コード・エラー
プロローグを書き直しました!
内容は今までと同じです!
入り組んだ中央ブロックを走り回り、秀司が管制室のドアを潜った時には警報が鳴ってからすでに5分近くが経過していた。
依然として鳴り止まない警報を耳にしながら秀司は薄暗い管制室を歩く。
管制室の中には大型メインモニターに複数のサブモニターが設置され、サブモニターには施設の監視カメラの映像が映し出されている。
複数の白いジャケットを着た秀司の同僚たちが矢次に指示を出していた。
恐らくはインカム越しにフロアのスタッフに指示を出しているのだろう。
慌ただしい室内の中央でメインモニターを見つめていた長身の細身の男性に秀司は近づく。
長身の男性は眼鏡のブリッジを軽く押し上げると秀司に視線を向けた。
どうやら秀司が来たことに最初から気付いていたみたいだ。
改めて見る男性――レイン・サールドフォース第一席の聡明な瞳に秀司は息を呑んだ。
この人と出会ったのは今日が初めてだ。
交わした言葉も着任したことに対する礼儀的な挨拶だけ。
それでも交わした言葉の節々に彼が第一席を任されるだけの実力を垣間見た気がしていた。
「ハジメ・シュウジ第七席だね?」
場違いなほどに静かすぎる口調に秀司は僅かばかり間を開けて答えた。
「……はい。ラディカル・ケージ第一特殊部隊第七席に任命されました。一秀司です」
朝にも同じやり取りをしたが、朝と今とでは状況がまるで違う。
今この場に秀司がいるのは第七席の責務として――与えられた任務を全うするためにレイン第一席の前に立っていることを意味する。
つまりは第一特殊部隊としての役割を果たすということだ。
単なる荷物整理だけをしていた昼間とは性質がまったく異なる問いかけを秀司はそう理解して頷いた。
「この警報の意味を理解しているか?」
「はい。相手は《コード・エラー》ですか?」
「そうだ。これを見てくれ」
レインは軽く頷くと手元の端末を操作してメインモニターに一つの映像を写し出した。
それはサブモニターと同様にこの施設の監視カメラ映像。
写し出されたのは黒い外套を深く被った人影だ。
カメラの位置のせいでフードの下に隠れた素顔が見えないが身長は秀司よりもだいぶ小柄だ。
少女? それとも子どもか?
相手が《コード・エラー》であるならその可能性も十分に考えられる。
だが、肝心のこのラディカル・ケージを狙った意図がまるでわからない。
だから秀司はわかりきった答えをすぐ側のレインに問いかけた。
「……彼が?」
「そうだ。正確に言うなら『彼女』だけどね」
「女の子……ですか?」
「ああ。コードネーム《ロストシルバー》――その由来は彼女と一度戦えばすぐにでも理解できるさ。それよりもこちらの問題は《コード・エラー》の存在を知るのがこの施設内で現在、私と君――あとは総司令だけだということだ」
「それは……まずいですね」
「ああ」
と頷くレイン。
「今警備にあたらせているのは戦闘訓練を受け、さらに実践経験も踏まえた者たちだが……それでも《コード・エラー》の存在を知らない彼らでは彼女を止めることは不可能だ」
そう断言するレインに秀司も頷く。
それほどまでに《コード・エラー》と呼ばれる存在の持つ力は強大だと知っているからだ。
彼女がもし《コード・エラー》としての力を振るってきたのなら『ただの人間』には止めることは出来ない。
「自分が行きます」
自然と口から出た言葉をレインは瞳を閉じて熟考する。
「その申し出はありがたいな。私は今この持ち場を離れるわけにはいかない。第七席が先陣をきってくれるというのならその意志を尊重しよう。改めて命じる――」
レインは威厳とした佇まいで第七席として秀司に初めての任務を下す。
「施設に侵入した敵を排除してくるんだ!」
「了解ッ!」
秀司は研ぎ澄ました意志を全身に巡らせ、レインに敬礼を掲げる。
――絶対に誰も傷つけさせはしない。僕がみんなを守る。
踵を返して彼女を追おうとしたところで秀司は肝心のことを聞くのを忘れていたことに気付いた。
「聞いてもいいでしょうかレイン第一席、彼女の目的は一体……?」
うむ。と頷くレイン。
言いにくそうな表情を浮かべ、眉間にシワをよせながら静かに口を開く。
「彼女の目的は恐らくこの施設で厳重に保管されている因子の奪取だ」
レインの言葉を聞いた秀司はゾクリと背筋が凍る感覚を覚えるのだった――
読みやすいように改稿したプロローグをすぐに更新する予定です!
もうしばらくお待ち下さい!