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あの日の過ちを知るもの達 6

 アベルは大量のマカロンを袋一杯に詰めて貰い、隣ではシャドウバイヤがマカロンを頬張りながら飛んでおり、シャインフレアはそんなシャドウバイヤを時折確認しながら全く食事に手を付ける気がなさそうに見えた。

 他のお店にも寄ってみては美味しそうな食べ物に手を付けては購入して回る姿はただの観光客であり、シャインフレアからすればさっきまで壁を突き破って直通しようとした人間には見えなかった。

 シャインフレアはふと不思議に思う事があり、それは「何故こんなに購入するのでしょうか?」という事である。

 聞いてみても良さそうだが、真っ当な答えが返ってくるかどうかと疑問に思い口を閉ざしそうになったが、その時は無視すれば良いと気持ちを切り替えて訪ねてみることに。


「何故そんなに購入しているのですか?」

「一つは街の人達もお金が無いと困るだろう? 二つ目はレイン達と合流した時にお腹が空いていたら食べさせてやれるしの二つだな」

「あら。真っ当な答えが返ってきましたね。てっきり下らない理由がやってくると身構えていました」

「君は本当に失礼だな。これでも他人のことを考えているさ。ガーランドには負けてしまうが…」


 最後の一言が余計だと思ったシャインフレアだが、一々突っ込むような事でも無いと指摘しないでいることに。

 商店街を抜けることに成功し、再び大きな通りに出ると目の前に見慣れない杭のような物が見えた。

 ジッと見つめながらバレる前に物陰に隠れるのだが、杭の周りに先ほどと同じ武装勢力が銃を持って徘徊している。


「防衛の仕方が異常と言ってもいいほどに強固だな。となるとあれが術の中心のような物と推測できるが…どうした物か…無視して突破するのは楽だが」

「私は反対だ。折角買った沢山の荷物が酷くなる! まだ全て食べていない!」

「全部貴方の物じゃ有りません。私たちの分も合流する人達の分も入っているのですよ。後…貴方の頭の中は食べ物の事だらけですか?」

「無論だ! 今はお腹が空いている!」

「貴方にエアロードを責める権利はありませんね」


 アベルは「だったら」といって荷物を押しつける。


「この荷物を持って隠れていてくれ。その間に私が制圧してくる」

「なら手伝いましょう。私の攻撃で援護します」


 アベルは助けるといって大剣を召喚してから走り出していく、相手の集団もアベルの存在に気がついたのかアサルトライフルの照準を合わせてくるが、アベルはそれをジグザグ動きで惑わしつつ車を大剣を吹き飛ばす。

 大型車が空中で回転しながら敵の集団へと突っ込んでいき、相手の中に悲鳴を発しながら左右にばらけていくのだが、途端にアベルの姿が敵の視界から完全に消えた。

 その隙にシャインフレアは敵の頭上に光の矢を大量に作り出して一斉攻撃を仕掛ける。

 すると、敵の一人が頭上に向ってエネルギーで作った盾を投げて防ぐのだが、その一人の鳩尾に拳を叩き込む。

 ようやく姿を現したアベルに銃口を向けるのだが、アベルは鳩尾に拳を叩き込んだ人間を真上へと投げ付けてシールドを破壊すると、頭上から再び光の雨が降り始める。


「何か盾になる物を探せ! 誰か持ってないのか!? エネルギーアンブレラはどうした!?」

「さっきの奴が全部持ってたよ!」


 アベルはその話を聞きシールドに着弾して落ちてきた敵兵の懐を探りそれらしいアイテムをポーチの中へと入れていき再び走り出す。

 シールドアンブレラという聞き慣れないアイテムを展開し、それをアベルは自分の頭上にだけ展開し攻撃を防ぎつつ更に二人ほど切りつけてから敵の立ち位置を確認する。


「杭を囲むように二十人、大きな通りに車なんかをバリケード代わりにしているのか…武装などを考えてもそこまで強そうな奴がないのは助かるが…この杭大事そうに護っているくせに強そうな奴を配置しないと言うことは…これは一つじゃないと言うことか。パリ全域を抑えるのに幾つか配置していると言うことだな」


 アベルはポーチの中からスモッググレネードを二つ取り出して左右に大きく投げると、地面に着弾したグレネードから大量のスモッグが噴出していく。

 視界があっという間に真っ白に染まっていき、同時にさっきの男から盗んだ箱形のアイテムを取り出した。


「この形と中の仕組みをエコーロケーションで覗いてみたが、これは通信妨害を引き起こす物だな…こんな形でガーランドの技術が役に立つとは」


 アベルは内心忌々しいという顔を作りながら通信妨害装置を起動してから走り出す。

 車や障害物に身を隠しながら接近していることを悟られないようにしつつ、まず二人ほど無言で気絶させてからもう一人を悲鳴を上げさせる。

 仲間の悲鳴に気がついた仲間が銃を構えている間にシャインフレアが再び光の矢を一本だけ放って敵を一人一人と片付けていく。

 ビクビクしながら仲間達がドンドンやられていく中怯えて周囲に銃を向けている敵兵、アベルはそんな彼に一台の車を横転させることで制圧した。


「フム…こんな感じか」


 スモッグが消えていき辺りに沈黙した敵兵が倒れている光景を真顔で確認し、そのまま興味がなさそうに杭の方へと向って歩き出す。

 杭を両手を使って力一杯引っこ抜くと辺り一帯に漂っていた不思議な気配が姿を消し、アベルは試しにとドアを開けて中に入ってみると、迷路化が解けていた。

 アベルとシャインフレアはシャドウバイヤを探し出そうとすると、車の中に隠れてお菓子を食べている光景を見つけ出した。

 車の中から強引に連れ出してからマンモルトルの丘へと向って歩き出す。


「こっちに向っていると良いが…」

「どっかですれ違うと面倒ですね。電話をしてみたらどうです?」


 アベルは「そうだな」と言いながら電話を取りだしていくが、スマフォの画面を開いたところで操作していた指が止まる。

 ゆっくりとシャインフレアの方へと顔を向けるアベル。


「私はあやつの連絡先を知らないんだが?」

「……そう言えばそうでしたね。では誰の連絡先なら知っているのですか?」

「…ソラ?」

「待ちなさい! 貴方他のメンバーの連絡先だれも知らないと?」

「いや…ジュリなら知っている!」

「それ以外は知らないと? 貴方良く付いてくる気になりましたね…関心します。モンマルトルの丘へと向って走って移動しましょうか…あっちはレインがいる分走ることは出来ないでしょうし」


 アベルはお菓子を食べながらのシャドウバイヤを抱えつつ買い物した荷物を持って走り始める。

 どこかですれ違いにならないようにと行き交う人一人一人に気を使って見極め、同時にマンモルトルの丘までの道に杭が無いかどうかを確認する作業も怠らない。

 シャインフレアも後ろから飛んで追いかけていくと、二人はマンモルトルの丘へと繋がる坂へと辿り着いた。

 後は坂を上っていくだけだと思って見上げると丁度坂から下ってくる一行を発見する事に。


「どうやらこっちも終わっていたようだな」


 安堵の息を漏らすアベルはシャインフレアとシャドウバイヤを引き連れて合流し、アベルは一旦マンモルトルの丘の上からパリの街と大まかな杭の位置を確認しようと一行はもう一度上へと戻っていく。

 適当な場所を陣取りアベルは買ってきた食べ物をテーブルの上に広げつつ、アベルは地図と杭の位置と街並みをしっかり確認していた。


「パリの街は意外と広い。しっかり確認しつつまずは政治関係の施設を確保しつつ宿泊施設を早めに抑えたいな。飛空挺のある空港までは少し距離があるから…このペースで攻略して行けば…」


 アベルが真面目に仕事をしている姿を見てシャインフレアが関心していると最後に台無しの一言を発した。


「疲れるから夕方の六時には宿泊施設に入りたい」

「こんな時まで…」


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