大乱の始まり 5
俺が建物の屋上へと辿り着くと屋上で陣取っている人物達、彼らは俺の存在に気がついたのは俺に向かってアサルトライフルの銃口を向ける姿が見え、俺は彼らをジッと見つめていると防弾ジョッキに防弾ヘルメットを装着して集団、先ほどは三人が居たはずだが、その奥に隠れているように三人居ることが分かった。
どういうことだ。
先ほどエコーロケーションで調べているときは全く反応が無かったはずだし、エコーロケーションを無力化させる術があるとは思えないし、と思っていると何か布のような物で出来たテントから出てきているのを見ると何か特殊仕様のテントなのかもしれない。
俺は飛永舞脚で走る速度を上げていき、相手のウチ三名がアサルトライフルの引き金を引くと銃弾がまるで鳥のように縦横無尽に飛び回って襲いかかってくる。
俺の周りに囲むように飛んでいる銃弾を落とすため俺は緑星剣を抜いて風の刃を纏わせていく。
「竜撃! 風の型! 風見鶏【乱舞】」
風見鶏の斬撃が次々と襲いかかってくる銃弾を一つ一つ丁寧に落としながら走る速度を上げ、敵の集団に風見鶏の一撃を飛ばすのだが、彼らは全員が上や左右に腕を伸ばして素早く移動していく姿を見ていた。
移動術式でも使っているのか、それとも重力を操っているのかと思考を巡らせていくが、どうやら考えて居る隙は無いようで、上から俺の周りに再び銃弾が襲いかかってきて、残りの三人は警棒のような武器を腰から取り出す。
俺に向かって襲いかかってきながら襲いかかってきて、俺はその攻撃を上空へと跳躍して移動して回避し、俺は真下に向かって剣を抜いた。
「竜撃! 風の型! つがいの風【乱舞】」
沢山の風の刃が真下にいる三人の警棒を装備した兵士に襲いかかっていくが、男はその攻撃を再び何か引っ張られるように移動していくのがハッキリと分かった。
俺はアサルトライフルの銃弾の銃弾を俺は叩き落としながら全域に目を配りながら剣を構え、風の刃を伸ばしながら相手の体を切り刻もうとするが、俺の体が何かに引っ張られる感覚が襲いかかり、俺は空気を足場にしてなんとか踏ん張る。
やっぱりだ。
こいつら引力を使って空中で移動しているんだ。
だったら!
「竜撃! 風の型! 風魔手裏剣【乱れ打ち】」
俺は緑星剣を振り回しながら剣先から小さな手裏剣を乱れ打ちしていき、全員が引力を操って攻撃から回避しようとするのだが、皆があちらこちらに引力を発生させているとお互いの引力が邪魔をして上手く移動が出来ていない。
今ならこいつらをまとめて倒すことが出来る。
俺は息を吸い込み全員の筋肉を全力で動かしながら空気で作った足場から跳躍していき、一気に走り出していきながら風を纏っていく。
「竜撃! 風の型! 到達点! 風竜回転演舞!!」
大きく口を開けた竜を纏いながら俺はまず一人目を切り裂いて行くが、敵は素早く指呼を切り替えて引力を風魔手裏剣の防御のために使用し、残りの敵は同時に警棒を空中で振り回して俺に向かって風の刃を向けるのだが、俺の攻撃はそんな攻撃で今更止まることは無い。
この風竜回転演舞は攻防一体の技であり、生半可な技では打ち破ることは出来ない。
父さんや師匠のように力一杯の大技で正面からぶつけるのならともかく、小さな技ではまるで変化は無いだろう。
そして二人目を切り裂いて行き、今度は走る速度を上げていきながら更にもう一人を斜めに切り裂いて行く。
そこでようやく男の一人が英語で何かを喋っているのがわかり、俺はその喋っている男へと向かって俺は駆けだしていくのだが、男は腰から手榴弾を俺目掛けて投げつけてくるのを俺は急遽横に移動し直す形で回避する。
風竜回転演舞が強い攻撃を正面から浴びることに弱いというのはどこかで聞いたのか、まさかこんな簡単に対策をされるとは思いもしなかった。
アサルトライフルを装備した最後の男が同じように手榴弾を俺に向かって投げようとするが、俺はそれより早く切り裂いて行き、残りの二人が屋上に着地したタイミングで俺も屋上へと戻っていく。
俺はそこで着地して思いついた技を試してみることにした。
「竜撃! 風の型! 到達点! 風竜回転演舞【破裂型】」
俺は周囲を円状に切り裂くように剣を振り回すと、竜はまるで咆哮を上げるような声を発し、敵をまとめて吹っ飛ばして俺はゆっくりと立ち上がり周囲を確認すると、俺はテントの中へと入って行く。
ジュリは自らが操るドッグズの前右腕を強めに振り回して一体のドッグズの胴体を殴りつけ、背中に付けているランチャーをもう一方のドッグズ目掛けて引き金を引く。
後ろ左腕を使ってランチャーが着弾したドッグズの首元を強めに握りしめて拘束し、前左腕が両刃斧を取り出して胴体から振り下ろそうとするのだが、ドッグズはその攻撃を正面から受け止めてしまう。
その下ではレクターが「おお!」と声を上げて感心しており、その間にアベルが跳躍していき大剣を力一杯殴りつけられたドッグズへと向かって振り下ろすとドッグズはそれを前側の両腕を使って防ぐのだが、アベルの力任せの一撃は魔導で強化している斬撃攻撃で機体を真っ二つにしてしまった。
レクターはジュリが乗るドッグズが拘束しているドッグスのメインカメラをナックルで殴りつけて破壊するが、それでもレクターへと向かって殴りつけようとするが、それより早く殴りつける腕の関節部を刀で切り裂く海が現れた。
最後にジュリが両刃斧でドッグズの胴体を真上から切り裂いて行く事で戦いを終わらせる。
ジュリ以外が地面に着地し、アベルが大剣を肩に背負いながら周囲を見回す。
「どうやらとりあえず駆逐したようだな。上の戦闘も静かになったし…しかし、まさかドッグズを操作できるとは思わなかったぞ」
「アベルさんは知っていたんですね。この機体」
「ああ。いずれはガイノス帝国でも正式採用される予定だったんだ。だから資料を見たことがある。魔導機を搭載した最新式だったはずだ」
「なるほど。だからあんなに装甲が強いのか…滅茶苦茶堅かったもん。でも、海はどうしてあんなに簡単に切れたの?」
「え? ああ。あれは父さんが家においてあった資料を見たときに装甲を強化出来るけど間接部までは出来ないって書いてあったので」
「それで? 海。お前の父親は何処に行ったんだ? てっきりお前と一緒に行動していると思ったが?」
「それが…どこにも居ないんです。多分前の方へといったんでは無いでしょうか? まだ民間人が沢山残っているみたいですし」
アベルは「なるほど」と呟きながら周囲を見回しながら改めてソラが居るはずの屋上へと目を向ける。
全員で屋上へと向かい、ソラを探してみても屋上にはテントと兵士達の遺体が鎮座しているだけだった。
「ソラ君! どこに居るの?」
ジュリが大きな声を上げて呼んでいるとテントの方からソラの声が聞こえていて全員でテントの中へと入っていくと五つのデスクトップ型のパソコンが並んでおり、その椅子に座りながらパソコンを動かしている。
「どうやらここでドッグズの配置をいくつか把握できるようになっているんだ。直接動かしているのはそれぞれの場所にあるみたいだけど」
ジュリもソラの隣に座って操作し始めると情報を探り始めた。
「購入者は米軍じゃ無いみたい。これは個人出資者? 武器も魔導機搭載出来るようにいくつか中古品だけど魔導機も大量購入していたみたい」
「そう言えばさっきの奴ら魔導機搭載式の武器を使って居たが、あれは中古品の魔導機を無理矢理武器に装着したのか…そう考えればドッグズに搭載していた無線も無理矢理装着した物だったな」




