れる飛空挺の眼前に広がる風景には巨大なキノコ雲のようなものが見えた。


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