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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
アメリカン・シービルウォー《下》
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竜達の戯れ 2

 エアロードが気がついていないと言うことを確認し、俺はシャドウバイヤとヒーリングベルの二人にアンヌ達はどうしたのかと聞いてみると、アンヌは「ジャンポット」なる人物の為に病院に一旦残ると言い出し、レクターと海は本体を誘導するために一旦後ろに下がると言って消えた。

 ではギルフォードとダルサロッサはどうしたのかとふと気になって探しに行こうかと少しだけ悩んでいると、ダルサロッサが瓦礫をよじ登って俺の近くまでやって来る。

 しかし、ギルフォードの姿だけがそこに無く嫌な予感をさせたのだが、ダルサロッサはあっさりと別段深刻でも無い理由を教えてくれた。


「ギルフォードが足を負傷したのでな、アンヌが病院にいると分かってそっちに自分で行くと言ったから暇で…」

「何々? 君たち竜は暇なら俺の周りに集まるっていう習慣が最近出来たの? 俺了承してないけど?」

「? 特に決っているわけじゃ無いが…落ち着くから?」


 不思議な理由をありがとうと返しておき、俺は改めて近くの瓦礫に腰を一旦落としてみると、ブライトは俺の影から鞄を取り出した。

 ちょっと待ちなさい。


「お前はいつの間にシャドウバイヤみたいな事が出来るようになった? それとその鞄の中には何が?」

「え? 最初っから使えるんだけど…まあ隠れるのは無理だけど荷物の出し入れぐらいだったら出来るよ。それと……中は…」


 力一杯取り出すとそれはキャンプセットと簡単に出来る外食セットが入っており、鞄の外観を考えれば明らかにおかしいのだが敢えて突っ込まない。

 きっと俺の知らない不思議な力が宿っているんだと言い聞かせ、俺は黙ってそれを見守るが、師匠以外の全ての竜が俺の方をジッと見つめてくるのは何か伝えたいことがあるのだろうか?

 口に出して貰わないと全く理解出来ないのだが、何を訴えているのだろう。

 多分無いとは思うけどキャンプセットなどを立てて欲しいとか思っているかもしれない。


「もしかして俺がそのキャンプセットなどを立てるの?」

「「「うん。宜しく」」」

「せめて手伝えよな。俺一人にだけやらせるなよ」


 その場で待機と言われてしまった以上はここから動けないので、とりあえず休憩するためにもキャンプセットを立てることにし、竜達はテントを立てるためのスペース作りをはじめ、俺は黙々とテントを立てる。

 あっという間に作ってホッと一息つくと、今度は外食用のいわゆるBBQセットを俺の方へと近づけるエアロード。

 お前は本当に反省しないな。

 先ほど太るという話をしたばかり、そんなに食い意地を張ってどうするつもりなんだ。


「大体食べ物あるのか? 俺は持ってきていないぞ…」

「この鞄の中に……ほら! 肉とか…野菜とか……マシュマロとか!」

「……その鞄何なの? 異次元にでも繋がっているわけ? いい加減突っ込みたいんだけど」

「? 良く分からん」


 そっか…良く分からないのか…なら仕方が無いな!

 もう突っ込まない。


 ため息を吐き出しながら俺はBBQセットを組み立てていくのだが、問題は俺が着火装置を持って居ないという点である。

 エアロードが物凄く不満そうにしているが、そもそもそんな物を持ってきていたという事を知らない俺が持ってきているわけが無いだろ。


「もうその辺で剣を叩いてさ…火の型を使って着火出来ないわけ?」

「なんで俺がお前の食欲を満たすために運動しなくちゃいけないんだ? それにそんな事に火の型を使っても着火するときに大惨事になるぞ。それに着火するならそこの歩く着火装置に頼めよ」

「まさかとは思うがそれって私のことじゃないよな?」


 ダルサロッサが心外みたいな顔をしながら俺とエアロードの会話に入ってくる。

 まさかも何もこの場所に火を付けることが出来る竜はお前しかいないと思う。


「いいじゃん。付けてよ…どうせお前はお腹空いたでしょ? お肉食べようぜ」

「…まあ良いけど」


 なら抵抗しないでさっさと付ければ良いのにと思って経過を見守っていると、ダルサロッサが口から大量の火を吐き出し、エアロードとシャドウバイヤが必死になってBBQセットセットを持ち上げた。

 あと少しでBBQセットが燃えかすになるところだったに違いない。

 それだけの火力を突然出せるのだから炎竜の名は伊達じゃ無い。


「お前! 威力を考えろ! せっかくブライトに言って用意させたセットが台無しになるだろ!」

「お前が火を付けろと言うから…」

「火力を考えろって言う意味だ。エアロードの言うとおりでお前はそんな威力で火を吐く必要性無いだろ」

「我儘だな…このくらいか?」

「どうでも良いのですが…貴方達ブライトを使って無理矢理そんな物を用意させていたのですか? 貴方はこの戦いをどういう物だと…」

「ヒーリングベル。言っても無駄だと思うぞ。こいつら絶対に聞かないと思うし…」

「そうだよ。僕嫌だったもん。そう言えばアカシは?」


 そこまで言ってブライトがアカシが居ないと言うことに気がついて周囲を見回し、エアロードとシャドウバイヤとヒーリングベルが深刻そうな顔をする。

 ブライトの脳内に嫌な予感がよぎったのだろう。

 涙を浮かべながら心配そうな顔をしているのだが、三人の竜の肩が軽く震えているので絶対にからかっているのが俺とダルサロッサと師匠には分かる。

 あまりにもブライトが可哀想なので敢えて指摘してやる。


「大丈夫だよ。そこまで深刻な理由があるのならそもそもこの三人はここに来ない。それによく見ろ。肩が震えているぞ。あれは笑いを抑えているという表現だ」

「酷い! 僕本当に心配したのに!」

「まあ深刻ではありませんが、アカシは私をかばって怪我を負ったのでアンヌが面倒を見てくれているのです」


 それもそれで心配な理由だが、アカシはまだ竜に成り立て…戦いになれていないのに連れて行くべきじゃ無かったか。

 ブライトが付いてきているのにアカシだけを残していくのは少々おかしいと思って連れてきたが。


「そうなんだ……アカシは頑張ったんだね! 後で会ったら褒めてあげなくちゃ! 僕お兄ちゃんだもん!」

「え? いつの間にお前が兄になったんだ? 俺は初耳だが?」

「今決めたの!」

「そっか…今決めたのか。アカシが聞いたら…いや、嫌がることは無いか。むしろ全力で甘える未来が見える。なら兄としてもう少ししっかりしないとな」

「うん! 任せて!」

「なら………あそこでBBQセットを囲んで食べ物で遊んでいるメンバーを怒ってくれ」


 エアロードとシャドウバイヤとダルサロッサが食べ物を焼いているのまでは良いが、それで若干遊んでいるのは俺としては少々いただけない。

 食べ物で遊ぶなとエアロードとシャドウバイヤには言い聞かせているつもりだ。


「そうですね……そろそろ私の怒りのボルテージも限界ですね……フフフフ」

「ソラ…怖い。ヒーリングベルさん滅茶苦茶怒ってる」

「そうだな……任せるか。どうぞ! 思いっきり怒ってやってください!」


 俺は敢えて促しブライトと一緒に事の成り行きを見守っていると、BBQセットから少しだけ離れたところでガチの説教が始っていた。

 流石に食べ物で遊んだことは反省したのか黙って怒られている。

 俺はマシュマロを串に刺して少し焼き、焼けた焼きマシュマロをブライトの口元に近づけるため少しだけ冷ます。

 ブライトが食べられるぐらいまで冷ましてから口元まで運んでやる。


「美味しい! このBBQセット暖かいよね。僕好きだよ」

「まあ暖炉代わりになるか……本当なら焚き木するのが良いのかもしれないけどな……この寒い冬の日には丁度良いかもな」

「焼きマシュマロ……美味しい」


 ブライトが黙々と、ちょっとずつ食べているとエアロードが肉に飛びついていく。


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