総長の伝説
この設定わりと好きです、ではどうぞ
これは花のように小さな命すら救えなかった少年兵の話である、戦争が耐えなかった時代に生まれた少年ゼシードサーベル、物心ついたその日からサーベル家総出でゼシードの教育に取り組んだ
雑学や戦闘の基本など、後の時代にはなかった魔法という力も使えるように教育された、10歳になると少年兵として王国を守る軍人となる、その頃のゼシードは徹底された教育のせいか誰よりも強かった、ゼシードは心から思っていた、王国のために王のために民のために戦うと
その志を思いながら戦い続けるといつの間にか大陸最強の総長と言われ始めていた、しかしある事件を境に王国を守るという思考が王国を変えるためにある程度の犠牲を覚悟で国と戦う事を決める、国とゼシードの衝突は歴史上最大の戦争となった、歴史を語る本にはこの戦争をこう表現していた、革命戦争と
これは小さな命すら救えず国への復讐に燃え革命を誓った少年の物語である
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「よぉーし、今日はここまでかな」
中庭のような広い広場の中央で1人の男性と1人の少年が訓練をしていた、内容は武器の使い方の説明とその実践、なぜ少年に男性が武器の説明をしていたか、それは少年自身にあった
「ありがどうございました、先生」
「いいよ別に、未来のサーベル家の当主様の為だもんな」
小さな軍服、ロングコートの背中には鷹が羽ばたきその周りを星が囲っているようなシンボル、これはフランスト軍の人間である証、その軍服を着ていた少年ゼシードサーベル
フランスト王国には秘密兵器と言える存在があった、それは武器の名を持つ者達・ウェポンズネーム、正式名称はウェポンズファミリーネーム、巷では武器の名を持つ者達とも言われている、ウェポンズネームはとてつもない戦闘力があり特にサーベル家、ダガー家、アーチャー家は他のウェポンズネームと比べて特別な力を持っている、故に三大家系とも言われているほど有名な家系なのだ
「そうゆうのやめてくださいよ、僕はまだ10歳ですよ」
「でも候補であるのは確かだろ?」
「まぁそうですが・・・」
ゼシードと話している男性の名はレイン・ウェポン、この男に使えない武器はないと言われるくらいあらゆる武器を使いこなせる男だ、階級は指揮官
軍には階級があり通常とは異なる特殊な階級がある、それが指揮官という階級、権限力的には少将ほどあり発言力もそこそこある、結構上の階級だ、しかし主な仕事は戦場での指揮と訓練兵の訓練を監視する事にある
少年兵として軍に入ったばかりのゼシードに剣のあらゆる使い方を教えていた
「今日教えた事忘れるなよ?」
「忘れませんよ」
最後に短い会話を交わすと中庭からレインは消えゼシード1人残った、ゼシードは目をつむり剣を前に突き立て持ち手部分に両手を置き今日教えてもらった事を思い出していた
「動きの一部にフェイクを入れる・・・常に予定通りには動かないので自分に合った最適な動きを・・・」
ボソボソと呟いていた、時刻は午前12時を回り中庭を太陽が照らし始めた、それでもなお集中力を切らさず今日教わった事を思い出した、そして一言
「逆境でも絶対に引かぬ強い意志とその状況を覆せる強い力」
そう言うと右手で剣を抜き鞘に収め歩き出した
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「ようゼシード、訓練どうだった?」
「順調ですよ」
毎日のように行う中庭での訓練を終えたゼシードは軍本部の建物を歩いていた、時々話しかけられるため無難な返し方をして自分の部屋へ歩いていく、少年兵とはいえ子供として扱っていた軍本部はゼシードに部屋を用意していた、その部屋にゼシードは向かっている
部屋に着くまでに五人近くに訓練はどうだ?と聞かれたが同じ返し方をした、しばらく歩き周りを見渡す、コンクリートの壁には大きなガラス張りの窓がありそこから下を見ると先程いた中庭が見える、廊下の床には赤のカーペットが永遠に続いており天井付近にはフランスト軍のマークがある旗が掲げられていた、これもまたレッドカーペットと同じように永遠と続いている、これ見る度にゼシードは思っていた、自分は国を守るためにこの日まで生きてきたと
「国は僕が守る、絶対に」
そう呟き歩き出した、この頃のゼシードは疑ってすらいなかった、国を支える貴族や王族が腐っている事を
しばらくして一つの扉の前に立ち止まる、ここがゼシードの部屋だ、部屋についたゼシードは扉を開ける、中に入るといつもの物が置いてある、客が来た時にもてなすための小さなテーブルとイス、窓がある一番奥には一つの椅子とその隣にまた小さなテーブル、壁にはぎっしりと本棚が並んでいた
「今日は何を読もうか」
昔からゼシードは徹底された教育をされたため普通の子供がするような事は全く知らないし趣味もなかった、そんな子供が唯一好きな時間と思える事がある、読書・・・本を読む事、訓練終わりや任務の後などの数分数十分の暇を余すことなく満たせる時間の使い方だからだ
剣の入った鞘を窓際の小さなテーブルに起き本棚の方へ歩き出す、目の前につけば何を読むか右手の人差し指を突き出しながら本に触りつつ選んでいた
「今日はこの3冊かな」
そう言って片手で一気に3冊を抜き取り窓際のテーブルに置く、本当に小さいたま本を数冊しか置けない、だがそれぐらいが丁度いいのだ、置いた後すぐに椅子に座りテーブルから本を一冊取り開き始めた、この時間にこの行為をするというのがゼシードにとって至福の時間だった
本を読んで1時間から2時間ほどした時扉にノックの音がした
「どうぞ」
「失礼します!」
そう言って扉を開け入ってきたのは鎧を着て武器も装備している兵士、明らかに今から戦争に行くつもりの雰囲気だった
「国王から命令が出ました!現在敵国であるガレストの軍勢がフランスト王国を目指して行進中、ただちに殲滅せよ、ウェポンズネームも出動との事です!」
「分かりました、今行きます」
ゼシードはこの軍に入ってまだ1、2ヶ月だが敵国が攻めてきた事など両手で数えれないくらいあった、それを殲滅するため最大数千の人数が武装をして殲滅に当たる、その中には僕を含めたウェポンズネームも含まれる、だが本部にはゼシード以外ウェポンズネームがいないため仕方なく行くしかなかった
立ち上がり腰に剣を装備して立ち上がり歩き出した
「お願いします!総長!」
この軍に入るとなぜかゼシードはすぐ総長になった、総長は全ての部隊を管理する立場だ、軍のトップに近いかなり上の階級だった、この階級になった理由が未だに分からぬままだった
「我が軍の出撃人数は?」
「約300との事です」
「キツいな・・・いや作戦次第か」
腕を組み考え込む、数千の戦力と約300の戦力、作戦次第では殲滅は無理でも撤退はさせられるかもしれない、そう考えたゼシード、しかしそんな作戦すぐに思いつくはずもなく気づいた頃には出撃準備が出来た兵達の前にいた
「総長、一言お願いします」
「あ〜、細かい事はいいません、殺せ」
その一言で士気は一気に上がり軍本部の出口前は歓声で埋め尽くされた、考えてもそんな作戦は思いつかない、だが数千だ、頑張ればなんとかなる数、桁が一個増えたら恐らく無理であろうギリギリな戦力差でも引けない、なぜなら
「僕はサーベル家だから」
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馬に乗った約300の兵は走り出し王国付近にある草原を見渡せる崖の上の森に待機していた、平らな地なら無理でも木々が生えてる森ならば可能なのだ、地の利はこちらにある、そう考えていた、不安要素があるとすれば馬に乗って走ってきたその時から感じる寒気くらいか・・・何もなければいいが・・・
「大丈夫か?」
「なんとか」
話しかけてきたのは先程まで訓練を一緒にしていたレイン指揮官、今回の戦闘の指揮を任されることになった
「まぁある程度は思いついてるから任せろ、殲滅は無理でも撤退させるならなんとかなるからな」
ゼシードとまったく同じ事を考えていた、しかしゼシードが感じている寒気は消えない
数千と約300の兵力差、作戦次第では殲滅も出来なくはないが撤退ならさせられる、そんな兵力差・・・そんなの今までなかった、兵力差はあっても常に勝っていた、完璧な作戦で
でも今回は完璧な作戦でも殲滅は出来ない、出来たとしても撤退させるくらいである、今までなかったのにそれが急に起こると違和感を感じめたゼシードはただ何事もなくいつものように終わる事を願った
「あっ見えてき・・・た・・・」
その一言で皆は同じ方向を見る、しかしそこには絶望が広がっていた、そこにいたのは数千の敵兵力ではない、明らかに数万・・・桁が一つ増えてもおかしくない数は確実にいた
「す、数千じゃなかったのかよ!?」
一人の兵士が騒ぎ出すと周りの兵士も騒ぎ出した、どうしてだ!?偵察兵は何をしていた!?と
これはとてもじゃないが誤報で済まされない現実、もう作戦も兵力差もない、明らかな蹂躙をするための行進だった
「これは・・・無理かな」
冷や汗をかきながら呟いたレイン、しかし国王の命令のため引くわけにもいかない、かと言ってこの圧倒的兵力差、味方の士気もガタ落ち、指揮の意味もなくなった、どうしようかと口を隠しながら考えていると
「お、俺は帰るぞ!」
そう言った一人の兵士は待機させていた馬に乗り一人撤退して言った、その行動を見た残りの兵士も馬に乗り撤退し始めた、これで残った兵力は100にも満たない人数しかいなかった、もはやどうする事も出来ない
「・・・・・・」
空白の時間が流れた、無理もない、100にも満たない人数で1万はいるであろう敵兵力をどうしろと言うのだろうか?いいところに2、30人殺れればいいところではないか?そんなちっぽけな人数を殺しても意味は無い、そんな事この場にいるやつ全員が分かっていた、かと言ってゼシードはサーベル家・・・引くわけにもいかない
「はぁ・・・仕方ない」
「?」
ゼシードはため息をすると座っていた体勢から立ち上がり兵達に向き直した、そして衝撃な一言を放つ
「指揮官と残りの兵士は本部に戻ってこの事を報告してください、ここは僕がなんとかします」
「なっ・・・!」
数万の勢力をたった一人の子供がなんとかする、いくらサーベル家とはいえとても無理のある話だった、誰がどう見ても時間稼ぎをしようとしか考えていないのが分かってしまう行動と言葉、当然反対の声が上がる
「行けません総長!、そんな無駄死見たいな事・・・」
泣きそうな顔で言ったひとりの兵士、これにはレインも黙っていないだろうと思っていたのが思わぬ言葉を放つ
「分かった、行くぞお前ら」
「レイン指揮官!?」
ゼシードの意図を読み取ったのかレインは撤退の準備をし始めた
「レイン指揮官!なぜ総長を見捨てるような事出来るのです!まだ総長はこ────」
兵士が騒ぎ出しそうだったのでゼシードは件を抜き全力で素振りをした、風を切るその音は轟音を周囲に放った、その音に兵士は黙りレインもゼシードを見た
「グタグタ説明するのも時間の無駄だ、なので君達に選択肢を与える、死にたくない奴だけ帰れ、そうじゃない者は一緒に来い」
さらに追撃の一言
「僕に命を預ける者だけ来い」
そう言ったゼシードは崖から降りて敵兵力を殲滅するため走り出した、残った兵士達とレインは目を合わせた、どうする?と、ここで正直に帰ればゼシードを見捨てる事になる、かと言って歯向かったところで出来ることなどない
魔法も使えないため支援も出来ない、持っている武器は剣のみ、ゼシードを手伝うなどとても出来ない、でもゼシードの一言が心残りだった
「僕に命を預ける者だけ来い」
その一言を思い出した瞬間口が開いた
「俺は行く」
「レイン指揮官・・・」
先に口を開いたのはレインだった、教え子を見捨てるような事は出来ない、それでも上官の命令を優先したレイン、しかしこれまでの事やゼシードの一言を思い出すとどうしても助けに行きたくなった、レインの一言に目を合わしていく兵士達、その意志は一つになり言葉に出す
「私達も行きます」
「そうか・・・みんなあいつに預けるんだな」
その言葉に頷いた兵士達、迷う事は無い、全てはゼシードに預けた、ならあとは助けるだけだ
「あいつに命を預けたんだ、なら俺達がする事はあいつを助ける事だ!!!」
レインが士気を上げると大声を出した兵士達は崖から・・・ではなく草原に向かうべく正規ルートを通るのだった
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(既に100人は斬ったかな・・・)
レイン達と別れたゼシードは1万の敵兵力に突っ込んで敵を倒していた、剣一本で1万人を斬れる訳がなく死んだ敵兵の剣を拾って変えながら戦っていた、ここについてまだ数分しかたってないが斬っても斬っても武器を持った兵士に囲まれて汗もかき始めた、魔法も習ってはいるが不安定のため使えなかった、突撃をする前までは
(不安定だけど使うしかないよな)
「斬」
基本中の基本である魔法の一つ「斬」、刃物の切れ味を上げる魔法である、素振りでもない限り一振するたびに自分の魔力を消費する魔法、使い手によっては万物を切れるとも言える魔法、白い光はゼシードが持っている剣に纏い切れた時を上げた
魔法を発動したゼシードの元に敵が3人突っ込んできた、ゼシードは剣を1振りして3人とすれ違うと3人は大量の血を吹き出し倒れた、切れ味が上がるため鎧の上からでも生身を切れる、当然盾も斬れるのだ
「行けるな」
そう思い呟いたゼシードは走り出し残っている敵兵士達の中へと突撃した、ただ斬り続ける、この時はこれしか思ってなかった
数時間斬り続けると体が血で染まり初めた、だがかなり数が減ってきた、半分は減ったのではないだろうか
「この餓鬼、ただ者じゃねぇ!?」
半分高い兵力がなくなったせいかようやく狼狽え(うろた)を見せ始めた、しかしゼシードもいつ倒れてもおかしくない状態だった、立つのがやっとのはずなのに戦っている
その理由は単純、国のため・・・ただそれだけだった、しかし喋りたくても喋れないほど体力は限界に近く擦り傷の数も増えてきた、とてもまずい状況だ、そう思うと足の力が一瞬抜けて地面に膝をつけてしまう、それをチャンスだと思った敵兵はゼシードに集まるように攻撃を仕掛ける
「もう限界・・・か・・・な・・・」
その一言を最後に視界が真っ暗になり気絶ゼシードは気絶した、ゼシードと敵兵の距離は徐々に縮まりもう終わりかと思われた
(なら少し体を我に貸せ)
視界が真っ暗になり気絶した直後に何かがゼシードの中で呟いた、しかも敵兵が近くに来てもう剣が届く範囲に来ていた、数人が腕を振り上げ攻撃しようとした時ゼシードの体は動いた、数人の敵兵の腹や首などの部位を一瞬で斬り敵兵を倒した、限界だったはずの子供がなにかしたと気づいた者達はゼシードに近づくのをやめる
地面に膝をつき跪くような形で動きが止まっているゼシードだがゆっくりと立ち上がり顔を上げると体中から白い光がゼシードから放たれた、ゼシードの体から外へと放出されるように出てくる白い光は眩しくはないが光っているという認識だ、白い光を体から放出しているゼシードはいきなり走り出したがあまりの速さにその場から消えたと錯覚した敵兵士達は反応が遅れ気が付くと一部の兵士が数十人斬っていた、目の前から消えたと思ったら自分達の近くにいたと気づいた兵士達はゼシードに攻撃をしかけた
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「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
レイン指揮官率いる100にも満たない兵隊は大きな声を上げながら馬に乗り前進していた、戦闘にレイン、その後ろを兵士達が追いかける形で前進していた、もうすぐで草原につくという事もありやる気も士気も最好調である
そして遂に草原につきいざ戦闘開始と思いきやとんでもない量の死体にレイン達は足を止めた
「これは・・・」
とんでもない死体の量、そのせいでとんでもない匂いが草原に充満していた、兵士達も何人か口を塞いでいる、一体何が・・・と考え始めゼシードが突撃した事を思い出した
「ゼシード・・・」
最大の問題に気づき再び馬を走らせたレイン、それに遅れて兵士達も馬を走らせる、走り続けると鉄と鉄がぶつかり合う音が聞こえてくる、時々叫び声も聞こえる、この先にゼシードがいると確信したレインはさらに馬を走らせる
するとゼシードが10人の敵兵に囲まれている事に気づいた
「ゼシード!!!」
囲まれていたゼシード、3人が三方向から攻撃を同時に仕掛けるがゼシードはそれを剣一本で防ぎ跳ね返すと3人ともバランスを崩した、その隙を狙い3人の首や胸などを一瞬で斬った、今度は一人増え4人で攻めてきた、タイミングもずらし一度に防げないようにしたが4回全ての攻撃を防ぎ1回避ける事に心臓を一突きして四人を倒した、残りの3人は逃走を図ったがゼシードが追撃を行い3人とも背中から斬られ倒れた、全員倒してしまった・・・見渡しても残っている敵兵もいない・・・
そう思った時ゼシードは倒れた、流石に疲れて倒れたのだ、レインはすぐにゼシードに近づいた
「ゼシード!、ゼシード!!!」
一足遅れて兵士達も駆けつけた、倒れたゼシードを見たあと周りの死体を見た
「これ全部総長がやったのか・・・?」
先程までいた一万近い兵力は今地面に倒れている、ゼシードの傷を見ると余計信用せざる負えない、こいつ1人で一万を斬り殺したと
これが後のゼシードが大陸最強の総長と言われ始めた由縁である一万の敵兵をすべて1人で斬り殺した伝説である
いかがでしょうか?本編になるまではゼシードの幼少期が続きます、と言っても恐らく3話目から本編始まると思うのでお楽しみに