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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
アメリカン・シービルウォー《上》
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超電磁砲を攻略せよ 9

 箱形の要塞とは言うが恐らくあの中は街がそのまま入っているのだと想像でき、俺は用意されたタブレットを取り出して改めてマップを確認する。

 アンヌは先に要塞周りを探り出して侵入できる場所を探り出し、その間に俺達は敵の目を引きつけつつ要塞へと向かって進んでいく。

 あの要塞にそこまでの重要性があるとは思えなかったが、それでもこれだけの戦力を送り込むと言うことはまだ重要なところが残っていると考えているからこそ抵抗しているのだろう。

 それかまだ抵抗できる何か戦力が残っているのか、こうしてマップを見て確認してみても、大きさ的に何か出来るほどの何かが隠れているとは思えない。

 しかし、仮設テントみたいな作りでは無いし、あれでも頑丈な壁がハッキリと見えているし、何よりも足下がしっかりした作りをして居る。


「あの要塞に重要性があの超電磁砲以外にあるとは思えないが、ここまで戦力を送り込んで守っていると言うことはあの要塞を攻略されたくないか、単純に何か時間稼ぎをしているかだな」

「だな。でも、ドローンを使って真上から探ってみたけどやっぱり何かあると思えないけどな」


 俺はため息を吐き出してから改めてタブレットを腰に片付け、俺達は再び走り出し始める。

 要塞へと近づいていくに連れて敵戦力が増えていくのは間違いないが、こちらも予想以上の戦力を送り込んでおり、ここで要塞を抑えることが出来れば間違い無く一気にワシントンへの道を切り開くことに繋がるはずだ。

 流石に適勢力も俺達が進行速度に合わせるようになり、その分の戦力がこっちの方へと向かって割かれているが、そんな事は予想通りで、俺達はそれらを蹴散らしながら再び進路を切り開いていく。


「ソラ…あの要塞変な感じがする…」

「変な感じってなんだ? どんな感じ?」

「えっと…なんか不思議な感じかな。魔導的な匂いがするの…なんだろう……あの要塞もしかしたら何か特殊な力を使って居るのかも」


 俺は走りながら要塞をジッと見つめていた。



 アンヌ達は要塞周辺を探りを入れながら侵入ルートを見つけ出そうとしていた。

 敵が要塞の出入り口である正面ゲートから現れているのは確認したが、正面ゲート周辺は複合型戦車が三台、上空を軍用ヘリが二機ほど飛び回っており、更に正面ゲートの前を十人体制が警護している。

 正面ゲートから進んでいくのは間違い無く得策じゃ無い。

 と言う事で右回りからゆっくりと要塞から伸びている監視用のライトから隠れ、草陰に隠れてゆっくりと周りと見回していると、海が建物側面に人が出入りできるドアや鉄の足場を発見した。


「建築段階で造った足場ですかね? にしても随分頑丈な足場ですけど…」

「そうですね。外を移動しないと中は大変な作りと言うことでしょうか?」


 アンヌと海がこっそりと話していると、隣では今にも走り出しそうになっているレクターを二人でがっちりと押さえる。

 すると上から降りてきた竜達。


「駄目ですね。あの出入り口以外には少なくとも地面からの侵入手段はありませんね」


 ヒーリングベルが首を横に振ってアンヌの近くに降り立ち、エアロードは大きく息を吐き出して疲れ切ったような顔をしてそのまま降り立つ。

 シャドウバイヤも同じように降りたって改めて要塞を見上げる。


「あの要塞不思議な気配がするんだよな…まあ中に入るのなら少し高いがあの出入り口なんかを使うしか無いな…」

「そうですね…では…次ライトが通り過ぎたら一気に走って行きましょう」


 ライトが右から左に向かって移動していき、通り過ぎたとしっかり確認した後素早く駆けだしていく。

 全員で要塞の壁側面まで辿り着き、まず海とレクターが上へと壁を登っていき、アンヌは二人が誰も居ない事を確認して浮遊しながら同じ場所まで辿り着く。

 竜達もそのまま続くように追いかけていき、全員は近くの扉までやって来てドアをゆっくりと開けて中を覗き込むと全員が唖然としていた。


「……道が……浮いてる? 建物が沈んでいく? 何これ」


 レクターが唖然としたまま立ち止まってしまうのも無理は無い。

 実際竜達ですら現状を把握できず足を止めて立ち止まってしまっているのだ。


 要塞の中は元々存在していた街がまるで現実に存在するあらゆるルールをねじ曲げているかのように、まるで異次元へと連れてこられているかのように滅茶苦茶になっている。

 なのにもかかわらずその全てが今までと同じように機能していて、目の前に伸びている道も五百メートル先の景色が歪んで見えた。


「上に道がある…でも……建物の中にも道が見える」


 エアロードが完全に混乱しており、左右上下を見回している内に混乱してそのうちアンヌの腕の中へと落ちていく。

 しかし、混乱するのも分からないでも無いが、実際こうして見て確認しているアンヌ達も全く理解出来ないで入る。

 ヒーリングベルとシャドウバイヤが少し上空へと上っていくと周りを確認し始めた。


「この空間を作っているのは機械ではありませんね。街の中心から外に向かって歪んでいるけれど、その中心には明確な生命体がありますね。アメリカ軍はここを兵器の人員を格納するために場所として利用したみたいですね」

「ああ。だからバレないように…そして、外にこれ以上広がらないように壁を作ったんだろう。しかし…これ…」

「ええ。下手をすれば嵐を作り出す装置を動かしていたのもアメリカ軍では無く…」


 アンヌはヒーリングベルとシャドウバイヤに「どういうことですか?」と訪ねると、二人は下まで降りてきて考え込む。

 簡単に結論が出せないようで二人で「ウンウン」と頷きながら考えだし、歪みの先へと向かって目線を向ける。

 見えるのは景色の歪み。


「よく考えてください。嵐がやって来る前にキメラ達が反乱を起こした。それなら誰があの装置をあそこで起動出来たのでしょう?」


 ヒーリングベルからの疑問に全員が答えることが出来なかった。


「あの装置は遠隔操作できるように出来ていたとは聞いていません。なら、誰がどうやって? あの部屋は放置されて時間が経過して居たはずです。と言う事はあの部屋を動かした何者かがいる。そして、あの嵐を作る兵器がニューヨーク動乱の後にほぼ同時に動き出した…もしこれがノックスという男達が予想だにしない形で起きたのなら」

「待ってください! だったら誰があの装置を動かしたのですか? 触れないように…しかもアメリカ中に作っていたと思われる装置を」

「この空間は歪みきっている。これをアメリカ軍は壁を作ることで抑えている。多分ですが空間が歪む際の条件として簡単でも壁を作ってしまえば抑えられてしまうのでしょう…実際この壁から外側には歪みが現れていない」


 それは外に居た全員がハッキリと確認しているのだ。


「もし…この歪みが外側に向かって無制限に広がっていたのなら装置が同時起動してしまった理由にはなるでしょう」

「でも…感じで強く歪んでいたら私たちでも分かったはずです」

「そうですね……でも、歪みが始って直ぐにこんな壁を作ったとは思えないので、恐らくですがこの要塞は元々超電磁砲を建設する際に造った備蓄を納めておくための場所、その中心で彼らですらも予想だにしない形で歪みが作られ、それを利用する算段を急遽立てた。だから歪みがソラの異能殺しに反応することで更に抑えられ、壁を造られたことで外側への放出を抑えた」

「辻褄は合っていますね……でも、誰が…」

「この先に進んでいけば分かると思いますが…まあ、あまり会いたい存在ではありませんが…」


 ヒーリングベルとシャドウバイヤの表情はあまり浮かないものだった。


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