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#003「遺伝素質」

舞台は、保健室。

登場人物は、渡部、朝丘、山崎、吉原の四人。

「お手洗いは個室で、シャワーは保健室を利用しているんですね」

「そう。女性教職員用を使っても良いと言われたんだが、そこまで特別扱いされたくないから断った。それで、今度の身体測定の話だが、どういう流れなんだ?」

「身長、体重の測定、視力、聴力の検査、検尿の提出。全部で五項目ですね。クラスによって順番が違って、二組は、尿検査、視力、身長、体重、聴力の順です」

「心音とか、虫歯の有無とかは調べられないのか?」

「それは、身体測定とは別で、健康診断です。内科、眼科、耳鼻科、歯科の四科で、各自が地元の罹りつけ医に診断書をもらい、一学期が終わるまでに堀先生に提出すれば良いということになっています」

「そう。身長や体重の測定は、体操服のままで良いのか?」

「そうです。体操服で測定します。下着一枚になると思いましたか?」

「もし、そうだったら、ちょっと困ると思ってな」


「吉原って、眼鏡でも一・〇以下なんだな」

「矯正視力で〇・八だから、日常生活に支障はないよ。それより、渡部くんは気を付けないとね」

「〇・五まで落ちましたからね。眼鏡が必要になるかもしれません」

「堀先生から、本の読みすぎに注意するように言われてたな」

「眼鏡を掛けてる人間が言う台詞じゃないよな。――どうした、吉原?」

「朝丘くんって、僕より三センチほど背が高いのに、僕より軽いんだなぁって」

「私と比べても、五キロ近く軽いですね」

「自分と渡部では、身長が三センチも違う」

「俺よりも、十キロ近く軽いじゃないか。ちゃんと食べてるか?」

「よく食べることは知ってるくせに」

「代謝が良いんですね」

「山崎は骨太で筋肉質だから、羨ましい」

「特別、何かした訳じゃない。全部、父ちゃん譲りだ」

「遺伝するなら、そういう性質が良いよね。近視や癖毛が似ても、少しも嬉しくない」

「そう、嫌がらなくてもよろしいじゃありませんか。――そろそろ、聴力検査の順番ですね」

「静かにしないとな」

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