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貴方を取り戻す 2

 その後俺達は買い物を終えた女性陣と合流してからジュリがバイトをしているというお店へと案内し、俺は入って直ぐに店長と思われる男性店員に「騒いだら容赦無く追い出しますので」と一言謝っておくことにした。

 店長さんは口一杯に髭を生やした中年男性だったのだが、これがまた気さくないい人で「良いよ。良いよ」と笑顔で許してくださったが、俺は騒ぎそうな面々(レクターとエアロードとシャドウバイヤの三名)の方を見て「騒ぐなよ」と低い声で脅しつける。

 一番奥の席に座らせて貰って店長さんのおすすめを人数分注文したわけだが、エアロードとシャドウバイヤは非常に不満げにしていた。

 この状況で腹一杯食べようとしている事にドン引きであるが、騒がないという約束をしている俺に対して逆らう気は無いようで、黙って食事を待っている。

 因みにオールバーは食事中に騒いで汚れるのが嫌だという理由でエアロードとシャドウバイヤとレクターから距離を取っている。

 理由としては非常に分かるので俺は好きにさせてあげようと思った。

 オールバーは一人で腕に付けている腕輪ならぬ指輪を指すっており、ジュリは「あれ何?」と聞いてくるので俺は簡単にでは在るが説明することにした。


「と言う事だ。あれは指輪。ほら。ブライトとアカシも腕に付けているだろう? しかし、よく考えるものだよ」

「そうなんだ。でも良いね。ビーズとゴムで出来ているから無理をしなければ伸びてサイズも合わせやすいしね。でも以外だね。オールバーさんがオシャレに興味があったなんて」

「以外か? まあ普段から着飾る事をした事が無いからな。分からないだけだ」

「しかし、ジュリがバイトをしているとは」

「積極的にでは在りませんよ。今回のように用事があれば長期間で休みますし。そういう意味では此所は暇なときに来る場所ですよ。雰囲気も好きだから時折来るんです。長期休暇とか土日でソラ君達と用事が合わない時とか」

「そうなんですね。ソラさんやレクターさんはアルバイトはしないんですか?」

「俺の場合は必要が無いからな。父さんからの手伝いとか師匠からの頼まれ事をしていたら自然とアルバイト代金のような感じでお金貰えるし」

「う~ん俺の場合は家の手伝いでお小遣い貰えるし…困ったらアベルさんとかに資金提供を受けるから別に良いや! ほら…ソラの近くに居ないと制止する人間がいないからさ」

「俺がお前を制止した記憶があまり無いけれど? むしろお前が一緒に行動して俺に迷惑をかけて一緒に解決した記憶しか無い」

「そうだっけ? 俺記憶力無いから良く分からない」

「レクターの場合記憶力が無いわけじゃなくてただ単に馬鹿なだけじゃないのですか? どうせ何処に行っても興味ある事に首を突っ込んでソラの元まで戻ってくるだけでしょ?」


 ケビンは心底馬鹿にするような顔をしているが、レクターへのダメージは全く無いのだから見て居てつまらない。

 まあレクターに出来るバイトってあまり想像出来ないんだけど。


「レクターに出来るバイトか…何だろうな。飲食店とかは無理だろうし、肉体系なら倉庫での仕分けとか?」

「レクターに仕分けさせたら明後日の方向へと分けてしまいそうですね…」

「なら…破壊屋とか?」


 何でもかんでも破壊するという仕事ならレクターでも出来そうな気がするが、そんな奴と友人という真実が嫌なので止めて欲しい。

 まあ本当にやり始めたら友人を止めると此所で宣言する。


「まあソラの家の場合金持ちだからあまりするというイメージが在りませんね。奈美とかは貰ったお小遣いを散財しそうなイメージがありますしね」

「でもあまりそういう使い方をしたら父さんはともかく母さんは許さないからな。計画的な使い方を徹底しないといけないんだよな」

「そうなのですか? あの人が怒るのはあまりイメージありませんね」

「そうでも無いよ。母さんは良く怒っているよ父さんと奈美相手に…よく二人が食堂で正座させられている姿を俺はよく見る」

「私もよく見るかな~。遊びに行ったときとか、ソラ君のお母さんに「泊まりに来ない?」って進められたときとか時折見るかな」

「ジュリはよく泊まりに行くんですか? それこそ少し心配ですけど…」

「大丈夫ですよ。寝泊まりする部屋は完全に別ですから。それに私の両親は家に居ないことが多いから女の子一人家に寝泊まりさせるのは心配だって泊まりに行くんです」

「確かにそうですね。そらにレクターさんはともかくソラさんだったら大丈夫な気がしますし」

「それもそうですね。レクターはともかく」

「最近女性陣の俺に対する印象が悪い気がする。何故だろう?」

「さあな。お前の普段の行動なんて一回一回俺が把握しているわけじゃ無い。アンヌはともかくケビンの場合はお前の自業自得だ。お前がケビンに失礼な態度を取るからだろう」


 レクターの場合マジでケビンを女のとして見て居ない気がするのだ。

 無論女性だと言うことは分かっているのだろうが、こいつの場合女性扱いを何故かしようとしないのだ。

 まあケビンって男性勝りの性格をしているから、基本あまり女性って感じがしないのは確かだ。

 基本負けず嫌いだし。


「海は高校生になったらバイトをしないのですか? 海の家柄ならしない可能性がありそうですね」

「そうですか? でも高校生になったらやりたいことは多いですね。アルバイトを許してくれるなら短期間でもやってみたいな」

「短期間って夏休みの間とか? 最近は日雇いのバイトとか出来るアプリとか多いし出来るんじゃ無いか?」

「そうかな? ソラの場合は二年生に上がったら師弟関係で悩みそうだよね。そもそもバイト所じゃなさそうだ」

「いや。無理。師弟制度の詳細故に基本師匠からの卒業が認められてから二年以上の実績と高等部卒業書が必要なんだよ。だからソラが指定制度を受けるには少なくとも高校を卒業する必要があるわけだ」

「そういう日常生活に一切役に立たない情報だけは詳しいですね。レクターは」

「俺も完全同意。まあその辺りは知っているけどな。帝国の指定制度は結構厳しめだからさ。武術を教わると言うこともあって神経質なんだよな。この実績が大変なんだよな。国に認めさせると言う事が非常に大変なんだよな」

「ソラの場合は大丈夫でしょうに。基本信頼しか無いはずですよ。因みに最年少師匠って?」「確か父さんとサクトさんかな? 師匠は俺の前任者がいたって聞いたけど、その人は亡くなったはずだし。あの二人が最年少だって聞いた。単純に卒業だけなら俺と師匠が最年少なはずだけど」

「ブー! ソラだけ狡い! 俺はどれだけ頑張っても認めてもらえないのに!」

「レクターの性格上簡単に認めて貰えるとは思わない事ね。と言うか貴方の場合は実力では無く性格が問題なのでは?」

「ケビンにまで師匠と同じ事言われた!! 師匠にも言われたんだ! 「貴方の場合は性格が問題ね。もう少し落ち着きなさい」ってさ!」


 当然の意見だと思うのだが、レクターに「落ち着け」なんて無理難題だと思うのだが、その辺サクトさんは何を考えているのだろう。

 出来ないと思うが、サクトさんは出来ると思っているのか?


「最近師匠から落ち着くための特訓を受けているんだ! 知らないだろう…? 一つ問題を起こす度にサクトさんが笑顔でしばかれるのを!」


 机を強めに叩いてコップが床に落ちて割れる所を見届けて俺はひと呟く。


「これで新しくしばかれる案件が増えたんじゃ無いか?」

「誰も言わないと大丈夫じゃ無い?」

「私が言うから大丈夫ですよ」

「レクターが顔面蒼白でガクガク震えている」


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