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南の近郊都市 7

 空間がズレているから現れたと言う事は無いと言う事が、後に俺達が知った真実であるが、どのみち誰かが来ればこの場所で死んでいたかも知れないと分かっただけで討伐した甲斐がある。

 エネルギーがこの場所にやって来たことで怨念が非常に強くなり、一般人には決して見えない力が人を殺すのだという。

 エネルギーを縛り付けている不死者達の魂の残痕が目の前に見えるピエロで、それを鎖と共に縛っているのが地縛霊と化してしまった怨念である。

 この場所に足を踏み込んだ時点で攻撃対象だが、逆にこの場所から遠ざかれば危険性はグッと下がるらしいが、それでも一度目を付けられてしまったら二度と忘れては貰えず、何らかの理由でこの場所に来れば殺されるとのこと。

 不死者達の姿は生前の不死者だった頃の不死者としての形が影響を受けるらしく、ピエロという形で現れたのは彼が生前の不死者としての形がピエロに近いからなのだろう。

 まず動いたのは俺、俺は後ろに大きく右足を回して力を込めて一気に跳躍して接近していく。

 緑星剣を呼びだして風を纏った一撃をピエロ本体に向って叩き込むが、ピエロは木の人形を使って俺の攻撃を防いで見せるが、その隙をまるで伺うようにレクターが突っ込んでいく。

 木の人形は俺の攻撃を受けて明らかに崩れ落ちており、流石にレクターの攻撃を木の人形で防ぐのは不可能、海が念の為にと右側から回り込むのだが、ピエロはレクターからの攻撃を受ける瞬間に身をカーテンの奥へと消えていった。


「え? 何処行った? 気配が完全に消えてしまった…? でも室内からは消えてないよね? 移動した感じが…」

「しなかったな。海。そっちから何か見えたか?」

「いいえ。カーテンの奥へと消えていく感じしか…ソラ!」


 海の叫び声が俺に下から何かが来るという事を素早く理解させ、俺は後ろに向って勢いよく跳躍すると先ほどまで俺が居た場所にピエロの右腕がやってきた。

 そこからのレクターの動きは非常に速く素早く胴体を捻って右拳をピエロ目指して叩き込んだ。

 凄く鈍い音が鳴り響きピエロの腕が手首からポッキリ折れてしまったのがここからでも分かるが、ピエロはそんな事とはお構いなしに指先から糸を伸ばして周囲にある座席を捕らえた。

 捕まえた座席はレクター目掛けて飛んで行くが、それを海が空中で素早く切り裂いて行く。

 俺はそんな腕を切り裂こうと試みたのだが、今度は左腕が飛び出てきた俺目掛けて両掌を叩き付けてくる。

 俺はその攻撃を後ろに一歩下がることで回避し左腕をそのまま切り裂いた。

 無論血飛沫が出るわけでは無いが、それでもピエロ本体が現れる気配が無いが、そんな時切り裂かれた左腕から無数の糸が飛び出してくる。

 その糸は大きな劇場内にある椅子や強固なドアなど様々なモノに取り憑いて引っ張り上げた。

 中にはピアノ等までが存在しているが、そんな中で奥から騎士の鎧みたいな奴までが出てくる。


「なんで騎士の鎧が!? ソラのラウンズが操られた!?」

「馬鹿な発言も大概にしろ! 此所は演劇場だ! 演劇の項目の中に騎士が出てくる項目があってもおかしくないだろう!?」

「ピエロの本体が何処かに居るはずです! じゃないと倒しようが無い! 流石に消えている状態で攻撃出来るとは思えない」

「だけどこの状態じゃ…それこそソラがエコーロケーションで探せば良いじゃん!」

「演劇のこの劇場そのものにはいない…たが建物からそう離れられないだろうけれど、見えない…下から来る攻撃…レクター!」

「何!? 何をすればいいわけ!?」


 俺は真顔で言い切った。


「力一杯床を叩いて粉々にしろ!」

「ほい来た!」


 レクターは俺の言葉に何の躊躇も持たないで力一杯握りこぶしを床に向って叩き落とした。

 床が物凄い衝撃音と共に粉々になってしまうが、そんな中ピエロの笑顔が見えてきた瞬間、俺は両足に力を込め空気を足場にピエロ目掛けて跳躍した。

 無論そのまま無抵抗な訳じゃ無いピエロは周りにある大量の物体を使って俺の攻撃の妨害をし始めるが、そんな俺の妨害に海が立ち塞がる。

 海は周囲にある糸を次々と切り裂いて行き、ドンドン妨害を邪魔していくとレクターも負けじと物体を殴って破壊していく。

 俺はそのまま床下へと消えようとするピエロの顔面目掛けて緑星剣を突き刺してそのまま左腕に異能殺しの剣を呼び出し今度は右側に向って切り裂いた。


「無撃! 三ノ型! 永延舞!!」


 二本の剣で次々と攻撃していき次の床すら粉々にしていきその瞬間一本の鎖が切り裂かれていく。



「まさかこんな戦いがドンドン起きるの?」

「仕方が無いだろう? お前が言い出したことだろうに…この調子でドンドン破壊していこう…どのみちやらないといけない事さ…」

「後何個鎖があるんですかね? 五つとか言い出したら流石に今日中に片付けて東に行ってそこのエネルギーを解放するのは難しいですよ」

「ねえ…儀式先延ばし出来ないの?」

「誰かさんがバラしたからな。明日行なわれるって…皆の期待が集まっていて今帝城前は大騒ぎだって噂だよ。奥さん中に入るのに凄い大変だったそうだから。これで訳あって延期しますなんて言えば…」

「まあ…トラブルですよね。暴動にこそならないですけど…それこそ英雄が生き返るなんて触れ込みを誰かさんが言いふらしたから…それこそコッソリ行なわれる案件だったのに…」


 レクターが黙り込んでしまうが、このときのこいつは何を言ってもきっと喋らないのでトコトン追い詰めておこうと思った。

 俺達は歩いて建物から出て行きまずはエネルギーと鎖の数の確認、それを行なって次の鎖の場所を探る事とした。

 そうしていくうちにエネルギーに絡みついている鎖は後二つ、この調子ならお昼前に解決して午後からは東の近郊都市へと向うことが出来そうだった。

 その後俺達はその内の鎖が伸びている方向へと向って歩いて行くと、プラネタリウムが付いているような建物を発見したのだが、こんな建物が昔在ったとは思いもしなかった。


「以外ですね…こういう建物は帝都にあると思いましたけど…」

「最初の開発時はあったんだろう? それこそ観光名所を何にするか決めかねていた頃の名残だな…まだ各近郊都市が何を観光名所にするか決めていなかった頃の…」

「かもね…でも南は輸入や輸出による収益を目玉にしていたけど…観光名所なんてあるわけ? 俺帝都でずっと暮らしてきたけど無いって思って居たけど」

「無くなったんだろう? 各地からやってくる色々な郷土品などが目玉になるうちにそういう観光名所は無くなっていったんだろう…仕方が無いとは思うけどな…」

「ですね。西の近郊都市は魚料理や橋を見所にしましたけど…東は?」

「結構賑わいが強い街なんだが…基本は眠らない街なんて言われている帝国内でほぼ唯一と言っても良い娯楽都市だよ。カジノからまあ…俺達学生には縁の無い大人な社交場まで様々さ。一本脇に外れるといかがわしい店から「これは非合法じゃ?」なんて場所も様々だから…」

「俺はああいうの好きだけどね…行くと怒られるから行かないけど。大人になったら行きたい」

「でも以外ですね。あるんですねこの世界って娯楽には少々疎いって聞いていましたけど…」

「疎いだけで無いわけじゃない。やっぱり必要だよ…最近じゃ遊園地なんて各地で作られているらしいし、西暦世界からすればこっちは娯楽が少ない分進出すれば大当たりしやすい場所らしい」

「あ。そう言えば帝都に出来たって言う遊園地ソラは行った?」

「まだ開演もしていないぞ。もうすぐだけど…」


 そんな会話をして居る間に俺達はプラネタリウムまで辿り着きドアを開ける。


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