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摩天楼の戦い 2

 襲い来る衝撃に俺の体全身から悲鳴を上げそうになり、騎士人形と共に俺は全身の力を出し切ってブレスを緑星剣で受け切ろうとする。

 ファンドはブレスの勢いを更に増大させ、両足が吹っ飛んでいきそうな勢いを受けてしまう。

 強靭な四肢で全身を支えているファンドに対して、複数の騎士人形で防いでいるとはいってもまるで歯が立ちそうに無い勢いである。

 ファンドの右側面からサクトさんが重い一撃を叩き込む姿が見えると、ファンドノブレスが微かにだが右側にそれ、後ろにあるビルに直撃した。


 ビルに大きな穴が開く姿が見えると正直ゾッとした。


「ソラ君よそ見しちゃ駄目よ!」


 ファンドの方を振り向くとファンドは小刻みに震え、背中をブルブルと震わせていると背中から大きな木の根が生えたような姿が見えた。

 それは大きな複数の腕に変貌していく。

 まだ変わる余地があったことに驚くが、それとなく更に大きくなっていっているような気がしてならない。


「大きくなってる? まだ大きくなれるのか?」

「ソラ君全神経を緊張状態まで高めているのよ。何が出るか分からないから距離を置いてすべての攻撃に対応できるようにしておいて」

「は、はい!」


 流石は軍人というだけはあるこういう時に的確な判断が出来る人間がいると俺としては頼もしい。

 体がどんどん大きくなり背中に生えている大きな翼が更に太く強靭な物に変貌していき、更には尻尾のような姿がはっきりと見えた。

 コンクリートの地面を粉砕するのではと思わせるような強さへと変貌していく四肢、それも又大きく太く変わっていく。

 元々四つ足生物だったのではと思わせる姿になっていく。

 前までは多少は人間の名残が残っていたのに、今ではその名残すらなくなってしまった。


「こんな竜いるんですか!?」

「私は見たこと無いけど………、いてもおかしくないけど。人間が竜になるなんて」


 サクトさんが聞いたこと無い話である。

 間違いなく人間が竜に変貌してしまった。


 ファンドは大きな咆哮を上げると羽を俺とサクトさんの方へと羽ばたかせ、羽ばたく際に生じる風と共に細かい針のような攻撃がやってきた。

 攻撃範囲が広く避けようもない攻撃ならと俺とサクトさんが取った行動は攻撃を弾くための連撃である。

 ひたすら剣を振って攻撃を撃ち落とし、常に視界にファンドを捕らえると、ファンドは俺とサクトさんに睨んでいると、尻尾が地面に突き刺さるのが見えた。

 しかし、サクトさんだけは視界が障害物で塞がれていたために見えていない。


「サクトさん! 地面から攻撃!」


 サクトさんが俺の声を聞いて針攻撃を捌きながらバックステップで攻撃を避けると、サクトさん目掛けて三本に木の槍を模したような攻撃が襲い掛かり、俺の方にも連続で二回攻撃が襲い掛かってくる。

 下から前からと忙しい攻撃に正直目が回りそうな勢いで襲い掛かってくるが、更に下からの攻撃でやってきた槍から細かい木の枝が襲い掛かってくる。


「もう! 何なんだ!?」

「やけにならない! ここだと不利だわ……ビルからおりましょう」

「分かりました!」


 俺とサクトさんは急いでビルから飛び降り、それを追うように木でできた燕が襲い掛かってきた。

 俺は木の燕を三連撃で切り裂いて、ビルの側面に何とか両足を張り着かせ木竜が襲い掛かってくるタイミングを計っていると、ビルの壁が震えているのを感じた。


 脳裏にやばいというアラートが鳴り響くと、俺は急いで跳躍するがそれより早くファンドがビルを突き破って襲い掛かってきた。

 鎧が守ってくれなければやばかったが、身体が空中に投げ出されてしまう。

 両足で空気に踏ん張れればいいのにとかんがえていると実行できたと逆に驚いた。


 イメージがそのまま力になるのだから俺がイメージすればできる上、俺の場合は竜の欠片が魔導機代わりなので魔導機を扱うよりストレートに扱う事が出来る。

 土壇場でなければ絶対に出来なかった事だ。


 サクトさんが回り込んでファンドの背中から襲い掛かってくるが、ファンドはそれを尻尾で受け止める。

 俺は前方から二連撃を叩き込もうと試みるが、ファンドはそれを腕の一振りだけで防ぎ切ってしまう。

 空中では分が悪いと踏んだ俺はサクトさんと一緒に一旦距離を取る為にビルの間を移動して大通りまで出ることにした。

 周囲はガーランドの部隊が避難させたようで、既に人はいなくなっているがこの摩天楼と言ってもいい場所で戦うのは少しだけ忍びない気がする。


「あらあら………化け物狩り?」


 デリアさんが下から斬撃を浴びせてくるが、ファンドはそれを軽やかに回避して見せる。


「気を付けなさい! あれはファンドよ」

「え? まるで面影がありませんけど? 何があったんですか?」

「今は考えないように………この化け物を何とかしないと」


 致命傷を与えようにも再生力が高すぎてまるで話にならず、俺の力でも再生力がそぎ落とす事が中々できない。

 その上一発一発の威力が高すぎて話にならず、回避しなければ重傷は必死。

 チートみたいな存在に俺は舌打ちをしながら側面に回り込み、横から強力な一撃を叩き込もうと試みるが、木竜は翼で俺の攻撃を防ぐ。


 何で木なのにこんなに堅いんだよ!

 鉄より硬いってやばいだろ。


 下から四つ足戦車が砲台を化け物の方を向け、俺が後ろに引いたタイミングで一斉照射を受けてしまう。

 爆炎の中に消えていくファンド、俺は心の中で燃え尽きてしまえと願っていると、まるでその願いを聞いたかのように………元気の良い咆哮を上げブレスを容赦なく戦車隊へと向けた。


「戦車隊に被害が出てくるだけだ!」


 戦車隊が際限なく被害が出るだけの状態、そして殺した数だけまるで成長しているようにも見える。

 サクトは戦車隊に撤退を命じ、俺とデリアさんが別方向から襲い掛かっていく。

 左右から襲い掛かってくる攻撃にファンドは両腕で攻撃を受け止め、俺とデリアさんを左右のビルに投げ込む。


 ビルの中に突っ込んでいく際に受け身を取り、素早く起き上がると目の前からやってくる針攻撃を走る形で回避。

 デリアさんの方にも同じ攻撃が来ているようで、サクトさんが回り込む形で、後ろからレイピアを使った重い一撃を叩き込もうとする。

 しかし、ファンドは尻尾で攻撃を受け止めてしまう。

 そんな時だった。


 真上からレクターがファンドの背中を粉砕するのではと思われるほどの攻撃を叩き込み、一旦距離を取っていく。

 俺とデリアさんへの攻撃が一旦止み、ファンドへと近づいていく。


 するとファンドが突然苦しみ始める。

 まるで空気がすえていないようにも見えるが、それの正体はジュリが先ほどのビルの廊下から魔導機で週の空気を操作しているためだった。

 しかし、ファンドはそれに対しての怒りをジュリに向け、針による攻撃を仕掛けるが、その前に俺が立ちふさがる。

 ジュリの攻撃が当たらないように剣で弾き落とすが、ジュリに当たらないようにしている分俺の方へと攻撃が当たる。

 所々鎧の隙間に突き刺さり、痛みで表情が歪んでしまう。

 せめてもう少し攻撃範囲が広がればと思っていると俺の耳もとに大きな声が聞こえてきた。


「剣先で風を掴んで斬るイメージを持て!」


 ガーランドの声が確かに俺の耳もとに届き、俺はそれを考える前に実行に写した。

 剣先で風を掴み、それで切るイメージで目の前からやってくる針の攻撃を切り刻んでいく。

 すると、攻撃範囲が倍近くまで増えていくのが分かり、俺はそのまま前へとかけていく。

 空気を足場にして走りながら攻撃を撃ち落として行き、距離が埋まっていく姿にファンドは驚きの表情へと変えていった。


「ジュリを……俺の大切なモノを傷つける者は誰だろうと絶対に………許さない!!」


 最後の針を切り裂いて俺はそのままファンドの胴体を横なぎに切りつける。


「お前だけは…………絶対に!! ぶっ殺す!」


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