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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
ニューヨーク・アップヒーヴァル《上》
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ゴーストからの挑戦状 4

 セントラルパークの出入り口の目の前までやってくるとセントラルパークの出入り口からでも分かるほどにセントラルパークの中に沢山のテントと建物が作られているのがはっきりと分かるが、それ以外にも目立つような建物も見える。

 何か半透明な壁のようなもので覆われている建物、俺達はセントラルパークの周りにぐるりと囲んでいる各国軍、俺達はガイノス帝国軍が居る場所まで向かって見張りの人に頼んで中に入れて貰う。

 森林のような公園が広がっており、俺達は様々なテントの中を確認しながら歩いて行くと、やはり俺達としてはあの目立つ建物が気になってしまうので俺達はあの建物へと向かうことにした。


 外壁に各国の国旗が描かれており、中では如何にも要人達が居ますよっと言わんばかりの厳重さを誇っており、いくらガイノス帝国の士官学生と言ってもノコノコ歩いて行けば逮捕されかねない。

 間違いなく怪しまれてしまうのだが、半透明な壁の向こう側に師匠が居ることだけはハッキリと見えてしまった。


「どうする? ガーランドさんには相談できないよ…」

「仕方ない。あの中にはサクトさんや父さんは居ないみたいだし…そっちを探してみようか…」


 大人しくしていてくれれば良いんだけど。

 サクトさんはともかくとして父さんは大人版レクターだから、下手をすれば暇ならと逃げ出す可能性が全く無いわけじゃない。

 そう思っている間に俺達はガイノス帝国軍が集まっている区画までやってきてしまった。


「さて…父さんかサクトさんを見付ける必要があるわけだが」

「簡単にみつかればいいね」


 フラグを建てないで欲しい。

 そう言う事をいうと当たる事が多いのだから。


「おい! ウルベクト大将は見つけたか!?」

「どうした? まさか…」

「そのまさかだ! あの人また職務を放置して逃げ出した! クソ!」


 あの話の輪には入らない方が良いだろうと本能が訴えており、回れ右をして立ち去ろうとすると、俺とジュリの目とあちらの目が完全にバッティングしてしまった。

 ガイノス帝国軍の制服を着ている二人組が俺達に近づいて来た。


「君…確かウルベクト大将の息子さん。ガーランド大将の弟子…だったよな?」

「いいえ…人違いです」

「ソラ君真顔で嘘つかないで。私達ガイノス帝国立士官学院の生徒です。今先ほどアベルさんを探しているんですが。逃げたんですか?」

「ああ! 君達も捜索してくれないか? 目的は同じようだし!」


 ガイノス帝国の軍人を前にして俺は断ることが出来そうに無かったので手伝うしかないと諦め俺とジュリは二人の軍人と別れてアベル・ウルベクト事俺の父親を探さなければならないことになってしまった。

 どうしてこんな事になってしまったのだろうか?

 あの人はどうして真面目に大人しくしているという事が出来ないのだろうか。

 普通一端の軍人なら仕事はちゃんとこなすものだと思うのだと思うのだけれど。


「本当にあの人は真面目に仕事が出来ない人だな。絶対俺の将来の反面教師だな」

「誰が反面教師なの? ソラ君」


 後ろから聞こえてきた声の正体、最初っから分かっていた事ではあるがサクトさんである。

 軍の制服を綺麗に着込んでおり、全くの不真面目さを監視させないさすがの貫禄。

 問題があるとすればこの人の右手にガッチリと父さんが捕まっており、気絶させられていた。

 何とも情けない姿をしている。


「サクトさん。ソラ君がガーランドさんに伝言があるらしくて…ソラ君」

「伝えておいて下さい。ハーレム地区で起きた殺人を解決しに行ったと。もしかしたらゴーストが関わっているかもって話なんだ」

「分かったわ。必ず伝えておくわね」


 左の掌をヒラヒラと振って俺達を見送るのを見届けてセントラルパークから出ていく。



 ガーランドが各国の軍人達と堅苦しい会話を終えた後、大きなため息を吐き出してから少しだけ俯いていた。

 皇帝陛下と最高議長がガーランドの肩にトントンと手を当てて立ち去っていくのが見えた後、ガーランドは皇帝陛下と最高議長に一礼をして建物から立ち去っていく。

 サクトが右の手をヒラヒラと振ってガーランドへと近づいて行く。


「どうした? わざわざ見送りに来てくれたわけじゃないだろ?」

「ええ。ソラ君からの伝言よ…ハーレム地区でゴーストがひこ起こしたんじゃないかって疑いの事件が起きたらしいの。ジュリちゃんと一緒にそっちに向かうって…」

「そうか……ゴーストがな。私もそっちに向かう。コッチは任せるぞ。それよりアベルの奴はちゃんと仕事をしているのか?」

「さっき脱走しようとして私が掴まえたわ。それより噂聞いた?」


 サクトの言う噂に全く聞き覚えが無かったガーランド、サクトがクスクス笑っているところを見ると決してガーランド自身が無関係ではない事ぐらいは分かってしまう。


「私は最近士官学校に寄った時に教師の先生から聞いたんだけどね……ソラ君二年生への進路を『特務科』へと変更したそうよ。第一試験だけ合格ラインを叩きだせば一発合格。まあソラ君の成績なら間違いなく合格だろうから……十年ぶりぐらいの特務科生徒という事になるわね」

「そうか…ソラが」


 振り向いてサクトに背を向けるガーランド、それは照れ隠しだという事ぐらいはなんとなくサクトにも分かる。

 ガーランドはここで言わないと後悔しそうだと思いもう一度振り返ってはっきりと告げた。


「サクト……今回の任務を持って辞めることにした。多分軍の総司令…元帥職はお前かアベルだろうな」


 サクトが本気で驚いたような顔をしていたのは一瞬の事ですぐに表情が笑顔へと変わっていく。


「そう……後悔はない? 父の跡を継ぐんだって躍起になっていたのに…」

「決めたことだ。それに……ソラが継いでくれるなら大丈夫だろう」


 そう言いきってその場を後にしたガーランドを後ろから睨みつけるような目つきで見つめている人がたった一人だけいた。



 ハーレム地区へと足を踏み込んだ俺達の目の前に睨みつけるような黒人のガタイの良い男たちが二人掛かりで睨みつけてくる。

 俺達は堂々と逃げることにし、送られてきたメールに添付されていた画像に従ってそのまま歩いて目的の建物、少し古めのアパートへと辿り着いた俺達、中は既に警察や軍が規制を強いており、俺達はケビンからのメッセージをそのまま伝えて中まで入っていくと、後ろから声をかけられて驚きながら振り返る。

 常に展開されているエコーロケーションに全くの無反応と言うのがおかしすぎて振り返るとそこには師匠が普通に立ち尽くしていた。


「なんだ……どうしてここに?」

「サクトから聞いた。今回の指揮権は私にあるが今の所はやることが無いんでな」

「そうですね。ガーランドさんはどう思います?」


 師匠は口に手を当てて悩むそぶりを見せる。


「そうだな。はっきりとしたことは中に入ってみないと分からないが、お前達も予想している事だろうが、間違いなくこのニューヨークのマンハッタンに奴は来ているだろう。そうとなれば今日中にでも決着をつけなければ問題になってしまう」


 やはり師匠も同じ結論に至ったようだ。


「取り敢えずゴーストが関わった可能性が少しでもあるのなら調べてみるべきだな。入ってみよう」


 そう言われて中まで入っていき階段を上っていくと、走って降りてきたケビンとシャインフレアと鉢合わせた。


「ソラ! ジュリちゃん! ガーランドさん!」

「どうした?」

「そ……それが…」


 そう言われてケビンは俺に向かって一枚の紙を手渡されるとそこには『ゴーストからの挑戦状』と書かれた紙。

 どうやらトコトン俺達に立ち向かうつもりらしい。


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