#039「用心刀剣」
舞台は、教室。
登場人物は、山崎、朝丘、吉原の三人。
「それじゃあ、再開するぞ。――伝令。伝令である。刀を収めよ」
「何だ。この大事な時に」
「山崎くんだよ?」
「本当だ。――長官命令を言い渡す。特例警察は、本通告伝達時点を以って解任とする。以上だ」
「そんな馬鹿な話があるか。何かの手違いでは?」
「睥睨する朝丘に、たじろぐ山崎。弱々しく台詞を続ける」
「事実である。宰相の急逝により、政権が交代したのだ。――俺は、立ち去った。はいっ」
「こんなことがあって堪るか。――取り乱した様子で、短剣で自殺しようとするが、吉原が止める」
「およしなさい」
「朝丘、吉原の手を引き剥がそうと抵抗する」
「離せ」
「鞘に収めるまで、絶対に離さない」
「朝丘、渋々、短剣を収める」
「収めたぞ。これで満足か?」
「大変よろしい。それにしても、身体に似合わず馬鹿力だな、君は」
「朝丘、少し照れたような表情で台詞」
「余計なお世話だ。――自分は、走り去った。はいっ」
「まぁ、栄枯盛衰は世の常。冷静に現実を見つめて、事後策を練ると良いさ」
「ここで一度、暗転。あと少しだな」
「長かったな。最後は、吉原から」
「さて。どこへ行こうか」
「朝丘、息を切らしながら吉原に駆け寄り、台詞」
「探したぞ。あんたに話がある。――吉原、振り返って台詞」
「そんなに、息を切らすほど走らなくても良いのに」
「朝丘、息を整えながら台詞」
「聞けば。あんたは一人で歩いて旅しているという。今、この国を丸腰で歩き回るのは危険だ」
「たしかに。特例警察を解任された人間が、方々で暴れているらしい」
「朝丘、右手の人差し指を立て、上に向けながら台詞」
「そこで一つ提案なんだが、あんたの用心棒になりたい」
「一体、どういう心変わりで?」
「朝丘、手を下ろして続ける」
「言葉では言い表せないんだ。ただ、あんたについて行くべきだって感じるんだ」
「そう。それじゃあ、しばらく一緒に回りますか?」
「吉原が自分に右手を差し出すから、自分は、それを両手でしっかり握る」
「演出で、桜の花びらを模した紙が降る。――山崎くん。ナレーション」
「まだ、出番が終わってなかったか。――ここがどこだか、いまがいつだか、だれもしらない。今、彼らの上には、八分咲きの桜が咲いている。――おしまい」
「以上だな」
「覚えられるかなぁ」
「途中で確認できないもんな」
「それでも、本番当日までには覚えるんだ」




