不死皇帝の英雄譚 0
師匠と共に再び地下鉄へと乗り込んで一旦南区中央駅までやって来て、南区中央駅は旧壁と呼ばれている旧市街地と新市街地を隔てている大きな壁を挟むように出来ている駅舎は壁の上にまで大きなエレベーターが備え付けられている。
南区中央駅の一番上、旧壁の上に作られている区画間を行き来する為に作られた列車に乗り込んで北区中央駅まで移動する。
各区事に駅や街並みが全く違うのだが、得に北区はなだらかな斜面に作られた豪華で綺麗な家が続いて居る為街もそれに合うようにビルなどの高い建物は一切をかけて禁止されている。
白い壁と青い屋根が綺麗な街並が続いており、俺は北区中央駅から出て行きながらも綺麗な街並に少しだけ見蕩れてしまった。
ここからだと帝城までがしっかりと見える。
「そう言えば此所はトラム無いんだっけ?」
「ああ。トラムは難しいらしく基本行き来はバスだな。新市街地も基本街並を崩さないという建前から地下鉄も無いと聞いている。そもそもこの北区は金持ちしか住んでいないから基本皆車だ」
「豪華な生活で羨ましいです。俺の家基本バイクだからね。しかも俺しか持ってないし」
「アベルを車に乗せるなよ。あれは暴走運転しか出来ない男だ。だから車を購入する時何時でも私は阻止してきたつもりだ」
「良く運転免許証を取ることが出来たよね…超関心したよ」
街並の中を歩いて行きながら俺達はガーランド邸宅へと向って歩き出した。
しかし似ている街並が続いていくからマジで迷いそうになるが、逆に北区の人間は似たような街並が続くという理由から南区は迷いやすいと聞くし…人それぞれか。
師匠は歩きながら「所で…」と語り出した。
「続きをそろそろ聞こうか」
「? ああ。あの後の続き? と言ってもあの後直ぐに動いたわけじゃ無いんだよね。と言うか結局で師匠がキチンと説明していないから俺達が説明したんだけど? 奥さんと家族に。海が物凄い言いにくそうにして居たの知っている?」
師匠が俺達の方を見てくれない。
師匠達が全く説明してくれないから俺達で説明する羽目になったし、レクターはレクターで物事を面倒臭い方向へと向って引っ張っていくし。
師匠を取り戻して不死者達の魂を浄化するだけの作業があれだけの大事まで発展したんだ。
何せ最後は街中の人達や海外からすら沢山の人が師匠が生き返ると知って帝城前までやって来たのだから。
決して忘れないあの場面だけは。
あの戦いで俺が知ろうとした事、俺が今まで頑張ってきた理由を俺はある意味知る事になった。
ならやはり語るならあそこから語るしか無いと思った。
無間城が落ちた直後から語るべきだ。
あの楽しく、最後まで希望を失わないでいられると確信した毎日を…最後には笑えると分かった戦いを。
三十九人はきっとこの結末までを知っていたはずなのだから。
「最後には笑えるよ」
その言葉を信じてみようと…本気でそう思えた。
最後には本当に笑うことが出来た…不死皇帝ジェイドの英雄譚の最後を…語ってみようじゃ無いか。
今は前に進んで行くだけなんだ。