南の近郊都市 4
南の近郊都市をジュリ達が出たのは朝早くである五時頃だったそうだ。
都市高速を制限を大幅に超える速度で走り抜けていき、そのまま三十分という早さで西の近郊都市に辿り着いて、六時半出立の飛行艇で移動しようと試みたらしいが、飛空挺より列車の方が早く動き到着すると分かり方針を大幅に変更した。
到着が六時半頃に到着するという事が俺達のスマフォに届いたのが六時前、ハッキリと言えるが未だ眠りの中に居たので反応できるわけが無い。
結果六時半頃に目を覚ましてスマフォを起動させてようやくメッセージに気がついて俺は「今起きた」と伝える後で動き出した。
まずは洗面台だろうと顔を洗って眠気を吹っ飛ばし、歯をしっかり磨いてから洗顔で顔を洗いそのままタオルで顔を拭きながら洗面台を出て行き、ベットの上で眠っているエアロードとシャドウバイヤをたたき起こしていると再びジュリ達から連絡が来ていることに気がつく。
スマフォの画面には「何処ですか?」と言う簡単なメッセージがあったので、俺はジュリ達に俺達が宿泊しているホテルを教えて待つことにした。
着替えてエアロードとシャドウバイヤの眠気が完全に抜けるのを持ってから俺達は部屋を出ると、丁度別の部屋から出てきた海と出会ってから下の階まで荷物を持って降りた。
荷物と入ったが特に大量に持って居るわけじゃ無く、基本は夜のうちに購入した着替えを簡単な鞄の中に詰め込んだものだけ。
一階の受付でチェックアウトをしてから俺達はジュリ達を待っているとジュリとケビンが手を振りながら近付いてきた。
「よく寝られましたか? しかし、随分ぐっすり寝ていたようですが…?」
「いや…結局昨日の夕食後簡単に大凡の場所だけを調べてみたんだけどさ…そこの場所がどの辺なのか地図と照らし合わせて居る間に結構な時間を過ごしてな」
「そうなんだ。私達はレクター君は見つからないから結局置いてきたんだけど」
俺と海が首を傾げる番で、エアロードとシャドウバイヤとオールバーも同じように首を傾げて居るのをむしろ首を傾げて返すジュリとケビン。
いや居ないって…二人の後ろに居るように見えるレクターは俺達の見間違いなのだろうか?
普通に付いてきているように思えるけど?
「二人の後ろに居るじゃん…レクター」
二人の悲鳴が都市中に響き渡るのではと不安になってしまうが、まあ流石に二人もそこまでの悲鳴を上げるつもりは無かったようで急いで口を閉ざした。
だが最初の馬鹿でかい声に周りの人達がびくりと反応したのだが、俺達が代表して「すみません」と謝ってからとりあえず朝ご飯を食べようと提案して近くの喫茶店に入った。
レトロな木目が特徴的な壁と少し暗めの室内ランプ、狭めのテーブルや椅子の配置が雰囲気を更に作り出している。
奥の席に座ってメニュー表の中から竜達が選ぶ間、俺はとりあえずレクターがどうやって二人にバレずにここに来たのか教えて貰う事にした。
「昨日二人からメッセージが来てから南の近郊都市に居るって分かったから走ってきた」
「嘘だろ? お前…走ってきたの? 都市高速も列車の線路も旧街道も無間城で滅茶苦茶になっているのに、立入も禁止されているのに…走ってきたの? お前…人間か?」
「うん! で? 何をすればいいわけ?」
「ハァ…お前に常識を問う方がおかしいのか。まあ良いや…」
俺はそこで「じゃあ」と区切ってから改めて全員に俺達がやるべき事を簡単に述べる殊にした。
明日の儀式までには残り3カ所のエネルギーを発見して解放しないといけない。
その場所を探し出し素早く次の場所に移動するが、問題はそのエネルギーを狙って護っている不死者達の魂の残痕が結構厄介だと言うこと。
「でもさ。ソラがエアロードとシャドウバイヤと一緒に倒せたんでしょ? 楽勝じゃ無い?」
「いや…あれは発見したのが早かったからだろう。もし時間を経過すればどんな不死者達の魂の残痕が集まってくるのか分からない」
「では早めに捜索しましょうか…で? 何時になったら竜達はメニュー表を離してくれるんですか? 私達まだ決めていないのですが?」
「じゃあ先に大凡の場所だけ教えて貰って良い?」
「ああ。ここから中心よりだが中心の広場よりはこっち側に近い感じ、丁度真ん中辺りかな? これが厄介で…」
「はい。学校や昔使われていた商店街の名残、旧街造りの名残の広場など結構それっぽい場所が多いんです。あくまでも竜達の旅団で調べられるのは大凡の場所だけ、詳細は自力で探すしか無いんです」
「行けば分かるんですか?」
「俺なら分かる。エネルギーは激しく瞬いており、一般人には分からないが俺なら分かる。近付いていけばその出入り口の空間を俺がずらしてそのずらした空間にエネルギーがある。後は突入して入り攻略する」
そこまで話した所でようやく竜達がメニュー表を返してくれたので俺達の方も簡単に選んでから料理を待っていることにした。
しかし、こいつ寝る間も惜しんで走ってきたのだろうかと思った事をそのまま聞いてみたが、レクター曰く別段そういうわけじゃ無いらしい。
「流石に夜中のウチに辿り着いたから適当な所で野宿したんだけど…」
「よくもまあそんな下らない事でその辺で野宿できますね。普通にホームレスの人達も迷惑でしょうに…」
「五時ぐらいに起きて見て回ったら偶然ジュリ達を見つけたら後は付いていこうと!」
「それって駅前で発見したのか?」
「うん」
「でもさ。もしジュリ達が空港方面からやって来たらどうするつもりだったんだ?」
「良いじゃん。結果的には見つかったんだからさ」
ならこいつのスマフォは今頃充電が切れていると言うことだ。
マジで迷子になったらこいつ下手をするとこの街で数日ぐらい野宿していただろうが、そんな時に警察から連絡が来ても保護できない。
と言うかしたくない。
「いっそ野垂れ死んでしまえば良いのに」
遂にケビンが普通に呪詛の言葉を吐き出すようになったのだが、何もしていなくてもレクターへの好感度が低下してくんだな。
まあこいつがケビンに向って吐き出したりした悪意ある言葉の数々を思えば当然のことであるが、相性悪いよな…。
でも俺が気にしていることは全くの別。
こいつがしていた昨日一日の出来事である。
俺がそれについて尋ねるとレクターは微笑んで誤魔化そうとするだけ、全く答えるつもりがなさそうな所を見て少し殺意を覚えた。
「何か厄介事をしてきたわけじゃ在るまいな」
「ソラが俺をのけ者にするからじゃん!」
「当時はこんなことになるとは予想していなかったんだ!」
「それを予想してこそでしょう!?」
「出来るわけ無いだろうに! そもそも俺はお前の行動自体予想出来たことが一度も無いわ!」
「それはソラが馬鹿なだけじゃん!」
「この世の誰よりもお前に馬鹿だと言われたくない! この世で一番の馬鹿はお前だ!」
俺達罵り合いをケビンが溜息交じりに見守っており、ジュリと海は苦笑いを浮かべるだけ。
「で? 何をした? どんな悪事を帝都で繰り広げてきたんだ?」
「あ。料理がやって来た」
誤魔化しやがった…最悪だ。
絶対レクターは何かをしている。
何か悪事を働き俺を困らせようと動いたに違いない。
目の前に並んでいる料理の数々に手を付けていくレクターと竜達、もう話は終わったと言わんばかりの顔をしている辺り何を言っても聞くつもりは無いらしい。
俺は料理に手を付けようとしたとき、海が何かを発見して俺にスマフォの画面を見せてくれた。
そこにあった見出しは「アックス・ガーランドを生き返らせる!?」という見出しだった。




