物語は6年後へ
なんかこう・・・いろんな感情が交わりまくるって言うんですかね、難しいですね
ではどうぞ
「ゼシードさん、今日もお願いできますか!」
窓から太陽の光が刺しながらも本棚に並んでいる本を選んでいる途中だったゼシードに大きな音と共に扉を開け大声でそう言ってきた少年にゼシードは呆れながら後ろを向かずに答えた
「構わないが・・・本当に冒険者を目指すのか」
「はい!僕ゼシードさんみたいに強くなって冒険者になりたいんです!」
元気よく返事をしたその少年を振り向いて見ながらゼシードは苦笑いしながら木製の脚立から降り少年の方へと歩き出した
「分かった、先に行って準備しててくれ」
そう言うと少年は扉を閉める事無く猛ダッシュで部屋を出ていった、せめて閉めてから行ってくれとゼシードは思いながら木刀を2本持ち部屋を出た
なぜゼシードがこのような生活をしているのか、それは6年前の事、ゼシード達神話の世代はフランスト王国軍基地から逃げた後街を見渡せる山に集合していた、そこでゼシード達は大陸のいたるところにある場所を一人一人決めてそこに逃亡しようと話し合いをして決めていた
全員が逃亡先を決めた瞬間話し合いはすぐ終わり解散、ゼシードもシザースも決めた逃亡先へと向かった、対するゼシードの逃亡先は地図で見る限り賭けであった、何せ高い山の中にぽつんと一つの空間があるのだ、地図を作ったロング・アーチャーに聞いてもその時は疲れてよく覚えていないけど山の中になぜかへこんでいる空間がありその下には草原のような世界があると言っていた
後は噂程度の情報ではあるがそこに村があるとも聞いていた、フランスト軍も流石にここまで追ってこないだろうと踏んだゼシードはここに隠居する事を決めたのだ
しかし山奥にあるだけあってそこまでの道は険しかった、道らしき道はないため長く伸びた雑草を踏みながら、あるいは枯葉を踏みながらゼシードは歩いた
だが歩いて何時間経つだろう、そう思えるほど遠かった、坂道かと思えば下り坂そして坂道、その繰り返しだった、いくら特別な肉体とはいえ12歳の体には限界があった
時々川で休憩しながら歩いた、そして見つけた、山の中を歩いているといきなり地面がえぐれているのを発見したしかもそのデカさが以上だ
「何百mあるんだ・・・」
直径は1km近くあった、深さに関しても以上で明らかに200~300m以上の深さはあると確信できる、そしてそこを覗くと目的の物があった
数軒の家、畑、池、そして人が10人ほど見えた、賭けではあったが人がいた事に安心するゼシード、すぐさま降りようとするがこの高さ、階段でもない限りは降りたくないと思い辺りを見渡すと階段を見つけた、しかもそのすぐ隣にも階段がある、鉄製で出来ていてそう簡単には壊れないであろう硬さだ
「ここの人達は頭がいいな」
そう褒めながらゼシードは高い山の絶壁を階段を使っておりた、最初は高すぎるため左右にあった手すりを使ったがしたに行くにつれて一段飛ばしをするようになりようやく一番下に降りた
降りてわかるが下も広い、しかも地面に生えてる草が綺麗な緑色をしている、踏んでいるのがもったいないくらいだ、あまりの景色にビックリするもゼシードは再び歩き出す、すると畑仕事をしていた住民は歩いてくる僕に気づき騒ぎ始めた、耳を澄ますと・・・
「ボロボロの子供が歩いてくるよ!食べ物と服用意し
て!」
「お、おう!」
一人の女性がそう指示すると畑仕事をしていた数人の男性は急いで各自の家へと戻った、それと同時にその女性は畑の近くでたっている老人に話しかけ一緒にこっちきた
そして間合いが10mほどになった時足を止める
「何者かの・・・見たところボロボロの服を着た子供に見えるがその軍服はフランスト王国軍のものであろう、片手剣を装備してるのじゃからいい証拠じゃよ、少年兵と言ったところか」
「その通りです、フランスト王国軍総長、ゼシード・サーベルという者です、お願いなのですがここに隠居させてもらえないでしょうか」
お爺さんの発言にゼシードは素直に認めここに来た目的を率直に話した
「ふむ・・・ではその訳を聞かせてくれるかな・・・」
そう言ったお爺さんは僕の目を見る、話せという合図だと思ったゼシードはお爺さんにここに来るまでの事をすべて話した、話す事に関しては危険性は低いとゼシードは考えていた考えている
まずこの事を本部基地に伝えるためには山を降りなければならない、ゼシードがさっき通ったあの道を戻らなければならないからだ、なのでこの人達が本部基地にバラしに行くなんてことはまずしないだろう
ゼシードが総長の時の事、自分がどういう人間か、なぜここに来たかの理由、隠すことなく全てを話した
「ふむ・・・フランスト王国も腐ったものじゃ・・・」
顎のヒゲを触りながらそう呟いた目の前のお爺さんさんにゼシードは立ち尽くす
「事情は理解した、隠居したいんじゃったな、この女の人に聞けば全てわかる」
そう言ってお爺さんは家のある方へと歩き出した、その瞬間立ったままだった女性はこちらに走ってきてゼシードを抱きしめた、ボロボロの軍服の上からだ
「そんな事あってもなお国のために君は戦うんだね・・・偉いよ・・・」
泣きながらそう言われゼシードは家に案内される、その時ゼシードは初めて優しさというものを知った
以降この人達のお世話になり時に手伝いと言った生活を6年間続け今に至るのだ、この白い布のズボンもシャツもコートもこの村の人達が作ってくれた、コートはこの村になかったがお爺さんが軍服を見てコートはあった方がしっくりくるだろうと言って作るようにお願いしたそうだ
実際しっくりきてていい気分のゼシードは子供の相手をするほどである
玄関に軍人が来そうな靴を履き外に出る、昼辺りの時間帯なのか真上から太陽の光が刺してきてとても眩しい、ゼシードはそう思いながら庭へと出る
「今日もお願いします!ゼシードさん!」
「分かった、ではいつも通りで行こう」
待ち伏せしていた少年にゼシードは木刀を投げる、木刀の形はゼシードが持っている剣と同じ形をしている
少年は近くに落ちた木刀を両手で広い構える、ゼシードは右手で木刀を持ち少年へと向ける、そして強い風が吹いたその瞬間2人は動いた
「はっ!」
少年がゼシードへと走り距離を詰め剣を振り下ろすがゼシードはそれを左に移動し避ける、少年は追撃をするべく横薙ぎに攻撃するがバックステップでゼシードは避ける
(動き一つ一つは悪くないな・・・)
その後も何回も少年はゼシードへと攻撃を仕掛けるがゼシードはそれをすべて避けていた、避けながらゼシードは目の前の少年の動きを褒めていた
(特に体のひねり方、的確なタイミングで腰や足をひねりすぐに追撃を可能としている、しかし惜しいな)
そしてゼシードは避けるのをやめその場に立つ、少年は立ち尽くしたゼシードを見てチャンスだと思い上から木刀を振り下ろす、しかしゼシードはそれを正面から防いだ
「動きは悪くないのにパワーが足りていない、子供だから仕方ないんだが・・・」
「それ何回も聞きました!!!」
独り言のつもりで言った呟きが聞こえたのか少年は叫んだ、それと同時に距離を取り足に力を入れ再度距離を詰める、本来なら避けるのだがもう終わりにしようと思ったゼシードは振り上げた木刀を思いっきり振り下ろす
それを防ぐために少年は木刀を盾にするがその木刀は綺麗に真っ二つになった、断面がツルツルな程に、衝撃の出来事に少年は目を点にする
「単純に筋力が足りてない、食事をたくさん取る事、あと軽い筋トレもする、いいかな」
「は、はい!」
そう言った少年は走り込みをするようで山の断面まで走っていった、それを見送ったゼシードは少年が落とした真っ二つの木刀を拾う、前ならこんな技出来ないどころか折ってしまうのだがここまで成長した・・・ゼシードはそう確信する
それも全てはあの人のおかげだと
するとなんの関係もないのにふと思う
(あれ、僕ってここに来て今日で何年目だっけ)
2、3年までは数えていたけどそれ以降は忙しくて数えてなかったなと今更思い始めた、本当に突然で自分でも分からないほどだとゼシードは思う
突然の疑問だが妙に気になるため村長に聞こうと思い歩き出す、その時にいろんな人に挨拶されゼシードはそれに挨拶で返す、それを繰り返すと村長がいる家に着く
ゼシードは家の扉を軽くノックする、5秒ほどで扉が開き村長が出てきた
「おぉ、ゼシード君か、何か用かな?」
「突然ですが村長、僕がここに来て何年目か分かりますか?」
「何年目か・・・確か紙にメモしているはずじゃ見てくるから待っててくれ」
そう言った村長は扉を閉め家の中へ、なんで数えているかはさておきありがたい事だった、数え忘れていたなんて理由であの誓いを諦めたりは出来ないからな・・・ゼシードは握りこぶしを作りあの時誓った革命への想いをより一層深く誓う
そう思っていると扉が開き眼鏡をかけた村長が出てきた
「えっと・・・今日でちょうど6年目じゃな」
「6年目・・・」
「もうそろそろかと思ってたがとうとう来てしまったか・・・」
そんな柄にもない言葉をいった村長、でも実際そうだ、革命への誓いを立てボロボロになってまでここに来てそれかはもう6年も経ってるのだ、時間が過ぎるのは早い
「行ってしまうのか?」
「はい、あの国を変えるためです」
「そうか・・・せめて見送らせてくれ、皆を集める」
そう言ってスリッパのような物を履きゼシードの隣を過ぎ去るように歩いた村長、その背中には寂しさが滲み出ていた、それを見たゼシードは自分を鍛えてくれたある人にこの事を言うためその人の元へと向かう
向かった先は村の中にある学校、簡単な基礎知識を村の人達が教える場所、ここでゼシードの師匠とも言うべき人物は子供達相手に色んなことを教えていた
玄関から靴を脱いで入り、廊下を歩く、しばらく歩いてその人がいる教室へと着いた、何をしているのか気になり覗き込むとイスに座り授業を受けている10人ほどの子供達の前に立っているのは一人の女性だった
腰まで伸びている綺麗な白髪、離れたこの位置からでも分かるほどのスベスベ肌、すべてを包みそうな優しい黒い、素晴らしい肉付き、サイズがあってるのか合ってないのか分からないシャツとズボン、そのせいで体のラインが強調している、いつ見ても綺麗な人だと思う、なんでこの人の息子なのかなと思うと余計だ
髪の毛の色も目の色も違うというのに・・・
そう思っていたら視線に気づいたのかその女性がこちらに向かってきた、そして戸を開け僕の姿を見ていう
「何か用?いつも覇王みたいな雰囲気してるけど今日はそんな雰囲気じゃないね」
「いきなり何言うんですかクイーンさん・・・」
この人の名はクイーン・サーベル、初代サーベル家当主でありゼシードの母親だ、外見が全く違うのになぜこの人から生まれたのか全く分からないとゼシードはクイーンを見るたびに思っていた
「っと、お話があります、少しいいですか」
「?、いいけど・・・あっみんな〜少しの間自由時間ね〜」
何を思い出したのかと思えば子供達の事だった、僕と話すため子供達に自由時間を与える、その瞬間教室内は騒ぎ始めた、しかし壁一枚挟んでいるため会話には支障がない
「それで何?」
「今日で6年目です」
「あっ・・・そっか、今日で6年目なんだ・・・」
ゼシードがここに来てから6年目の事を伝えるとクイーンは悲しそうな顔になった、そして僕を見つめる・・・
「やっぱり行くの?」
「はい、あの国を変えなきゃならないので」
その答えにクイーンは何も返答をしなかった、振り返り無言で教室へと戻った、ゼシードはそれを見て数秒立ち尽くし玄関へと歩き出した
(僕だってあなたと別れるのは辛い、でもそれよりも優先事項はある、それに完全な別れじゃない、いずれまた・・・)
そう思い玄関についたゼシード、靴を履くため体の姿勢を低くする、その時に腰に装備している片手剣が、視界に入る、これを見るたび斬ってきた人達の顔とその時の映像が脳裏に浮かぶ
国のために仕方なく殺していたが本当は邪魔だからどかしただけという事実があった、そんな事のために人を殺していた・・・しかも小さな命を2つも救えなかった大陸最強の総長、どれだけアホな人間かとゼシードは自分で自分をバカにした、たった2つの命を救えなかった、あの2人にはいずれ墓の前で土下座を何回もして謝罪する、けどその前にやらなきゃならない事がある、ゼシードは内心そう思いそして
「だから待っててくれ」
靴を履き立ち上がった瞬間に呟いたその一言で体にスイッチが入る、村に貢献している僕ではなくあの頃の・・・簡単に人を殺していたあの頃へと・・・そう思ったゼシードは村を出るため歩き出す
外に出て鉄の階段がある場所へと歩く、ひたすら歩く、ここに来てから出来た思い出を思い出しながら歩く、ふと振り返るともう村を横から見れるほどの距離を歩いていた
ゼシードは再度振り返り歩き出す、革命を起こすために
「ゼシード君」
聞き覚えのある声にゼシードは振り返る、そこには村長やお世話になったおばちゃん、クイーンや村の子供達や大人達もいた、何をしに来たのか不思議に思った
「皆で見送ると言ったであろう」
そこには色んな面々の人達がいた、村長やクイーン、世話になった女の人や子供達、少年は走り込みをしているのかその中にはいなかった
それぞれ悲しい顔や希望の表情が見受けられるがクイーンの顔は心底悲しんでいる顔だった、他の誰よりも悲しい気持ちが伝わってくる、ゼシードはそれを見て目をそらしたくなるが堪える、ここでそらす程度の覚悟じゃ国を変えるなんて夢で終わってしまうからだ
「あの国を変えて来てね・・・」
「・・・もちろんです」
クイーンさんのその一言にゼシードはそう返事をする、その瞬間周りに立っていた大人や子供は僕に語りかけるように叫ぶ、フランスト王国を変えてくれと叫ぶ者、死ぬのが当たり前な時代を終わらせてくれと言う者、笑える国に変えてくれと様々な言葉を語りかけてくる
ゼシードはそれを頑固たる覚悟で受け止める、皆の夢や希望は必ず叶える、そう言う覚悟をさらに固くするのに充分な言葉だ
「つ、疲れたぁ・・・あれ、皆どうしたの?、ゼシードさんもそんな怖い顔して」
走り込みから帰ってきたのか僕の先程の少年はゼシードの横から走って現れた、動きやすい服装も汗のせいで至る所が濡れている、相当走ったなとゼシードは関心する
「僕がここに来て今日で6年目になる、つまりあの日の誓いを今行動に移す時だ」
「えっ、それって・・・」
汗だくな体で少年は何かを悟った、ゼシードはこの村に来て皆と馴染み始めた頃ここに来た理由と6年後に何をするか、それを話していた、当然この少年にも
「嘘です・・・よね、ここから出ていくなんて・・・」
「残念だが嘘じゃない、僕はここを去る」
「だ、だったら僕も・・・」
「ダメだ、この作戦に子供は巻き込めない」
ゼシードが立てた作戦は最終的に戦争になると計算されている、そんな場所に子供を連れていくなどまた同じ過ちを繰り返すだけだと思ったのだ
即答で断られる少年は納得がいかないのか僕から目を離さない
「嫌です!絶対行きます!」
「泣きながら言ってもダ──」
「ワシからも頼む」
目の前で泣きながらねだる子供を何とかしようとした時に村長が横から自分からもお願いと要求してきた
予想外の展開にゼシードは困り果てる、この作戦に子供は連れていけない、分かりきってたのに今更迷う自分がいることにもゼシードは困り果てる、迷走している途中でクイーンも言葉を発言する
「その子私が来た時から暗かった、でもゼシードが来てから今みたいな性格になった、その子にとって君は憧れなんだよ、連れて行ってあげてよ」
そう言ったクイーンは背中を傾けてお願いしてきた、周りの大人達や村長も同じだ、子供達は何が何だか分かっていないがとりあえずお願いしとけばいいやという感じで同じ姿勢でお願いしてきてる
ここまでされては連れていくしかない、そう思いゼシードは少年を説得するのを諦めた
「分かった、連れていく、ただし雑務しかさせない」
「っ!、それで大丈夫です!」
心底嬉しいのか少年は叫びながら飛び上がった、こういう純粋な反応をするのが子供のいいところだ、ゼシードはそれを見ながら苦笑いする
「何度も言うようだけど・・・よろしくね」
「・・・・・・」
よろしくね、その一言には2つの意味がある、一つはこの少年の保護、何があっても守ってねという意味でのよろしく
もう一つはこの国を変えてねという意味、自分は戦えはするが国を変えられるほどの力はもうない、だから僕達に託した、この国を変えるちからを、その意味でのよろしく
本格的に出発の雰囲気だと悟ったゼシードは腰に装備している剣を右手で引き抜き胸の前で突き立て左手は腰の後ろへと置く、そして呟く
「この剣に誓いましょう、ゼシード・サーベルは国を変えるために尽力を尽くしこの少年を守ると」
剣の誓い・・・サーベル家にとって剣・・・サーベルは家名にするほど大事な存在だ、そんな大切な物を使い誓いを初代当主に立てると言うのは相当な覚悟がないとしない事
それを知っているのはクイーンと村長だけだった、他の人達や少年は何をしているのか分からなかった
2秒ほど同じ体制でいた後鞘に剣を収めゼシードは何も言う事なく振り返り鉄の階段へと向かった、それを少年は慌てて追いかけた
方や腐った国を変えるべく同士を集い復讐と同時に革命を誓った元少年兵
方や元少年兵に憧れ冒険者を目指し日々訓練しているごく普通の少年
この時ゼシードは想像もしなかっただろう、この少年の正体は先に気づくべきだったと、名前こそ聞いてはいないが警戒するべき人物だという事に・・・
こんな小説を読むあなたは相当なピーーーとお見受けします
次回はフランスト王国に移動して同士との再開を果たそうとするゼシードと少年、実は意外と近くにある人物が・・・
では次回