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女騎士は男の娘  作者: 池田 真奈
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第7話 まるで違う人みたい!

「マオ様、どうなさったのですか? 先程から落ち着かないご様子ですが……」


ジュリエッタが気にするのも無理は無いかも。

僕は皆で訪れた女性用の下着専門店(ランジェリーショップ)の店内で一人困り果てていた。

サイズとか全く分からないから選べもしない。

女の子だと言っても小姓のジュリエッタはまだ7歳だから聞いても分からないだろうし。

小さく丸まったショーツを手にしては見たけれど、こんなに小さいのにどうやったらあんな大きなお尻が収まるのか不思議な思いでいる。

そんな僕の視線がミオのお尻を捉えていたのは内緒にしておきたい。


「お客様、お困りの様子ですが…… どう言った物をお探しですか?」


どうしたら良いか分からなくて立ち尽くしていた僕を見かねて店員の女性が声を掛けて来た。


「ええっと…… 胸が無くてもドレスとか着ても恥ずかしくないブラや、それに合うショーツが欲しいんですけど……」


は、恥ずかし過ぎる! 最後の方は蚊の鳴くような声になってたかも。


「そんなに恥ずかしがらなくても大丈夫です。 そう言う悩みを抱えたお客様は結構多いんですよ。 でしたら…… こちらの品はパット入りですからご希望に添えるかと思います」


小さな胸の女性が抱えている悩みと僕の場合では根本的に違う気もするけど、この際仕方がないよね。

店員さんに勧められるまま試着室に入る僕。

ジュリエッタが手伝うと言って一緒に試着室に入って来ようとしたんだけど、流石にそれはマズイので丁重に断っておいた。

かなり悲しそうな顔をされたので僕の胸も痛んだけど、男だって秘密だけは死守しなくちゃならないからね。

裸になった僕は慣れない手付きって言うか、付けた事も無いブラジャーのホックを止めるのに悪戦苦闘しながらも漸く着ける事に成功していた。


「ふぅ…… まずは第一関門クリアかな」


次はショーツだけど…… これに僕のアレを収めなきゃならない訳で…… ハミ出したりしたら最悪だよね。

男物のパンツを脱いだ僕は観念して手の中で丸まっている小さなピンクのショーツを穿いてみたんだけど…… こんなに生地が伸びるんだ。

変な話だけど僕は感心してしまう。


「ねぇ、マオ。 決まったかしら? わっ、凄く可愛いじゃない!」


声と同時にガラッと開かれたカーテンの向こうにミオが立っていた。

間一髪、見られたらイケナイモノを見られるのだけは避けられた事に胸を撫で下ろす

でも女性物の下着姿なのが途端に恥ずかしくなり床に置いてあった百合騎士団従騎士の制服を拾って胸元で抱えるように身体を隠す僕。


「女の子同士でそんなに恥ずかしがる事ないじゃない。 ねぇ、もう少し見せて欲しいんだけどダメ? でもピンクのブラとショーツかぁ…… 可愛らしいマオにはお似合いね」


ゴメンね! 女の子同士じゃないから!

ミオさんってば…… 僕の下着姿を見ないと立ち去るつもりは無いみたい。

期待に満ちた表情で待っているのが分かる。


「ううっ、恥ずかしいよ……」


多分、恥ずかしくて真っ赤になってるんだろうな。

そんな恥ずかしがる僕もミオさんからしてみたらポイントが高いらしい。


「ミオ様、はしたない真似はお止め下さい。 マオ様も困っているではありませんか」


ミオの背後に控えていたジュリアに諌められて残念そうな表情を浮かべながら漸く試着室のカーテンを閉じてくれた。

ホッと安堵の息を吐き試着室に据え付けられている姿見の鏡に映る自分の姿を見詰める僕。

薄化粧をして頬を赤らめた下着姿の美少女が立っている…… 僕の筈だよね?

まるで違う人みたい!

これならちゃんと、それなりに胸があるように見える。


「どうでしょうか、お客様。 失礼します」


店員さんに声を掛けられた僕はハッと我に返る。

そして止める間も無くカーテンが開けられちゃって呆気に取られてしまう。


「まぁ、お似合いです…… まさに可憐な花のようですわ!」


店員さんが感嘆の声をあげる。

その背後には僕の手伝いが出来なくて残念そうにしていたジュリエッタもポーッとした感じでコチラを見てるのに気付く。


「マオ様…… 素敵です!」


そんな事言われても…… 困っちゃうよ。


「何を騒いでいるのかしら? あらまあ…… 流石は私のマオですわ。 随分と可愛らしい事」


アリエルまで来ちゃったよ。

それと…… "私のマオ"って何?

ウットリとした顔で僕を上から下まで舐めるように見ているのに気付き、慌ててカーテンを閉める。


「あら、減るものでは無いでしょうに…… まぁ、いいですわ。 帰ったらゆっくりと堪能させて頂きますわ」


ええっ! それって一体どう言う事?

何やら怖い事を言い出すアリエル。

取り敢えず、気を取り直した僕は店員さんに勧められるままに上下の下着をセットで数着とキャミソールなんかを購入しておいた。

更に夜用のネグリジェを買おうと見ていたらベビードールとか言う見るのも恥ずかしいのを勧められた僕は苦笑いを浮かべながら断ったりもしていた。

流石にアレは無いよ…… スケスケでエッチな感じだし絶対に無理だもん。

なんとか下着は手に入れたし裸になる機会なんか特に無いだろうから、これでもう大丈夫だよね。

裸って言えば…… 百合騎士団の団員達ってお風呂ってどうしてるんだろう。

部屋にはお風呂は無かったけど…… もしかして共同浴場なのかな?

それって絶対にマズイよ。

今日一日くらいならお風呂に入らないのもアリだけど、これから毎日の事になるからね。

まずは今夜の事を考えると、それだけで何だか頭が痛くなる。



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