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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
ニューヨーク・アップヒーヴァル《下》
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エルスタイン財団 7

 あの二人の関係は単純にビジネスパートナーだったというだけなのだろうが、そう考えればあのメイドがここで俺達を待ち構えていたのは決して偶然なのでは無い。

 やはりわかりきっていたことだったし、こうしていると敵の罠に自ら突っ込んで師匠を巻き込んだ事を反省することしか無い。

 なんかかっこいい事を言って誤魔化していたが、それでも師匠をおびき出す作戦にはまり、師匠は今石像となってメイドから狙われている身。

 石像と言うこともあり爆弾一つあれば師匠を殺すことは容易いだろうし、間違いなく今不利になっているのは俺だろう。

 下手にラウンズを展開していき、攻撃範囲を縮めることだけは避けたい。

 となればやはり俺の実力で攻めるしかないし、使えるのも『太陽の鏡』ぐらいだろうと覚悟の上で戦わなくてはいけないだろう。



 緑星剣を握りしめて相手の出方を伺っており、メイドは俯いた状態で身動きしないままの状態が続いており、俺も先に動くことが出来ないままの状態が続いていたのだが、メイドのスカートの中からミサイルが突然現れる。

 戦闘機などにも使われているミサイルがそのまんまやってくると流石に面食らってしまう。

 俺は緑星剣で切り裂きながら両足で思いっきり蹴りつけて軌道を大きく外に逸らすのだが、その途端メイドが俺の視界から完全に消えており、エコーロケーションを展開して確認すると、俺の反対側を位置取りをしておくマシンガンの弾丸が師匠を襲う。

 俺が展開した騎士人形はその攻撃を体を張って防ぎきり、俺はその間に相手に一気に接近して斬りかかる。

 するとメイドはバク転の要領で攻撃を回避しながらナイフを俺目掛けて投げつけるのだが、俺はそれを避けるか否かをギリギリまで見極める。

 すると、やはりこのナイフも普通のナイフじゃ無い。

 俺は緑星剣でナイフを弾いてから一気に距離を詰めていくのだが、ナイフの軌道が急に切り替わって師匠目掛けて突っ込んでいく。

 あのナイフは高性能の切断能力を持っており、多分突き刺さると場所によっては致命傷のような傷を作ることになるだろう。


 騎士人形が体を張って守ろうとするのだが、メイドは別方向からマシンガンを撃ちまくっている。

 騎士人形はマシンガンの弾丸から守る事が精一杯でナイフの方には手が向かない。

 俺が走ってナイフの軌道を微かに変えて見るが、ナイフは師匠の石像の脇腹に深々と突き刺さるが、あの程度ならまだ大丈夫だろう。

 変に遠隔で動かされたら困るので素早くナイフを抜き取って改めてメイドに向き直ってから駆けだしていく。


 メイドはナイフを空間交換で自分の手元に戻し再び投げ直す仕草を見せるが、そんなときジュリがタブレット型の魔導機を動かし始めると師匠の石像の脇腹の傷がどんどん修復していく。


「ソラ君! ガーランドさんは絶対に私が元に戻すから気にせず戦って! 気にし過ぎると勝てないよ!」

「ジュリ! 任せる!」


 俺は大きなダメージだけを避けることだけを考えてから改めて立ち向かう。

 するとメイドはナイフを今度は師匠の石像の頭部に当たる部分目指して投げつけ、俺はそれを横からナイフを真っ二つにすることで抵抗する。

 メイドの舌打ちが至近距離から聞こえてくるとメイドはスカートの中からミサイル型の爆弾を取りだして四方八方飛ばしていく。


「お前……! 最悪生き埋めになるんだぞ!」

「知ったことか! 後ろの男を殺すことが出来るのなら構わない…手段なんて問うものか! そこの石像になってしまった男さえ居なければ! 居なければ!」


 俺はミサイル型の爆弾を切り裂こうとするために飛永舞脚で駆け出しながらある疑問が脳裏をよぎった。

 というのも、このメイド達は師匠を狙って始めっから作戦を立てているかと思っていたが、この話を聞いているとどうやらメイドは聞かされていなかったことになる。

 てっきり俺の推理ミスかと思っていたが、それでもあの二人…キュキュとアンテルの二人は師匠が狙いのような気がする。


「竜撃! 風の型! 到達点! 風竜回転演舞!」


 周囲の風を集めていきミサイル型の爆弾を次々と打ち落としていくと、メイドはその隙にスカートから大量のナイフを取り出して師匠目掛けて投げつけてくる。

 俺は作り出した風の竜でナイフを全て粉々にしていきながらもう一度メイドの方へと突っ込んでいく。

 するとメイドは今度は機関銃を取り出して横に走りながら師匠目掛けて引き金を引いていき、次々と射出される攻撃を俺は防ぎながら部屋中を駆けずり回っていく。

 次第に強力になっていく一撃をメイド目掛けて斬りかかろうとすると、メイドはスカートの中から三十を超える手榴弾が周囲に投げつける。

 一斉に爆発したらこちらとしては困る事態になる。

 俺は一気にかけ出していき風竜回転演舞で全ての手榴弾をたたき落とそうとするが、そんな時間があるはずが無い。

 できる限り壊したところで太陽の鏡を召喚して師匠の周りに爆発を低減し、そのまま爆発と一緒にメイドへと突っ込んでいく。

 空間交換で逃げられる前に緑星剣を思いっきり振り下ろし、メイドが姿消えそうになる瞬間に俺の緑星剣が深々と突き刺さり、同時に部屋中が物凄い轟音と一緒に爆発していった。



 爆発が止むと同時に俺はそのまま壁にぶつかっている状態だったと分かり、俺は体を起こそうとするのだが、途端に体中に痛みが走る。

 どうやら風竜回転演で爆発自体のダメージは低減したが、それでも無傷だったわけじゃ無いらしい。

 なんとか体を起こしながら師匠の方を確認してみると、多少爆発で傷が付いているが、それもジュリが再生可能なレベルだろう。

 俺がホッと息を漏らしていると、植物による牢を破壊して俺と師匠に駆け寄っていくジュリ達。


「大丈夫ソラ君! 凄い爆発だったけど!?」

「俺は大丈夫だから。師匠の体の修復を頼む。あのメイドは!?」


 海と父さんとレクターがそっとある方向を見つめると、そこには深々と緑星剣が突き刺さった状態のメイドの上半身だけがそこに存在していた。

 どうやら殺すこと自体には成功したが、今の所元に戻ることが出来ていないと言うことはまだ何か手順があるのだろう。

 ジュリは師匠の修復を終え、俺達は師匠を囲む形で話し合った。


「で? どうすれば父さんを元に戻せるんですか?」


 海の素朴な疑問にジュリがタブレットを検索し始め、父さんは「知らない」という顔をしており、レクターは最初から話に入る気が無いようだった。


「えっと……その胸にあるマーク? 痣? それを削ったりして消せば良いみたいだよ」


 俺は「それじゃあ」と言いながら触れようとすると、今度は父さんがそれを制止した。


「待て! この姿を弱みとして写真に写しておく。あらゆる角度から写真を撮ろう!」

「良いけど…カメラは?」


 俺達の素朴な疑問を代表して俺が聞いてみたら、師匠は胸ポケットから取り出したのは簡易型のカメラ。

 この人はそんな道具を持ち歩いていたのか…もっと真剣になって戦って欲しかったが。

 こんなことを父さんに期待することがおかしいか。

 それよりも、俺は気になっていたことを父さんに聞いてみた。


「ねえ…あいつらさ…」


 すると父さんは撮影しているカメラの手を一旦止めて振り返ること無くハッキリと告げた。


「狙いはガーランドだろうな…」


 ジュリと俺は驚くこと無く、海とレクターは本気で驚いている。


 なんとなくジュリも分かっていたのだろう。

 師匠が・・・狙われていたかもしれないと。


「お前達が突入してくることまでも計算して監視カメラに写ったんだろうな。入ったまま出てこなければ追ってくると…」

「はい…だからあの二人を雇ったんだと思いますよ。多分いくらか候補は居たでしょうけど…でも…」


 回りくどい。

 そう思っていたとき、師匠の足下から真っ黒な帯のようなモノが現れ、俺はそれを触れて見ると電流みたいなのが周囲へと攻撃を浴びせていく。

 師匠を包み込んでいき、黒い帯は周囲に雷のような攻撃を飛ばしていくのを俺はジュリをかばい、父さんはレクターと海をかばいながら少し距離を取る。


 師匠の石像が黒い帯に包まれて真上へと持ち上げられていくと、その黒い帯の先にはボーイッシュ姿のキューティクルが不適な微笑みを抱いていた。


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