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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
シーサイド・ファイヤー≪上≫
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嵐 3

嵐三話目です。いよいよ嵐の名前通りの天候になっていきましたね。では本編です。

 俺が一人魔導機の店から外に出ると雨音が人一倍激しく俺の鼓膜を振動し、俺の視界を灰色の雨雲と視界の悪い雨が嫌でも目に入る。

 ウンザリした表情をしながらその雨雲を睨みつけてみるが、そんなことでこの雨雲が解決するわけが無い。


「あれ?さっきまで雨なんてあったけ?」


 奈美が魔導機の店の中からジュリと共に現れ、両手に握られた魔導機のお店のロゴの入った青い袋を持っていた。

 ジュリが片手に携帯で確認している。


「明日一杯までずっと雨だよ。しかも明日は一日『嵐』だって。残念だよね………明日も観光したかったんだけど………」

「もう!天候も少しぐらい気を聞かせてくれてもいいのに!」


 不満タラタラな奈美に対し俺やジュリはそのままどうやって家に帰るのかを検討し始めていた。

 何せ俺達には傘が無いのだから。


「あれ?雨降っている?俺達傘持ってないからずぶ濡れになって帰るしかない?」

「俺達はそれでもいいけど、ジュリと奈美は流石に風邪を引くだろ。俺が近くの店から傘を買ってくるから少し待っていてくれ」


 そう言いながら俺はジュリに鞄とエアロードを預け、店から飛び出て雨に濡れながら走って店をを捜し始める。

 最初の店の中に入っていき、中で傘を捜すがイマイチ見つからないので俺は再び街中へと出ていく。


「クソ。見つからないぞ。噴水広場にならあるのか?」


 俺は近くの屋根のある様な場所を見つけ出し、服に付着した水滴を弾きながらどうするかと悩む。

 何せここから噴水広場までは三十分以上かかるうえ、それまでにどれだけ濡れるのかを想えばここで探した方がよさそうな気がする。

 しかし、ここで見つからないと考えると逆に噴水広場まで戻った方が良い気がする。

 いっそのこと誰かに連絡して迎えを寄越した方が良いかもしれないが、今日一日は全員がどこかに出かけているし………。


 雨は止む気配を見せず、むしろ少しづつではあるが風が吹き始めているように思える。

 このまま雨風が強くなっていけば俺が風を引いてしまうかもしれない。


「どうするかな。どっちを選択するのか……このままこの繁華街で探し出すのか、それとも噴水広場まで引き返すのか」


 早めに結論を出さなければ時間を赤ければ掛けるほど被害が大きくなる。

 そんな時だった。


「百貨店で傘が売ってて良かったね。ママ!」


「百貨店か。そうか。其処を捜していなかった」


 急いで百貨店に向かった方が良いだろう。

 他にも急な雨で傘を捜している人が多いだろうし、二本だけでも購入できればという気持ちで何とか駆け出していく。

 時折水だまりに足を突っ込みながらも俺は走ってすぐの所にある三階建ての百貨店へと入っていく。


 中に入ると目について直ぐ所に傘が傘立てに入れられた状態で発見した。

 見た所まだまだ在庫に余りがあるようだし二本だけ抱えながらレジまで急いで行き、手持ちのお金で購入して百貨店から出ようとする中、俺の目にある新聞が目についた。


 帝都時報と書かれている新聞の見出し部分には先ほどの大学襲撃事件が大きく取り上げられており、写真には俺と烈火の英雄が戦っている姿が映されていた。


「こんな写真いつの間に?しかし………こうしてみると本当に大規模な襲撃事件だったんだよな………」


 今でも自分があそこにいたというのが信じられない気持ちなのだが、しかし最近はまだ慣れた方でもある。

 最初の方は記者に追いかけられるわ、学校でも質問攻めにあうわで大変だった。


「この記事カールさんが書いているわけじゃないんだな?」

「私が本社に帰ろうとしたときには既に記事になっていました」

「そうですか………!?どうしてここにいるんですか?」

「え?いえ……駅まで帰ろうと思ったら、嵐が来るとかで船は止まるし、雨脚が強くなってきて………傘を買いに寄ったんです」


 そう言われてみれば確かに右手にはここで購入可能なビニール傘が握られている。

 俺は持っていた新聞をレジまで持っていき一旦購入した後もう一度カールさんに話しかける。


「で?どうするんですか?駅まで行くんなら俺達と一緒に行きませんか?その方が俺達も帰り道が分かりやすそうですし」

「そうですか?皆さんが付いて来て下さるなら安心できそうですね」


 カールさんは安心したようなため息を吐き出し、俺達は一緒に百貨店をでるとそのまま魔導機の店前で待っているジュリ達の元に合流した後、他のメンバーにカールさんと合流した経緯を説明しながらジュリに預けた鞄を貰う。


 そのまま駅前までの道を歩いていると、水路には船が一席も存在せず物寂しさが残る。


「この雨だと明日は水かさが増しそうですね。住民の皆さんは水かさが増した際の対策を今のうちに練っているようです」


 カールさんが歩きながら説明してくれるのだが、確かに街中はカッパを着た人たちが水をせき止めるための道具をあちらこちらから持ってきている。

 砂袋などを入り口付近に高く積み上げたり、中には水が入らないように出入り口を塞いでいるようにも見える。


「徹底しているんですね」

「多少の雨なら大丈夫なんですけど。嵐となると話が違いますからね。多分港の方は船を飛ばさないように船を陸にあげたりなどの対策に明け暮れているんではないでしょうか?」

「カールさんはこの街に詳しいですね?」


 俺の素朴な筆問にカールさんは照れ隠しながら頭を掻き始める。


「この街には海洋同盟の取材の為によく訪れるんです。それに、この街は毎年夏になるとボートレースで賑わうんです。それで慣れていくうちに………」


 なるほど。

 そういえばそもそも海洋同盟の記事を追いかけてジェノバ博士の元に訪れたんだっけ?

 

「カールさんの出身は?」

「私ですか?私は帝都出身ですよ。えっと………奈美さんはあちらの出身ですよね?」

「はい。日本の広島出身です」


 ちなみに俺の表向きの出身は『北の近郊都市』という事になっている。

 北の近郊都市生まれの帝都育ちという嘘の経歴を持つ英雄、それがソラ・ウルベクトである。


「広島………確か暫定政府が置かれている場所ですね。比較的被害が少なかった都市だった広島に置き、今対処に明け暮れていると聞いています。今日本やアメリカは大変でしょうね。あの戦い以降各国は対処に大忙しですものね。中には国が崩壊したところもあると聞きますよ」

「え?そうなんですか?」


 カールさんの言葉に奈美が意外そうな声を出すのだが、まあ普段からテレビのニュースや新聞を見ないのでその程度の認識なのは仕方がない。

 因みに俺の後ろでレクターも「そうなんだ」と呟いているのはこの男も又全く同じだからだ。


 奈美やジュリが仲良くカールさんに話して楽しんでいるので俺はそれを後ろから眺めながら近づいていく駅前を眺めている。

 赤いレンガ造りの駅、ロンドンの時計塔のような見た目の建物が豪華さを象っている。

 この駅前付近は陸地に作られているからかまだ多少車道が走っている。


 駅の構内への出入り口前で俺達は分かれることになった。


「案内ありがとうございました。皆さんも気を付けて」

「いいえ。こっちこそカールさんと一緒で迷子にならないでここまで来れました」


 カールさんは最後に深々と頭を下げると俺の方に複雑な視線を向けたかと思うとそのまま構内へと入っていく。


 俺は先ほどまでの視線が気にはなってしまったが、しかし、今更追いかけるわけにもいかない。


「じゃあ帰ろうか。この陸地の道を北に進めば家への道に出るはずだ」

「途中でなんか買い物しない?明日どうせ出れないもん。今日のうちに勝っておかない?ジュリお姉ちゃんも買い物したいよね?」

「そうだね。奈美ちゃんの言う通りだと思うよ。明日出れないし、まだ雨脚が弱いから今のうちに購入して明日に備えない?レクター君もエアロードもシャインフレアさんもそれでいいですよね?」


 レクター達三人は黙って頷く。

 近くのスーパー何かで買い物をしながら俺達は帰路についた。


 家の前で一旦振り返りもう一度街を見回す。


 雨の所為で視界が悪く奥まで見えないのが残念だが、大学方面は焼けているためかまだ多少確認できる。

 嵐をしり目に俺はそのまま家の中へと入っていった。


どうでしたか?次回から翌日四日目へと話は進んで行きます。四日目は結構早めに話が進むと思います。それでも私のペースですから遅く遅く進むと思います。では明日です!

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