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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
アメリカン・シービルウォー《上》
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キメラ達の居場所 7

 目の前に現れた巨大兵器がどう考えても技術大国が作ったことは間違い無く、魔導要素が少ないこの純機械という佇まいは魔導大国が介入する余地のない兵器である。

 て言うか技術大国は高度な兵器や生活必需品などを作っているくせにセキュリティが限りなく低い。

 良くモノを盗まれる上にそれがよく周囲に影響を与える事がしばしば、強いて言うならレクターみたいな国なのだ。

 造るという点では他の国に追随を許さないのだが、それ以上にそれが迷惑なのだと分かって欲しいと時折思うのだ。

 実際、俺達の目の前に現れたこの巨大兵器なのだが、どうやって浮かんでいるのか…そもそもこれはどうやって盗まれたのかと邪推してしまう。

 しかし、よくもまあ…俺達の迷惑になるように現れるモノだと感心しつつ、四つの砲台が俺の方へと向かって銃口を向けてくるのを俺達は二手に分かれて建物の中へと入っていく。

 俺はアンヌと共にアメリカ住宅の中へと入り建物を盾にするのだが、建物の四分の一があっという間に吹っ飛ばされ、隠れるのは止めにした俺達は再び堂々と現れる。

 アンヌが機体を凍らせていくのだが、機体は体中から熱を排出していき機体の温度を上昇させていく。


 俺はだったらと走り出していき機体に斬りかかるのだが、その際に奇妙な「キー」という音を聞き、緑星剣が敵の胴体へと当たるのだがその際に弾かれてしまった。

 先ほどの「キー」という音は恐らく魔導機が動いた音なのだろうが、金属強度が上昇しており普通の切断ワザでは傷一つ付けられない。

 そして、四つの刃物が付いた腕の一つが俺の胴体に横薙ぎに襲いかかってくるのだが、俺はそれを空中で体を捻って攻撃を受け流す。

 そのまま刃物の上に立ってそのまま一旦後ろに下がるのだが、その際に敵機は俺に向かって銃弾を撃ち込んでいく。

 すると、アンヌが敵の機体目掛けてレーザーを打ち込んでいくが、それを敵は機体の胴体部分から真っ赤な球体を出現させ、アンヌの攻撃を見えないシールドで防いでしまう。


 この何でもありのオンパレードめ!


 今度は後ろからレクターが機体の間接部を狙うのだが、無論そんな攻撃なんて理解しているのか攻撃をあっさり避けて俺目掛けてレクターが飛んでくる。

 俺はそんなレクターを受けないで避けつつ、走り出す。


「ちょっと! 受け止めてよ!」

「なんでお前を受け止めなくちゃいけないんだ!? 今も空中で浮かんでいるじゃ無いか!」


 海は真下に入り込んでそのまま切り上げていくのだが、その攻撃も残念な事に刃物の付いた腕によって防がれてしまい、カウンター攻撃をアンヌがその腕を凍り付かせようとすることで回避させる。

 しかし、この機体どんだけ強いんだ。

 そう思っていると耳に付けていた通信機から父さんの声と何故か先ほど病院に預けたグリフォンの声が聞こえてきた。

 何故父さんは病院にいるんだ?


「ソラ…そう言えば技術大国が開発したウルズナイトの派生型『ベベルウ』が盗まれたという報告がある。何でもお前達の昔の戦闘データなんかを活用して造られた試作型らしい」

「それって謎の技術で浮かびあがり、四つの刃物の付いた腕と四つの砲台がついているんじゃないよな?」

「…………グッジョブ!」

「グッジョブじゃねえんだよ! 何でそういう話を真っ先にしないんだ!?」

「と言われてもな…さっきグリフォンと触れ合おうと病院に入ったらそういう話を聞いたから…」


 何で職務を放棄して病院でグリフォンと戯れているんだ?

 それよりグリフォンはずいぶん楽しそうな声を発しているんだな。


「アベルさん! いい加減にしてください! いつまで経ってもグリフォンの検査が出来ないじゃ無いですか…! それと病院で通信機器の使用は禁止です!」


 ジュリの説教が聞こえてくると言うことはどうやら本当に病院に居るらしい。

 この人は一体何をしているんだと思って怒鳴りつけようとするのだが、ベベルウは背中からミサイルを周囲に向かって射出していく。

 ミサイルから身を守るために、同時になるべく住宅を破壊しないようにと俺とレクターでミサイルを打ち落としていき、アンヌと海が左右に分かれてそれぞれの攻撃を仕掛けるのだが、それを見えないシールドで完全に防いでしまう。


「父さん! この見えないシールドは何なんだ!?」

「…えっと……確か不完全ではあるがエネルギーシールドだったはずだ。この機体はアメリカから入手した原子力発電を技術大国が小型化に成功したモノを搭載しているらしく、そのまま流用しているのならヤバくなったら緊急停止が発動するはずだから容赦無く攻撃しても良いそうだ」

「とは言っても攻撃し続けたら放射能とか…」

「それも大丈夫だ。あくまでも原子力発電を参考にしたシステムだけで、放射能とか諸々の問題は解決して居るらしく、いずれは一般向けに発表する予定だったらしい」

「それをどうして兵器に転用するんだ!? 普通逆だろ!?」

「造りたくなったらしいな。思いついたら即行動はそこのモットーだからな」


 厄介なモットーだな!?

 半永久機関を搭載した最高出力の試作機…恐らくはウルズナイトへと搭載する予定で造り、先にどこまで動かせるのかと出力テストの為に造られたのだろう。

 だから搭載兵器は実際の銃火器で転用しつつ、浮遊機関の小型化やエネルギーシールドの実用化など本当の意味で試作機なのだろうが…盗まれるなよ!

 試作機だったら大事にしろよ!


「壊しても良いそうだ。あくまでも現存する試作機の内一つでそれ事態が壊れても別に良いそうだから」

「だからって…管理がずさん過ぎるだろ…」

「今に始った事じゃ無いだろ? そこのずさんな管理体制なんて…」


 文句を言っても始らないが、エネルギーシールドと浮遊機関をどうにかしないと行けないが、どうやら浮遊機関は背中と下に搭載されており、エネルギーシールドと半永久機関は導体のど真ん中に搭載されているらしい。


「まずは浮遊機関をどうにかした方が良い…まずはしたから攻めよう! 俺とレクターが上から攻めて敵の目を引きつけ、海がメインでせめてアンヌは海のサポートを頼む」


 皆から「了解」という声が聞こえてくると俺とレクターが走り出していき、敵機体の翼を切り裂こうとするのだが、敵は俺の攻撃を四つの砲台を俺とレクターを捕らえる。

 俺達は砲撃を弾きながら走って進み、まずは俺が敵に向かって剣を振り下ろしベベルウは俺の攻撃を刃物で受け止め、レクターはそんな腕の関節部に向かって拳を振り下ろすが、レクターの攻撃をエネルギーシールドで受け止めそのままレクターを刃物で吹っ飛ばす。

 刃物による斬撃攻撃を防いでいたのでダメージは無いはずだし大丈夫だと意識を切り替えて一旦距離を取る。

 すると、ベベルウは背中からミサイルを沢山上空へと射出していき、その全てのミサイルが一斉に俺目掛けて飛んでくるので俺は緑星剣を後ろに構えつつ意識を集中する。


「竜撃。風の型。花鳥風月!」


 風で纏った刃を緑星剣に纏わせ、走り出すと同時にまずは横薙ぎに切り裂いて爆炎を風と共に吹っ飛ばし、俺は体を空中で回転しながら斬撃を四方に飛ばしてミサイルを爆発させた。

 すると後ろから飛んでくるレクターが頭から微かに血を流しながらエネルギーシールド目掛けて両拳を叩き込む。

 エネルギーシールドにヒビが入っていき、そのヒビが見えて俺は一気に気合いが入り俺は最後のミサイルを破壊した勢いで風の刃を纏った緑星剣を突き刺していく。


「「ウオォォ!! 砕けろぉ!」」


 バキンという音が聞こえてくる。


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