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竜達の旅団≪ドラゴンズ・ブリゲード≫~最強の師弟が歩く英雄譚~  作者: 中一明
サブジェクト・レクイエム《上》
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最後のチャンスを自分に 2

 山脈を昇っていく際余計な体力の消耗を抑える為に俺はワイヤーガンを使って昇っていき、師匠は跳躍するだけで飛ぶという人間離れした動きで次々と険しい山を登って行く。

 すると、上の方からマシンガンの攻撃の雨が降り注ぎ、俺と師匠は左右に分かれて岩の屋根へと一旦避難、どうやら師匠が見つけたように向こうも俺達を見付けていたようだ。

 最も師匠が知らないわけがないので、分かった上でここまで連れてきているのだろうから余計に達が悪い気がする。

 しかし、何故師匠は俺をこんな場所まで連れてきたのだろうか?

 高い場所を抑える為?

 それとも全く別の理由があり、その理由にどうしてもこの高い場所が必要だったのだろうか?


 岩の屋根に隠れているままでは埒が明かないが、俺達が出ていけば間違いなく弾の雨が俺達の頭上から降りかかるだろう。

 俺は右側から回り込むように山を登って行くが、師匠は真っ直ぐに上っていき銃弾の雨を大剣で切り分けていくのだが、どうやったらあんな移動が出来るようになるのかを教えて欲しいが、今はそんな事を言っている場合ではない。

 師匠が敵の目を引き付けている間に俺は周りを素早く移動しながら進む。

 ワイヤーガンで俺が走ったり跳躍したりする隙間で上手く移動することができる。


 空中を浮いて移動することは出来るが、空中での移動は遅い上機動力が無い。

 走ったり跳んだりすれば早く移動できるが、その分空中で軌道制御が出来ないので上からの攻撃にはどうしても隙が生まれてしまう。

 そこでワイヤーガンを空中で使用することで、空中での急な旋回を可能にすることが出来るようになった。

 この険しい山は大きな岩の屋根がいたるところに存在しており、その屋根にこのワイヤーガンを使えば簡単に上へと昇る事が出来る。


 素早くかつ隠れながら上へと昇っていき、俺は頂上付近で腰をどっしり落としたがっちりした巨漢の男がガトリングを下に向けながら舌打ちをしている姿を見付けた。


「ここまでだ!」


 俺は緑星剣を握りしめ、ワイヤーガンで巨漢の男にへと一気に近づいていき横なぎに振ろうとした瞬間だったが、そのエネルギワイヤーが何者かによって切り裂かれてしまった。

 空中で投げ飛ばされると、俺は上手く受け身を取り岩に隠れてガトリングの照準から逃げ、同時に俺のワイヤーを切った対象へと身体を向ける。


 細身でありながら長すぎる刀を握りしめ、それを軽々と振るう片目を前髪で隠した頃髪の玄人を想像させる男性。

 巨漢の男性とはある意味正反対の細身、しかし、腕の筋肉の付き方でよく分かるがよく鍛えられた肉体を持っている。


「ほう……ワイヤーを切った瞬間に斬りかかろうとかとも思ったが、それ以上の速さで受け身を取りつつガトリングの照準から隠れる。その上で私の素早く視界にいれる。かなりの実力者であるようだが。ぱっと見十代後半と言った所か」

「フザケンナ! てめぇ! どう考えても星屑の英雄じゃねぇかよ! てめぇのチームが一緒に倒さないかって言ったから飲んだんだぜ!」


 俺は巨漢の男性が言った言葉が気になってしまった。

 今この男は俺のきき間違いでなければこの二人は同じチームでは無いという事だ、そんれならこいつら以外のメンバーはどこで何をしているのだろうか?


 そう思っていると後ろから忍び寄ってくる忍の恰好をした女性、刃の短い刀事小太刀で俺の首の頸動脈目掛けて斬りかかり、俺はそれを次の岩の影へと飛んで回避する。

 そうしている間に大太刀を持った細身の男性の向こう側からスナイパーライフルを構えている全身タイツの怪しい男が俺を狙っているのが見えた。


 俺はライフル弾を切り先、いったん全員から距離を取ろうと試みるが、上手く囲まれているお陰で逃げ場が存在しなかった。


「諦めると良い……ここに四人。君は今の所一人だ」


 細身の男が勝ち誇るのだが、俺にはその後ろで大剣を持ったまま無傷で立っている男がいる限り撒ける気がしなかった。

 ありえていに言えば師匠がガトリングの男を切り伏せながら立ち尽くしていたからだ。


「ソラお前が囮になってくれたお陰でアッサリ近づくことができた。さて……そろそろ逆襲するぞ」


 言いたいことが多くあるし、ツッコミや怒りが棚一杯に入っておりどれから処理すればいいのか分からないが、一つだけ言っておこう。


「やっぱり俺が囮かよ! 勝手に一人昇って行くからおかしいと思ったけど!」


 俺に何も告げないで囮にするのは本当にどうかと思う。

 その内死地でも囮にしかねないのではと思ってしまうが、この人にそんな事を言うは無駄だ。

 師匠は大太刀を持っている細身の男を真っ直ぐ指さす。


「お前は『露楼のガクト』だな。外見が一致する」

「これはこれは……ガイノス帝国の重撃のアックス殿ではありませんか。あなたとは一度はっきり戦いたかった」


 どうやら知り合いらしいのでお任せするとして、俺はこっちのくのいちみたいな女と全身タイツのスナイパー相手のする必要があるようだ。

 スナイパーを倒す事は出来るが、こっちの女をあいてにしながらではかなり難しい。

 ライフル弾の攻撃は連発出来ないだろうと予測し、確実のライフル弾の攻撃を回避しつつ女の攻撃を掻い潜って斬る。


 女は俺から人三つ分の距離を開け、ライフル弾の軌道からはじれようとしているのを見て思い出したが、この二人はチームを組んでいるわけではないので、最悪共倒れをスナイパーは狙っているのだろう。

 俺は勝つ為の道を頭の中で組み立てながら、女と戦い俺は周囲の障害物の位置を確認し、スナイパーとの距離が真直ぐになる位置を見つけ出す。


 女がスナイパーに背を向けないようにと気を付けながら俺に斬りかかり、俺はその攻撃を剣で受け止めながら女に衝撃を与えて吹っ飛ばす。

 女はライフルの軌道上から逃げ、俺はその先にワイヤーの引き金を引いて女の体を俺の方へと引っ張る。


 女の体が俺の真正面に、スナイパーは女の体が俺の体と重なったのを確認し容赦なく引き金を引く。

 俺の中で「これだ!」と思う瞬間がやってきて、女とスナイパーの方に体を向けながら後方に跳躍すると、女のHPバーを一瞬で吹っ飛ばすライフル弾が俺の眼前まで近づいてくる。

 剣を横なぎに振ってライフル弾に俺の剣の軌道を重ねると、ライフル弾は百八十度反転し真直ぐスナイパーの男へと向かって走った。

 スナイパーの男は一瞬何が起こったのか分からない顔をしながらも、その額にライフル弾が着弾するのが見え、スナイパーのHPバーが一瞬で吹っ飛んだ。


「竜撃土の型。反射壁」


 竜撃の1つで攻撃をそのまま反射する技だが、攻撃の仕方を一瞬でも間違えればまともに攻撃を喰らってしまう危険な技。

 上手くいって良かったと内心息を漏らしながら倒れそうになる体に鞭を打ち、改めて師匠の戦いに向き合うと、そこには無傷の死闘を演じる師匠と細身の大太刀の男が居た。


 お互いにダメージを与えないまま黙々と斬り合っており、師匠が大剣を横なぎに振ると男はそれを体を後ろに仰け反る事で回避、そのまま体を元の位置まで戻しながら今度は大太刀を抜刀して斬りつけにかかる。

 司書はその攻撃をバックステップで回避し、地面に両足を付けた状態で前方方向に風で作った縦の斬撃を繰り出す。

 細身の男はそれを横ステップで回避、いったんお互いに距離を取り合う中、俺は細身の男の後ろ姿に殺気を放ちながら緑星剣を抜刀可能状態に移す。

 細身の男は俺に向かって同じように殺気を放ち、俺達はお互いに一瞬の隙を探す戦いへと移行していった。


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