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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
アメリカン・シービルウォー《上》
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超電磁砲を攻略せよ 7

 目を覚ました。

 目を覚ましたのだろうか?

 ずっと起きていたような気がするが、以外と体はぐっすりと寝ていたような気がするし、不思議な気がして成らないが、実際結構ぐっすり寝ていたような気がした。

 まあ、実際はあの超電磁砲を攻略しなくてはいけないので寝ている場合では無いが、ここ数日寝る間も惜しんで動き回っており、正直眠たかったので眠気を優先した。

 体を伸ばすと俺の体の周りでは竜達が囲むように眠っているのだが、ヒーリングベルまでもが俺の体の近くで寝ている。

 恐らく別の人の部屋で寝ているのは多分ヴァルーチェぐらいだろうけれど、どうして俺の部屋を根城にするのだろうか?

 そんなに俺と寝るのは良いのだろうか?

 まあ、俺としてはレクターと一緒に寝る以外では何でも良いのであえて拒否も全くしない。

 強いて言えば隣にベットがあるのだからそっちで寝れば良いのに…何でわざわざ俺のベットで寝るのだ?

 俺は起き上がって時計を確認すると時間は朝の六時前、結構ぐっすり寝ていたようだが、同時に体の内側からハッキリと感じるあの巨人の力。

 ヒーリングベルが言っていた異能の具現化と呼ばれる力、やはり身についているようで俺は起き上がって洗面所へと向かうのだが、俺が歯ブラシを取り出そうとしたときブライトが部屋の中へと入ってきた。


「僕も顔洗う……」

「寝ぼけていると溺れるぞ。ほらまずは顔に水を付けて眠気を覚まして」


 俺はブライトが溺れないようにと注意しながら歯ブラシなどを手伝っていると、次から次へと洗面所の中へと入ってくる竜達、気がつけば俺は保母さんのような感じてヴァルーチェ以外の竜の歯ブラシから洗顔まできっちり手伝っていた。


「お前たち…さては俺になれない洗顔を手伝わせようと…」

「「「ようやく気がついたか」」」


 この腹黒竜達め…自分で学んでやりなさい。

 全くと思っているとドアのノック音が聞こえてきて俺はドアの鍵を開けてゆっくりと開くとドアの向こう側からジュリが現れた。

 鞄からヴァルーチェが物凄い眠たそうな顔をしながら洗われ、俺の後ろでタオルを首に巻く竜達を見て一言告げる。


「何故貴方達は彼の部屋で寝泊まりをして居るのですか?」

「俺もずっと気になっていたんだ…先ほど分かったけど」

「「「ソラに洗顔なんかを手伝って貰おうと」」」

「大変だねソラ君。まだ朝食まで時間あるけどどうする?」


 確かに昼食は六時半と言っていたのでまだ三十分ほどある計算、俺達はこの最上階にあると言っていた展望室へと向かうことに。

 展望室には誰もおらず部屋の窓からはあの要塞が薄らと、部屋の中心には椅子とテーブル、それ以外には自販機ぐらいしか置かれていない。

 俺達で部屋のど真ん中を占拠していると、ダルサロッサとヒーリングベルが要塞の方を見ながら呆れた顔をしていた。


「あのような兵器を作り出すとは…」

「ノックスという人間は本当に愚かだな。こんな物を作れば支持率なんて無いに等しいだろ」


 シャドウバイヤがこっそりと「ダルサロッサが支持率という言葉を知っていたとは」と驚いていたが、聞こえていないのか無視していた。

 俺はジュリに「見ていて欲しい」と真剣な眼差しを向け、ジュリはそれに笑顔で「うん」と答えてくれた。

 俺は俺自身の背中から上半身だけの騎士の巨人を呼び出し、ブライト以外の竜が驚いた素振りを見せ、ジュリだけは唯一笑顔を向けてくれた。


「出来たんだね…自分の異能との対話」

「ああ。俺……師匠のように命を守れるような…国を守れるような…世界を守れるような英雄になりたい」


 騎士の巨人も頷きながら答えてくれた。


「それがソラ君自身が見つけ出した答えなんだね。人と竜が巡り太陽となる力だったね。そうだ……」

「命の見せる力はきっとどんな脅威にだって立ち向かうことが出来ると思う。このままであれば良いんだと思う」


 別に至高の幸せとか、無限に続く平和とか、誰も傷つかないずっと笑顔でいられる世界とか…そんな高望みをするつもりも無い。

 命を失うことと向き合い、守るために努力し、一人でも多くの人が笑顔でいられる世界を作りたい。

 皆で作り出す未来ならどんな未来でもきっと笑顔でいられると思う。


「人と竜が巡り太陽となるってそういう意味だよね。皆で作り出す未来、それはきっと兵器で脅しつける未来でも、嘘をついて騙す未来でも、真実を無理矢理押しつける未来でも無い。皆で困難に立ち向かう未来なんだよね」

「ああ。俺一人ならこんな力手に入れても正しい使い方が出来たかなんて分からないよ。それに…俺はやっぱり皆と出会えて良かった。エアロードとの出会いだっていつかは良かったと思える日が来るんだよ」

「来ると良いよな。今の所ソラにとって被害しか無いよな? 我儘を言うし…食費はひたすら消費するしな…」

「失礼な!」


 俺は巨人を一旦収めると今度はブライトが俺の服の中へと入っていくのを見届け、俺達は椅子に座って時間が消費するのを待っていた。

 すると視界の端でダルサロッサとエアロードが「どっちがバカなのか」という愚かな言い争いを繰り広げており、心の中で俺は「そんな事で言い争うことがバカなのだと分からないのか?」と思う。


「そのような話し合いをしている時点で両方バカなのでは?」

「ヒーリングベル。お前皆が黙っていたことを…」

「いいえ。あの二人にそのような遠慮をしていたら一生かけても成長しませんよ」


 俺とブライトは心の中で「本当に失礼だな」と思うのだが、そんなやりとりをジュリの鞄の中から聞いていたヴァルーチェがさらに必要な事を言ってくれる。


「そもそもそこで反省出来ていたら今頃成長出来ているのでは?」

「確かに…そうかもしれませんね。なるほど手遅れでしたか…」

「もう! 二人とも失礼だよ! きっともう百年ほど人間と一緒に生きていたらきっと見つめ直してくれるよ!」

「ブライト…それってフォローになっているか微妙だと思うよ」


 アカシ…お前はそんな的確なツッコミが出来るようになったんだなと感心し涙が溢れ出てくる。

 アカシもブライトも日進月歩で成長を続けているのに、目の前で愚かな言い争いを未だに続けるエアロードとダルサロッサ。


「フフフ。こういうのも楽しいよね。やっぱり楽しいよ…」

「そうだな。この醜い言い争いも何時まで続くんだか」


 俺はジュリにそろそろ食堂へと急ぐかと立ち上がり、ジュリと一緒にエアロードとダルサロッサを無視してエレベーターに乗り込む。

 最後にギリギリで飛び込んでくる二人、俺達は一回にあるレストランへと向かって降りていき、レストランの中へと入っていくと父さんがこれ以上無く優雅に朝食を取っていて俺個人からすれば苛立つ光景だった。


「今から朝食か?」

「父さんでもテーブルマナーを守るんだね。驚き」

「これでも政府高官や他国の高官相手に食事があったりするからな。食事だけじゃ無く様々なマナーを知ることは決して無駄にはならない」


 良いことを言って言うようだが、なら普段からそういうマナーを俺達や部下相手に守って欲しい。

 何よりも何でこの人ここで食事を取っているのだろうか?

 軍本部で詰めていれば良いのに。


 仕事時間は守らない、兵器で遅刻するし、訓練はそっと放置…やりたい放題しているこの人がマナーという言葉を愚直にも守っていると先に笑いが込み上げてくる。

 最後に口をハンカチで拭いてから椅子から立ち上がる父さん。


「作戦のおおよその内容を告げる。八時には作戦本部へと出頭せよ」

「あなたはどうしてそんな場所で優雅に食事して居るんですか!? 作戦総司令である貴方がいないと混乱状態ですよ!」


 部下が連れて戻る姿を見守っていた面々だった。


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