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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
シーサイド・ファイヤー《下》
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海洋同盟へ… 1

 飛空艇の大きな揺れで目を覚まし、飛空艇内の自室の木製に見える天井が見える。

 自宅の自室とは違いシミ一つない綺麗な天井と体を起こして同じように綺麗な木製に見える壁、同時に綺麗な家具が並んでいる。

 しかし、壁に掛けている時計は俺が疲れから寝ると決めてまだ一時間しか経過しておらず、時間は夕方の五時。


「このまま寝ると夜寝るのに支障が来るよなぁ………でも正直に言えば寝てないから眠たいし」


 ここで我慢して夜ガッツリ寝るか、それともここで根て夜に支障を出すかの二択。

 まあ、我慢するけど。


 ベットから出て自室のドアノブに手を伸ばし、ゆっくりとであるがドアを手前に引っ張る。

 特に不快な音もたてず不自然な軋みも出さない綺麗なドアを開き、同時に奥へと足を進めていく。


 赤いカーペットのような床と細かい装飾が描かれているこの飛空艇、別段大きすぎるというわけでも無いが、西暦世界の飛行に比べるとジャンボジェット機よりはるかに大きい。

 これでも中型級の飛空艇なので合計で四階建て、上三階は客席で上へと昇っていくとVIPルームクラスの豪華な部屋になっていく。

 ちなみに俺達が宿泊する部屋はVIPクラスの豪華な部屋である。

 それ故に廊下のデザインも同時に豪華になっていく。


 父さんも一般の部屋を選べばいいのに、趣味にお金がかからない性格故基本的に生活以外に金を駆けない。その上大将という軍部の中では将軍クラスの人間。

 支払われるお金の量も又かなり多く、それ故に貯金が異常なほど多いはずだ。


 俺も生活するうえで父さんの口座番号を知っている(というか生活する上で俺と母さんが把握している)が、口座には0が十以上は並んでいる。

 それ故にこういう時に父さんは金に糸目をつけない。


 俺は階段を下りていき三階の甲板エリアへと足を進め、大きく広がった甲板エリアは上下左右全方面に広く作られており、多くの人々が甲板エリアで風景を楽しんでいる。

 中には簡単な食事でもという人間が多い。


「飛空艇ってどうして外に出られるの?」


 前方甲板へと歩いていくと奈美のそんな声が聞えてき、ジュリとレクターを左右に置きながら無邪気に尋ねている。

 無論レクターが答えられるわけが無く、笑って誤魔化そうとするレクターに対し、ジュリはきちんと答えようと言葉を選ぼうとする。


「飛空艇は周囲の風の流れをコントロールする為に後部と前方部分にその為に機能が付いている。これが甲板エリアに人が来れるという理由だ。その分一般の飛空艇は飛行機に比べると速度が出ない」

「ソラ君。起きたの?」

「ああ………まあ夜はガッツリ寝るさ」


 ジュリの隣に立ち柵に体を一旦預けるのだが、奈美が俺の方に近づてくる。


「じゃあ速度を出すとどうなるの?」

「甲板エリアみたいに人が集まりやすい場所を造らないとか、デザインそのものを変えるとかかな。飛空戦艦(ひくうせんかん)は単機で戦うというコンセプトだから速度は出るけど甲板は作られていない。でも、飛空空母(ひくううくうぼ)戦闘用(せんとうよう)飛空艇(ひくうてい)などを搭載する上で速度があまり出ないように作られているんだ」

「へぇ………あの飛空艇は?」


 奈美が柵の向こう側に指を向けるのだが、そこにはガイノス帝国の青と白い竜のデザインが描かれている飛空戦艦が同一の速度並走している。

 と言ってもジャンボジェット機二機分間を開けてはいるが、それでも本来早い速度で移動しているはずの飛空戦艦が並走しているのはおかしいだろう。

 おそらく父さんがこっちにいるから合わせているといった方が良い。


「あれは飛空戦艦だから本来はもっと早いぞ。でも飛空艇は大型になれば速度が出ないし、小型になれば防御力が低下する分速度が出るという法則があるから。あれは少々大型だな」


 この飛空艇より更に一回り程大きい大型戦艦、側面や下に強烈な砲台が並んでいる。


「あれが一番大きな戦艦なの?」

「戦艦で言えば…………どうだったかな?空母は超大型クラスが居たはずだけど。ジュリ戦艦は超大型ってあったか?」

「ううん。無いよ。でもあれより大型はある。あれは大型の中でも速度重要視している節があるから。でも一番大きな戦艦は今日本とアメリカに駐留させている聞いたから」


 ああじゃあないな。

 確か数が無いって聞いていたはずだし、多分あっても帝都の軍港に収められている可能性が高いだろう。


「でも一番大きな空母は奈美ちゃんも明日には見れるはずだよ」

「ほんと?一番大きいの?どれぐらい大きい?」

「そうだねぇ………」


 ジュリが例え方に迷いを見せるので、俺はジュリには分かりやすい例えで行くことにした。


「都庁って知っているよな?ニュースで見たことあるだろ?あれを約倍にしたらおおよその質量って事になるな」

「大きい!すごく大きいよ。そんなのどうやって停泊させるの?」


 奈美がはしゃぎまわるのだが、俺は奈美の質問に対して「ない」と答えた。


「無いよ。停泊しない。あれは空中にいるだけでメンテナンスは出来るんだ。魔導機のメンテナンスも一基ずつ止めれば問題は起きない」


 奈美が開いた口が開かないという顔をしており、まあ始めて話を聞いた人はこういう反応をするので楽しい。


「そうだ。エアロードとシャドウバイヤはどうしたんだ?俺の部屋にはいなかったぞ」

「アベルさんについて行ってるよ。休憩室で少しゆっくりしたいって」


 何を期待してついて行ったんだが、まあ面倒になるから別にいいけど。


「そうだお兄ちゃん!実はイリーナが向こうにいるらしくて」

「ああいるらしいな」


 実は知っていた俺。

 奈美は憤慨したみたいな表情をするが、その変わりようは中々面白くて緊張感がもてない。


「なんで教えてくれないの!?」

「教えたらもっと早く着いて行きたがるだろ?と言っても俺が聞いたのも最近の話だし、イリーナから聞いたわけじゃない」


 歌姫イリーナ。

 今帝国中で有名な歌姫という名で売り出している新人歌手であり、相棒のヒーリングベルという音竜とはいいコンビらしい。

 各国にも引っ張りだこで、現在は海洋同盟開国セレモニーでライブを開くという話を聞いていた。

 イリーナと奈美は実は友人同士、イリーナは特殊な才能上に自分の力を疎んでいた。


 歌声で他人をコントロールする事が出来る才能、その才能は彼女自身に「歌う」という事を嫌がっていた。

 そんなイリーナが歌う事を好きになり、もっと歌いたいと思わせた人物こそが、奈美と同じ力を持ちながらもコントロールが出来るヒーリングベルである。


「イリーナから聞いたわけじゃないの?」

「聞いたわけじゃないさ。ていうかなんで俺がイリーナと連絡を取ること事態に嫌気を覚える?普通そこは気にしない場面じゃないのか?」


 奈美とイリーナ。

 この二人はかなり仲が良いので、下手をすると百合の気があるんじゃないのかと思わせる事がある。

 と言っても奈美もイリーナも付き合っている男性がいるはずなのでこの話はおかしい事になる。


「少し寒くなって来たかな?」

「そうか?まあ夕方だしなそろそろ中に戻るか?夕食は自室で済ませればいいだろ?この飛空艇の食堂は狭かったし」


 俺達は飛空艇の中に戻っていく中、大きな風が体を多少冷やす。

 確かに少し寒くなってきたかもしれない。

 

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