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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
アメリカン・シービルウォー《下》
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英雄集結 1

 皆に集まって貰い俺は結果的に鍵を手に入れたこと、その鍵がノックスの画像であると説明すると皆から嫌そうな顔で返されてしまうのだ。

 理由は分かってしまうので敢えて何も言わないが、その説明をしているとケビンが「だったら…」と言い始める。


「地下に配置してあった機械人形も彼女が仕掛けた物ではありませんか? ノックスを裏切りたく無いけど、裏切らざる終えないという現状がこれでは。邪魔をしたいなら鍵を全部破壊してしまえば良いですし、ノックスの時間を稼ぎたいのなら他にも方法がもっとあったはずです。それに死んだのも、その後に刺客を差し向けたのも自分の部屋を探されたりしたくなかったからではありませんか? 爆弾でも処理しきれない証拠が残っていたら…そう考えての策だったのでは?」

「て言うか…そもそもその女死んだのか? 遺体は確認したのか?」


 ジャック・アールグレイのその言葉に俺達全員が一瞬反応して一瞬だけ考え込む。

 遺体は正直ちゃんとは確認していないし、何よりあの爆弾で生きているとは思えないが、もし…もしあの襲撃者と通じていたら確かに死んでいるとは思えない。

 だとしたら彼女は一体何処にいるのか…それともジャック・アールグレイの考えすぎでとっくに死んでいるのか。

 そう考えたところで海がボソッと呟いた。


「カジノに軍の人が入りに行ったんですよね? もし生きていたのなら彼女は…」


 最悪の状況を考えて俺達は急いでカジノに戻ることにし、ジュリと素早く合流して俺達はジャック・アールグレイが用意した車でカジノへと戻ることに。

 あの時の彼女は単純な刺客だったのか、それとも…。

 それはきっとカジノに戻れば分かるはずだと意識を切り替える。


「機械人形が私たちの所に素早く駆けつけられたのも、彼女が予めそう配置していたからだとすれば辻褄が通るのではありませんか? 地下から行けば良いと言っていたのは彼女でしたし」

「あり得るな。俺がエコーロケーションを使わないことまで読んでいたのかもしれない。ノックスの副官がそんな単純な人間とも思えないから、カジノで今まさに何かしようとしているのかもしれない」

「だとすれば…カジノにある何かを回収したいのか、それともカジノには始末しない人物がいたのか…」


 ジャック・アールグレイの言葉に俺達は一瞬だけ考え込んでから俯いてみるが、あのカジノに特別重要な人間がいるとは思えないし、やって来た軍の人間も別段特殊な人間では無かったと記憶している。

 もしカジノに何か重要な物が置かれているのなら敢えてVIPルームを抑えておき、死んだフリをしてカジノそのものを抑えつつこっそり捜索するつもりだったのかもしれない。


「始末するっていうのは無いんじゃ無いですか? よく考えてみても特別特殊な人間がいるとは思えませんし、ここは何か重要な物がある場所なのでは?」

「ジュリはどう思う?」

「う~ん…どうだろう。色々考察は出来るけど…どれも決め手に欠けるかな…でも、まだ捜索しているとは思えないけど…」

「その時はまた彼女捜索だな…今度は身柄を抑えるという意味で」


 レクターが「死ぬほど面倒」と言っている辺り俺も同感だが、ここで逃がしたくは無い。

 改めて遺体のチェックをしつつもし生きていると判断出来れば俺達は戦闘をしてでも、俺達は真実を問いただす必要がある。

 俺はアクアにスマフォを渡すと「これだと思うか?」と聞いてみた。

 アクアは目を瞑って考え込む素振りを見せるアクア。


「分からない…けどメクラスはあの人の行動を考えてみてもこれが鍵だって言っている。で…パパ達の考えには同意している。多分彼女は生きているって」

「…一つ聞いても良いか?」

「駄目だ。何を聞くつもりは俺には分かるから駄目」

「その理由は爆弾の規模だって言っているよ。爆弾の規模を考えれば彼女が生き残る可能性が高いって、実際メクラスはあの時魔導機が一つ動いていたのが分かったって」


 その情報はその時メクラスに教えて貰いたかったが、下手なことを言えばアクアが泣き出しそうな気がしたので敢えて追求しない。

 しかし、メクラスがそこまで言うのなら彼女は生きていると言うことになる。

 走る車の中俺は軍の人に連絡を飛ばすため父さんに電話をしてみたが、全く出ないという所を見ると恐らく戦闘中なのだと感じて電話を切る。


 アッという間にカジノまで戻ってきた俺達はカジノへと向かっていると、カジノの前に男性服の軍の士官服を着ている男性と思われる人物が頑丈そうなスーツケースを持っているのが見えた。

 男性は深めに被った帽子越しに俺達に頭を下げた。


「あっ…中はまだ軍が動いていると思うので入らない方が良いと思いますよ」


 そう言って外へと出て行こうとする人物、レクターが「どうする?」と聞いてくるのだが、俺は男性の背中をジッと見つめている。

 て言うか…本当に男性なのかどうかと不思議に思えてきて、ジャック・アールグレイが俺の態度に不審を覚えたのか勢いよくドアを開けると中には血だらけで倒れている軍の人間。

 俺は緑星剣を召喚して力一杯振り抜いて風の刃を立ち去ろうとしていた人物に向けると、その人物は大きくしゃがみ込んで攻撃を回避する。

 しかし、攻撃を回避した衝撃で帽子が大きく吹っ飛んでいき、中からジルの素顔が現れた。

 俺が掛けだそうとした瞬間ジルはポケットから何かのスイッチを押してしまう。


 地面が大きく揺れるような振動音、と同時にカジノの地面を粉砕しながら現れたのは地下鉄から上ってきたのだろうと予想できる例の四つ足の兵器。

 俺はこの場をレクター達に任せて掛けだしていき、ケビンも同じように走り出して追いかける。

 二人で追いかけているとジルは駐輪場と思われる場所まで移動し、適当なバイクにまたがってバイクに奇妙な細が無い棒を差し込む。

 すると勝手にバイクが動き出しジルのバイクは走り出していく。

 俺とケビンは同じようにそれぞれバイクにまたがってバイクを無理矢理動かす。


「ソラ…! 逃げられたら!」

「分かってる! とにかく追いかけよう!」


 大きな通りへと入っていくとジルは俺達が後ろから追いかけているとジルは俺達目掛けてマシンガンを撃ってくる。

 俺とケビンは左右に移動して避けるのだが、銃弾が後方を走っていた車に着弾しそのままクラッシュしてしまう。

 俺はこのままでは危ないと緑星剣をブーメランにしてバイクのタイヤを狙うが、ジルは速度を一瞬だけ挙げて攻撃を回避し、俺は緑星剣を呼び戻す。

 するとケビンがジルのタイヤに向かって光線を放ってみると、ジルは流石にその攻撃には対応できずそのまま大きく横転してしまうが、まるでその状況を想定していたかのように、右側のビルから壁を崩壊させてその姿を現したのは昔帝都に現れたと聞いているウルズナイトだろう。

 父さん達が排除したと聞いている。

 ジルはそのウルズナイトに乗り込んでそのまま逃げ出していく。


「そ、そんなものまで用意していたなんて……どこまでが計算通りなんだ?」


 ウルズナイトは大きな車輪を動かして一気に車を蹴散らして動き出し、俺達に向かってマシンガンを俺達に向かって放ちながら掛けだしていく。

 俺は師匠の大剣に切り替えてバイクの速度を上げていくと、そのまま大きなホテルの前まで辿り着く。

 ジルはその状態でホテルの壁を崩壊させて中へと入って行くのだが、中から悲鳴のような声がハッキリと聞こえてくる。

 あいつ…俺達を巻くためならどんな方法でも使うつもりか?


「だったら…どうして最初っから嘘を教えなかった!? どうして本当の鍵のありかを俺達に教えたんだ!?」


 俺の言葉はジルに届くのだろうか?


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