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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
ニューヨーク・アップヒーヴァル《下》
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大乱の始まり 4

 教会のドアをゆっくりと開けて中へと入っていくと、広い空間から空気が流れてきて、その風を浴びながら俺とジュリは中の様子を見守っており、俺は同時にエコーロケーションで中を索敵していると敵っぽい人どころか人一人すら存在しない。

 俺はジュリの右手を優しく掴みながら緑星剣を召喚してゆっくりと前へと歩いて行くのだが、俺のエコーロケーションが上空からの何かがやってくるのがわかりジュリを腕で守りながら一旦数歩後ろに下がっていく。

 すると天井を突き破って四つ足の機械人形が姿を現すのだが、その姿がボロボロなら俺は安心できるが、残念なことに新品のようにピッカピカの姿で現れた。

 しかも明らかに俺達への敵意を放ち、熱を排出する穴から沢山の真っ白で暖かい空気が排出され、四つの腕をまるで試すかのように振り回してから最後にテストかのように俺とジュリ目掛けて一本の腕と同時に両刃斧を振り下ろしてくる。

 俺はジュリをお姫様抱っこの状態で大きく跳躍してから素早く移動していき柱の裏に一旦隠れるが、その柱を見事に一撃でなぎ払ってくれる姿を見て惚れそうになる。


「なんか…こう……アクション映画なんかでよく見る光景だけどさ。経験してみるとこれ以上無く恐怖だよね。良くこの状況でジョークをかませると思うよ」

「ソラ君もさほど変化無いけど…」

「そうだ! 早く逃げろ! 殺されるだろう!」

「お前は一人で逃げられるだろ…エアロード。それよりこれは見たこと無いが…ジュリ調べてくれないか? 完全に壊す前に調べて欲しい」


 ジュリは小さく「分かった」と言いながら同時に「少し時間を頂戴」と言ってくるので、ジュリを背中に背負いながら俺はエアロードを邪魔なので機械人形へと投げつける。

 エアロードが悲鳴を挙げながら飛んでいき、俺はその隙に近くのドアを片っ端から開けてみて何か無いかと探していると、ロープを取り出してジュリが落ちないようにロープを上手く巻き付けると、エアロードがメインカメラ辺りにくっついたままの機械人形が壁をぶち破って現れる。


「そこにドアがあるんだからそこから来いよ! 大胆な訪問過ぎるだろ! 修繕費を考えろよ!」

「その前に私に謝るという事は無いのか!? 生き残るのにどれだけ必死だと思っている!」

「無い! お前がしでかした事件の多さによる苛立ちしか無いわ! 当面そこで大人しくしていろ」


 エアロードが黙り込む辺りしでかしたという自覚はあるらしいのでここは黙っていることにし、俺は緑星剣を改めて握り直すが、そんな俺に向かって容赦無く両刃斧を振り下ろしてくるのを俺は体を捻ることで回避しつつ反撃していく。

 緑星剣を機械人形の腕を直撃したのだが、何やら金属にしては強度が異様に強い気がするのだ。

 実際刃が食い込もうとしないので俺は壁にあいた大きな穴から出て行き、近くの椅子にしゃがみ込みながら隠れてみる。

 するとそんな俺に機関銃の弾丸の雨が容赦無くやってくるので、俺は緑星剣で弾丸を弾きながら今度は二階へと昇っていって走って避けていると、機械人形の腹の辺りからなんか…圧縮エネルギーみたいな……もうSF映画で出てきそうな分厚い熱線攻撃が襲いかかってくる。


「何だ!? 何だ!? 何が起きている! この機械は何をしているんだ!」

「知らない方が良い! 多分知ったらお前は逃げようとして殺される!」

「何!? 分かった! このままで居るから早く倒せ!」

「と言ってもこいつ妙に体が硬くてどうしようも無いんだけど…ジュリどうなんだ?」

「見つけたけど…これってウルズナイトの新型タイプだよ。なんでこれを反抗勢力が使っているの!?」


 脳神経を最大値まで使い込みながらなんとか考えをまとめてみる。

 ウルズナイトはガイノス帝国の正式武装であるロボット型の兵器であり、有人兵器の中ではガイノス帝国が所有する兵器としては使い勝手が非常に良い。

 最近では新型の魔導機とリンクさせて様々な力を振るう事が出来るのだが、それは中に人が居ればと言う話し出し、何よりもこの状況でどうしてウルズナイトの新型が無人状態で俺達に襲いかかってくるのかが分からない。


「ジュリ…先ほど戦闘の時にしたみたいに魔導を自動発動は出来るのか? それともあれはジュリが自分で作ったプログラムなのか?」

「さっきのは私が自分で作ったプログラムだけど…技術大国が同じ技術を作っていると聞いたことがあるけど…少なくともコンピューターが出来るとは聞いたことが無いよ」

「と言うことは…誰かが遠距離で動かしていると言うことか…」


 無線で動かしていると言うことになり、俺は広範囲にエコーロケーションで探ってみると二つ離れた建物の屋上に男性が二人で何やら機械を動かしているのが見え、俺はジュリにその居場所のおおよその場所を教える。


「窒息させて殺してくれれば良い。それだけで無力化出来るかどうかを試してみたい」

「分かった。やってみるけど…私個人が把握しているわけじゃ無いから時間がかかるよ」

「それなら少し考えがあるんだ」


 俺はジュリの左手をそっと握りしめ、俺のエコーロケーションの空間把握能力をジュリへと一時的に共有し、ジュリはその能力共有把握しつつジュリは二つ先にいる二人男性を窒息死して無力化すると、機械人形が完全に沈黙した。

 俺はジュリを背中から下ろしつつ、二人で一階まで降りてエアロードがギャアギャアと騒ぎながら俺の服の中へとはいってくる。

 俺とジュリは中へと入っていき、無線を完全に切ってからジュリが中にある魔導システムを弄り始めると、ジュリが大きくため息を吐き出した。


「これ滅茶苦茶だよ。出来上がっただけのウルズナイトのシステムに強引にアメリカ産のドローンと同じシステムを付け足しているだけ。それも、魔導機のシステムもそれで遠隔操作しているけど…これも無理矢理しているから装甲強化しか出来てないもん」

「まあ…魔導や呪術の技術を持っていないアメリカの人達が即興で作ろうと思えばその程度が限界だな。これ動かせるか?」

「待って……今これを外せば遠隔操作は無力化できるから。後は魔導システムの中を変えてしまえば…」

「もう降参するから勝手にしてみてくれ」

「そうだ…さっきのロケットランチャーの攻撃もこれが原因みたいだね」


 今度は更にコックピットの中へと入っていくジュリ、俺はそれを覗き込みながら肩に書かれている名前が目に入った。

 どうやらこの機体の名前は『ドッグズ』というらしいが、それはどういう経緯があってそういうネーミングが付いたのかと言うことだ。


「出来た! これでいけるよ」


 こうして俺達はこのドッグズという機体に乗り込んで動かし始めるジュリ、俺とエアロードはコックピットの直ぐ外で座りながらゆっくりと景色を眺めている。

 何というか大きいが故に非常にゆっくりとしか移動できないようだし、ブースターで飛ぶことが出来るのだが、あまり意味がある行為とは言えないので止めることにした。

 考えてみても大きな巨体が空を飛ぶという行為に俺はデメリットしか感じないのでもし提案されても俺は絶対に阻止する。


 エコーロケーションで探っていると近くの大通りでレクターと父さんが暴れ回っているのがわかり、俺は道案内をしながら辿り着くと、なんか……全く同じ機体が二人相手に暴れ回っていた。


「ジュリ。あの二人の援護しながらあの機体を壊してくれ。俺はその間に…」

「操っている奴を探し出して倒すだね…分かった」


 そう言ってジュリはコックピットから飛び降りて建物の屋上へと辿り着く。


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