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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
ニューヨーク・アップヒーヴァル《下》
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エルスタイン財団 3

 植物園のような場所を越えて研究施設の中に入っていくとさっそくジュリはパソコンから情報を探し始め、俺はエコーロケーション常にあの二人の居場所を特定しており、俺達と一定の距離を保っている。

 一定の距離感を保っているところを見ると俺達の居場所は常に把握しているのだろう。

 ジュリが素早くハッキングを済ませると驚きの言葉を発した。


「この施設いくつかのセキュリティが分かれているみたいで、このレベル2までの地図は手に入ったけど・・・電力供給事態は一個上のレベル3まで行かないと駄目みたいです」

「う~ん。まあ予想していたけど。お決まりの展開だなぁ」

「そうですね。ゲームでよく見る光景です。こういう場所って最後に爆発したりしますよね」

「ああ。分かる分かる。そんでもって大きな穴とか合ったりな」


 俺と海が快談に夢中人鳴っている間、全く話の内容が分からないレクターが面白くなさそうな表情をし、父さんは分かったフリをしている。

 すると俺の服の中で大人しくしていたエアロードが突然会話に入ってくる。


「それやったぞ! 面白かった。だが、他のシリーズもそんな感じなのか?」

「エアロードさん。やったことあるんですか? もしかして奈美が持ち込んだとか?」

「それ以外無いだろ? あいつホラー系苦手なくせして、ああいうゲームはどうしてもしたがるんだから。俺にプレイを任せてそのまま逃げようとするし」


 なんて会話をしているとジュリが微笑みながら「あるよ」と告げるので三人で「え?」と聞き返す。

 ジュリはタブレットで地図を表示してくれ、そこには大きな大穴が広がっているのがよく分かる。

 エアロードが物凄く興奮しているのが俺でもよく分かり、エアロードは「行きたい!」と鬱陶しい。


「行っても得しないだろ? 無視だよ」

「ブー! ブー! 行っても良いだろ?」

「ソラ君。そこに行かないとレベル3までは行けないよ。そこにかかっている鉄橋を渡っていくとレベルを一個上に上げることが出来るの」


 ジュリの説明だとどうやら最初の受付がレベル1、休憩室からその大穴までがレベル2、そこから先がレベル3。

 レベル3に行くにはその大穴へと向かう過程で常にエアロードのテンションが高いことこの上ない。

 そして辿り着いた所でテンションは最高潮に達するのだ。


「おお! 見ろ! ここは聖地だな!」

「オタク竜は少し黙っていろって。結構真剣な所なんだからさ」


 大きな穴はトラックが三台分同時に落ちていっても余裕があるほど大きく、そのど真ん中に鉄橋が架かっているのだが、あさっての方向へとかかっていて渡りそうも無い。

 ジュリが近くの端末を弄り始め鉄橋を操作し俺達の目の前に橋を架ける。


「さて・・・行くか・・・・・・? 何か後ろからやってくる? いや・・・・・・上から? なんだ? エコーロケーションを妨害しながらやってくるが・・・」


 皆が渡り始めると俺だけが中心で足を止めて少しだけ考え込んでしまう。

 やはりどこかからかやってきているのがよく分かるが、先ほどの二人はまだ俺達と一定の距離感を維持しているし、誰かが入ってきた素振りは見せない。

 エアロードも違和感に気がついたのか俺と同時に探し始める。

 そして、違和感が上からやってくると気がつき上を素早く見上げるとそこには昨日レクター達が戦った人型の機械兵器である『試作機』の別タイプが四つ足で降りてくるのが分かった。


「皆走れ!」


 ジュリを抱えて走ろうとするが、ジュリは一番前を歩いているので俺が走って追いかけるよりあの機械兵器を足止めした方が早い。

 俺は空気を足場にして走り出していき機械兵器へと緑星剣を思いっきり切りつけるが、機械兵器はその攻撃を大剣で防ぎそのまま俺を吹っ飛ばすが、エアロードが素早く背中に回り込んで大きな翼を展開し俺を持ち上げる。


 俺は緑星剣を握りしめ直し改めて立ち向かおうとするが、上から更に三体ほど現れた所でエコーロケーションで常に捕らえていた二人が急に離脱するように動き始め、周囲に真っ赤な警報が鳴り響き渡る。


「崩壊シークエンスが起動しました。直ぐに離脱してください。レベル3はこれより三十分後に崩壊します」


 そう言ってこの広い大穴の外壁がどんどん開いていくとそこには大きな球体の建物が現れ、俺はエルスタイン財団という存在に俄然興味がわいた。

 機械兵器はプロペラを登場させて空中に浮かび上がり、俺達の周りを飛び回っているのだが、この施設上との関係性が非常に気になってしまう。

 この上に都市があると仮定すると地盤沈下で崩壊するのではと思われるが、その辺もちゃんと考えていると信じてもいいのだろうか?


「ソラ君!?」

「皆は先に脱出している二人を追いかけてくれ! 俺はこいつ達を撃破してから離脱するから!」


 ジュリの両手を掴んで走り去ろうとする皆を確認して、俺は改めて機械兵器と向き合うのだが、相違した途端俺に向かって大量のミサイルが飛んでくる。


「エアロード! 走って逃げろ!」


 俺を掴んでそのまま素早く飛ばして移動して逃げていき、ミサイルはそのままレベル3の建物へと次々と着弾していき、大きな爆発と同時に建物に爆炎が広がっていくのだが、機械兵器は今度はレーザー光線をまるで機関銃のような勢いで照射していく。


「走って逃げろ!」

「なんとかしろ! 逃げるのも時間の問題だぞ!」


 俺は風の刃を飛ばして見ても風の刃では鉄の装甲を切り裂くことは難しい。

 関節を狙いたくてもこうもエアロードが揺らすと狙いにくいモノがある。


「揺らすな! 狙えないだろ!? お前わざとしているだろ!?」

「そんな器用なことが出来るわけが無いだろうに! お前がちゃんと狙っていれば良いだけの話だろうに!」

「何を!? お前が真剣にしていれば解決するんだよ! 真っ直ぐに飛べよ!」


 見にくい言い争いをしている場合では無いと分かっているが、俺達は真剣な戦いをしているんだ。

 何度も何度も揺らしていては狙った場所に風の刃を飛ばすことが出来ない、なんで邪魔をするんだかと思っていた所で俺はある攻撃方法を思いついた。


「エアロード。あえて突っ込んで行ってくれないか? 攻略する事が出来るかもしれないんだ」

「・・・信じても良いのか? 全く・・・」


 エアロードは身を翻して翼を大きく羽ばたかせて機械兵器目掛けて突っ込んでいき、俺は全身の神経を最大まで研ぎ澄ませる。

 同時に緑星剣の刃に集中しながらある技を解き放つ為の準備に入った。


「あえて相手の攻撃がなるべく俺に当たるようにしてくれ。難しいなら無理なら逃げてもいい!」

「無茶苦茶な注文が多いな! 全く!」


 レーザー光線による機関銃攻撃を掻い潜って俺はレーザー光線を緑星剣の刃で受け止めながら突っ込んでいき、至近距離まで近づいたところで俺は光を攻撃手段へと変更する。


「竜撃! 光の型! 煌光!」


 俺は光の銃弾のような一撃を全て器用に機械兵器目掛けて解き放ち、全てたたき落とす事に成功し、エアロードを空中に滞空する。


「さて・・・・・・どうする?」

「崩壊する前に逃げるに決まっているだろうに・・・急げよ。もう崩壊し始めているぞ」

「おお! まさかこのような光景を見ることが出来るとは!」

「オタク竜! さっさと撤退しろ!」


 素早く逃げ出していくエアロードは残念がっており、俺は何度もたたきながらレベル2へと逃げていく。


「先ほどの奴が動かしたのか?」

「たぶんな。レベル3でしか操作できないんだろうな。多分だけど、あのレベル3では何か知られたくない情報があるんだろうな」

「・・・・・・まさか今から戻って調べると言わないよな?」

「言わないから安心しろ」


 エアロードは小さく縮んでいき俺の服の中へと消えていった。


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