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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
ニューヨーク・アップヒーヴァル《下》
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探し人はいずこに 8

 ジュリは風の弾丸を真っ赤な球体へと向かって突っ込ませていき、俺は真っ赤な球体を破壊していきながらなんとかジュリを守っていく。

 今度は真上からキュキュがナイフをジュリめがけて投げつけてくるのを俺は緑星剣で防ぎ、キュキュは腰から弓を取り出す。

 弓を大きく引いて俺たちに向かって真っ赤な矢を解き放ち、俺はその全てを打ち落とす為飛永舞脚の速度を上げていこうとしたとき、ジュリは「任せて」とつぶやき始める。

 タブレット型のタブレットを素早く打ち込み風の弾丸を真っ赤な矢と真っ赤な球体を打ち落としていき。

 俺は駆けだしていきキュキュは驚きの表情を浮かべているが、少し離れたところから大きな衝撃音が響き渡りキュキュはその音のする方向へと消えていくと攻撃がパタリと止んだ。

 ジュリがタブレットを操作し始めると今度はレクターと海が姿を現す。


「向こうにアンテルって女性が現れて真っ赤な球体を次々と放ってきて、今度はキュキュって女性が邪魔をした後去って行ったんです」

「こっちにはキュキュがやって来たよ。しかもアンテルって女が放っていた真っ赤な球体の襲撃つきだ。俺たちがここにいるって分かったというよりは初めっから俺たちがやって来ることを想定済みとみた方が良いな」

「でもさ・・・そんなことある? 海が言っていたでしょ? アンテルって女が襲いかかってきた。そのときまるで俺たちがここに来ていることを知らない風だったよ」

「こっちはその逆だぞ。まるで俺たちがここにいるって事を知っていたかのように・・・」

「多分知っていたんだと思うよ。一部ネットの有線LANをこの下水道を通じてニューヨーク中に張り巡らせているみたいだし・・・」


 ジュリが話に割って入って来るのを俺たちは一瞬だけ驚き、ジュリのタブレットを覗き込むとそこにはこの機材をポータルにニューヨーク中の監視カメラにハッキングしていたことが記載されている。


「じゃあこの機材を壊せば一旦あいつらの行動を妨害出来るって事?」

「そうなるな。手当たり次第に壊してみたい・・・と言いたいが、できるだけ素直に情報を引き出したいからあの二人より先に動くべきだな。できるだけ素早く一つだけ多く情報を引き出してみようか」


 そう言って駆けだしていく俺たちはジュリの道案内の元二つ目の機材を見つけ出し、二つ目ではあの双子は襲ってこなかったが、ジュリは五分ほどで情報を抜き出し、今度は三つ目へと向かったとき、遂にあの双子とバッティングしてしまった。


 真っ先に駆けだしていった俺と海、ジュリが機材にケーブルを差し込んでレクターがそのジュリを守るように動く。

 海が斬撃を放って真っ赤な球体をたたき落とし、俺は矢の攻撃をさばききりながらキュキュに切りつけていくのだが、キュキュをアンテルという女がワイヤーを引っ張ることで攻撃を回避し、側面から俺に向かって弓を引くのだが、俺はその攻撃を風の斬撃を打ち落とす。

 この戦いですらもあくまでも無表情を繰り返し、ずっとアイコンタクト無しでコンビネーションを見せてくれる。

 故に違和感を感じ取るのは簡単な事でもある。

 まるでテレパシーを使っているかのような意思疎通を見せており、ジュリが「終わったよ」という言葉と同時に機材を壊して俺達は次の行動へと移っていく。


「あの二人まるでテレパシーでも感じ取れるかのようなコンビネーションだったな・・・あれは異能と言ってもいいレベルだが・・・まさかとは思うがノアズアークの研究がそのまま使われているわけじゃ無いよな?」


 俺の言葉に全員が黙り込み、ジュリが手に入れた情報を閲覧し始めて俺にそっとそれを見せる。


『ノアズアークを使った異能実験に関する最終報告。異能と呼ばれる力を持つ者が現れて以降我々は密かな実験を行ってきた。異能を人工的に引き出すことが出来るようになれれば戦力として申し分ない。精神的な負荷を与えて薬などの投薬実験を行ったが出来上がった異能力者は二人しかいなかった。この実験は失敗であると断定できる』


 どうやらアメリカでは異能に関する実験を密かに続けており、ノアズアークの存在を政府関係者は黙認したという事になる。

 その実験をこの地下で行っていたのかまでは分からなかったが、どうやらそのデータをこの機材の中に隠していたようだ。

 もしかしたらこの機材は異能実験の副産物なのかもしれない。


「多分だけどこの機材は異能実験の副産物的な結果なんだと思うよ。そして、ここにある異能力者が多分あの二人なんだと思う。テレパシーというよりは記憶領域の共有というべきなのかな? でしょ? ヴァルーチェ」

「ええ。あの子達の頭の中を探ってみたところそれが正解であるようですね。嫌なことや好きなことまで全て共有することが出来る。それこそ見ている風景すらも共有しているようです。恐ろしい限りではありますが、二人で一つという感覚は幼い頃から存在しているようで、それを薬品で強化したようですね」


 ヴァルーチェの話。

 キュキュとアンテルという二人の女性の頭の中を探ったとき、分かったことの一つは『意識の共有』という事だったらしい。

 元々寝ているときなどに相手の見てきた記憶を共有してきたことがあったらしいが、薬品実験を繰り返しているうちに手に入った能力。


「じゃあヴァルーチェは彼女達の能力は元々は異能じゃ無いと?」

「ええ。あくまでも人工的に作り出されたもので、元々持っていた才能も一卵性の双子故のものだったのでしょう」


 薬品で手に入れた人工的な才能、それはある意味恐ろしい実験だったに違いないが、それを誰が主導していたのかはまるで書かれていなかった。

 しかし、ヴァルーチェ曰くこの実験そのものが失敗に終わったという理由に俺たちが関わっていた。


「あなた達がノアズアークを潰したことで異能力者達がいなくなったこと、そして唯一の成功体にもデメリットが生じて実験を続行しても成功する保証が出来なくなったの」


 要するに異能を実験するための研究体が一体もいなくなってしまい、その上成功した実験体もある失敗点が発見してしまったのだ。


「その失敗というのは・・・意識の共有が出来てしまう為に生じた・・・喋れないという事です」


 喋ることが出来ないというデメリット、感想を口にすることが出来ないというのは生きた異能を作り出す上では大きなデメリットである。


「とりあえず全ての機材を探し出してできる限り情報を見つけ出せば彼女達の本当の依頼主が見つかるかもしれないな。で? この機材の別の使い道って何だ?」

「? どういうこと? ソラは何か気がついたの?」

「あれがデータを蓄積していたり、有線LANのターミナルだとしてもあの大きさは無いだろ。あれ、ドラム缶を二つ分ぐらいの大きさがある」


 何かを探しているのだろう。

 あれはその捜索機という側面がありそうだと感じている。


「うん。メメントモリが何かを探していた痕跡はあったよ。昨日ソラ君と接触した理由もこのデータの中にあった。ソラ君と刺激することで見つけたい『何か』を探し出すことなんだって。ソラ君は異能殺し。異能に刺激を与えることが出来るって書いてる。それが何なのか詳細が書かれているわけじゃ無いけど・・・名前は分かる」


 ジュリが告げる言葉を俺たちは黙って聞いていた。


「・・・・・・朱雀」


 四神の一体の名前、これがなんの意味を持つのかなんて俺にだって分かりはしない。

 しかし、副大統領と不死の軍団が繋がっていると言うことは間違いないらしい。


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